リモートワーク化が進み、少しずつ浸透してきたワーケーション。旅をベースに働く場所を選ぶことができるのが最大の魅力で、訪れるエリアによってさまざまな楽しみ方ができます。なかでもアクティブ派におすすめなのが、離島ならではの非日常な体験が満喫できる「アイランドワーケーション」。
画像: 世界遺産の島で出合いに満ちた旅。長崎「新上五島町ワーケーション体験ツアー」

今回の舞台は、長崎県の五島列島北部に位置する新上五島町。7つの有人島と60の無人島から構成され、西海国立公園にも指定される複雑で変化に富んだ海岸線が織りなす、美しい自然にあふれています。また世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」をはじめ教会や寺社が点在し、文化的なスポットも多数。エリアごとに特徴が異なるため、観光もワークスペースも、自分だけのお気に入りを見つけられる楽しさがあります。

この記事では、新上五島町で注目のスポットやアクティビティとあわせて、同町で行われるワーケーション体験ツアーの概要をご紹介します。

本町内の観光スポット

南北に40キロと、長く特徴的な形をした新上五島町。景色や文化なども地区ごとに特徴があり、歴史を感じられるスポットなどの見どころもたくさん。体験ツアーでも訪れることができる場所の中からピックアップしてご紹介します。

まるで天然の鳥居「奈良尾のアコウ」

十字架の形をした島に29もの教会が点在し“祈りの島”とも称される新上五島ですが、自然が生み出したパワースポットとして有名なのが、樹齢670年を超える「奈良尾のアコウ」です。高さ25m、幹周り12mという巨大さで、1961年に国の天然記念物に指定されました。

画像1: 写真提供:(一社)長崎県観光連盟

写真提供:(一社)長崎県観光連盟

根が二股にわかれ、両足で地面を踏ん張ったような姿も独特です。奈良尾神社へ繋がる参道をまたぐようにそびえ、境内へはこの根と根との間を通って入ります。その姿は、まるで天然の鳥居。このことから“くぐると長生きできる”と言い伝えられています。

奈良尾のアコウ

住所長崎県南松浦郡新上五島町奈良尾郷333

「頭ヶ島の集落」で世界遺産の尊さに触れる

冒頭で触れた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のひとつが、「頭ヶ島(かしらがしま)の集落」です。17~19世紀のキリスト教禁止令の時代、1世帯を除く島民全員がキリシタンだった状況下、迫害が厳しくなるなかで起きた摘発「五島崩れ」の後に一部信徒は脱獄して散り散りに。やがて禁教令が解かれてからこの島へ帰郷したという歴史があります。

画像2: 写真提供:(一社)長崎県観光連盟

写真提供:(一社)長崎県観光連盟

その後1919年、同島の集落に建てられた教会が「頭ヶ島天主堂」。2001年には国の重要文化財に指定されました。長崎では唯一、西日本でも珍しい石造りの教会となっていますが、その大きな理由は風土にあります。頭ヶ島を含む新上五島町崎浦地区は、加工しやすい砂岩層が広く分布する地域で、教会を建てた時期は同地域における石材業の最盛期だったのです。

画像3: 写真提供:(一社)長崎県観光連盟

写真提供:(一社)長崎県観光連盟

教会の前庭は白浜海岸と呼ばれる美しい海水浴場になっていて、一体化するようにキリシタン墓地が隣接。そこに植えられたマツバギクは、4~6月ごろにはピンク色の花を咲かせ、美しく景観を彩ります。たくましく生きた先人たちの軌跡、地の利を生かした建築様式、姿を変えずに在り続ける美しい大自然。世界文化遺産の尊さを改めて実感させられる、感動との出合いがここにあります。

頭ヶ島天主堂

住所長崎県南松浦郡新上五島町友住郷頭ヶ島638
※写真掲載については長崎大司教区の許可を得ています

▼見学を希望される場合は要事前連絡

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター

電話095-823-7650
営業9:30~17:30
webhttp://kyoukaigun.jp/visit/detail.php?id=16

自家製麺の「麺’sはまさき」で地元名物「五島うどん地獄炊き」を

現地の郷土料理といえば五島うどん。全国的にも知られていますが、地元では「地獄炊き」で食べるのが一般的。これは沸騰した鍋に麺を入れてぐつぐつ茹で、そのまますくって味わう食べ方のこと。個性的な名称の由来は、熱々に煮立った鍋と湯が地獄のようだから、「至極おいしい」の「至極」が訛った、など諸説あります。

画像: 写真提供:(一社)長崎県観光連盟 ※写真はイメージです

写真提供:(一社)長崎県観光連盟 ※写真はイメージです

この名物を提供する一軒が、新上五島町の有川港近くにある「麺’sはまさき」。長崎名物のアゴ(トビウオ)のだしつゆで味わったり、卵に醤油と薬味を入れたつけ汁で食べたり、地元そのままのおいしさを楽しめます。

同店は老舗の製麺所が運営しているので、自家製であることも魅力。全国のご当地うどんのなかでも特に細く、ツルッとした食感が五島うどんの特徴ですが、ベテランの職人が手延べで作った麺はコシの強さやのど越しも抜群です。一度食べたらファンになる特産のご当地うどん。ぜひ本場で味わっていただきたい逸品です。

麺's はまさき

住所長崎県南松浦郡新上五島町有川郷2427-16
電話0959-42-3388
営業11:00~14:00、18:00~21:30(L.O.20:30) ※火曜は昼営業のみ
定休日水曜
webhttp://www.hamasakiseimen.com/html/page1.html

写真映えする美しい遠浅のビーチ「蛤浜海水浴場」

新上五島町の数あるビーチのなかでもおすすめなのが「蛤浜(はまぐりはま)海水浴場」。有川港より車で約5分と好アクセスで、奈良尾港からも車で約40分の立地にあります。白い砂浜と透明度の高い海のフォトジェニックなロケーションが大きな魅力で、遠浅なため子どもから大人まで安心して遊べるのも人気の理由。

画像4: 写真提供:(一社)長崎県観光連盟

写真提供:(一社)長崎県観光連盟

この美しさは全国的に知られ、環境省による「日本の水浴場88選」や「快水浴場百選」のひとつにも数えられています。天候や時間で海の色がコバルトブルーやエメラルドグリーンなどに変わるほか、干潮と満潮によっても表情はさまざま。写真映えするスポットとしても見逃せません。

海水浴シーズン以外も営業している「はまぐりデッキ」というお洒落な施設が隣接しているのも特徴。カフェ系のカジュアルなフードやドリンクを提供するほか、レンタサイクル、バーベキュー、マリンアクティビティなども用意されているので、気になる人は事前に確認のうえご利用ください。

蛤浜海水浴場

住所長崎県南松浦郡新上五島町七目郷1004

海水を煮詰める伝統製法で天然のうまみを知る「塩づくり体験」

上五島の奈摩湾(なまわん)入り口に位置する巨岩「矢堅目(やがため)」は、絶景スポットとして人気。この名称はその昔、湾に侵入する外敵を見張るために矢(守備兵)で堅めたことが由来だそう。

観光向けに公園が整備されているほか、「矢堅目の駅」という施設もあり、ここで注目のアクティビティが「矢堅目の塩本舗」が営む「塩づくり体験」です。塩の特徴は、五島周辺の海水だけを使い時間と手間をかけて精製すること。直火焚きで蒸発させ水分を除くことによりうまみを濃縮。一切の添加物や加工助剤を加えずに結晶化させた塩は、ミネラル分も豊富に含んでいます。

画像1: 海水を煮詰める伝統製法で天然のうまみを知る「塩づくり体験」
画像2: 海水を煮詰める伝統製法で天然のうまみを知る「塩づくり体験」

全工程ではないにしろ「塩づくり体験」で手掛けた塩の味は、まさにおいしさもひとしお。なお「塩づくり工房見学」と「椿油搾り体験」もあり、これらは事前予約が必要となりますが、「矢堅目の駅」では気軽にショッピングも楽しめます。定番の「矢堅目の塩」のほかに昆布塩、お茶塩、いか墨塩といったさまざまな塩に加え、五島うどんや地元で獲れた海産物、工芸品などもあるので覗いてみましょう。

矢堅目の塩本舗

住所長崎県南松浦郡新上五島町網上郷688-7
電話0959-53-1007
webhttps://www.yagatame.jp/

アクティビティスポット

新上五島町の魅力は、自然なくしては語れません。緑が豊富なのはもちろんのこと、海がきれいで水質も清らか。島に到着してすぐにワクワクした気持ちになれることでしょう。そんな海の魅力を大満喫できるアクティビティを紹介します。

「五島ダイビングセンター ナイスばでぃー」の体験ダイビングで美しい海の魅力を満喫

新上五島町が誇る美しい海の魅力をより満喫するなら、ダイビング体験がおすすめ。初心者から気軽に楽しめるプランを多数用意しているのが、「五島ダイビングセンター ナイスばでぃー」です。

画像: 「五島ダイビングセンター ナイスばでぃー」の体験ダイビングで美しい海の魅力を満喫

同店の体験で用意されているプランは3種。店舗目の前の海でたくさんの魚たちを観察する「歩いてポンビーチ体験ダイビング」、ボートで10分ほど沖へ移動し、サンゴが多く群生するポイントでソラスズメダイの群生などを見る「ブルーツリーボート体験ダイビング」、そしてボートで25分ほど移動し、五島ならではのソフトコーラルの美しいポイントで海の多様性に触れる「滝ケ原ボート体験ダイビング」です。

すべて少人数制で、所要時間はプランごとに約3~4時間。インストラクターは、ほとんどがマンツーマン対応というのも安心できる魅力です。仕事の合間にとにかくリフレッシュしたい、という人には特におすすめのアクティビティです。

五島ダイビングセンター ナイスばでぃー

住所長崎県南松浦郡新上五島町道土井郷319
電話0959-52-4147
営業10:00~18:00
定休日火曜
webhttps://www.nice-buddy.com/

「Goto Adventure Inn」のSUPツアーでクリアな海の水上散歩

大きなボードに立ち、パドルで漕ぎ進むマリンスポーツ、SUP(Stand Up Paddle boad)。立っても良し、座っても良し。自由度の高さと海の底まで覗いて楽しめる点が魅力です。

画像: 「Goto Adventure Inn」のSUPツアーでクリアな海の水上散歩

SUPをはじめ、海や山の自然体験アクティビティを提供しているのが「Goto Adventure Inn」。基本プランは午前と午後の2部制で、体験時間は約2時間となっています。インストラクターが丁寧なレクチャーとガイドをしてくれるので、初めてでも安心。ゆったりとクルージングしながら美しい海を眺めたり、透き通った水面の上から魚を発見したり。海からでしか見ることのできない特別な場所へ水上散歩。ひと味違う冒険を楽しみませんか。

Goto Adventure Inn(五島アドベンチャーイン)

住所長崎県南松浦郡新上五島町奈良尾郷381-1
電話0959-44-1722
営業9:00~17:00
webhttps://gotoadventureinn.com/

初心者でも釣れる!遊漁船「第三哲丸」

ダイビングやSUPで魚を見るのもいいですが、新上五島町では船釣りを楽しめるアクティビティも用意されています。提供しているのは「第三哲丸」という遊漁船。参加人数は1~7名、3時間または6時間の2つのコースがあります。

新上五島の近海は、きれいな水質、対馬海流の流れ、大陸棚、暖流と寒流が重なるなど漁獲に関する好条件に恵まれています。そのため、初心者でも大きな魚が釣れることは珍しくありません。魚種は年間を通してマダイやアオハタ、季節によっては高級魚のキジハタやアカハタなどが狙えます。

画像: 初心者でも釣れる!遊漁船「第三哲丸」

エサではなく「タイラバ」というルアーを使い、魚の針外しなどは船長が手伝ってくれるので気軽に楽しめるのも魅力。仕事の息抜きや、羽を伸ばしに体験するのもおすすめです。

第三哲丸

住所長崎県南松浦郡新上五島町網上郷647-15
電話090-2519-7730

新上五島町でのワーケーションイメージが膨らむ、ガイドムービーもあわせてご覧ください。

画像: 【Shinkamigoto Island Workcation】Guide 2021 www.youtube.com

【Shinkamigoto Island Workcation】Guide 2021

www.youtube.com

島民とのBBQ交流会を通じて地域の魅力を深掘り

ワーケーション体験ツアーでは、島民との交流会も企画しています。地元の若い生産者や移住者などを招いたバーベキューを開催。近海で獲れた魚介類や五島うどんなどを味わいながら、地域の魅力の深掘りはもちろん、課題を共有できる場として活用することを目的としています。

観光を楽しむためのヒントをもらうもよし、2地域居住の拠点として具体的なイメージを膨らますもよし、思い思いの時間を過ごしてください。

新上五島町ワーケーション体験ツアー概要

島ならではの、海をはじめとする大自然と充実したアクティビティ。学びも美食も豊富で、交流会も設けられた見どころ満載のワーケーション体験ツアー。非日常に触れる旅の醍醐味に加え、出合いや発見を求めている人は特に注目です。

日程コース案
1日目太古丸で新上五島町。船中泊で旅の気分が高まります。
博多港(23:45)~青方港(5:40)
2日目ご朝食後、島内観光をお楽しみいただきます。
美しい海や教会など、まずは新上五島町の魅力を五感で感じていただきます。ご昼食には新上五島町自慢の五島うどんを。
3・4日目ワークタイム。
島内移動したい方にはジャンボタクシーをご用意いたします。
アクティビティ体験や島の皆さまとの交流会も実施予定です。
アクティビティ例:トレッキング・釣りなど
5日目青方港(12:10)~博多港(17:50)
奈良尾港(13:35)~長崎港(16:05)
※体験ツアーは数回実施。初回は2021年11月19日(金)スタート
※日程・コース詳細はお申し込みサイトでご確認ください

新上五島町ワーケーションツアーのご案内
https://shinkami-island-workcation.com/

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※2022年8月23日に一部内容を修正いたしました

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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