※撮影時のみマスクを外しています。
※価格は税込み表記です。
〈大館市〉
「大館アメッコ市」で無病息災
旅の始まりは大館市の冬の風物詩「大館アメッコ市」。旧正月の12日に行われてきた小正月行事で、2月の第2土曜・日曜の2日間開催されています。
枝に結びつけられているのは「アメッコ(飴)」。その昔、1年の豊作を願い、ミズキの枝に飴を付け、稲穂の代わりに神前に供える風習がありました。やがて、その飴を食べることで無病息災を願うように。今では、大館アメッコ市の日に飴を食べると、その年は風邪をひかないといわれています。
会場となる「おおまちハチ公通り」には、約90店の飴屋をはじめとした露店が並び、たくさんの人が訪れます。なかでも人気の老舗は「斎作屋菓子舗」。明治5年の創業で、店頭にはカラフルな飴がたくさん並びます。量り売りをしてくれる本店も会場のすぐそばにあり、大館アメッコ市当日は行列ができていました。
会場に特設される鳥居と拝殿にもたくさんの人が並びます。お参りをすると、「お守り札」が添えられた飴を授かることができる人気のスポットです。星野さんと木村さんも、ここで旅の安全と1年の健康をお祈りしました。
大館アメッコ市では、「からみアメ・サービス」「秋田犬パレード」「白ひげ大神巡行」など、さまざまなイベントが会場を盛り上げます。
からみアメ・サービスは、割り箸にくるくると絡めたやわらかい水飴をその場で提供してくれるノスタルジックな体験で、ここにも行列ができていました。
白ひげ大神は、この地域で最高峰の「田代岳」から飴を買いに来る神様。大館アメッコ市の日は吹雪になるといわれ、それは白ひげ大神が山へ帰る際に自分の足跡を消すためだとか。星野さんと木村さんが訪れたこの日は例年にはない温かさで雪は降りませんでしたが、しっかりと雨が降っていました。
「神様も無病息災のために買いに来た」と伝わる、みんなの祈りが込められた行事です。
ちなみに、会場付近には「デッカい秋田犬」という名の秋田犬のアートも。商店街内を歩いて探してみてください。
大館アメッコ市
開催場所 | : | 秋田県大館市おおまちハチ公通り |
---|---|---|
開催日 | : | 毎年2月の第2土曜・日曜 |
web | : | https://www.city.odate.lg.jp/city/kankou/festibal/festa/winter/amekko |
出合って、学ぶ「秋田犬の里」
次に訪れたのは、大館アメッコ市の会場から車で約10分の「秋田犬の里」。秋田犬パレードでもたくさんの秋田犬と出合えましたが、ここでは一年中、大館で暮らす秋田犬に出合うことができます。
ここ大館市は、東京・渋谷駅の「忠犬ハチ公像」のモデルとなった秋田犬・ハチのふるさと。ハチはこの土地で生まれ、上野教授のもとへと巣立ちました。
そんな縁もあり、長年交流を深めてきた大館市と渋谷区。秋田犬の里の外観はハチが上野教授の帰りを待った当時の渋谷駅を模して造られ、渋谷駅のハチ公前広場にあった「東急5000系車両(愛称:青ガエル)」は、現在「秋田犬の里」の敷地内に移設されています。
くるんとした巻尾、ピンと立った耳、太くて長い足をもち、日本犬の中で唯一の大型犬である秋田犬は、国の天然記念物に指定されています。古く縄文犬と弥生犬の血を引いているといわれる種を守ろうとする保存会の努力によって、今の秋田犬の姿形を私たちは見ることができています。
かわいい秋田犬と対面して癒されることはもちろん、そうした歴史も学ぶことができるのがこの施設なのです。
秋田犬のもふもふの毛質と寒さに強い体質も雪国育ちであるからこそ。
2023年は、ハチが生まれて100周年。大館市と渋谷区ではさまざまなイベントが企画される予定です。
秋田犬の里
住所 | : | 秋田県大館市御成町1-13-1 |
---|---|---|
電話 | : | 0186-59-4649(管理室) 0186-57-8120(おみやげ、観光案内) |
開館時間 | : | 9:00~17:00 秋田犬展示室 9:30~16:45(休憩時間あり) ※月曜はご覧いただけません(月曜が祝日の場合は翌平日) |
休館日 | : | 12月1日、1月1日 |
web | : | https://akitainunosato.jp/ |
「陽気な母さんの店」できりたんぽ鍋作りに挑戦
「きりたんぽの本場」といわれる大館では、郷土料理「きりたんぽ鍋」作りを体験しました。
訪れたのは「陽気な母さんの店」。大館市の農家の女性だけで立ち上げた農産物直売所で、2001年に発足されました。自分たちで作った農作物を販売するだけではなく、消費者に求められるものを作ろうと、当初から体験交流を大切にしてきました。
きりたんぽ鍋作りをはじめ、飾り巻き寿司作り、漬物加工など、地域文化を知ることができるさまざまな体験プログラムを提供しています。
最初に、この地域で伝わってきた絣(かすり)の着物をイメージした作業着に着替えます。
体験は、秋田弁ラジオ体操からスタート。少しでも地域のことを知ってもらおうと、農家の母さんが歌うオリジナル音源です。「ひざっこ(膝を)曲げて~」「やっけく(やわらかく)~」とかわいらしい秋田弁に、体も心もあっという間にほぐれました。
体操の後は、早速調理開始です。まずは「たんぽ(粗く潰したご飯を木の棒に巻き付けて焼いた郷土料理)」作りから。教えてくれるのは、陽気な母さんの店の代表・石垣一子さんです。一子さん自身も農家で、米とりんご、梨を育てています。
「大館ではご飯のことを『まんま』といいます。『まんま炊けたよ~半殺ししてけれ~』と子どもたちを呼んで、きりたんぽ鍋を作ります」と一子さん。
「半殺し」とは、すり鉢にご飯を入れて、スリコギで半分程度潰し、粘り気を出すこと。力仕事に星野さんと木村さんも挑戦しました。加減やコツは一子さんが丁寧に教えてくれます。
続いて、杉の棒に付けていきます。コロコロと形を整えたら、仕上げに塩水を塗り、照りを出して完成。数本作るうちにふたりともきれいな形が作れるようになりました。特製の「たんぽ焼き機」に刺し、焼いていきます。
かつては囲炉裏で焼いていましたが、生活様式が変わり、家から囲炉裏がなくなってしまいました。「それでもきりたんぽ鍋は食べたい」という地域の人々の声に応えて、地元の金物屋さんが開発してくれた機械なのだそう。
表面がこんがりと焼き上がったたんぽは、砂糖とみりんで練った甘い味噌を付けて、まず「味噌付けたんぽ」として味わいました。もちもちとして香ばしく、棒からはふんわりと杉の香りも感じられます。
この後、いよいよきりたんぽ鍋作りにとりかかります。陽気な母さんの店でも販売している具材のゴボウ、セリ、ネギ、舞茸をカット。鍋に鶏肉→ゴボウ→舞茸→ちぎったたんぽ →ネギ→セリの根の順で入れます。
「たんぽを半分にちぎります。ちぎったり、切ったりすることで、“きり”たんぽになるんです」と一子さん。星野さんと木村さんも「そういう意味だったんですね!」と驚いていました。
シンプルな食材に香りと色を添えるセリの葉を最後に入れて、完成です。きりたんぽにぎゅっと出汁が染み込んだきりたんぽ鍋ができました。
きりたんぽ鍋は、大館市と隣接する2市のうち、北秋田市が「元祖」、鹿角市が「発祥」、そして大館市が「本場」といい、長く地域に根付いている郷土食です。大館が「本場」といわれるのは、具材であるネギやセリの産地であること、また、大館市内の比内町が比内地鶏をたくさん飼っていたなど、域内に食材が揃っていることなどが理由と考えられています。
このほか、きりたんぽ鍋がこの地域に生まれた背景なども教えてくれました。楽しく料理をして、おいしく食べて温まり、土地に根付く食文化を深く知ることができる体験です。
「大館は食材の宝庫だと思っています。すぐ側に山があるので水がきれいですし、雪が降って11月~4月は農業ができないため、土が肥えて旨みたっぷりの野菜を作ることができます」と一子さん。きりたんぽ鍋もまた、冬がもたらしてくれる恵みのひとつでした。
そんな陽気な母さんの店で最近力を入れているのは、「寒熟りんご」。りんごジュース(180ml 200円 ※陽気な母さんの店直売所特価)は寒くなるまで樹上完熟させたりんごをジュースにしたもので、砂糖や添加物は一切使わず、りんごを丸ごと食べているようなやさしい甘みを味わえます。秋田空港でも販売中です。
陽気な母さんの店
住所 | : | 秋田県大館市曲田字家ノ後97-1 |
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電話 | : | 0186-52-3800 |
営業時間 | : | 4〜12月 9:00~17:00 1〜3月 9:00〜16:00 |
定休⽇ | : | 3〜12月 無休 1・2月 火曜 |
web | : | http://yoki-kasan.com/ |
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