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西村 愛
2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

最終日は松島をお散歩。蒸し暑さを一蹴するような青々とした苔の庭をゆっくり散策したり、原始林に囲まれるような体験ができる島を一周したりします。この日は濃霧で、松島湾に浮かぶ島々を眺めることはできませんでしたが、仙台中心地とは違う、のんびりとした時間を過ごすことができました。記事の最後では仙台で絶対買いたい!お土産スイーツ&パンをご紹介します。
松島をまわる三日目。赤い橋でつながる自然豊かな世界「福浦島」を楽しもう
仙台駅のラッシュアワーの中、朝から向かうのは松島海岸駅。電車では直通、40分ほどで到着します。
松島と言えば時代を超える普遍的な景勝地であり、一度は行ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。
「国宝瑞巌寺」に行ったことがある、「島巡り遊覧船」に乗ったことがあるという声は聞こえてきそうですが、今回向かうのは「福浦島」。大型バスなどで来る団体客の方や海外からのお客さんはあまりこの島に上陸しないようで、駅前の混雑と比較するととても静か。鬱蒼とした木々に囲まれていて島にいる感覚を一瞬忘れそうになる私を、波の音や遠くの船の汽笛が引き戻してくれる。そんなふしぎな体験ができる島なのです。
整備された遊歩道からは自然に群生するオオウバユリや幹をくねらせるアカマツの大木などを見ることができ、東屋やお堂などの見どころもあって島一周もあっという間。アップダウンはそう多くなく、ゆっくりと散策できますよ。

仙台駅から電車で松島海岸駅へやってきました。
福浦島へ渡るには252mの橋を渡る通行券が必要です。この日はあいにくの濃霧だったので、島を純粋に楽しむことにしました。

長―い橋!朱塗りの橋で軽いアーチがかかっています。この橋を渡るだけでもワクワクします。

ちなみに通行券は往復で200円。松島町出身の漫画家・手代木史織さんのイラスト入り。

福浦島の遊歩道はきれいに整備されていますが、天候によっては道が悪くなる場所もあります。

背の高い木々に囲まれ、木陰を進めるので涼しく感じます。豊かな植生を感じる深い森を歩いている感覚になれます。秋は紅葉が大変きれいだそうです!

弁財天。海が近いこの場所できちんと保存されていること自体が神がかり的です。歴史がありそうな社で存在感あります。

福浦島の中でも最も見ごたえがあるのがこの弁財天です。

小さく赤いぽつぽつは、ひとつずつが「だるま」。これは手前のお休み処やこの先の売店などで売っているだるまみくじです。ひとつひとつは小さいけれど、きちんと整列している様子は壮観です。

松島エリアは観光客で結構混みあっているのですが、ここ福浦島はとっても静か。遠くから聞こえる汽笛がなんだかロマンチック…。

オオウバユリ。ちょうどこの季節、群生したユリが花を咲かせていました。

少し小高くなった場所や島の突端には東屋や展望台があります。この日は濃霧だったので眺望は諦めました。しかしここからは松島湾全体を見ることはできないそうで、俯瞰してみる場合は「西行戻しの松公園」の展望台からが良いと教わりました。

そろそろ島も一周巡り。順路が書いてあるので誰でも迷わずにまわれます、というかほぼ一本道です。
何にも考えずにただ静かな林を散策する。鳥の声や木々のざわめきを感じる時間でした。
国内トップクラスの庭園美。枯山水、苔の庭、お寺には珍しいバラ園まである「臨済宗妙心寺派 円通院」
この旅の中でもまたいくつかの「お気に入り」ができましたが、ここもそのひとつ。心の底から清々しい気持ちになれる場所、円通院です。
まずは入口からすぐの手入れされた枯山水。枯山水は自分を映す鏡。じっと見つめていると「どう感じるの?」と問われるような気持ちになります。そこから続く丸窓。白砂の「明」から今度は緑の影「暗」の世界へゆっくりと誘われます。
そして左右の苔を見ながら飛び石を抜け、到着するのは国の重要文化財に指定されている「三慧殿」。伊達政宗の直系の孫にあたる「伊達光宗公」の霊廟です。
最後には華やかなバラ園。政宗公がヨーロッパに派遣した支倉常長が洋バラを日本に最初に持ち帰ったということ、また三慧殿内の厨子にもバラが描かれているということから、お寺としては珍しく、バラが植えられているのです。
様々な視覚的変化に揺さぶられることで、緊張の日常から解き放たれ、気持ちが自由になれる場所。心の最適化ができました。
臨済宗妙心寺派 円通院のお庭を拝観します。「ミシュラン観光ガイド」で二つ星を獲得した絶対に見るべきお寺です。

こちらのお寺の入口には見ごろを迎える植物の札が掛けられていました。こういう心遣いは素晴らしいですね。

山門をくぐり入ったところからもう素敵。この庭は遠州流であるということで、入る前から楽しみ。小堀遠州は全国に庭を残している当時の超人気庭師。本当に引っ張りだこだったんですね。
最初に見るのは枯山水。コンパクトではあるのですが、目の前に広がる白砂の文様を見て、心を落ち着けてからいよいよ庭へと進みます。

丸窓の奥に続く緑の小径。ここからは苔の庭となります。
緑の光に包まれるお庭。「静」の空間でした。

国の重要文化財「三慧殿」は奥に鎮座しています。後ろに山を背負い、木々に守られるようにして建っていました。

中には霊屋があり、外から見てもその煌びやかさ、豪華さが伝わってきます。

支倉常長が伝えたという洋バラにちなみ、また、霊屋にも描かれているという由縁でつくられたバラ園。バラ園を持つお寺は日本中くまなく探してもなかなか無く、オリジナリティを感じます。

最後にこけしをお供えしました。「縁結びこけし」です。

私は旅との縁を祈願しました。願い事と名前、日付を書いて、お願いして棚に納めます。

これからもたくさん旅ができますように。
仙台のカワイイを持ち帰り。むすび丸&仙台こけしアイシングクッキーとサブレをお土産に。
今回の旅の最後に立ち寄ったのは、焼き菓子屋さん「アトリエラフール」。
こちらのお店のオーナーの菅野さんは仙台でイベント出店やオーダースイーツでご活躍中のアイシングクッキー職人。アイシングクッキーはここ7~8年で日本にもすっかり浸透し、身近になってきました。しかし菅野さんはそれよりも前からその世界に携わっていらっしゃった、この道のスペシャリスト。オーダーや展示会への出店準備などでお店は3日しか開けられないということで、木・金・土のみの営業。仙台をモチーフにしたクッキーだけでなく、シンプルなバタークッキーやサブレなど、どれもセンスが良く仙台みやげとしてではなく日常的な手土産にも喜ばれそうです。
このおみやげをそっと手渡せば、誰もが笑顔になること間違いなしです。サクサクしっとりとした食感で、ティータイムにぴったりでした。

仙台で絶対買いたいお土産。「アトリエラフール」の「仙台サブレ缶」とアイシングクッキーです。

持って帰りやすい大きさで、手渡すのにもちょうど良いサイズ。仙台ゆるキャラ「むすび丸」と「仙台こけし」。

アイシングクッキーもとっても可愛く、色や形、完成度も高くて満足。気の利いたお土産になりました。

小さなお店に様々な焼き菓子が並ぶアトリエラフール。今回、購入したものは旅の前にあらかじめ予約していたものです。

お店のオープンは木・金・土。詳しくは公式サイトでご確認ください。

今回の宮城もとっても充実した旅になりました。
今回の宮城の旅は海・山・町をバランスよくまわりました。
宮城県は旅の形を自由に作りやすい、ひとり旅に向いている県だと思います。一点を深堀りすることもできるし、私のような欲張り旅も可能。魅力的な場所がまだどこかに眠っているかも!?と旅人の好奇心を煽ってくれる街でもありました。
旅は終わったばかりだけどこの旅でまだまだやり残したことがあるので、リピート宮城旅、してみたいです!
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