2022年8月中旬には鶴空を製造している福岡県八女市の蔵元「喜多屋」を、「Kura Master」の審査委員長をはじめ審査員と事務局の皆さんが訪問。酒造りの方法やこだわりなどを視察しました。その訪問時の様子を通して、鶴空の魅力や開発の背景をご紹介します。
2017年から始まった「Kura Master日本酒コンクール」は日本酒を欧米市場へアピールする場として設けられたコンクールです。審査員は、フランスの一流ホテルのトップソムリエやバーマン、カービストなど。いずれもフランスの飲食業界の第一線で活躍するプロフェッショナルです。
2021年には「焼酎・泡盛コンクール」が新設され、その栄えある第1回で「鶴空50/50」がエントリー上位約10%に相当するプラチナ賞を受賞しました。さらには芋焼酎、米焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎、泡盛、樽貯蔵の6部門から各2銘柄(米焼酎のみ3銘柄)が選ばれるという、Top13にも選出。鶴空の味が欧米の市場にも認められる、貴重な機会になりました。
麦焼酎「吾空」が結んだ、JALと喜多屋とのご縁
鶴空を製造しているのは、福岡県八女市で200年以上前から続く老舗の蔵元・喜多屋。矢部川の豊かな伏流水で酒を仕込み、原材料となる米作りからこだわった、質の高い酒作りで評判の蔵元です。
JALと喜多屋とのご縁は20年ほど前に遡ります。当時、「機内で焼酎を提供してほしい」というお客さまのご要望を受け、2003(平成15)年に国際線エグゼクティブクラスで採用されたのが、喜多屋の麦焼酎「吾空(ごくう)」でした。
吾空はお客さまから好評を博し、その後約10年間にわたりご提供。その当時、機内食、酒類選定の担当として喜多屋との窓口になっていたのが、客室サービス企画部マネージャーをしていた鎌形晶夫です。
その後鎌形は2018年に設立したJAL Agriportの初代社長に就任。精力的に会社運営を行う中で、「会社の収益と地域農業への貢献を両立させたい。会社がある成田市のさつま芋を使って、何かオリジナル商品を作れないだろうか?」と考えるように。
そこで芋焼酎の開発を思い付き、「もう一度タッグを組んで最高の焼酎を作ろう」と声を掛けたのが喜多屋だったのです。
喜多屋の7代目当主・木下宏太郎さんは、鎌形の熱意に感動。「JALと鎌形さんのおかげで吾空は世界を旅し、たくさんの人に喜んでいただけた。次は鎌形さんの期待に応えて恩返しする番だ」と、JALオリジナル芋焼酎の開発と製造を快諾したといいます。そして1年間の試行錯誤の末に生み出されたのが鶴空だったのです。
A350導入の裏話や機内食のメニュー開発など、JALの仕事の舞台裏を紹介します。
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