SDGsや脱炭素が世の中のキーワードになりつつある中、徳島県には地域の課題に向き合い、活動を行う企業があります。その会社は、家具屋として事業を展開する西部木工。本記事では同社の代表・西岡章さんのお話を通して、日本と地域の魅力を継承していくために行っている取り組みについてお伝えします。
画像: 若手と共に作業する高齢の職人

若手と共に作業する高齢の職人

西部木工

徳島県阿南市にある、オーダー家具の家具屋。
自社商品ブランド「ARTISAN」では、古より那賀川流域に育つ徳島の森林資源や木工技術を未来に繋げる取り組みが行われている。

住所:徳島県阿南市那賀川町西原10-1
電話:0884-49-6660

阿波水軍で知られる徳島県阿南市の歴史風土と魅力

徳島県阿南市は、徳島県の東部にある四国最南端の街。市内には那賀川という一級河川があり、川の流れは徳島県那賀郡の剣山(つるぎさん)山系・ジロウギュウに源を発し、県内を蛇行しながら海にまで続いています。源流となる自然豊かな山々と、海の両方を楽しめる、観光資源豊かな地です。

そして源平の時代には水軍が生まれ、「阿波水軍」(※)の名称で知られた地でもあります。
阿波水軍の造船技術を持った船大工が多く生活し、現代では日本の6大家具の産地と知られる徳島県の家具産業の礎を築きました。
※阿波水軍とは:
森家が率いた阿波の水軍のこと。狭義では、徳島藩配下の水軍のことですが、広義では徳島藩ができる以前、安土桃山時代の頃から森家が率いていた水軍を指します。森家の代々当主は森甚五兵衛(もりじんごべい)の名を襲名。豊臣秀吉の臣下である蜂須賀家が阿波に入国して以降、徳島藩の中老職に森家が配置され、参勤交代の担当をしていました。

歴史の大舞台の裏で、重要な役割を担ってきた阿波水軍の造船技術は、豊臣秀吉と徳川家康に重用され、日本の築城技術など、さまざまな技術文化の推進に一役買っています。

徳島藩の蜂須賀家は大阪の陣(江戸幕府と豊臣家の間で行われた合戦)で大変な活躍をしましたが、その原動力は水軍にあった(※)といえます。
※注釈:
家康の陣に組みしていた蜂須賀至鎮(蜂須賀家政の嫡男)は、大阪冬の陣の最初の大規模戦闘でもあった木津川口での戦いで、浅野長晟、池田忠雄等と共に、水陸2方向から攻撃を仕掛けました。水軍は木津川から迫った40艇の軍船にて大阪方の番所に攻撃を仕掛け、砦を陥落させたのです。

ちなみに、大河ドラマでよく取り上げられる蜂須賀家といえば、日吉丸時代の豊臣秀吉と矢作橋で出会って以来、その出世を後押しした忠臣・蜂須賀小六ですが、徳島藩の藩祖・蜂須賀家政は蜂須賀小六の子。家政が徳島城築城のおり、百姓に踊らせたのが「阿波踊り」の起源といわれています。

江戸時代以降、平和の時代には、阿波水軍は参勤交代を支える海の輸送船団として活躍。
そして高度な技術を持った船大工たちが、船造りで余った材木や残材を生活用品に使い始めたことをきっかけに、徳島県の木工細工・指物の産業が発達しました。徳島県の歴史・文化・技術の多くが、阿波水軍と共に培われたのです。

西部木工の西岡さんは「徳島県阿南市に来れば、山と川と海の恵みを余すところなく、日々の暮らしや産業に活用してきた徳島の姿を今でも知ることができます」と話します。

画像: 海と山、両方の恩恵を感じる土地にある西部木工

海と山、両方の恩恵を感じる土地にある西部木工

阿波水軍ゆかりの地をめぐる

椿泊の阿波水軍屋敷跡(森甚五兵衛屋敷跡)

屋敷跡まで続く、東西2kmにわたる曲がりくねった道路は、道幅が狭く車1台がやっと通れるほどですが、これは戦時、敵がまっすぐ進軍できないようにする戦の知恵。細い道路の両側には300余りの民家が立ち並び、独特の雰囲気を醸し出しています。

徒歩でたどり着いた先には、燧崎(ひうちざき)と呼ばれる岬の突堤が。岬の先端には刈又埼灯台があります。跡地自体は、森家の歴代当主の墓碑があります。

椿泊の阿波水軍屋敷跡(森甚五兵衛屋敷跡)

住所徳島県阿南市椿泊町
電話0884-22-3290(阿南市商工観光労政課)

徳島市立徳島城博物館

画像: 徳島市立徳島城博物館

徳島市のシンボルともいわれる眉山に対峙するような位置、徳島藩の城山跡地に建つ徳島市徳島城博物館。徳嶋藩と徳島城の城下町の暮らしなどを紹介してくれる歴史博物館です。

阿波水軍の歴史にも触れられるここでの見どころは、国指定重要文化財でもある、全国で唯一現存する和船「徳島藩御召鯨船千山丸」です。

徳島市立徳島城博物館

住所徳島県徳島市徳島町城内1番地の8
電話088-656-2525
常設展示藩政の変遷、大名のくらしと文化、城の構え、城下町のくらし、阿波水軍の活躍
webhttps://www.city.tokushima.tokushima.jp/johaku/

鳴門の渦潮・大鳴門橋遊歩道 渦の道

画像: 鳴門の渦潮・大鳴門橋遊歩道 渦の道

渦潮の出現期待度などはwebサイト上で紹介しているため、期待度の高い時間に合わせて訪れるのがおすすめです。阿波水軍が航路を決める際、大渦を避けていた理由を体感できます。

世界3大潮流の1つで、潮流の速さは大潮の最速時で時速20km以上にも及びます。また、渦潮の大きさに至っては世界1位といわれ、大迫力の自然現象を日本で見られる貴重な場所です。春と秋の大潮時に最大となります。

鳴門の渦潮・大鳴門橋遊歩道 渦の道

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