加えて、「だけじゃない島根」と題して観光大使の私が、島根の新たな食スポットや名物を紹介していきます。

西村 愛
2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

島根県の県庁所在地である松江は、人口20万人で県内では最も大きな市で、中心地は飲食店も充実しています。島根の名物といった伝統的な食だけではなく、専門店や工夫をこらしたお店も多くなってきました。そんな中から今回は、3店舗を紹介します。
「出雲そばだけじゃない!」島根県産野菜たっぷりカーリーのカレー
さてここからは松江のグルメを紹介していきます。松江・出雲を含めた出雲地方にはたくさんのおそば屋さんがあります。「出雲そば」は挽きぐるみといって甘皮も一緒に挽き込んだ黒いおそばに甘めのつゆをぶっかけるスタイル。割子(わりご)という独特の丸い入れ物に入れるのも特徴。戸隠、盛岡と並び、日本三大そばにも数えられています。
しかーし。今回は“だけじゃない”をキーワードに食を選択してみました。ひとつめの“だけじゃないグルメ”は松江の人気カレー屋さん、カーリースパイスカレー。この日も大盛況、人気があります。種類豊富なカレーはこれまた豊富なトッピングとごはんの量、辛さの選択など、カスタマイズが自由自在。カレールーは20種類ほどのスパイスを使っています。とろみを付けるための小麦粉を使わないのでさらっとして重さがなく、反対にごはんはしっかり固さがある独特な炊き具合で、しっかりとルーを受け止めてくれます。
どこをとってもオリジナリティあるカレーです。島根県産野菜を使った夏野菜カレーに、平日のセットから揚げをオーダー。1個でも十分な大きさで食べごたえありますよ!
島根のお米や野菜を使ったカレー屋さん、カーリースパイスカレーでカレーを食べました。
奥に長い作りでカウンターとテーブル席があります。時にはテイクアウトのお客さんで賑わっています。
薬膳カレーを謳ったスパイスをふんだんに使うカレーです。小麦粉を使わない、いわゆるシャバシャバ系カレーです。
こちらがカウンター。足元には荷物置きもあってスペースの活用が上手いです。卓上には福神漬けがあります。
スッキリしているわけではないのにガチャガチャもしていない。不思議な空間。カレースタンドとも違うしカフェとも違う。でもレストラン風でもない、カーリー風。
スパイスは20種類ほど使うというカレー。トッピングが多くてお肉系(チキン、ポーク、ビーフに加え豚軟骨のパイカ、ミンチ)もあり。お米の量も指定できるので男性でも満足できます。
夏野菜カレー。トマトの酸味、ゴーヤの苦みと、完全に煮込み切っていないシャキシャキの野菜が楽しめます。
大人気のから揚げ。コブミカンの葉の香りがスーッとして南国気分です。ごろんとした大きさも人気の秘訣。
平日のランチセット。ラッシーとから揚げを付けました。から揚げは1個から数を選べます。カレーのごはんは小です(小で普通の量ありますよ!)
お店はカラコロ工房の近くにありますよ。
「和菓子だけじゃない!」焼き菓子のCOCHICA
京都・金沢と並び日本三大和菓子どころである松江市には、三大銘菓「若草、山川、菜種の里」があります。この3つは江戸時代、茶の湯を学び不昧流を確立した松江藩七代藩主の松平不昧公が作らせたお菓子であり、現在も受け継がれている味です。
ここで紹介するのは、和菓子ではなく“だけじゃないグルメ”。バターたっぷり、サクサクのタルト生地のケーキやクッキーのお店を姉妹で開いたCOCHICA(コチカ)です。お店の中はイートインがあり、売り場と工房、カフェが一緒になっています。
島根県の窯で作られる出西(しゅっさい)焼のボウルで出されたカフェ・オ・レと、出雲市多伎町の名産であるいちじくを使ったタルトをいただきました。作り立てのフレッシュなエアリーなクリーム、みずみずしいいちじく、大量生産では絶対に出せない味。店頭の焼き菓子はお土産にもいいですよ。
こちらは西茶町にあるコチカさん。地元なら誰でも知ってるコロッケで有名な「きたがき」を入ったところにあります。(きたがきのコロッケ、美味しいです)
かつては化粧品店であった場所をリノベーションし、2016年にオープン。松江市出身の姉妹で経営されるタルトと焼き菓子の店。
シンプルであか抜けた印象の店内。女性らしさもあっておしゃれです。
店頭には焼き菓子。私もお土産に購入しました。
並ぶのは島根県の陶器。これでお茶を飲めるなんてワクワクします。
いちじくのタルトとカフェ・オ・レ。
出雲市多伎町はいちじくの産地として有名です。季節により変わる商品のひとつです。
よく見るとテーブルに「flat style」の文字。古民家再生や空間プロデュースを手掛ける松江の企業です。実はカーリーもここのテーブルや椅子を使っているのだとか。若い方たちがみんなで手を取り合って街を盛り上げています。
ゆっくり時間を過ごしてもヨシ、時間が無い時は買い物して帰るもヨシ。ほんわかとした接客も人気の秘訣。松江のゆるりとした時間を感じられそうなカフェでした。
コチカのお向かいには創業125年を迎える老舗お茶屋さん「加島茶舗」。ついふらふら~っと吸い込まれてしまいました。実はここ最近週末限定で始めた「日本茶スタンド」というテイクアウトが話題になっていて。なんでも抹茶ビールなどと言うものもあるらしいです。イベント限定で、コチカさんとコラボしたりもしているみたいですよ。
老舗の香りがぷんぷんするのでぜひ入店してみていただきたい!古さが何周もまわってカッコ良さに代わってます。島根産のお茶は松江に遊びに来た記念にも、お土産にもなると思います。
「お抹茶だけじゃない!」紅茶専門店パンジェンシーの和紅茶&かき氷
松江はカフェが比較的多いと思うんです。純喫茶から洒落たカフェ、コーヒー専門店から日本茶カフェ、中国茶カフェなどバリエーションも豊富です。
その中でも島根県物産観光館からすぐ近くで、松江城からも立ち寄りやすいPungency(パンジェンシー)をご紹介します。紅茶の専門家が鑑定、厳選した国内外の20種類ほどの茶葉を扱っている紅茶専門店。テーブルが3つくらいの小さなお店なのですが、出てくる紅茶のふくよかな香りの広がりったら!驚きました…、福岡八女のべにふうき和紅茶でしたが、なんともバランスの良い渋味旨味香り。特にその渋味です。確かに渋いのですがスッと切れる。いつまでも苦くない。これこそが店名でもある「パンジェンシー」なんですね。
そしてこのお店で、今年爆発的人気を博したという紅茶のかき氷をいただきました。氷に紅茶がかかっている、シンプルに言えばそれだけなのです。しかしこれがもぅとことん研究され尽くしたオリジナル紅茶シロップで…!気を付けてください~、素人が真似したらヤケドしますよ(笑)濃厚なのに苦すぎない。食べれば食べるほどに紅茶の香りと味が折り重なるように深くなっていく。冷たさと共にふんわりとまろやかに、香りの余韻が残るのです。この人気にあやかってかき氷延長宣言、今年いっぱい食べられるそうです。滞在中毎日でも立ち寄りたくなる、いい空間と時間を提供してくれるカフェでした。
老舗も多い松江ですが、若い世代も松江を食で盛り上げて街を元気にしています。松江グルメは幅広いので、いつかまた別の形で紹介したいです。
紅茶専門店パンジェンシーさんへ。国を問わず様々な紅茶が常時20種類ほどあります。
「世界名作劇場」に出てきた何かの物語の屋根裏部屋みたいな可愛い雰囲気です。
福岡県八女茶の和紅茶。品種はべにふうき。エッジの立った味わいがしっかり出ており、和紅茶の概念が覆りました。
淹れる前と淹れた後の茶葉比較。きれいに開き、また赤もしっかり出ています。葉っぱの形も美しく製茶技術も一級品。
この夏大ブレイクしたという、紅茶かき氷。オリジナル紅茶シロップは濃厚なのに全くいやな渋味や苦さがなく、どこまでもまろやかで香りの余韻が長く続きます。
兵庫県の純水を使った氷は優しい口どけ。紅茶だけなのに全く飽きないのです。これは松江の新名物になる予感です。今年いっぱい、この冬も食べることが出来ますよ!
松江城の大手前駐車場お隣の物産館が見えたら、お店はもうすぐそこです。階段を上がって2階へどうぞ。
後編はこちら
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