知らず知らずのうちに溜まっていく日々のストレスを感じたなら、
日常からしばし体と心とを遠ざけてみませんか。
美しい自然と悠久の歴史が交わる場所なら、豊かな時間が過ごせそうです。
目指すは、徳島。3つの“Retreat Trip”へ出かけてみましょう。
どこか遠い世界の話に思われるかもしれませんが、お遍路の道は老若男女、誰もが歩けるもの。
そしてより親しみやすく、カジュアルに楽しめます。
開かれたお遍路の旅で、Retreatを!
そもそもお遍路とは、四国にある八十八箇所の霊場を巡り歩くことを指します。
これは、その昔、真言宗の開祖である弘法大師空海が修行し、開山した霊場を辿る道程。
すべて回ると1,400kmの長い道のりですが、近年はバスツアーもあり、ハードルは低くなっています。
本来は祈願成就を目的にしたものですが、自分と向き合うRetreatの旅としてもぴったりです。
長い歴史と伝統を持つお遍路ですが、
最近は思い思いの巡り方をするのが一般的になってきました。
カジュアルで自分らしい装いなら、
女子旅としても楽しめることでしょう。
道中には気分を上げるアイテムも楽しみたいものです。近年はお遍路グッズも可愛らしい
デザインが増えています。お遍路に必要な6つのアイテムをチェックしましょう。
霊場ごとに書いてもらえる御朱印を集める帳面が、納経帳か御朱印帳。納経帳は四国八十八箇所のためのもので、御朱印帳は全国の神社仏閣で使えます。
輪袈裟は略式のお袈裟で、首に掛けて使う巡礼アイテムのひとつ。お好みの色を選びましょう。
山歩きが多いお遍路を支えてくれます。弘法大師の化身という役割があり、表面にある「同行二人」という文字は“二人旅”であることを示しています。
納札は、名刺のようなもの。名前、住所、年齢を記入し、各寺院に納めます。巡礼のことを“札打ち”というのは、お札を納めて回る旅だからです。
真言宗の僧侶が持つ本格的なものでも、仏事で使う一般的なものでもOK。銘木や石、ガラスなど、さまざまな素材のものがあるので、好みで選びましょう。
お参りをする際に、ご先祖へのお供えとして火を灯し、お線香を焚きます。各寺院に備えていることも多いですが、できれば携帯するようにしましょう。
門前一番街
まずは準備をするところから始めましょう。
この門前一番街は一番札所 霊山寺の目の前“門前”にあり、お遍路の準備ができる場所です。衣装レンタル、グッズ購入が可能なほか、お遍路に関するあらゆる情報が手に入ります。
さらに先達(せんだつ)に教えを乞うこともできます。先達とは、道案内や札所寺院の知識を身につけた公認の巡拝者のこと。
しっかりと準備を整えながら、旅路の疑問を解消しておきましょう。
お遍路の準備といっても、旅の一部。
旅の伝統に触れることは、
きっと刺激的な体験になるはずです。
第一番札所
竺和山 一乗院 霊山寺
縁起によると、聖武天皇(在位724〜49)の勅願により行基菩薩が開創されたことが開びゃくの由来。
応永年間(1394〜1428)に造られ、五智如来像が祀られている多宝塔と、恋愛や仕事、健康などの御利益がある縁結び観音もあります。お遍路のスタートである“発願の寺”を象徴する明治の庭も見どころです。
蔵元 本家松浦酒造
お遍路の楽しみ方。ルートからは少し外れますが、
本家松浦酒造は徳島県最古の酒蔵として知られています。
隣り合った味噌蔵とともに、KuraKura見学という蔵見学が
可能。築200年以上の母屋など、味わい深いのはお酒だけでは
ありません。大人の旅にぴったりの寄り道です。
第六番札所 温泉山 安楽寺
宿坊とは、宿泊できるお寺のことです。大師堂前から湧き出る宿坊の温泉が有名で、ご本尊は人々を病魔から救う薬師如来です。
山号の名の通り、万病に効果のある温泉が湧き出ていたことから、弘法大師が名付けたといわれます。
約400年前からお遍路さんに親しまれるRetreatの宿で、ごゆっくりと。
歴史に思いを馳せながら、
旅の疲れを癒しましょう。
一般的な宿とは少し違う、清らかな気持ち
で
過ごすことができそうです。
川島潜水橋
美しい川に対して一直線にかかり、その端正な姿は
見惚れるほど。第十番札所と第十一番札所の間に位置します。
緑溢れる景色に馴染む絶景スポットとして有名で、
多くの観光客に親しまれています。潜水橋というとおり、
増水の際には川にすっぽりと隠れてしまいます。
所在地:徳島県吉野川市川島町川島 川島潜水橋
第二十一番札所
舎心山 常住院 太龍寺
かつては徒歩でしか登れず、“遍路ころがし”のひとつと呼ばれる難所でしたが、現在はロープウェイを使うことで、直通で参拝できるようになりました。
山や川を越えて張られたロープウェイは全長2,775mと西日本で最長。
こうして辿り着いた境内から山々を望む風景はまさに絶景で、お遍路の大きな見どころのひとつに数えられます。
道の駅になっています。
御食事処「菩提樹」は多くのお遍路客で賑わい、
名物の「かきまぜ丼」(単品600円・税込)は
ぜひ味わいたいメニュー。
甘く煮込まれた金時豆をまぶしたちらし寿司で、
疲れた体に染み込む滋味深いおいしさです。
ほかに天ぷらうどん(750円・税込)など、うどん類も充実。
世界に開かれた霊場
第二十二番札所
白水山 医王院 平等寺
寺号の由来は、弘法大師空海が人々を平等に救うため授けたものだといいます。
ご本尊は薬師如来。寄木作りで、漆で塗り固め、金箔を貼り付けたもので600年ほど経つ古いもの。万病に効く弘法の霊水のご利益を受けるため、多くの人が訪れます。
また、誰でも気軽にお寺に親しんでもらうため、YouTubeで法要のライブ配信も行っています。WEBサイトを通して初詣ができる仕組みも整えているそうなので、ぜひチェックしてください。
長い歴史を誇る厄除け寺
第二十三番札所
醫王山 無量寿院 薬王寺
聖武天皇の勅願を受けた行基菩薩が巡鍚し、
建立したのが薬王寺です。
また弘仁6年(815年)弘法大師がご本尊の厄除薬師如来を
刻んで開基。天保6年(1835年)に建てられ、
平成24年に改修された仁王門や、
迫力ある瑜祇塔など見どころが豊富。
徳島県内最後の札所として、ぜひ訪れたい厄除けの名山です。
年間100万人以上もの参拝者が訪れる
全国的に有名な厄除け寺。
気持ちのうえで大きなリフレッシュが
期待できそうです。
日常を離れてのお遍路旅は格別なもの。
各寺社でお参りをする瞬間の清々しさ、人や季節の移ろいとの出会いは素敵な体験になります。
旅の最後に御朱印帳を見返すと、各地での思い出が蘇ってくることでしょう。