スクリーンに映る美しい景色、おいしそうな料理、そして魅力的な主人公の姿……映画を観た後に「実際に映画の世界を体感してみたい!」「聖地巡礼をしてみたい!」という気持ちになったことはありませんか? 観ている人の“旅ゴコロ”をくすぐる名作映画を3つのカテゴリに分けてご紹介。映画ライターによる選りすぐりの8選です。

※価格は税込み表記です

画像1: 映画ライター厳選! 旅に出たくなる名作映画8選

この記事の執筆者

新谷里映(しんたに・りえ)

雑誌編集者を経て現在はフリーの映画ライター、コラムニスト。雑誌・ウェブ・TV・ラジオ、各メディアで映画紹介をするほか、コラムの執筆、映画のオフィシャルライター、東京国際映画祭やトークイベントのMCなど幅広く活躍。映画写真集『海外名作映画と巡る世界の絶景』では解説執筆を担当。

公式サイト

一度は見たい世界の絶景が舞台!旅ゴコロをくすぐる作品

いい映画は、物語もさることながら情景描写が素晴らしい。見たことのない圧倒的な世界観に引き込まれ、こんな場所でのんびり過ごしたいと癒されます。いつか旅に出たいと思っている人の“旅行欲”のスイッチをオンにしてくれる、ロケ地が印象的な映画をご紹介します。

滝・温泉・氷河・オーロラ…アイスランドに魅せられる『LIFE!/ライフ』

ⓒ2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

旅のきっかけは思いがけずやって来ることがあります。ニューヨークの写真雑誌『LIFE』の写真管理部で働く主人公ウォルター(ベン・スティラー)の場合は、1枚のネガ(写真のフィルム)の所在を探すことが旅の発端でした。『LIFE』は休刊が決まった雑誌で、冒険家で写真家のショーン(ショーン・ペン)から最終号の素材が送られてきますが、入っているはずのネガが見当たらない! しかもショーンと連絡がつかない!

画像: グリーンランドの風景 iStock/KenWiedemann

グリーンランドの風景

iStock/KenWiedemann

そこで、ウォルターはショーンを探すためにニューヨークを飛び出し、グリーンランドからアイスランド、アフガニスタン、そしてヒマラヤへ、人生初の旅に出るのです。

画像: アイスランドの風景 iStock/Marina Garrido

アイスランドの風景

iStock/Marina Garrido

どのシーンも壮大で美しいのですが、なかでも行ってみたい!と旅への好奇心をかきたてられるロケ地はアイスランド。火と氷の国といわれる小さな島で、滝・温泉・氷河・オーロラなど手つかずの自然が多く残っています。

画像: アイスランド・セイジスフィヨルズルの風景 iStock/SteveAllenPhoto

アイスランド・セイジスフィヨルズルの風景

iStock/SteveAllenPhoto

舞台となったアイスランドの小さな街・セイジスフィヨルズルの絶景のなか、ウォルターがスケートボードで疾走するシーンは真似てみたくなるはずです。

『LIFE!/ライフ』ブルーレイ発売中
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
デジタル配信中(購入/レンタル)
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
ⓒ2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

世界中からラブレターが届く、ロマンチックなヴェローナが舞台『ジュリエットからの手紙』

画像1: 写真:Everett Collection/アフロ

写真:Everett Collection/アフロ

イタリア北部にあるヴェローナは、かの有名なシェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の舞台となった街です。

画像: ジュリエットの家 iStock/ivotheeditors

ジュリエットの家
iStock/ivotheeditors

物語のモデルとなったジュリエットの生家も人気の観光名所になっていて、旅人たちはラブレターを残し、世界各地からはジュリエット宛に恋の悩みを綴った手紙も届くそうです。

画像2: 写真:Everett Collection/アフロ

写真:Everett Collection/アフロ

映画『ジュリエットからの手紙』では、そんなジュリエットの生家を訪れた主人公ソフィ(アマンダ・セイフライド)が、壁のなかに眠っていた50年前の手紙を見つけ、その手紙の送り主のクレアの初恋の人を探す旅に出るストーリーです。もちろんソフィが旅先で見つけた運命の恋も描かれます。

画像: iStock/Aliaksandr Antanovich

iStock/Aliaksandr Antanovich

世界遺産(文化遺産)のヴェローナ、イタリアを代表する白ワインで有名なソアヴェの小さな村、風光明媚なガルダ湖など、ロマンチックなロケ地巡りができること間違いなし。旅のお供に便箋とペンを忘れずに!

ロンドンからペルーへ!世界一有名なクマの故郷で大冒険『パディントン 消えた黄金郷の秘密』

画像: iStock/Nigel Harris

iStock/Nigel Harris

イギリスの児童文学を原作とした『パディントン』は、これまでに3作品が公開されている人気シリーズ。ロンドンを舞台に、その名前が駅名にもなっているパディントン駅をはじめ、ブラウン一家のあるプリムローズヒル、ポートベローマーケットにあるAlice's shop、自然史博物館にバッキンガム宮殿、タワーブリッジ、セントポール大聖堂などが、これまでの映画で登場しました。

ロケ地を巡る観光客のなかには、パディントンのぬいぐるみと一緒に聖地巡礼する人も! 愛らしい光景をきっかけに、ぬいぐるみが現地の人とのコミュニケーションのツールにもなっているようです。

©2024 STUDIOCANAL FILMS LTD. – KINOSHITA GROUP CO., LTD. All Rights Reserved.

そしてシリーズ3作目では、パディントンを育てたルーシーおばさんに会いに、パディントンとブラウン一家はペルーに向かうのですが、到着するとルーシーおばさんは失踪!? 彼女を探すことになります。

画像: iStock/Alan_Tow

iStock/Alan_Tow

その先で待っているのが、ロケ地のひとつマチュピチュ遺跡。ジャングルや大河などペルーの大自然のなかを駆け巡る『インディ・ジョーンズ』のような大冒険が展開します! マチュピチュ上空を傘で飛ぶパディントンの姿は、印象的なシーン。

画像: iStock/Piotr Golofit

iStock/Piotr Golofit

また、ペルーの首都・リマのミラフローレス地区の海岸沿いの公園にはパディントンの像が設置され、記念ショットも撮影できます。

『パディントン 消えた黄金郷の秘密』
Blu-ray&DVD 12月24日発売
発売元:株式会社キノフィルムズ/木下グループ
販売元:ポニーキャニオン
詳しくはこちら:https://movie-product.ponycanyon.co.jp/item179/

本場の味を確かめたくなる! 食欲そそるグルメ作品

あのシーンに登場した料理が食べたい!と、グルメな旅をしたくなる映画があります。同じ料理を味わうもよし、その土地を訪れ雰囲気を味わうもよし。料理も芸術なのだと唸ってしまう、おいしそうな料理が登場する映画はいかがですか。

3人の女性が教えてくれる、ヘルシンキでゆっくりのんびり過ごす旅『かもめ食堂』

画像: 3人の女性が教えてくれる、ヘルシンキでゆっくりのんびり過ごす旅『かもめ食堂』

『かもめ食堂』を観ると、決まって食べたくなるのは“おにぎり”、そして“シナモンロール”です。この映画は、フィンランドのヘルシンキで食堂を営む日本人女性サチエ(小林聡美)と、日本人観光客のミドリ(片桐はいり)とマサコ(もたいまさこ)の3人が織りなす日常を丁寧に描いた人間ドラマ。好きなことをして生きていくサチエに憧れますし、えっ! そんな理由で旅先を決めたの?というミドリとマサコのケセラセラな生き方にも惹かれます。何より、のんびり丁寧に過ごしておいしいものを食べる、それがどれだけ贅沢なのか気づかせてくれます。

画像: iStock/scanrail

iStock/scanrail

ロケ地となった店「Kahvila Suomi」は「Ravintola KAMOME」として引き継がれ、日本文化を発信する食堂として人気を集めていました。お店は2025年9月に閉店となりましたが、移転予定とのこと。コーヒーとシナモンロールを食べながらのんびり過ごすヘルシンキの旅は、きっと贅沢な時間になるはずです。

歴史に名を残すダリと現代の天才シェフが映画のなかで共演!?『美食家ダリのレストラン』

この映画の舞台、スペイン・カタルーニャ地方にあるカダケスは、20世紀を代表する画家サルバドール・ダリが住んでいた家兼アトリエの「卵の家(ポル・リガット)」がある港町です。

画像1: 歴史に名を残すダリと現代の天才シェフが映画のなかで共演!?『美食家ダリのレストラン』

いつかダリが訪れることを夢見るレストランオーナーのもとにやってきたのは、とある理由からバルセロナの一流フレンチレストランを追われた天才シェフのフェルナンド(イバン マサゲ)とその弟。

画像2: 歴史に名を残すダリと現代の天才シェフが映画のなかで共演!?『美食家ダリのレストラン』

料理がおいしそうであることはもちろん、美しく独創的でアートな料理の数々に、ため息の連続。それもそのはず、映画に登場する料理は、カタルーニャ地方にあった三つ星レストラン「エル・ブジ」で実際に提供されていたメニューなのです。

画像3: 歴史に名を残すダリと現代の天才シェフが映画のなかで共演!?『美食家ダリのレストラン』

この物語は1974年の設定ですが、もしもダリと「エル・ブジ」の料理長が同じ時代に活躍していたら……という斬新な仮定のアイデアから生まれている点もユニークです。

『美食家ダリのレストラン』DVD 4,180円
発売元・販売元:株式会社ファインフィルムズ
©ESPERANDO A DALÍ A.I.E. 2022

美食大国・スペインの記事はこちら

観た後に食べに行ける! 映画化でおいしさもスケールアップ『劇映画 孤独のグルメ』

画像1: ©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

開始から13年となったドラマシリーズ『孤独のグルメ』。何といっても、松重豊の演じる井之頭五郎の大胆な食べっぷりと心の声が心地よくて、しかもドラマに登場したお店も料理も実在することから、観た後に食べに行けるドラマとしても人気が定着しています。そんな人気シリーズが劇場版となり、主演の松重豊が監督と脚本(共同脚本)を担当していることも話題になりました。

画像2: ©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

劇場版はフランス・パリからはじまり、長崎の五島列島、韓国、そして東京へと舞台が移り、スープをめぐる井之頭五郎の旅が描かれます。

画像3: ©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

映画に出てくるお店はドラマのように容易に行くのは難しいお店ですが、映画を観るとやっぱり行きたくなる! パリ「ル・ブクラ」のオニオングラタンスープ、五島列島「みかん屋食堂」のちゃんぽん、釜山の食堂「ジニの店」…劇場版もやっぱりお腹が鳴るのです。

2026年3月にBlu-ray発売決定!
『劇映画 孤独のグルメ』Blu-ray豪華版
発売日:2026年3月25日
税込価格:10,340円
分数:本編110分+特典映像
詳しくはこちら:https://movie-product.ponycanyon.co.jp/item181/

韓国・ソウルのグルメ記事はこちら

架空の世界と思いきや……実在の風景が隠れているアニメ・SF作品

架空の国や街かと思ったら、実はモデルになった街があったり、CGだと思ったら実際の自然のなかで撮影していたり……アニメーションやSF作品に隠れているロケーションを知って訪れることで、映画はますます面白くなります。

実は相性がいい!日本の原風景とアニメーションの世界『竜とそばかすの姫』


©2021 スタジオ地図

この映画には2つの世界が描かれます。ひとつは、高校生の鈴(すず)が住んでいる自然豊かな高知の田舎。もうひとつは、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>。

幼い頃、歌うことが大好きだった鈴は、ある悲しい出来事をきっかけに歌うことをやめてしまっていました。しかし、仮想世界<U>のなかで作った、自分の分身となるアバター「ベル」の姿の時だけは、自然と歌うことができました。ベルとしてふたたび歌えるようになった矢先、突如<U>に現れた謎の存在「竜」が引き金となり、2つの世界に異変が起きていくという物語です。

画像: 浅尾沈下橋 提供:仁淀ブルー観光協議会

浅尾沈下橋
提供:仁淀ブルー観光協議会

仮想世界<U>はアニメーションだからこそ描ける自由な発想が炸裂していますが、現実世界は高知の浅尾沈下橋、安居渓谷、鏡川、波川公園などがモデルになっていて、誰もが懐かしさを感じるような日本らしい風景が映し出されます。

画像: 安居渓谷 提供:仁淀ブルー観光協議会

安居渓谷
提供:仁淀ブルー観光協議会

ロケスポットは十数カ所に及ぶので、高知でロケ地巡りをするならレンタカーがおすすめです。

『竜とそばかすの姫』期間限定スペシャルプライス版 Blu-ray&DVD 発売中
Blu-ray:2,980円、DVD:1,980円 ※2026年3月31日までの期間限定発売
原作・脚本・監督:細田守、発売・販売元:VAP
©2021 スタジオ地図

世界遺産であり、数多くの名作のロケ地になっているヨルダンの美しき砂漠『オデッセイ』

画像1: ディズニープラスのスターで配信中 ©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ディズニープラスのスターで配信中
©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

マット・デイモン主演の『オデッセイ』は、火星にひとり残されてしまった宇宙飛行士ワトニーのサバイバル・ストーリー。地球からの距離2億2530万キロ、外気温はマイナス55度、酸素はほとんどなく水もない、通信手段もない、食糧は31日分、NASAの次の探索ミッションまで4年という絶望的ななかでワトニーはどうするのか? 助けは来るのか? この映画はNASAの全面協力を得て作られているので、リアリティがあります。

画像2: ディズニープラスのスターで配信中 ©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ディズニープラスのスターで配信中
©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

映像の臨場感を追求している点も見どころ。火星のセットはハンガリーの巨大スタジオに作られましたが、そのセットにマッチするワイドスコープの背景はヨルダンの世界遺産「ワディ・ラム保護地域」の砂漠で撮影しています。

画像3: ディズニープラスのスターで配信中 ©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ディズニープラスのスターで配信中
©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

実はこの砂漠、『アラビアのロレンス』『トランスフォーマー』『レッドプラネット』『プロメテウス』など多くの映画のロケ地でもあるのです。それらを知った上で映画を鑑賞すると、また違った面白さを感じられるでしょう。

旅のきっかけになる名作映画を鑑賞しよう

旅の目的は、そのときどき人それぞれですが、映画がきっかけの旅は、作品から受け取った感激に旅の喜びが加わることで、きっと満足度の高いものになります。映画を観て印象的だったその風景に出合うことができるのは感動も格別。映画にゆかりのある場所を旅する楽しさを一度経験してみてください!

関連記事

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

This article is a sponsored article by
''.