福井県中央、越前地方にある鯖江市は、日本一のめがね産地として知られるものづくりのまち。
駅前の「めがねストリート」や「めがねミュージアム」、工場が集まる神明エリアを歩けば、精緻な手仕事と遊び心が街に息づきます。さらに越前市では、伝統技術を結集した越前箪笥の工房で、緻密な木工や漆塗り、鉄金具の装飾など職人技の奥深さを体感。100年の歴史を刻む北府駅の木造駅舎や古い列車に触れながら、福井の歴史を感じる旅を楽しみました。
画像: 福井ディープ探訪 ~鯖江と武生を巡る、福井鉄道沿線のものづくりと街歩き

西村 愛

2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎(実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典(PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

鯖江といえば“めがね”。モチーフがあふれる楽しい街

鯖江と聞けば、誰もが思い浮かべるのは「めがね」。
鯖江市は、日本一のめがねの産地として知られています。鯖江駅に降り立った瞬間から、その世界は静かに旅人を迎えてくれます。
鯖江駅に降り立つとまず目に飛び込んでくるのは、思わず写真に収めたくなる大きなめがねのモニュメント。その瞬間から、一気にめがねの世界観に引き込まれます。駅のホームのベンチや看板、そして、通りや街角、ちょっとしたオブジェにまでめがねのモチーフがあふれています。歩くだけで、めがねの街ならではの遊び心と独特の雰囲気を感じられ、旅の気分が自然と盛り上がります。この通りは、「めがねストリート」と名付けられ、「めがねミュージアム」まで続いています。

「めがねミュージアム」は、鯖江のめがね産業が根付いた頃から現在に至るまでの歴史をわかりやすく紹介するスポットです。展示やショップを通じて、めがねづくりの背景や鯖江のものづくりの魅力に触れることができます。めがね初心者でも気軽に楽しめる、やさしい工夫がうれしいです。
館内にある「めがねSHOP」には、福井・鯖江で製造されためがねがストックを含め約3,000本そろっています。バリエーションも豊富で、きっとお気に入りの一本に出会えるはず。

2024年にスタートした「めがね de コラージュ」は、プラスチックフレームに使用されている生地を使ってオリジナルチャームを作るプログラムです。
めがねの形をしたパーツや、カラフルな丸や三角のモチーフを自由に組み合わせ、自分だけの小さなアートを仕上げていきます。かわいらしいデザインと、想像力をかき立てる創作の楽しさが魅力。写真映えも抜群で、旅の思い出になること間違いなしです。
さらに、1日をかけてメガネフレームを作る体験も用意されています。自作のめがねを作ってみたい、素材の色から、形から選んでみたいという方は、ディープな体験をしてみてはいかがでしょうか。

そして、この街を支えているのは、長い歴史に培われた精緻なものづくりの技。海外の工場では真似できない、日本ならではの高い技術が息づいています。
その背景をもっと知るため、次に向かったのは鯖江市・神明地区。
次の章では、工場併設のファクトリーショップで、さらに深く“めがねの世界”に浸ります。

めがねミュージアム

住所福井県鯖江市新横江2-3-4 めがね会館
電話番号0778-42-8311
営業時間めがねSHOP 10:00~19:00
体験工房/めがね博物館/SabaeSweets 10:00~17:00
MUSEUM CAFE 10:00~16:00
定休日毎週水曜日・年末年始(水曜が祝日の場合は営業)
公式サイトhttps://www.megane.gr.jp/museum/

新・めがね聖地に認定!「神明エリア」職人によるめがねづくりの真髄を訪ねて

めがねの世界をより深く体験したいなら、“ファクトリーショップ巡り”がおすすめです。
国内シェア90%を誇る鯖江には、フレームやレンズ、関連事業所が約500社前後、市内各地に点在しています。
その中でも、職人の工房や老舗メーカーが集まるのが神明エリアです。
ここはもともと歩兵第36連隊の駐屯地でしたが、部隊が退いた後に工場地として整備され、やがてめがね産業が発展していきました。めがね産業の歴史を経た神明は、今も職人たちの技と情熱が息づく町です。
現在では、工場敷地に併設された直営ショップなども増えてきました。職人の技が光る製品を手に取りながら、専門家と話して自分に合った一本を選ぶことができます。
この神明エリアでのファクトリーショップ巡りこそ、めがねの街・鯖江の魅力を最も体感できるスポットと言えるでしょう。

レンズメーカー「乾レンズ」が運営する「レンズとカフェ LensPark(レンズパーク)」では、“光学の世界”に触れながら、心地よい時間を過ごすことができます。
ここでは、見た目のデザインだけでなく、日々の暮らしに合わせた快適さも重視したレンズ選びが魅力。視力の矯正はもちろん、UVカットや見え方の心地よさなど、生活環境に合わせた提案を専門スタッフが丁寧に行ってくれます。
窓から自然光が差し込む明るい店内では、国産レンズならではの品質をじっくり体感。屋外テラスで実際の見え方を試すこともできます。
さらに、併設のカフェでは香り高いコーヒーを片手にひと休み。ソフトクリームに小さなめがねが添えられるなど、遊び心のある空間づくりも魅力です。

ミュージアムでは幅広いブランドを見比べられる楽しさがありますが、工房直営のショップでは、その企業が積み重ねてきた技術と美の感性に触れられます。
その魅力を体感できるのが、鯖江を代表するデザイン企画会社「ボストンクラブ」です。
直営店は約8年前にオープン。「ボストンクラブビル」1階のショップは入口にめがねをかたどったアイアンアート、天井には越前和紙が使われるなど、細部にまで洗練されたセンスが行き届いています。
2階のジャポニスムミュージアムでは、ブランド「JAPONISM(ジャポニスム)」のコレクションや製造工程を展示。日本の職人技でしか成し得ない繊細な加工や、フレームが完成するまでの工程を通して、めがねづくりの奥深さを実感できます。
3階には試作用のラボもあり、企画・デザイン会社として自ら検証を重ねて理想を追求する姿勢が伝わります。
美しい空間を巡りながら、鯖江の“めがねづくりの魂”に出会える場所です。

1章で紹介した「めがねミュージアム」、本章の「ファクトリーショップ」の両方を訪ねることで、鯖江がなぜ“めがねの聖地”と呼ばれるのか、その理由が実感できるはずです。
街を歩き、工房を巡り、実際に手に取る。そんな体験こそが、これからの鯖江めがね旅の楽しみ方だと思うのです。

レンズとカフェ LensPark(レンズパーク)

住所福井県鯖江市丸山町1-3-31(乾レンズ内)
電話番号0778-52-7977
営業時間10:00~19:00(カフェL.O.16:30)
定休日火曜日
公式サイトhttps://lens-park.com/
インスタグラムhttps://www.instagram.com/lenspark_sabae/

BOSTONCLUB SHOP SABAE

住所福井県鯖江市三六町1-4-30
電話番号0778-52-0890
営業時間10:00~19:00
定休日水曜日
公式サイトhttps://bostonclub.co.jp/

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