花がある風景を撮るときや、花と一緒に人物を撮るときの工夫、iPhoneでの撮り方のほか、掘り出しもののカメラを使うテクニックも。旅先で美しい花々を見かけたときの参考にしてみてくださいね。
教えてくれる写真家:新家菜々子さん
1998年生まれ、石川県出身。高校時代に、学生生活を記録するため写真を始める。2022年に個展「live in the light」を開催。都内スタジオに勤務後、東京を拠点とし、Webサイト、アーティストのライブ写真の撮影などを中心にさまざまな媒体で活動中。
Instagram:@1998.1oo4
(1)スマホで花を撮るときのポイント
旅先で満開の花を見かけたら、カメラを持っていなくてもすぐに写真を撮りたくなりますよね。まずは、手軽に手持ちのスマホで撮るときのポイントから。
スマホの画面いっぱいに写るように縦構図で撮る
Instagramのストーリーズにはスマホで撮った写真をよく載せています。ストーリーズのアーカイブを見ればどの日に何を撮ったかがわかるので、記録にもなりますよね。ストーリーズに載せるという意味でも、縦の構図の写真で撮っておくのがおすすめです。
縦構図の写真はスマホの画面で見たときに画面いっぱいに写真が広がり、迫力があって美しく見えます。また、スマホのカメラは広角レンズなので、それを生かして引きの構図で撮るのが私は好きです。
桜の木の真ん中に立つ友達の写真です。もし構図に迷ったら、画面の真ん中に写したいものを配置するとバランス良く見えます。また、桜の木を撮るときは地面に映る影も入れると綺麗です。
Live Photos機能を使用する
スマホで撮影することの良さは、どんな瞬間でもすぐに撮れるところ。お花見や、季節のお花と一緒に写真を撮るとき、ポーズをとって記念写真のように撮ってしまいがちですが、話している途中や動いている瞬間を意識して撮ってみると、より愛おしいものになるはずです。
iPhoneのカメラの機能として搭載されているLive Photos機能を使えば、一番良い瞬間の写真を後で選択できるので、より瞬間を捉えて撮ることができます。
色味の調整をしたいときにおすすめのアプリ
スマホで撮影した写真やデジカメで撮った写真をもう少しフィルムっぽくしたいときやトーンを変えたいとき、VSCOというアプリがおすすめです。フィルムのモードがいくつかあるのでそのモードを選んでもいいですし、露出やコントラストなど細かい調整も可能です。
(2)花に近寄って写真を撮るときのポイント
お気に入りの花を見つける
桜の木など一つの木にたくさんの花が咲いている場合は、全部を綺麗に写すのはすごく難しいので、どれか一つ自分のお気に入りの花を探してみるのがいいと思います。お気に入りの花を見つけたら、その花にフォーカスを当てて撮ります。私は今回、はぐれてしまったかのようにポツンと咲いている桜を撮りました。
その日の思い出が残る何かを構図の中に入れよう
私が写真を撮る前提として、過ごした時間を記録として残したいという気持ちがあります。写真を見返したときに、花の写真一つでもそのときの情景が思い浮かぶような形で収めたい。そこで、手元や足元を写り込ませることを意識しています。
足元に目を向けると花びらが落ちていて、その情景もまたその季節ならではの写真になります。足元さえも季節を感じられるのはすごく素敵なことですよね。
散歩中に花を見つけたら、撮影する自分の影なんかも入れてみてもいいかもしれません。
花の中に埋もれてみる
花と一緒に人を撮るときは、めいっぱい背景にお花を入れたいので、花の中に埋もれることを意識してみてください。花畑であればその前でしゃがんでもらったり、花が咲いている木があれば枝の近くに顔を持ってきてもらったり。できるだけ花と人以外のものが写り込まないよう、画角いっぱいに花畑や花の木を入れるとインパクトが強くなるかと思います。
桜の木の隙間から覗き込むようにカメラを向けると、満開の桜の中に埋もれているような写真が撮れます。
(3)花がある風景を引いて撮るときのポイント
光が差し込んでいるところを狙う
私が写真を撮るときに一番意識しているポイントは光です。光の差し込み方が綺麗だなと思った瞬間を狙ってシャッターを切ってみてください。逆光の状態でお花を撮ると光を浴びているようでとても綺麗です。もし光量が多すぎた場合は、少し画角を下げてレンズに入る光の量を少なくしてみるといいかもしれません。
夕方の暖かな光を浴びたこの写真もお気に入りです。
移動中もシャッターチャンス
旅行中に車や電車で移動しているときに見える景色も、大切な記憶としてぜひ残してほしいなと思います。花だけでなく車のハンドルやミラーも入れることで、車から桜を見たときのことを思い出せるはずです。
(4)遊び感覚で撮れるカメラを。自宅の掘り出し物を見つけよう
スマホもいいけれどカメラでも撮ってみたい! と思っても、どうせなら良いカメラで、と身構えてしまい、なかなか踏み込めないという方も多いのではないでしょうか。
でも実は、家の中を探してみると両親や祖父母が使っていたカメラが眠っていることも。もしかするとそのカメラで自分のことを撮影していたかもしれない、そんな思い出の詰まったカメラを見つけることができたら、ぜひ使ってみてほしいです。
コンパクトフィルムカメラ
枚数が限られていて、現像から返ってくるまで写真を見ることができない。あの時間のワクワクは何にも代えられないと私は思います。いろいろな日の記憶を一つのフィルムに収めて、それが開かれた瞬間の愛おしさ。そしてフィルムで撮った写真にはそのときの温度が感じられます。その日の空気そのものまで写真に閉じ込めてくれているような気がするのでぜひ使ってみてほしいです。
手軽に手に入れられる「写ルンです」はもちろん、ズーム機能があるものや、フラッシュがついているものなど、カメラそれぞれに特徴があるので気に入るものを探してみてください。
私の愛用コンパクトフィルムカメラは、ミノルタのパノラマズーム、オリンパスのミューズームというカメラです。ミノルタのカメラは高校生のときに私が初めて購入したカメラで、一番思い入れがあります。オリンパスのカメラはズームにしたときの写りが綺麗で、他のカメラにはない個性があって好きです。
コンパクトデジタルカメラ
フィルムはコストが少し気になる……という方にはコンパクトデジタルカメラがおすすめです。一眼レフのような綺麗な写真が撮れる高級コンデジもあれば、2000年代初期にたくさん売られていたレトロなコンデジもあります。フィルムカメラよりも機能性がバラバラなので、スマホに転送ができる、動画が撮れるなど、どのポイントを大事にするかで決めてみてください。
私は少し画素数が荒めで、動画も撮れるカメラをよく使っています。MVで使われるようなフィルムっぽい動画が簡単に撮れるのでおすすめです。
これはソニーのサイバーショットというデジカメで撮りました。ネットで安く購入して、軽くて小さいのでよく持ち歩いています。最近、友達にもらったシールを貼りました(笑)。
トイカメラ
同じ写真が4枚組み合わさっていたり、連写でジャンプする友達の写真を撮ったり。遊んだ記憶をそのまま残せるトイカメラは本当に楽しいです。他のカメラと比較しても安価で手に入りやすいので、ぜひ探してみてください。
上から、ロモグラフィーのスーパーサンプラー、バビロン4で撮った写真です。スーパーサンプラーは紐を引っ張ってフィルムを巻いていくので、まるで工作で作ったカメラのようですが、撮ったときの空気感をのせてくれるような気がして持っているカメラの中で一番好きです。
フィルムカメラからデジタルカメラ、コンパクトカメラや一眼レフ、トイカメラまで、種類がたくさんある中でどのカメラを使うか。私は出逢いだと思っています。カメラ屋さんに行く前に、一度家の中を探してみてはいかがでしょうか?
毎年桜が咲き始めると、また1年が始まるんだ、と風が背中を押してくれるような気持ちになります。「桜を見に行こうよ」と友達に声をかけて、何度も外に出ることができるこの季節が私は大好きです。毎年咲いているはずで、見ているはずなのに、満開の桜を見たときのはしゃぎようは毎年更新されているような気がします(笑)。
桜の木の下ではたくさんの人がレジャーシートを広げてピクニックをしていたり、散歩している犬と桜をケータイに収めるのに必死な人がいたり、桜の花びらを持って走り回っている子供がいたり。その光景そのものが私にとって思い出で、撮りたい、残しておきたいものだなと感じます。ぜひみなさんも、自分にとっての残しておきたいと思える光景を探して、写真に撮ってもらえたらと思います。
綺麗な花の写真はたくさんあるかもしれませんが、あなたが撮る花の写真はあなただけの景色で、記憶で、思い出です。心の赴くままに、シャッターを切ってみてください。良い旅を!
満12歳以上25歳以下限定!
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