知らず知らずのうちに溜まっていく日々のストレスを感じたなら、
日常からしばし体と心とを遠ざけてみませんか。
美しい自然と悠久の歴史が交わる場所なら、豊かな時間が過ごせそうです。
目指すは、徳島。3つの“Retreat Trip”へ出かけてみましょう。
海の包容力と山の雄大さ。ふたつの魅力が備わった徳島県海陽町は、
ネイチャートリップにうってつけです。
自然に触れることで身も心もほぐれ、自分自身を見つめ直すことができそうです。
永原レキさんはフリーサーファーであり、藍染め工芸を取り入れた活動をする
プロデューサー。
世界中を旅してきた彼が行き着いた先は、地元である海陽町でした。
海と山を抱く町で、自然と共生する生活の魅力を尋ねました。
「国内外で競技サーファーとして活動し、東京で音楽関係の仕事をした後、たまたま訪れたオーガニックイベントで阿波藍のブースを見つけたのが、(海陽町の魅力を再発見する)きっかけでした。
藍のことをいろいろ教えていただいて、日本にもこんなすごい文化があるんだと感動したんです。
どこの文化なのだろうと思って名刺を見たら、僕の地元の会社でした。それですぐに地元に戻って、藍染めの知識と技術を深めていきました」
地元に戻った永原さんは、地元の魅力を再認識していったといいます。
「波はもちろん素晴らしいですし、水も本当にきれいで、山と海の間に位置する河口に身を置くと本当に気持ちいい。それに、農業から生まれる天然藍染め文化やサーフィンを通じて山の豊さや、海と山の間に息づく文化の深さを改めて感じています」
そんな魅力を永原さんはサーフィンや藍染めを通じて魅力を発信する活動をしています。
「そもそも海陽町は林業と漁業で栄えた町なので、サーフィンや藍染めは馴染みのない文化でした。でも、これをきっかけとして地元の人にも、外の人にも海陽町の魅力をもっと知ってほしい。(僕が経営する)in Between Bluesで藍染め体験をしてもらうのもその一環ですし、これまでは地元の子たちがサーフィンに触れる機会がなかったのですが、自治体と連携してサーフィンスクールを始めたりしています」
永原レキさん/徳島県海部郡海陽町生まれ。大学在学中、全日本学生サーフィン選手権大会で日本一を達成。卒業後は東京・アメリカ・オーストラリアなど国内外で働きながらサーフィンと音楽と芸術を学ぶ。2010年、地元徳島にUターン。故郷の伝統と革新を織り交ぜ、故郷や日本が誇る自然や歴史・文化の魅力を世界に向けて発信している。
カリフォルニアやスペインのバスク地方、日本では宮崎や湘南でも始まっています。
そんな取り組みが、海陽町の魅力をさらに高めていきそうです。
「藍染めのブルーと海のブルー、そして四国のお遍路といえば空海ですから、これもブルーで繋がると言えるかもしれません。
そこにサーフカルチャーが乗ることで、ほかにはない魅力になると思います」
清流として知られる海部川の上流には、
日本の滝百選のひとつに数えられる「轟の滝」があります。
四国一の大滝であり、威風堂々とした様子は
長い坂をのぼって訪れる価値がきっとあります。
大小さまざまな滝が連続する「轟九十九滝」。
そのなかでも、落差58メートルを誇る「轟の滝」(本滝)の勇壮さは圧巻です。
ちょっとしたトレッキングを兼ねて、
ふもとから石段を登ること5分ほどで、
神社が見えてきました。
ここでまずは参拝。
400年以上の歴史を誇る風情ある社殿では、
毎年11月になると例大祭が開かれます。
神輿の担ぎ手となる男たちが前の晩から何度も滝壺に入り、
みそぎを行うのだとか。
そして翌日に神輿を社殿、滝壺へと担ぎます。
林業が盛んだった近隣の地域のみならず、
川を下った先の漁師も参加するユニークな行事は、
文化の隔たりなく水の恵みに感謝する真心のようなものだそうです。
周囲に広がるのは、「水源の森百選」に指定された美しく爽やかな森林です。
木々の呼吸を肌で感じながら進む道程は、清々しく、やがて辿り着いた轟の滝は、Retreatの目的地にふさわしい。
自然が織りなす迫力に、心が洗い流されるような感覚に陥るかもしれません。
所在地:徳島県海部郡海陽町平井王余魚谷王余魚谷
海陽町という名前の通り、太陽に
照らされた美しい海が自慢の土地。
サーフィンからシーカヤック、
海水浴まで幅広く楽しめます。
どこまでも懐の深い海の魅力に
触れてみましょう。
「宮崎や湘南、千葉の九十九里浜など、日本には他にも有名なサーフスポットがありますが、どこにも引けを取りません。水がきれいで気持ちよく、サーファーにとってはひとつの憧れでもあるんです」と永原さん。
砂浜の海岸で、初級者から上級者まで楽しめる開けたポイントの宍喰(ししくい)海岸や、中級者と上級者が訪れる竹ヶ島では、SUP(スタンドアップパドルボード)も楽しめるほか、独特の地形で景勝地としても有名です。
南国らしい穏やかな海にはさまざまな表情があるようです。
海と触れ合うなら、宍喰海岸のパビリオンサーフというショップで。
サーフィンやSUPをレクチャーしているほか、宿泊施設も備えています。
海陽町でサーフィンやマリンレジャーに挑戦したいなら、ぜひ利用したいショップがパビリオンサーフです。
シャワーや宿泊施設も備え、海遊びの拠点にぴったりです。
宿泊とサーフレッスンやSUPクルージングツアーがセットになった、お得なパッケージプランもあります。(サーフレッスンは5,500円〜・税込。SUP体験は6,600円〜・税込)
所在地:徳島県海部郡海陽町宍喰浦字松原215-1
電話:0884-76-3277
所在地:徳島県海部郡海陽町宍喰浦字松原215-1
電話:0884-76-3277
徳島県は日本一の藍の産地です。
美しい発色は、いにしえより今日に至るまで、世界を魅了してきました。
現代的かつ新たなアプローチを求めて、
永原さんがプロデュースする藍染めスタジオを訪れてみましょう。
in Between Bluesの藍染めスタジオでは、蒅(すくも)をベースに、灰汁、貝灰など自然由来の原料を加え、微生物の発酵を活かして生み出す美しいオーシャンカラーを、自分自身の手で作り出すことができます。
眼前に広がる太平洋、美しい空を眺めながら、学びと体験の時間が過ごせそうです。(予約制で3,500円〜・税込)。
藍染体験者にはカフェスペースも提供しており、「藍の種茶」(450円・税込)や「インディゴマフィン」(350円・税込)などのスイーツメニューも充実。
もともと藍は薬草として中国から日本に入ってきたもので、種は食べられるのだとか。
居心地のいい空間なのです。
さらに物販エリアでは、in Between Bluesオリジナルベビー服、マスクなどの商品が展示されており、他にもハンドクラフトや自然素材にこだわった作り手とコラボした、こだわりの逸品が揃っています。
大手自動車メーカーのプロジェクトで制作した藍染めサーフボードなども展示しており、手間隙を惜しまず生み出した、目を引くアイテムばかり。
手染めの工程は時間と労力を要しますが、それに見合うだけの美しい発色が得られます。
ここでしか出会えないエピソードと商品の数々に、徳島の旅の醍醐味が感じられることでしょう。