ときを超える、工芸の街を訪ねて
現代によみがえる伝統工芸の物語
伊勢神宮と密接に関わりながら
伝統を守り続ける、
明和町という小さなまちをご存知ですか。
伊勢街道沿いのこのまちでは、
時代ごとに個性豊かな文化が育まれてきました。
なかでも江戸時代に生まれ、大流行した
「擬革紙(ぎかくし)」と
「御糸織り(みいとおり)」
という
ふたつの伝統工芸は、
サステナブルな現代にこそ注目すべき
デザインとアイデアが詰まったプロダクトです。
ときを超えて生まれ変わった
トラディショナリズムを
JALふるさとアンバサダーのふたりが紹介します。
明和町ってこんなところ
伊勢街道ルートで伊勢神宮にお参りするためには必ず通る、入り口のような場所に位置している明和町。
かつては、街道沿いのあちこちに伊勢神宮参拝客向けの旅籠が存在し、また茶屋や土産物屋、食事処、休憩所などが建ち並んでいました。江戸時代には、御糸織り(松阪もめん)や擬革紙といった伝統工芸品も大流行、明和町は大いに栄えたのです。
さらに時代をさかのぼり平安時代には、その立地から天皇に代わって伊勢神宮に仕える“斎王”と呼ばれる皇族が暮らしていた都が存在した場所でもあります。その都は地方都市に比べても相当大きなものであったとか。
このように、伊勢神宮と密接に関わり合いながら明和町は独自の文化を繰り広げてきた歴史深い場所なのです。
About Gikakushi
江戸にうまれた奇想天外な発明品
紙で革を模したその名も擬革紙
紙を圧縮することで強度を高め、革に擬(なぞら)えてつくられた紙、擬革紙。 江戸時代には代表的な参宮土産として全国に知れ渡りました。そして明治には海外からも注目され、1900年のパリ万博をはじめ、世界の博覧会で賞を受賞したのです。
先人の知恵が詰まったこの工芸品は、皮革製品が問題となっている今こそ流行ってほしい、注目のヴィーガンレザーとも言えます。
大流行の理由は?
革製品の代替品として
江戸時代、お伊勢参りは国内旅行として大流行しました。
しかしながら当時は革製品を持って伊勢神宮へ参拝することははばかるべきとされていたため、動物の皮革に代わる丈夫でおしゃれな小物の素材が求められていました。そこで誕生したのが紙を革に模した擬革紙なのです。
時代が進むにつれ参拝スタイルも変わり、革の供給も増え、一時は時代に埋もれてしまった擬革紙ですが、明和町内でその生産技術が復活することになります。
ここでしか見られない
現存する擬革紙プロダクト
明和町には、まちかど博物館という地域の文化や伝統を展示・発信する場所が点在しています。工芸品から地域の歴史、建築についてまでさまざまな文化を気軽に楽しめます。
そんなまちかど博物館の一つ「三忠(さんちゅう)」では、擬革紙の歴史や製法についてまとめた資料が閲覧できます。
松阪・紀勢界隈まちかど博物館
「三忠」(さんちゅう)
お問合せ:090-4232-9738(堀木)
住所:三重県多気郡明和町新茶屋180-4
営業時間・定休日:不定
※見学は電話にて予約が必要です
Product
地域の方々の熱い想いにより、
現代に蘇った江戸時代の技術
擬革紙の技術はおよそ350年前に生まれ、栄えた後に時代の変化によって一度途絶えてしまいます。
しかしこの工芸文化を未来に伝えたいという想いを持った明和町近隣の方々によって「擬革紙の会」が発足し、現代に擬革紙の技術が復興したのです。
step01型紙製作
和紙を貼り合わせて型紙をつくります。湿気が少なく、気温が高い時期に柿渋を塗り重ねながら天日干しを行い、丈夫な型紙を作ります。
step02着色
染料や顔料を使って着色します。
さまざまな色に染めることができるためバリエーションは自在です。
step03万力絞り
着色した紙を型紙にはさみ、万力を使って絞ります。
角度や回数によって異なる風合いがでるため、擬革紙作りのポイントとなる作業です。
step04表面加工
再度の着色や、表面加工を施し、原紙に仕上げます。
皮と見間違える程の質感が特徴的な擬革紙の完成です。
参宮ブランド擬革紙の会の工房
お問合せ: 090-4232-9738(堀木)
住所:三重県多気郡玉城町下田辺937
営業時間:10:00 〜 16:00
定休日:不定休
※見学は電話にて予約が必要です
AAbout Miitoori
藍の見事な色彩表現。
「御糸織り」とは?
御糸織りは、またの名を松阪もめんと言います。江戸時代の町人たちはみな木綿の着物を日常的に着ていました。
当時の織物の定番は紺色一色だったため松阪商人が持ち込んだ縞模様の松阪もめんはとても斬新であり、おしゃれな江戸っ子の間で大流行したのでした。安くて丈夫という点でも町人に重宝されて瞬く間に広がりました。
流行の最先端をいく
歌舞伎役者も大好きだった縞模様
当時、流行の最先端のような存在であった歌舞伎役者もこぞって松阪もめんを着用しました。
縞柄といえば松阪もめんが代表的な存在となり、なんと今でも歌舞伎役者が縞の着物を着ることを「マツサカを着る」と言うのです。
Product
脈々と受け継がれる
江戸時代からの伝統技術
この江戸時代から受け継がれる松阪もめんを、唯一製造し続けている場所こそが明和町なのです。
現在も「御糸織り」の名称で製造されています。植物の藍で糸を染め、機械で反物を織る手法で一つの工場内で一貫して生産しています。藍色や縞模様はそれぞれ多種多様、さまざまなデザインがあり、江戸っ子たち同様楽しんでお気に入りを選べます。
step01糸染
白い糸を藍液につけ込み、絞り上げます。
染の濃さにより漬け込み回数や時間を調整します。
step02糸干
屋外の広い干し場で染められた糸を竹竿に掛けて自然乾燥させることで良い発色になります。
step03糸巻
生地の種類に応じた糸を準備し、織るために必要な長さを巻糸機で糸巻き形状に巻きつけていきます。
step04整経
布織りに必要な経糸(たていと)の本数を、長さ・張力を適度に整えてドラムに巻き取ります。
step05織布
染めた経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交差させ織り込んでいきます。
御絲織物株式会社
(みいとおりものかぶしきかいしゃ)
お問合せ:0596-55-2217
住所:三重県多気郡明和町大字養川甲373
営業時間:8:00 〜 17:00
定休日:土曜・日曜・祝日
※見学は電話にて予約が必要です
Ambassador’s Choice
JALふるさとアンバサダーのふたりが擬革紙・御糸織に携わる
皆さまと一緒に考えました!
私たちのこだわりが詰まったセットは、こちらでも購入できます。
伊勢神宮にお仕えする斎王の都としての明和町。ときを超え廃案時代のまち歩きにでかけましょう。
天皇の代わりに伊勢神宮に仕える
「斎王(さいおう)」という役職が
存在しました。
皇族のご先祖さまである天照大神が
祭られている伊勢神宮に仕える
重要な役目であるため、
皇族の女性から選ばれ、天皇の即位
に際して代替わりしていました。
その斎王の住まう宮殿を
「斎宮(さいくう)」と言います。
実は斎宮は、
この明和町にあったのです。
都に負けないほど栄えていた
と言われており、
伊勢神宮がどれだけ重要視されて
いたかがうかがえます。
そんな斎王の華やかな歴史を
感じつつ、
斎王が歩んだ道のりを
たどって伊勢神宮へ向かうのが
旅のおすすめルートです。
斎宮跡のめぐりかた
歴史上の表舞台にあらわれることのなかった
「斎宮」と「斎王」という存在。
しかし、一歩踏み込んでみると
実におもしろい「斎宮」の物語。
博物館で知識を得てから、
跡地や歴史体験館を巡ると、
かつての斎宮の営みを肌で感じられ、
より一層楽しめます。
斎宮歴史博物館
斎宮の歴史を知るならここ、
文献資料と考古学が集積する
見応え抜群な博物館。
天皇の名代として伊勢神宮に仕えた皇女・斎王と、その宮殿である斎宮の歴史や斎宮跡の発掘成果を展示している博物館。常設展は斎宮の歴史や文学作品の展示を、さらに特別展示室では時期ごとに斎宮にかかわる様々な展示を行っているため、ひとつのテーマを深く学ぶことができ、見応え抜群です。
斎宮歴史博物館
(さいくうれきしはくぶつかん)
お問合せ:0596-52-3800
住所:三重県多気郡明和町竹川503
営業時間:9:30 〜 17:00(入館は16:30まで)
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)
さいくう平安の杜
平安時代にタイムスリップ、
現代によみがえる当時の建築。
一歩足を踏み入れると、平安時代にタイムスリップしたかのように感じられるおすすめスポット。当時の建築技術はまだ未熟で、耐久性をあげるために柱を太くしているところが平安建築の特徴です。まだ発掘途中であり、これから新しい歴史が見つかるかもしれないというところにロマンがあります。
さいくう平安の杜(へいあんのもり)
お問合せ:0596-52-3890
住所:三重県多気郡明和町大字斎宮2800
営業時間:3-10月 9:30〜17:00 /
11-2月9:30〜16:00
定休日:月曜
竹神社
厳かな空気が流れる、
斎王の宮殿があったとされる場所。
自然たっぷりの参道を進んだところにひっそりとたたずむ竹神社は、かつて斎王の宮殿があったとされる場所に位置しています。コンパクトながらにこころなしか伊勢神宮のような厳かな雰囲気が感じられる神秘的な神社です。季節によってしつらえが異なる花手水もお見逃しなく。
竹神社(たけじんじゃ)
お問合せ:0596-52-7138
住所:三重県多気郡明和町斎宮2757-2
社務所営業時間:毎週土日10:00 〜 15:00
参拝自由
いつきのみや
歴史体験館
華やかな平安時代の香り感じる、
平安貴族体験。
平安時代の貴族の生活を体験することができるいつきのみや歴史体験館。今までのルートを通して斎宮の歴史や文化を学んだ上で、ここ歴史体験館で実際に体験してみるとさらに味わい深くなること間違いなし。十二単を着たり、平安貴族の遊びに興じてみたりとここでしかできない体験がたくさんあります。
いつきのみや歴史体験館
お問合せ:0596-52-3890
住所:三重県多気郡明和町斎宮3046-25
営業時間:9:30 〜 17:00
定休日:月曜 (月曜が祝日の場合は翌日) / 年末年始 (12/29~1/3)
体験コース一覧
http://www.itukinomiya.jp/
平安気分でひとやすみ。
みのりや
斎宮駅のちかくにある喫茶みのりや。伊勢街道沿いの古民家を改修した古民家喫茶であり、ここでもまた歴史の香りを感じることができます。和菓子と伊勢茶を一緒に味わい、まったりと休憩するのがおすすめです。
季節の和菓子※数量限定 / ¥480
かぶせ茶 / ¥480
みのりや
お問合せ:https://www.instagram.com/__minoriya/
住所:三重県多気郡明和町斎宮579
営業時間:11:00 〜 16:00
定休日:火曜、水曜、木曜
いつき茶屋
いつきのみや歴史体験館に併設されているいつき茶屋では、見ているだけで心ときめく十二単バウムが大人気。平安時代のお姫様気分でティータイムを楽しみましょう。
十二単バウムセット / ¥600
いつき茶屋
お問合せ:0596-52-7805
住所:三重県多気郡明和町斎宮2969-4
営業時間:4月〜10月 9:00 〜 17:15、11月 〜 3月 9:00 〜 17:00
定休日:月曜 (月曜が祝日の場合は翌日) / 年末年始 (12/29~1/3)
大淀
ふれあいキャンプ場
明和町は自然もたっぷり。澄み渡る空と緑に囲まれて、深呼吸しにキャンプ場を訪れるのもおすすめ。キャンプ初体験の方やキャンプ初心者、ファミリーにも優しいキャンプフィールドです。
大淀 ふれあいキャンプ場
(おおよど ふれあいキャンプ場)
お問合せ:0596-55-4664
住所:三重県多気郡明和町大淀甲2953
チェックイン:13:00-17:00
チェックアウト:11:00