そんな深大寺で味わいたい名物が、そば。深大寺の周辺には、なんとそば屋さんが20店舗ほど軒を連ねています。今回はその中から、グルメライターが特におすすめの7店舗を紹介します。
取材・文:中山秀明
新そばを奉納する“そばまつり”も開催。深大寺そばは昔からの名産
深大寺といえば、日帰り入浴できる天然温泉「湯守の里」や、お寺の参道にある「鬼太郎茶屋」、そして何といっても深大寺そばが有名です。
良質な湧き水が豊富な深大寺はそばの栽培に適していて、古くから名産として知られていました。深大寺にはお米ではなく、そばを納めていた時代もあるのだとか。その名残なのか、新そばの季節に開催される「深大寺そばまつり」では、その年に獲れたばかりのそばが奉納されます。そんな歴史ある深大寺そばを、参拝や散策のついでにぜひ味わってみてください。
元祖 嶋田家:風光明媚な老舗の中の老舗
「元祖 嶋田家」は、店名が示す通り、深大寺の中でも老舗。創業は江戸時代で、店舗の外観からも風格ある雰囲気がただよいます。歴史もさることながら、客席が亀島弁財天池を囲むつくりになっていて、景観のよさも随一。窓際の席が狙い目です。
おすすめのメニューは「野草天セット」(1980円・税込)。香り豊かなそばに、野草の天ぷらと味噌おでんが付いた豪華なセットです。天ぷらは季節の野草を約5種類使っていて、多彩な味わい。ほかには、一度に3味のそばを楽しめる「むさしの」(2090円・税込)も人気です。
店内で絶品そばを味わったら、エントランス付近の物販コーナーものぞいてみましょう。もちろんそばを中心としたラインナップで、お土産にもぴったりです。
元祖 嶋田家 | ||
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住所 | : | 東京都調布市深大寺元町5-12-10 |
電話 | : | 042-482-3578 |
営業 | : | 10:00~17:00 |
定休日 | : | 月(祝日の場合は翌日) |
湧水:国産石臼挽きそば粉を使った、行列必至の手打ちそば
深大寺から歩いてすぐの「湧水」は、広い駐車場と風情ある日本家屋が目印。店内は1階にテーブル席、2階に座敷席を備え、さらに建物の外にも席があります。外のテーブル席はペット同伴も可能。お店の外からは、職人さんがそばを打っている姿をガラス越しに見ることもできます。
「湧水」のそばは、すべて国産石臼挽きそば粉を使用した手打ちそば。九割そばのメニューと二八そばのメニューがあり、時季によってそれぞれそば粉の産地を使い分けるこだわりようです。名物は九割そばの「湧水そば」(750円・税込)。そばを食べた後は、こちらも人気の「そばようかん」(360円・税込)で甘味チャージを。
ここは深大寺のそば屋さんのなかでも屈指の行列店。しかも事前予約は不可なので、訪れる際は時間に余裕を持っておきましょう。
湧水 | ||
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住所 | : | 東京都調布市深大寺元町5-9-1 |
電話 | : | 0424-98-1323 |
営業 | : | 平日10:30~18:00、土日祝10:30~19:00 |
定休日 | : | 木 |
玉乃屋:開放的なテラス席で味わう自家製粉の十割そば
神代植物公園・深大寺門を出てすぐの「玉乃屋」は、周りを木々に囲まれた、自然あふれる景観が人気のそば屋さん。落ち着いた雰囲気の店内も趣がありますが、過ごしやすい気候なら、自然を優雅に満喫できる外の席が気持ちいいでしょう。
「玉乃屋」では、石臼挽き自家製粉のそば粉だけを使った十割そばが人気で、細打ちと太打ちの2種類があります。おすすめは、そばの風味をたっぷり味わえる「太打ち田舎」(1050円・税込)と、天ぷらを添えた「天田舎」(1650円・税込)。挽きたて・打ちたて・茹でたての味わいを楽しめます。
土日と祝日は、このエリアの他店に比べるとやや早めの9時30分から営業。また、そばの売り切れとともに店じまいすることもあるので、早めに行くことをおすすめします。
玉乃屋 | ||
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住所 | : | 東京都調布市深大寺元町5-11-3 |
電話 | : | 042-485-0303 |
営業 | : | 平日10:00~16:00(L.O.15:30)、土日祝9:30~16:30(L.O.16:00) |
定休日 | : | 月(祝日の場合は火) |
多聞:コシのある個性派そばと、界隈唯一のそば雑炊
深大寺通り沿いの神代植物公園 水生植物園の入り口すぐのところにある「多聞」。個性的な深大寺そばとサイドメニュー、甘味類などが人気のお店です。座敷席、テーブル席に開放感のある外席も完備しています。
そばの定番メニューは、二八そばの「多聞そば」(770円・税込)と、三七そばの「深大寺そば」(670円・税込)。どちらもボリューミーで、コシの強い麺と甘く濃いめのつゆがよくマッチしています。
また、そばがおいしいのはもちろん、界隈ではここだけの「そば雑炊」(1000円・税込)も人気。米のかわりにそばの実を使った珍しい雑炊で、カツオの風味豊かなだしで仕上げたそばの実はほろほろの食感。山菜とキノコがたっぷりで、カニの身がリッチな風味とうまみを、三つ葉が爽やかな余韻を演出します。
多聞 | ||
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住所 | : | 調布市深大寺元町2-37-4 |
電話 | : | 042-485-4043 |
営業 | : | 10:00~17:00 |
定休日 | : | 月 |
深大寺門前そば本舗:高コスパな薄緑のそばと、名物いなり
オレンジ色の看板とのれんが目印の「深大寺門前そば本舗」。深大寺からは少し離れた位置にありますが、リーズナブルにおいしいそばが食べられるとあって、客足の絶えない人気店です。
特徴的なのはわずかに緑色がかった麺。北海道産のそば粉に、クロレラの成分や抹茶などを加えて作られているのだそうで、すがすがしい風味が感じられます。定番の「門前もりそば」は460円(税込)。お揚げの中にそばがたっぷり入った名物「そばいなり」(1個70円・税込)も人気です。
ちなみに「そばいなり」は、5個350円(税込)でテイクアウトできるのも魅力。自分用にも、お土産用にもおすすめです。売り切れてしまうこともあるので、訪問時間にはご注意を。
深大寺門前そば本舗 | ||
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住所 | : | 東京都調布市深大寺東町8-2-5 |
電話 | : | 042-486-6048 |
営業 | : | 月曜~日曜11:00〜15:30 |
定休日 | : | 水 |
一休庵:香りにこだわった新鮮そばと自家製団子
深大寺の参道沿いにある「一休庵」。店先にはさまざまなテイクアウトメニューやお土産が並んでいて、大きな水車や職人さんのそば打ちの様子も目を引きます。ついふらりと立ち寄りたくなる雰囲気です。
自慢のそばは、自家製粉のそば粉と水だけで打つ十割そばに加えて、二八そば、九割そばの3種類。香りと鮮度をとことん追求したそばは、のどごしと甘みが格別です。「完全自家製粉石臼挽き手打ち 十割そば」(1030円・税込)は、そんな同店のこだわりをシンプルに味わえます。
食べ歩きには、そばの実が入った「自家製そば団子」(テイクアウト1本120円、店内1本130円、ともに税込)を。みたらしとごまだれを選べるのでお好みでどうぞ。
一休庵 | ||
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住所 | : | 東京都調布市深大寺元町5-11-2 |
電話 | : | 042-482-6773 |
営業 | : | 平日11:00~15:00(L.O.)、土日祝11:00~15:30(L.O.) |
定休日 | : | 月 |
深大寺そば きよし:京風だしのそばに、やわらかい鴨やニシン
1966年創業の老舗そば店が、代替わりを機に大幅リニューアル。職人が腕を振るうこだわりの絶品そばはそのままに、お品書きを一新しました。京風の流れを汲む板長による、だしの効いたつゆと、細打ちの二八そばは格別です。
おすすめメニューは、肉厚な鴨とうまみがしみ出たつけ汁で味わう「鴨せいろ」(1500円・税込)と、丁寧に半日じっくり炊き上げたニシンがのった「特製にしんそば」(1350円・税込)。手間をかけて仕込んだ食材たちは、ほろっとほぐれるほどやわらかく、風味豊かなそばとの相性は抜群です。
つい最近、世代交代したばかりの「きよし」は、歴史ある深大寺そばのお店にしては珍しく、サイトやSNSを頻繁に更新しています。季節ごとのメニューについても積極的に投稿しているので、最新情報を知りたい方は、あわせてチェックを。
深大寺そば きよし | ||
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住所 | : | 東京都調布市深大寺元町5-12-2 |
電話 | : | 042-483-3329 |
営業 | : | 11:00~18:00 |
定休日 | : | 月・火 |
歴史あるお寺、豊かな緑、日帰り天然温泉、そして絶品そば。深大寺は大人になるとあらためてそのよさがわかる、東京でも有数の癒しのエリアです。ぜひ皆さんも23区内の喧騒から少し距離をおいて、ゆったりとした大人の休日をお過ごしください。
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