旅の案内人は、温泉ソムリエマスターの安藤美紀さん。2020年の春に温泉街をまるごとリノベーションした山口県最古の温泉地「長門湯本温泉」を舞台に、おすすめの湯治ワーケーションの過ごし方と立ち寄りスポットを紹介してもらいました。
心身のリフレッシュを目的とした「湯治」に注目
「湯治」は、温泉地に長期滞在し、入浴して病気を治療、健康を回復することとして知られています。江戸時代の頃から各地の大名が湯治をしていたと伝えられており、古くから日本に根付く温泉文化のひとつです。
そんな湯治ですが、最近では身体の療養だけではなく、心のリフレッシュも目的とした、通称「現代湯治」も注目されています。温泉地にある自然や歴史、文化、食といったさまざまな魅力に触れるなど、湯治に観光の要素を大きくプラスすることで、心身ともにリフレッシュを図るのです。ストレスの多い環境下にいる現代人にぴったりといえるでしょう。
しかし、そんな現代湯治を体験したいと思いつつも、休暇の間に仕事が入ってしまう可能性があるなどといった理由から長期休暇が取れず、実現が難しいという人も多いでしょう。そこでご提案したいのが、ワーケーションと組み合わせた「湯治ワーケーション」。長期休暇を取って温泉地で湯治を満喫しながらも、合間に勤務時間を挟みテレワークを行うことで、湯治を体験しやすくなることでしょう。
本記事では、初めての湯治ワーケーションにぴったりな温泉地として、山口県の「長門湯本温泉」をご紹介。湯治場としての魅力に溢れていることはもちろん、仕事環境も驚くほど整っていますので、さっそくご案内します!
密をさけて、静かにのんびり過ごせる「長門湯本温泉」
長門湯本温泉は、山口宇部空港から車で約1時間15分、または福岡県の北九州空港からも約1時間40分でアクセスできます。
山口県と聞いて、真っ先に「温泉」を思い浮かべる人は少ないかもしれません。しかし実は、隠れ名湯が多い山口県。泉質番付で「西の横綱」に輝いた「俵山温泉」があるのも山口県です。長門湯本温泉は、そんな「俵山温泉」から、わずか車で10分の場所にあります。その泉質の良さ、そぞろ歩きの楽しさがそろった、知る人ぞ知る名泉です。
長門湯本温泉が開湯したのは、今からおよそ600年前。曹洞宗の寺院「大寧寺(たいねいじ)」3代目の住職・定庵禅師(じょうあんぜんし)が住吉大明神の“おつげ”によって発見した、開湯伝説「神授の湯」が今も伝えられています。
そして、室町時代から江戸時代にかけては、大寧寺の寺湯として人々を癒やしてきました。当時、全国各地からやってきた修行僧は、大寧寺で修行をしては、温泉で体を清めるというサイクルを繰り返す、いわゆる“湯治ワーケーション”ともいえることをしていたのです。
「大寧寺」は自然豊かな場所にあり、桜と紅葉、両方を楽しめる癒しのスポット。温泉街を楽しみつつ、修行僧が通っていた旧参道を歩いてみるのもツウな楽しみ方です。
旧参道は、温泉街から「大寧寺」へと続くおよそ1kmの道。清々しい空気の中、自然と歴史に触れられるウォーキングは、心と体を充実させる“特別なひととき”になるはずです。
長門湯本温泉
住所 | : | 山口県長門市深川湯本 |
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web | : | https://yumotoonsen.com/ |
大寧寺(たいねいじ)
住所 | : | 山口県長門市深川湯本1074 |
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電話 | : | 0837-25-3469 |
web | : | https://www.taineiji.jp/ |
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