熊本には加藤清正が築いた名城「熊本城」をはじめ、細川家代々によって継承されてきた多くの文化遺産があります。庭園群や能舞台、芸術作品などの歴史的文化財や伝統文化をまとめて「肥後細川文化」と称し、大切に守り継がれているのです。
画像: 時を超えて日本の美と教養に触れる。熊本・肥後細川文化を知る旅

2016年4月に発生した熊本地震は、震度7という強烈な揺れによって多くの被害をもたらしました。「水前寺成趣園」においては一時的に池の水が枯れるなど、これまでにない現象が発生し、改めて自然の脅威を知ることになりました。

しかし、これをきっかけに「守るべきモノ・コト」がより鮮明となり、熊本のかけがえのない文化遺産が今、改めて注目されています。昔と変わらない姿を今なお楽しむことができるのも、肥後細川文化の特徴。時を超えて日本の美と教養に触れる、熊本の旅へ出かけましょう。

美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

画像1: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策
画像2: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

熊本市の閑静な住宅街にオアシスとして佇む「水前寺成趣園」。阿蘇くまもと空港から車で約30分とほど近く、昔から観光地として知られています。さて、この場所が今から350年前となんら変わらず残されているという事実を、どれだけの方がご存じでしょうか。

そんな貴重な遺産に深く触れるべく、成趣園参与の仙波英明さんに園内を案内していただきました。

仙波さん「ここは代々、茶道をはじめ文化に造詣が深かった細川家によって築庭され、愛されてきた場所です。熊本の文化的な歴史を感じてほしいですね」

画像3: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策
画像4: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

江戸初期の寛永9年(1632年)、初代熊本藩主の忠利公が清らかな水が湧くこの地をとても気に入り、御茶屋を建てたのが成趣園の始まりです。その後、3代目・綱利公の時に大規模な築庭がおこなわれ、桃山式の優美な大名庭園が完成。中国の詩人・陶淵明の詩の一節「園日渉以成趣」に由来して成趣園と呼ばれるようになりました。

仙波さん「正面から入園すると、まず『古今伝授の間』という建物が見えてきます。ここにはもともと『酔月亭(すいげつてい)』という建物が建っていましたが、西南戦争の時に消失。大正元年に京都御所から解体保存されていたものを細川家所縁のこの地に移築復元された由緒ある建物です」

画像: 古今伝授の間は昭和39年に熊本県の重要文化財に指定されています

古今伝授の間は昭和39年に熊本県の重要文化財に指定されています

「古今伝授」とは、古今和歌集の解釈を優秀な弟子へ口伝していくことを指し、肥後細川家初代の藤孝(幽斎)は、まさに秘説を教授できる唯一の人物でした。幽斎公が、後陽成(ごようぜい)天皇の弟である智仁(としひと)親王へ古今伝授した場所こそが、この「古今伝授の間」であり、慶長年間の当時と変わらぬ佇まいを現代に見ることができます。

仙波さん「成趣園の庭園は、この古今伝授の間から見るのがおすすめです。目の前には美しい池、その先に広がる芝生と築山、そして整えられた松の木々を眺めてほしいと思います。春は梅と桜が咲き誇り、青々とした芝生が広がる夏、秋の紅葉から冬の降雪まで、一年中趣ある美しさを楽しめます。ここでぜひ一服いかがですか?」

画像5: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

仙波さんにそう促され、「お菓子セット(550円)」をいただきました。味わい深いお抹茶のお供は、細川家家紋の焼き印が押された「加勢以多(かせいた)」というお菓子。もち粉とカリン、羊羹でできており、食べるとサクサクとモチモチを一緒に楽しむことができます。

画像6: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

一服しながら庭園を静かに見渡すと、手入れの行き届いた美しい松と、阿蘇伏流水に満たされた豊かな池が広がり、心がゆっくりと癒されていきます。350年前の人々もこの同じ景色を眺めていたと考えると、非常に感慨深いものがあります。

画像7: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策
画像8: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

そんなタイムトラベルを疑似体験しながら、敷地内にある「出水神社」へと足を運びました。肥後細川家歴代の藩主と2代忠興公室ガラシャが祀られている「出水神社」社殿前の鳥居は、熊本地震で倒壊しましたが、2020年8月に「南郷檜(なんごうひ)」というヒノキを使用し、再建されています。

画像9: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

鳥居をくぐってすぐ左には、神水「長寿の水」が。阿蘇火山系の神水を飲んで健康を祈願する方々が数多く訪れます。

画像10: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

参拝を済ませたあとは「五葉の松」へ。細川忠利公が大切に育て鑑賞していた盆栽の松で、樹齢400年を超えているそう。人の背丈ほどある立派な盆栽に驚かされます。

画像11: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策

出水神社のとなりには、京都の伏見稲荷大社の分霊を祀る「稲荷神社」が鎮座し、さらに進むと「流鏑馬(やぶさめ)」の馬場が。その周辺には肥後椿、肥後山茶花、肥後芍薬、肥後菊など「肥後六花(ひごろっか)」と呼ばれる花が大切に育てられていました。

南門のそばには「能楽殿」もあり、薪能も毎年8月第一土曜日に開催されています。能楽は細川家が特に愛好していた芸だったそう。

画像12: 美しい湧水がたゆたう「水前寺成趣園」を散策
画像: 園内に建立されている肥後細川家初代の藤孝公(手前)と3代目の忠利公の銅像

園内に建立されている肥後細川家初代の藤孝公(手前)と3代目の忠利公の銅像

「水前寺成趣園」の散策はゆっくり回って40分ほど。肥後細川文化の始まりを、この場所で見て触れて感じてみてはいかがでしょうか。

水前寺成趣園

住所熊本県熊本市中央区水前寺公園8-1
電話096-383-0074
入園料大人(16才以上)/400円、子ども(6~15才)/200円、30人以上/1割引
営業時間8:30~17:00(入園16:30まで)
定休⽇無休
webhttp://www.suizenji.or.jp/

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。
よろしければ、アンケートにご協力ください。

This article is a sponsored article by
''.