熊本には加藤清正が築いた名城「熊本城」をはじめ、細川家代々によって継承されてきた多くの文化遺産があります。庭園群や能舞台、芸術作品などの歴史的文化財や伝統文化をまとめて「肥後細川文化」と称し、大切に守り継がれているのです。

肥後細川文化とは何か?を学ぶことができる「湧水亭」

画像1: 肥後細川文化とは何か?を学ぶことができる「湧水亭」

水前寺成趣園の作庭から350年となる2021年10月に、「肥後細川文化」を発信する展示施設「湧水亭」がオープンしました。若い世代の方に細川藩ゆかりの文化を学び触れてもらいたいと、熊本国際観光コンベンション協会が空き店舗を整備。地元の水前寺活性化プロジェクトや商店街の皆さんと連携して運営しています。

開設に携わった事業推進課リーダー山本大介さんに案内していただきました。

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山本さん「湧水亭には、ここだけでしか見ることができない貴重な逸品が展示されています。肥後細川文化とは何か?を、ここでぜひ知っていただきたいですね」

まずは、細川家のことを学んでもらいたいという意図から、入ってすぐ右手に細川家歴代当主を分かりやすく紹介した展示パネルが並べられています。

山本さん「初代の細川藤孝(幽斎)公から18代・細川護熙氏まで歴代の当主を通して時代背景が分かる、子どもでも読めるような展示にしました。地元の方でも水前寺成趣園を造ったのが誰なのか知らない子どもがいることに衝撃を受けたからです。まずは、地元の人に知ってもらうこと。熊本の文化を継承すること。この施設の役割はそこにあります」

熊本城を築城した加藤清正のことはよく知られていますが、その後を継いだのは細川家一族。細川家が残してきた肥後細川文化のうち、3つが湧水亭で紹介されています。

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一つ目は「細川流盆石(ぼんせき)」です。細川家2代目の忠興(ただおき)が始めたといわれています。

山本さん「盆石とは、黒いお盆の上に自然石や白い砂を使い、自然の風景などを描写する『縮景芸術』のひとつで、1000年余りの歴史を持っています。細川流は、これに和歌を加えるのです。盆石を打つのにあわせて和歌を詠んだり、もしくは和歌に合わせて盆石を打ったり。細川家初代の藤孝公が古今伝授の伝承者だったことも大きいと考えられます」

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湧水亭には、見事に創られた盆石と和歌が対になって展示されています。注目すべきは、その道具たち。波をつくる小さな箒、満月や三日月をつくる型抜き、砂を撒くための丸いさじなど、用の美とも言える美しい道具も展示されています。

山本さん「盆石は人それぞれのセンスが生かされる芸術です。今後、この盆石をスイーツにして味わえる『盆石デザート』が新しくお目見えする予定です。ぜひお楽しみください」

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二つ目は「肥後古流」です。熊本に伝わる茶道の流派で、千利休の正統の点前作法を400年以上も守っている一族「肥後古流 宗家」の13代・小堀俊夫氏によって今も継承されています。

山本さん「千利休の高弟に『七哲(しちてつ)』と呼ばれる人々がいて、その一人が細川忠興です。忠興は茶の湯に大変熱心でした」

それにしても、千利休の茶道がなぜ熊本に伝えられているのでしょう。それは高弟であった忠興の影響力と、利休の孫婿・古市宗庵が細川家3代目の忠利に藩の茶道方として呼ばれたことに始まります。それから宗庵の弟子、萱野隠斎(古田織部の弟)、小堀長斎に受け継がれ、今は武田家と小堀家がこの作法を受け継いでいます。

山本さん「肥後古流の特徴は武家文化です。所作にも特徴があり、こぶしをつく座礼から始まり、お茶を入れる動作で、刀を鞘に納めるときと同じ動きを持つ『切り柄杓』はとても特徴的です。また、刀を重んじる武士ゆえに、その代わりとなる扇子を持たないなど、細川流たる所作が継承されています」

展示は、13代・小堀先生のご協力があり、江戸時代につくられた貴重な「茶杓」に加え、18代当主・細川護熙氏作陶の茶碗や、ご子息である陶芸家・細川護光氏の作品も展示されています。

画像9: 肥後細川文化とは何か?を学ぶことができる「湧水亭」

三つ目は「武田流流鏑馬」です。1000年以上の歴史を持つ武田流騎射流鏑馬の弓矢や鞍が展示され、すべて本物という素晴らしさ。しかも武道として流鏑馬を引き継いでいるのは、日本で「小笠原流」と「武田流」のみ。歴史深い「肥後細川文化」はどれも絶やしてはいけない、貴重なものばかりでした。

水前寺肥後細川文化発信拠点 湧水亭(ゆうすいてい)

住所熊本県熊本市中央区水前寺公園6-24(玄宅寺駐車場内)
電話080-3498-8268
営業時間9:00~16:30
定休⽇水曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(予定)

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