SDGsや脱炭素が世の中のキーワードになりつつある中、徳島県には地域の課題に向き合い、活動を行う企業があります。その会社は、家具屋として事業を展開する西部木工。本記事では同社の代表・西岡章さんのお話を通して、日本と地域の魅力を継承していくために行っている取り組みについてお伝えします。

職人の技術を継承していく製品「井桁シリーズ」

そんな会話をきっかけに、西岡さんは産業と職人の技術継承のための製品開発を始めました。その過程には、職人の世界ならではの苦労も。

高齢の職人が、若手に普段使わない技術を教えるという行為自体が、困難の連続だったと西岡さんは話します。というのも職人の世界では、「見て覚えること」が一般的な技術の継承方法。いざ若手から説明を求められても、高齢の技術者は言葉で説明すること事態が困難であったといいます。

そうして、熟練の職人と若手の職人が手を取り合い生まれたのが「井桁シリーズ」です。

画像: 木の特性に合わせて加工する職人

木の特性に合わせて加工する職人

その特徴は、伝統的な日本建築の木組みの技術による「架構即空間」の構造美を表現しているということ。金物を一切使わず、木組み(※)だけで構成しています。構造美と陰翳が独特の佇まいを作る、日本らしさを表現したオーダー家具です。

徳島県阿南市の那賀川流域の森林資源が未来永劫続いていくよう育む活動を行う西部木工では、大型商品から雑貨アクセサリーに至るまで、森林資源を無駄なく使用するためのデザインが施されています。

井桁シリーズでも、多くの製材所が対応できるよう、比較的一般的な角材の規格を使用。製造工程で発生する木屑は、豚舎、鶏舎、牛舎などの畜産業に提供されるそうです。

無機質な家具にはない、「強度」「香り」「手触り」といった自然素材ならではの質感を大切にし、職人の技術を次世代に残すためにあえて昔からの技術を多用しています。
金物を使わず、木組みだけで構造物の強度を高める技術は、日本の建築文化の技術の結晶です。

画像: 「KIYOMIZU」

「KIYOMIZU」

この井桁シリーズで作られたテーブルは、京都府の清水寺の迎賓殿に奉納されています。
迎賓殿は、国賓の方々を御招きする特別な大広間。さまざまな調度品がある中、日本建築の美しさを表す品として存在感を出しています。

※木組みとは:
建築物の構造強度を木と木の組み合わせでだけで高める技法のこと。釘や金物に頼らずに強い骨組みが作れるのは、世界でも特殊な伝統工法の技術です。木材の膨張性能や、樹種ごとの性能を把握した職人の技術が活かされています。
木組みは仕口や継手といった凸凹を加工して接合しますが、その種類は100以上ともいわれています。
耐久性・耐震性が高く、環境性能に優れているのが特徴です。

未来のためにできるサステナブルなこと

今後もさまざまな挑戦を予定しているという西岡さん。現在は製品を作るだけでなく、未来の子どもたちのために、観光イベントとして楽しんでもらいながら木に触れあう木工教室を年2回程行っているそうです。

西岡さん「最初は、子どもたちに自身が持っている危機感が伝わるのか不安がありました。しかし、子どもや若者たちに語るうちに、きちんと熱意をもって話せば理解してくれるものだと実感しました」

コロナの影響で現在発表されている予定はありませんが、今後の企画が楽しみです。

また、日本の木材製品の認知度を広げるための活動も。まずは海外で勝負できるのか反応を見るために、海外マーケットの見本市への出品を予定しています。

木材の魅力をたくさんの人に伝え、次世代に技術を伝承したいという西岡さんが経営する事業は、正にサステナブルな取り組みです。

画像: 検品作業中をする西岡代表

検品作業中をする西岡代表

サステナブルとは「持続的な」という意味。西岡さんをはじめとする西部木工の活動を通して、何のために持続させるのか重要であるのか、改めて考えるきっかけになったのではないでしょうか。

旅をする際にも、こうした地域の歴史や文化に目を向けることが、サステナブルに繋がります。まずは徳島県で、古き良き日本を感じる旅をしてみてください。

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