フランスの審査員が、「鶴空」が生み出されるテロワールを見学
今回、フランスからやってきた「Kura Masterコンクール」のメンバーは運営委員会代表の宮川圭一郎さん、名誉会長の門司健次郎さん、広報兼通訳のペコン倫子さん、焼酎・泡盛部門審査員長のクリストフ・ダヴォワンヌさん、審査員のバティスト・ボシェさん、ジュリアン・エシャッスリョーさんです。
到着後、喜多屋の酒蔵の外にある圃場(ほじょう)から見学をスタート。仕込み米に使われる「吟のさと」や、「山田錦」の味や生育の特徴などを教わりました。さらに筑後平野は九州一の穀倉地帯であること、地下60mから矢部川の伏流水を汲み上げて酒造りに利用していることなど、喜多屋を取り巻く豊かな自然環境についても話が及び、審査員の皆さんは周囲を見渡しながら大きく頷いていました。
続いて日本酒蔵を見学。ズラリと並んだ大・中・小と3つのサイズのタンクを前に、日本酒の製造方法、酒造りにとって大切な酵母と麹菌についても丁寧な説明を受けました。
こだわりの焼酎蔵を視察。「鶴空」のおいしさの秘密を探しに
その次はいよいよ鶴空が造られる焼酎蔵へ。鶴空は原材料のさつま芋に大きな特徴があります。一般的な芋焼酎は、甘みが少なく、デンプンの原材料などに使われる「黄金千貫(こがねせんがん)」という品種だけを使用。しかし鶴空は、成田空港近辺で栽培される「紅あずま」や「紅はるか」という糖度が高い2つの品種を使って製造するのです。
どちらも人気の品種ですが、粘度が高く、身が崩れやすいという特徴が。そのためこれらを使って焼酎にするためには、いくつかの工夫が必要になります。
1つ目のポイントは蒸し時間。紅あずまと紅はるかは、黄金千貫を使うときよりも蒸し時間を短縮しました。そうすることで芋の良さが最大限に引き出せるのです。
そして2つ目のポイントは蒸留機にありました。通常の焼酎は3,000リットルもの大容量の蒸留機を使い、約5時間かけて蒸留するのですが、それでは鶴空の品質は出せません。鶴空は500リットルしか入らない小ロットの蒸留機を使い、2時間半ほど蒸留します。この手法で芋の豊かなコクや甘みを生み出すのです。
鶴空の製造過程のこまやかな配慮と丁寧な作業に、審査員の皆さんも感心している様子でした。
貯蔵のためのたくさんの陶器の瓶を目にした審査員の皆さんは興味津々で「なぜステンレスではなく陶器なの?」「どうしてもっと大きい容器にしないの?」と質問を投げかけていました。
「この厚みがあると、周囲の温度変化に左右されにくく、安定した焼酎が造れます。また程よいサイズの容器を使うことで、きめ細かい手入れができるようになります」と喜多屋の木下さんが答えると、審査員の皆さんはその丹念な仕事ぶりに感じ入っていました。
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