今年も、各地で多くの花火大会が開催される見通しです。どこへ行こうか迷っているなら、「日本三大花火大会」と「日本一の花火大会」を目的地にしてはいかがでしょうか? 本記事では、各花火大会の見どころと2023年の開催情報をまとめました。
さらに、花火をより楽しめるよう、その歴史や種類についても徹底解説。花火大会に出かけたいと考えている方はぜひチェックしてください!

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打ち上げ花火の代表的な種類

ここからは、花火の種類について解説していきます。花火といえば、花火大会で鑑賞する打ち上げ花火や手持ち花火など大小さまざまな種類があります。その中から、ここでは打ち上げ花火の特徴を解説。花を彩ったものや、ハートなどユニークな形をしたものなど種類が豊富にありますが、分類としては以下の3つが代表的です。

  • 割物花火
  • 半割物花火
  • ポカ物花火

割物花火

画像3: 提供:秋田県大仙市
提供:秋田県大仙市

「割物(わりもの)」とは、星(光や色彩・煙を出す部分の火薬)を、火薬を用いて四方八方に飛ばす仕組みの花火のことで、花火と聞いてイメージする最も一般的な形です。割物の種類には「菊」「牡丹」「椰子」「型物」などがあり、下記のような特徴があります。

〈割物花火の特徴〉

割物の種類特徴
星が玉の中心から炭火色の尾を引きながら丸く開く。先が2色に変化する「変化菊」もよく使われる
牡丹尾を引かずに最初から色のついた光が開く
冠菊(かむろぎく)星が大きく開いた後尾を引いて垂れ下がる。語源は童女の髪型「禿(かむろ)」
椰子椰子の葉のような金色の太い花弁を咲かせる
芯入円の中に芯が入ったタイプ
型物平面状や立体的に開き、ハートや蝶々、土星など、さまざまな形をしている

上記のような比較的大きく、大輪の花火が「割物」です。また、「浮模様」「残光」など、他のタイプの花火と割物を組み合わせた花火もあります。

半割物花火

画像4: 提供:秋田県大仙市
提供:秋田県大仙市

「半割物(はんわりもの)」は、花火の玉が上空の闇の中で開いた後、たくさんの小さな花が一斉に開くタイプで、「千輪」とも呼ばれることもある花火。半割物の種類には「千輪菊」「小割(こわり)」などがあり、下記のような特徴があります。

〈半割物花火の特徴〉

半割物の種類特徴
千輪菊
(彩色千輪菊、百花園)
大きな玉の中に小さな玉がたくさん入っている。時間差でたくさんの花が一斉に開く
小割落下傘で吊った小さな照明を時間差で漂わす。「小割松島」「田毎の月」などがある

半割物は小さな玉がたくさん集まっているタイプの打ち上げ花火。そんな半割物では一度にたくさんの小さな花火が見られるので、大胆な割物とはまた違ったかわいらしさを楽しめるという魅力があり、花火大会には欠かせません。

ポカ物花火

画像5: 提供:秋田県大仙市
提供:秋田県大仙市

「ポカ物花火」とは、玉が上空で2つに割れて、くす玉のように部品を放出させるタイプの花火です。ポカ物花火には「柳」「蜂」「花雷」などがあり、下記のような特徴があります。

〈ポカ物花火の特徴〉

ポカ物花火の種類特徴
星が群れのようになってから、尾を引いて垂れ下がる。中でも細い線で垂れ下がるのは「細柳」「糸柳」ということもある
音を立てながら不規則に回転する。中でもたくさんの星が交差するものを「分砲」と呼ぶ
花雷(はならい)音が出る花火が白い花のように炸裂する。花雷の中で、「花号砲」はひとつだけ音が鳴り、「花万雷(はなばんらい)」は複数が一斉に鳴る

このような、色だけでなく音や動きなどが特徴的な花火がポカ物花火に分類されます。

打ち上げ花火の仕組みを解説

打ち上げ花火の分類について知ったあとは、構造や仕組みについて詳しく見ていきましょう。

花火玉の構造

海外の花火玉は円筒形になっていますが、日本の花火玉は球形が一般的です。球形の花火玉には、花火が打ち上がって開いたときにどの角度から眺めても美しく見えるというメリットがあります。さらには外からの力に強く割れにくくなっています。

〈図〉花火玉の構造

画像: 花火玉の構造

花火玉の種類によって多少構造は異なりますが、代表的な「八重芯」の場合、割り薬(※)の中に星を配置して導火線をつけることで花火を作ります。星の配置によって花火の色が決まるので、配置することが花火作りで最も時間がかかる作業です。

花火玉は火薬を包む紙で覆われていて、導火線の対極には、花火玉を吊るための竜頭という取手が付けられています。

花火玉には2号から40号までの大きさがあり、花火玉が大きくなるほど花火も大きく、より高く打ち上げなければなりません。

※割り薬:籾殻に粉状の火薬をまぶしたもの。花火玉を破裂させて星に点火・放出する役割があります

打ち上げ花火の仕組み

花火玉を、打ち上げ筒を使って上空へ打ち上げた後、破裂させると打ち上げ花火になります。その打ち上げ方法は主に2種類あり、それぞれ以下のような特徴があります。

〈図〉打ち上げ花火の仕組み

画像: 打ち上げ花火の仕組み
打ち上げ方法特徴
単発打ち上げ単独の打ち上げ筒に打ち上げ火薬と花火玉を入れる。導火線や速火線・電気・火種などで点火を行って、1発ずつ打ち上げる
スターマイン(速射連発)1回の点火で、多くの玉を打ち上げることができる。電気点火器により電気信号を送ることにより、点火具を発火させ打揚火薬に点火する電気点火と、速火線に点火すると筒に繋がれた全ての導火線に点火される手動での点火方法などがある

現在の花火大会では、安全性や演出を重視するため、電気または導火線による点火方法が主流になっています。

各地の個性的な花火大会を見に旅しよう

花火大会でなんとなく花火を眺めるよりも、構造や仕組みを知って観賞する方が、より楽しめることでしょう。
この記事でご紹介した花火大会以外にも、日本各地には魅力的な花火大会があります。大会ごとに異なるコンセプトや競演を楽しめるので、花火大会を目的に旅をしてみてはいかがでしょうか。

監修:日本煙火協会

初回投稿日:2022年6月15日
※2023年6月28日一部内容を更新いたしました。

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