Q:夜景や夕焼け空を、目で見た印象のままに美しく撮影するコツはありますか?
A:夜景や夕焼け空の撮影では、「ホワイトバランス」の設定がポイントになります。ホワイトバランスを「オート」に設定すると、白い光を放つオフィスビル群の夜景はきれいに撮影できますが、赤みのある光は補正されてしまうのです。ムードのある夜景を撮影したい場合は、ホワイトバランスを「晴天」に設定すれば、暖かみのある光の色を再現できます。
夕焼け空を撮影する場合は、「晴天」「曇天」「 晴天日陰」の順で赤みのある光が強く出るので、撮影した写真が実際の空の色に近くなるホワイトバランス設定を選びましょう。下の例では、「晴天日陰」に設定しました。なお、「晴天」「曇天」「晴天日陰」などの名称はメーカーや機種によって異なりますので、取扱説明書をチェックしてみましょう。
Q:曇りの日の写真は、暗くて見栄えが悪くなってしまいます。解決策はありますか?
A:曇りの日に撮影をするときは、まず、空の部分をあまり画面に入れないようにすること。また、画像の明るさを調節できる「露出補正」をうまく使えば、明るく撮影することができます。どのようなカメラにも露出補正の機能がありますので、カメラの取扱説明書をチェックしてみましょう。
Q:広々とした風景に感動しても、写真に撮ると迫力に欠けます。解決策はありますか?
A:写真を撮影するときに重要なことは、どこを見て感動したのか、すなわちどこを撮って見せたいのかを考えてから撮ることです。風景の場合、必ずアクセントになるポイントがありますので、その部分をズームで切り取ってみましょう。下の例は、タヒチのボラボラ島で撮影した風景です。山を背景に大きく取り入れることで、写真に力強さが出てきます。さらにその他の要素(この場合なら水上コテージ)をバランスよく配置できるよう、移動しながらベストな撮影ポイントを探してみましょう。
Q:街の風景や建築物の内部を撮りたいとき、構図を決めるコツはありますか?
A:街の風景や建物内の撮影でも、どこを見て感動したのかを考え、その場所にポイントを持ってくることが大切です。
これは洋館のサンルーム内を撮影した写真です。建物内を撮るときは、一例ですが、このようにシンメトリーの構図にすると安定感が出ます。また、このときは広角レンズを使ったので、窓に写し出される風景を画面いっぱいに写すことができました。
食べものをシズル感たっぷりに、おいしそうに見せる撮り方を教えてください。
A:食べものを撮影するときには、光の当て方が重要なポイントになります。シズル感を出すためには、お皿を窓際に置いて逆光気味のライティングにすること。すると背景が明るくなり、照りもはっきり出てきます。ただし、このまま撮ると手前が暗く、重い雰囲気になってしまうので、小さなレフ板(A4コピー用紙2つ折ぐらいの大きさ)を使ってみましょう。レフ板を手前に置き、窓からの光を反射させて影になっている部分に当てて撮影するのです。すると、上のケーキのような美味しそうな写真が撮れます。レフ板はスチレンボードやアルミホイルを使って自作したり、コピー用紙で代用したりすることもできますよ。
Q:飛行機の離着陸シーンをダイナミックに撮るコツを教えてください。
A:空港の展望デッキで離着陸する飛行機を撮影するには、いろいろと準備が必要なので、少し上級者向きかもしれません。カメラはどのようなものでもかまいませんが、レンズは焦点距離が300~600mmぐらいある望遠レンズや、望遠ズームレンズが必要です。そして、動くものをブレないように撮影するために、ピントの合わせ方と露出の設定を最適にしておくことがポイントになります。
まずはピントの設定です。「オートフォーカス」は、動く被写体に対して常にピントを合わせ続けてくれる「AF-C(コンティニュアス)」に、「フォーカスエリア」は、被写体がフォーカスポイントから外れても、いくつかある周りのフォーカスポイントにピントを合わせてくれる、「動体追尾」ができる設定にします。ニコンの場合はこの機能を「ダイナミックAFモード」と言いますが、メーカーによって呼び方が変わりますので、取扱説明書で確認してみてください。
次に露出の設定です。快晴の天候なら、「ISO感度」を100~200、「絞り値」をF8に設定し、「シャッタースピード」は1/1000秒くらいの速さがあれば、離着陸する飛行機をしっかり写すことができます。さらに、連写機能があればタイミングを逃すことなく撮影することができるでしょう。あとはファインダーを覗いてしっかり飛行機を追い続けながら、自分好みの画像になるようにタイミングよくシャッターを切ってください。
Q:スマートフォンのカメラで撮るとなんとなく奥行きのない写真に。解決策はありますか?
A:スマートフォンであっても、撮り方は基本的にデジタルカメラと同じと考えましょう。スマートフォンは簡単に撮れるぶん撮影が雑になりがちなので、しっかり構図を考えて、被写体のどこをポイントにするか決めてから撮影することです。横位置で撮るなら、画面の左右どちらかにポイントを決めて、そこから徐々に遠ざかるような構図にすれば奥行き感が出てきます。
これはスマートフォンのカメラで撮影した写真ですが、画面の左側にいちばん近い水上コテージを配置したので、奥行き感のある画像になっています。
Q:写真の加工が手軽にできる、おすすめのスマホアプリはありますか?
A:自分が使いやすいと思えることが大事なので、無料のアプリをいろいろ試してみるのがいちばんではないでしょうか。私がよく使うのは、画像処理ソフトで有名なAdobe社のAdobe Photoshop Express(Android / iOS)です。プリセットされた豊富なフィルター効果を選ぶだけで、手軽に好みの画像に仕上げることもできますし、一つずつの要素を細かく調整することもできます。操作もとても簡単で、直感的に使えますよ。
下の例はレストランで注文したオムレツですが、左の写真は、窓から入る曇天の光と室内の照明がミックスされて美味しそうに見えません。そこで、Photoshop Expressの「露光量」を高くして画像全体を明るくしたあと、「色温度」の調整をして青い色かぶりを補正し、「彩度」を高くしたら、とても美味しそうな写真になりました。
Q:正方形で撮影するとき、気をつけるポイントはありますか?
A:写真の構図は奥が深いので、なかなか決められない人が多いかもしれません。仕上がりが長方形だと、どこに被写体を配置するかで写真のクオリティーに大きな差が出てきます。しかし正方形なら、じつはどのような構図でもそれなりにバランス良く配置することができるだけでなく、大胆な構図でも斬新でお洒落な雰囲気に撮影することができるのです。あまり難しく考えず、自分が感じたままに撮ってみるのがいちばんです。
こちらはビーチを撮影したものですが、スマホを傾けて大胆な構図にしています。長方形の構図では不安定な感じになりますが、正方形だと違和感がありませんよね。
もう一例、花の写真です。長方形の画像の場合、被写体を画面の真ん中に配置すると、特徴のないありきたりな画像になってしまいがちですが、正方形であれば力強くインパクトのある写真になります。
Q:Instagramに搭載されているフィルターの効果的な使い方を教えてください。
A:Instagramはいろいろなフィルターや編集機能を搭載しています。例えば曇りの日に重宝するのが、「編集」のなかにある「ストラクチャ」機能。曇りの日や雲が多い日に撮影をすると、なんだかもやっとした、コントラストの弱い写真になってしまうことがあります。そんなときストラクチャの数字を調節すれば、画像をくっきりさせることができます。
いかがでしたでしょうか。次の旅行で早速使えそうなコツが、何か1つでも見つかったのではないでしょうか? 思い出の写真を上手に撮影できれば、旅行ももっと楽しくなるはず。まずは興味のあるところから、自分なりのカメラの楽しさをぜひ見つけていってくださいね。
斎藤勝則(さいとう かつのり)
神奈川県生まれ。東海大学工学部生産機械工学科卒。写真家、内田隆章氏に師事。1996年フォトデザイン会社(有)ケー・エス・ワン設立。撮影分野は、風景、スナップ、モデル、スポーツ、静物から水中、さらにはムービーまでオールラウンド。ウェブを含む広告の撮影、カメラ誌の執筆も行う。現在、(社)日本写真家協会(JPS)会員。ニコンが主催する写真講座「ニコン カレッジ」の講師を務める。
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※初回投稿日:2017年7月25日(2022年12月26日に一部内容を更新しました)
掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。