日本最大の淡水湖・琵琶湖のほとりに位置する滋賀県長浜市は、古くから水陸交通の要所として栄えた町。戦国時代の武将、豊臣秀吉(羽柴秀吉)によって建てられた長浜城やその城下町など、歴史が色濃く感じられるエリアです。この豊かな歴史の中で受け継がれてきた祭りや伝統工芸、自然との共生など、人々の生活に深く根付いてきたさまざまな伝統と文化を持つ長浜の魅力に迫ります。
画像: あなたの知らないディープ滋賀 ~琵琶湖畔・湖北エリアを旅して感じる地域の文化と伝統工芸

西村 愛
2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎(実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典(PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

長浜の日常に溶け込む発酵文化と木之本宿の蔵元めぐり

長浜市は滋賀県の北東部に当たり、琵琶湖の北岸に面する湖北の町です。
多くの街道が通る場所で、交通や物流の中心地として発展しました。中でも江戸と北陸を結んだ「北国街道」は、多くの人や物が行き交い、商業や文化の交流の場として機能しました。
長浜には、北国街道沿いに発展した多くの宿場町のひとつ「木之本宿」があります。

木之本宿では古くから醤油造り、酒造りなど発酵文化が根付いた町。琵琶湖に面した地域で、適度な湿度と気温が発酵に適していたこと、発酵に必要な原材料"水と米"が豊富な地域特性から、酒造りや発酵文化が盛んになっていきました。加えて、冬の降雪量が多い地域であり冬時期に備えて保存食を確保するという生活の知恵から、人々の暮らしに自然と発酵が溶け込んでいったと考えられます。
中でも家庭では、酒造りの副産物「酒粕」「みりん粕」を使った漬け物〔奈良漬〕がよく作られていました。
奈良漬は奈良県をはじめ各地にありますが、いずれも酒造りが盛んな地域で作られています。長浜でも身近に醸造業が栄えていたことから、奈良漬けづくりが行われるようになりました。全国的に現代では「みりん粕」がなかなか手に入らず、代わりにざらめが使われることが多くなりましたが、木之本では今でも「みりん粕」が入手できるため昔ながらの製法で作られており、「木之本漬」という名前で商品化もされています。

木之本地域で発酵食品の活動を行っているのが「発酵オカン」の皆さんです。コミュニティスペース「book cafe すくらむ」を拠点に、ケータリングサービスや月2回の発酵ランチの提供、味噌の仕込みや奈良漬けづくりなど発酵に関するワークショップを開催。地域の魅力を発信し、文化や産業の活性化に取り組んでいます。
カフェで提供する発酵食品を仕込むのは、木之本宿にある真宗大谷派寺院「明楽寺」の土間。法要や仏事の際の食事づくりに使われるためスペースが広く、また、日本家屋特有の風通しの良さで発酵食品づくりに適した場所です。長浜は(後述しますが)仏教信仰が盛んな土地で、地域の寺院が地域社会を結び付ける役割も果たしています。そんな土地柄もあって、住民たちが寄りあいなどの席で発酵食品のレシピを伝え合い、普段の会話の中でも発酵について頻繁にやり取りする日常があります。これが長浜で発酵文化を途絶えさせず、今に伝えられてきた理由のひとつでもありそうです。

結婚を機に大阪から木之本に移住してきた植田睦美さんは発酵オカンの活動に参加し、今まで経験したことがなかった発酵の世界に魅了された一人。多くの物にあふれた都会から、"ないものは作る"地方の世界へと飛び込みました。
発酵は季節に追われ、想像以上に忙しく日々のお手入れが必要です。木之本の日常は、睦美さんにとっての非日常。先人の知恵を受け取り、楽しみながら発酵と親しんでいます。

長浜駅近くの「湖のスコーレ」内「ハッピー太郎醸造所」ではどぶろくが楽しめます。発酵のプロフェッショナルであり醸造家のハッピー太郎さんは、各地の生産者が丹精込めて育てた旬の食材や、その時々の“出会い”によって副原料を変えながらどぶろくの世界観を広げ、新しいフレーバーを生み出しています。それらはある時はフルーティー、ある時はスパイシーと変幻自在な味わいです。
試飲もできるので、ぜひ立ち寄ってほしいスポットです。

滋賀県といえば「ふなずし」を思い浮かべる人も多いことでしょう。琵琶湖から水田へと揚がってきたニゴロブナを原料とした、日本最古の寿司のひとつともいわれる発酵食です。たくさん採れた食材を発酵させることで、その旬の味を長く楽しみ、風味を豊かにするための工夫をしながら保存性を高めた郷土料理です。

新旧さまざまな発酵が楽しめるのが長浜。交通の要所であった歴史、気候、豊かな自然など恵まれた条件の下、伝統製法に逆らわず自然のままに発酵食が伝えられてきました。この地で受け継がれた製法、レシピは全てに理由があって、人々により丁寧に受け継がれ、そして今も進化を続けています。
日本伝統の深い味わいを持つ発酵食。手間ひまかけた貴重な味を長浜でぜひ体験してみてください。

きのもとのツボ

Book cafe すくらむ

住所滋賀県長浜市木之本町木之本1312-2
電話080-1898-6399
営業日月2回のランチ(インスタグラム参照)、他団体の場合は要予約で対応
URLhttps://www.instagram.com/book_cafe_sukuramu/

冨田酒造

住所滋賀県長浜市木之本町木之本1107
電話0749-82-2013
営業時間9:00~17:00
定休日不定休
URLhttps://www.7yari.co.jp/

山路酒造

住所滋賀県長浜市木之本町木之本990
電話0749-82-3037
営業時間9:00~18:00
定休日水曜日
URLhttps://www.hokkokukaidou.com/

ハッピー太郎醸造所

住所滋賀県長浜市元浜町13-29 湖のスコーレ内
営業時間11:00~18:00
定休日火曜日(臨時休業はサイトで確認)
URLhttps://happytaro.jp/

史跡と伝説の宝庫!琵琶湖の北西にある小さな湖「余呉湖」

滋賀県といえば琵琶湖、と答える人も多いでしょう。
湖北エリアには、もうひとつの湖「余呉湖」があります。
余呉湖は日本の天然湖の中でも特に湧水が豊富な湖として知られ、囲まれた山々からの地下水が湖底から供給されています。周囲の山のおかげで風が吹き込みにくく、ピタリと止まった水面に映り込む自然の風景が美しいことから「鏡湖」と呼ばれることもあります。

余呉湖を上から眺めたい。
そんな気持ちで向かったのは賤ヶ岳(しずがたけ)。ここは、羽柴秀吉と柴田勝家が戦った「賤ヶ岳の戦い(1583年)」の古戦場として知られています。また、長浜市を俯瞰できる風光明媚な景勝地としても人気があります。
賤ヶ岳からは余呉湖全景が見え、琵琶湖北岸やこんもりと木が茂る竹生島、高月や木之本の町、さらにその奥にそびえる伊吹山までもが眺められる絶景スポットとして人気です。

余呉湖を間近で楽しみたい。
そんな人には遊歩道散策がオススメです。湖畔ウォーキングやサイクリングをすることもできます。周囲のコース途中には賤ヶ岳への登山道もあり、ハイキングも楽しめます。
余呉湖の魅力を存分に楽しむために、ボランティアガイドをお願いするのも良いでしょう。4月から11月まで日曜日を中心にで、無料ガイドも行われています。

余呉駅からスタートし1周6.8km。春にはお花見を楽しむ人で賑わい、一部では桜と菜の花のコラボレーションも見られます。5月になると湿地帯に咲くサワオグルマが満開となり、その後はアジサイが見頃に。行楽の秋、そして冬にはわかさぎ釣りを楽しむ人たちが訪れるスポットです。
現在は琵琶湖から水をくみ上げ、水質・水量を保ちながら田畑へ水を供給するためのダム湖として機能している余呉湖。内でもっとも古い「天女の羽衣伝説」や、祈ると必ず雨が降ってくれるという雨乞い伝説「蛇の目玉石」などもあり、四季折々の風景に癒されながら地域の歴史にも触れることができます。
自然と触れ合い、湖北の豊かな自然環境を体感できる余呉湖散策。訪れる際には、天気や季節に応じた服装や準備をして行ってみてください。

奥びわ湖観光ボランティアガイド協会

電話090-3279-6563
URLhttp://okubiwakovg.com/
※JR余呉駅をスタートする予約不要のガイドあり、詳しくはサイトを参照

余呉湖

住所滋賀県長浜市余呉町川並
URLhttps://kitabiwako.jp/spot/spot_805
(長浜観光協会HP)

賤ヶ岳リフト

電話0749-82-3009
URLhttps://www.shizugatakelift.jp
※例年、4月下旬から11月下旬まで運行

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