早朝から楽しめる観光スポットの代表格といえば市場です。ここで紹介するのは、羽田空港からのアクセスも至便な「大田市場(おおたしじょう)」。見学ができるうえ、グルメスポットも充実しており見どころは満載です。市場の概要ほか、見学するうえでのポイントや、人気店のレポートなどで、その魅力をお届けします。
画像1: 東京・大田市場の楽しみ方ガイド。海の幸が人気の老舗食堂や見学ルートを解説!

※価格は税込み表記です。

広さは豊洲以上。日本最大級のすごい市場

大田市場がある場所はその名の通り、東京都南部の大田区。敷地面積は、あの豊洲市場以上という日本最大級の広さで、実に東京ドームの約8.5倍とか。また、都内で青果物、花き(観賞用植物のこと)、水産物の3つを取り扱う唯一の市場であり、特に青果と花きは規模と取り扱いともに日本最大。供給圏は東日本全域におよびます。

画像1: 広さは豊洲以上。日本最大級のすごい市場

最寄り駅は東京モノレール「流通センター駅」ですが、徒歩で20分近くかかるためバスで行くのもおすすめです。その場合はJRほか「品川駅」港南口より都営バス「品98大田市場」行きに乗って約30分。またはJR「大森駅」東口から京急バスで「森43他大田市場」行きで約20分、京浜急行「平和島駅」から京急バス「森43他大田市場」行きで約10分などがあります。

画像2: 広さは豊洲以上。日本最大級のすごい市場

同市場が開設されたのは、平成元年にあたる1989年のこと。秋葉原駅前にあった神田青果市場、五反田にあった荏原青果市場(蒲田分場含む)、そして平和島にあった大森魚市場を統合する形で生まれました(翌年に城南地域の花き地方市場を統合)。それもあって、ここでは旧市場から移転した食堂なども営業。こうした老舗も後ほど紹介していきます。

画像3: 広さは豊洲以上。日本最大級のすごい市場

なお一般見学者も食事はできますが、買い物はできません。

市場見学のルートや目安時間などを解説

大田市場は24時間開場していますが、一般見学できるのは5:00から15:00まで。訪れる際は休開市カレンダーをご確認ください。もし5人以上になる場合は事前に申請が必要となります。小中高生等の団体以外は自由見学となり、まずは警備員詰所で担当者の指示に沿って見学を始めましょう。

画像1: 市場見学のルートや目安時間などを解説

見学は、市場の正門近くにある「事務棟」2階の「資料展示室」からスタート。同室は平日8:30から15:30まで開いており、都内に11ある中央卸売市場の各歴史を学んだり、通称「ターレ」と呼ばれるターレットトラックに触れたりすることができます。また、開室時間内なら事務員の方も常駐しているので、質問などがあれば聞いてみましょう。広い場内を把握できる市場マップも、ここで入手。

画像2: 市場見学のルートや目安時間などを解説

市場見学の所要時間目安は約60分。「資料展示室」からガラス張りの渡り廊下を通って市場棟に入ります。事故などがないよう、見学者はすべて2階の専用ルートを進むようになっており、通路には順路の案内も書いてあるので迷うことはないでしょう。

画像3: 市場見学のルートや目安時間などを解説
画像4: 市場見学のルートや目安時間などを解説

ルートは「青果棟」から。その後階段を上がって屋上を経由し、「関連棟」や「水産棟」へ。なお、水産物のセリは5:40が開始時刻で、野菜は6:50から、果物は7:00からそれぞれ数時間行われますが、そこまで早起きしなくても市場のにぎわいは楽しめます。一般的には、9:00~9:30ごろから見学するのがおすすめとのことで、訪問の目安にしてみてください。

画像5: 市場見学のルートや目安時間などを解説
画像6: 市場見学のルートや目安時間などを解説

また、「花き棟」は上記各棟から離れた場所、首都高速湾岸線の西側にあり「事務棟」からは徒歩10分程度かかりますが、こちらも見学はできセリは7:00開始です。興味がある方は、覗いてみるといいかもしれません。

お腹を空かせて行きたい、朝から楽しめる市場グルメ

画像: お腹を空かせて行きたい、朝から楽しめる市場グルメ

市場観光の目玉といえばグルメ。ここでは「事務棟」と、「青果棟」と「水産棟」の間にある「関連棟」で食事ができ、海鮮が名物の食堂をはじめ、寿司、そば、洋食、町中華、ラーメン、喫茶店など15軒以上が営業しています。そのなかから、3店舗をピックアップしてご紹介。

刺身とフライの両方を味わいたい「三洋食堂」

まずは「関連棟」内にあり、旧市場時代から70年以上愛され続ける人気店「三洋食堂」。こちらは1950年に神田市場内の食堂として創業し、1989年の移転とともに大田市場へ。店頭に貼り出された手書きのおすすめメニューや料理サンプルが目印です。

イチオシは、数量限定の「生本まぐろ 中とろぶつ定食」の大エビフライ付き(1,200円+200円)。定食には、単品350円の大エビフライが200円で付けられるのでおトクなのです。美しいハリツヤ、まろやかな口どけはさすがの生マグロですが、ここは市場。その鮮度は格別です。そして、プリッとして食べごたえ抜群のエビフライも至福のおいしさ。

画像: 「生本まぐろ 中とろぶつ定食 大エビフライ付き」(1,400円)

「生本まぐろ 中とろぶつ定食 大エビフライ付き」(1,400円)

同店における隠れメニューも紹介しましょう。それは「日替わり」。店主がその日の魚河岸から選び抜いた海鮮を提供し、この日は銚子産イワシの刺身でした。シケ(海が荒れること)の日にはなく数量限定で価格も変動制ですが、訪れた際は「今日は日替わりありますか?」と聞いてみてください。品切れしていなければ、旬ならではの大ぶりで脂がのった海の幸を楽しめます。

画像: 「イワシの刺身」は提供自体も価格も日替わり。これら単品メニューは定食にもできます

「イワシの刺身」は提供自体も価格も日替わり。これら単品メニューは定食にもできます

そしてもう一品の人気メニューが、「大粒 生ホタテ貝柱フライ」。刺身で味わえるホタテを、絶妙な熱加減でレアに仕上げた味わいは、サクサク衣ととろけるようなホタテの食感に驚かされ、クリーミーな甘みは感動ものです。また玉ネギを多めに使ったさっぱり系の自家製タルタルソースも好相性で、おいしさに拍車をかけます。

画像: 「大粒 生ホタテ貝柱フライ」は単品2粒600円。4粒入り定食(1,400円)なども

「大粒 生ホタテ貝柱フライ」は単品2粒600円。4粒入り定食(1,400円)なども

三洋食堂

住所東京都大田区東海3-2-7 大田市場 関連棟内
電話03-5492-2875
営業時間5:00~14:00(L.O.13:45)
定休日水・日曜、祝日(市場カレンダーに準ずる)
Instagramhttps://www.instagram.com/marketdining.sanyo/

穴子天丼と豪華海鮮丼が名物の「かんだ福寿」

「事務棟」きっての有名飲食店が「かんだ福寿」です。同店は明治初期に、うなぎ店として神田駿河台に「かんだ福寿」を創業。その後秋葉原の神田青果市場内に入り、平成の統合とともに大田市場へ。その際に店名を変え「大松」と「富士軒食堂」の2軒で営業していましたが2019年に合併し、創業時の「かんだ福寿」へと原点回帰しました。

画像1: 穴子天丼と豪華海鮮丼が名物の「かんだ福寿」

同店の名物といえば、ひとつが「穴子天丼」(1,800円)。長さ30cmを超えそうな、江戸前の穴子2尾と穴子の中骨が丼の上を彩ります。衣はふっくらでサクサク。ナスとシシトウの天ぷらも好アクセントで、質と量ともに大満足できることうけあいです。

画像: 「穴子天丼」(1,800円)。右のドリンクは後述する「群馬県産 自家製白加賀梅酒」(500円)

「穴子天丼」(1,800円)。右のドリンクは後述する「群馬県産 自家製白加賀梅酒」(500円)

画像2: 穴子天丼と豪華海鮮丼が名物の「かんだ福寿」

そしてもうひとつが「三花丼(さんかどん)」(2,500円)。こちらの「三花」とは、ネギトロ、ウニ、イクラのことですが、それ以上の魚介類が丼いっぱいに咲き誇る圧巻の一杯です。仕入れによって内容は異なりますが、この日は計15種以上。マグロ、鯛、タコ、ホタテ、エビ、コハダ、ホッキ貝、穴子、生ガキ、カニ、玉子焼き、かまぼこなどがのり、それはそれは満開でした。豪華で多彩な味わいに、舌鼓必至です。

画像3: 穴子天丼と豪華海鮮丼が名物の「かんだ福寿」

また、見逃せないポイントとして、同店が各地のJAと協力して提供するコラボレーションメニューがあります。こちらは、全国のJAが訪れる大田市場ならではといえるでしょう。取材時には、群馬の白加賀梅と和歌山の南高梅、それぞれを漬け込んだ梅酒(各500円、ソーダ割りは600円)を提供中で、前者はすっきり系で後者はまろやか系。飲み比べができる遊び心もお見事でした。

画像4: 穴子天丼と豪華海鮮丼が名物の「かんだ福寿」

かんだ福寿

住所東京都大田区東海3-2-1 大田市場 事務棟2階
電話03-5492-5872
営業時間月~金曜 7:30~(L.O.18:00)
土曜 7:30~(L.O.16:00)
※休市の水曜は10:00~(L.O.15:00)
定休日日曜、祝日(市場カレンダーに準ずる)
Instagramhttps://www.instagram.com/kandafukujyu/

ひと休みするなら深煎り豆が人気の「RAY'S COFFEE」へ

大田市場を訪れて、ひと休みしたくなったときは「RAY'S COFFEE(レイズコーヒー)」はいかがでしょうか。場所は「関連棟」内、前述「三洋食堂」の近くにあります。創業は市場と同じ1989年。同店は2016年に一度閉めたものの、当時働いていた女性スタッフが店主として受け継ぐ形で、2017年にリニューアルオープンし今に至ります。

画像1: ひと休みするなら深煎り豆が人気の「RAY'S COFFEE」へ
画像2: ひと休みするなら深煎り豆が人気の「RAY'S COFFEE」へ

コーヒー豆も販売しているうえ、そのラインナップは18種類となかなか多め。提供するコーヒーも、これらの中から最適な豆を選んで抽出しています。たとえば、一番人気の「ブレンド」(500円/おかわり自由)や「カフェラテ」(600円/アイス・ホット)は深煎りの炭焼ブレンド。「アイスコーヒー」(500円/おかわり自由)は中南米産が中心で中深煎りの、アイスカリブという豆で淹れています。

画像3: ひと休みするなら深煎り豆が人気の「RAY'S COFFEE」へ

いくつか味わってみると、「ブレンド」はこっくりとしたビター感の中に、甘みやキレも感じられ、深煎りながら飲み疲れないバランスのよさ。「アイスカフェラテ」はフォームドミルクを加えるアイスカプチーノ仕立てで、ミルキーな甘みがエスプレッソとマッチして心地よいおいしさでした。

画像: 左から「ブレンド」(500円)と「アイスカフェラテ」(600円)

左から「ブレンド」(500円)と「アイスカフェラテ」(600円)

フードの定番は、4枚切りの厚切りトーストに、おかわり自由のコーヒー、サラダ、スープが付く「トーストセット」(750円)。軽食では直径2.2mmと太めのパスタを使い、ケチャップにデミグラスソースとホールトマトをブレンドして仕上げる技ありの「ナポリタン(サラダ、スープ付き)」(980円)が人気です。

「ケーキ」(500円)や「クリームソーダ」(680円)といったデザートやスイーツ系ドリンクもあるので、甘いものが欲しくなった際もぜひ同店へ。

画像4: ひと休みするなら深煎り豆が人気の「RAY'S COFFEE」へ

RAY'S COFFEE

住所東京都大田区東海3-2-7 大田市場 関連棟内
電話03-5492-2826
営業時間6:00~14:00
定休日水・日曜、祝日(市場カレンダーに準ずる)

東京にはほかにもたくさんの市場がある

画像: 東京にはほかにもたくさんの市場がある

朝食に、大人の社会科見学にと多彩に楽しめる市場。なかでも本記事で紹介した大田市場は東京屈指の規模であり、ぜひ行っておきたいところです。なお、ほかにも都内には農林水産省が管轄する全11の「中央卸売市場」と、府中や八王子など東京都が認定して開設している9カ所の「地方卸売市場」が点在。食事や買い物ができる市場もあるので、市場巡りを楽しみたい方は調べてみてください。

東京都中央卸売市場 大田市場

住所東京都大田区東海3-2-1(花きは東海2-2-1)
電話03-3790-8301
営業時間24時間(見学は5:00~15:00、食堂などは各店舗に準ずる)
定休日休開市カレンダーをご確認ください
webhttps://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/

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