2026年3月、JALグループは新たなブランドスローガン「Soaring Together」を発表しました。航空業界を取り巻く環境や人々の価値観が大きく変化するなか、JALグループが思い描く未来の社会の実現に向けて策定しました。発表に先立つ2024年、客室乗務員などのキャリアを経て、代表取締役社長に就任した鳥取三津子が、スローガンに込めた強い決意と、旅の本質的な魅力について、自ら語ります。

偶然の出会いが教えてくれた、航空会社の側面

飛行機に乗ったとき、見知らぬ土地に出かけたとき、予期せぬ出会いが旅の体験を豊かにすることがあります。JAL社長・鳥取三津子も、客室乗務員時代から何度も経験してきたと振り返ります。機内という特別な空間でお客さまと重ねてきた対話こそが、今につながる大きな糧になっているそうです。

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鳥取「あらためて思うことがあります。それは、旅が持つ力と、旅を通じてお客さまとどう向き合うかということです。私が客室乗務員として乗務をしていたころ、何よりも思い出深いのが、偶然の出会いでした。学生時代の恩師に思いがけず再会することもあれば、高校時代の友人と機内で巡り合うこともありました。また、お客さまとの会話から、深い感銘を受けることも珍しくありませんでした。

これらはすべて、お客さまが旅に出ていただいたからこそ生まれる出会いといえます。こうした経験を幾度も重ねるなかで、飛行機とはお客さまを目的地へ運ぶ移動手段にとどまらず、一人一人の人生を豊かに彩るためのパートナーであるべきなのだと確信するようになりました」

自身の経験でも実感できた、旅の持つ多様な価値観

お客さまをお迎えする立場としてだけでなく、鳥取自身が旅人として重ねてきた数多の旅の記憶のなかから、若いころに訪れた異国の景色とそこでの気づきは、今も大切に温めている原体験だといいます。

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鳥取「旅の記憶も、私にとって大切な財産です。30代前後のころ、あえて事前の宿も決めずにオーストリアやイタリアへ一人旅に出かけたことがありました。ピアノを習っていた経験があり、音楽の源流に触れる体験がしたかったのです。気の向くままに街を歩き、そこで偶発的に出会う音楽や人々の温もりに触れる。ウィーンの少し冷たい雨のなか、音楽家たちの足跡を訪ねたときの情景は、今でも色あせることなく心に深く残っています。

旅の面白いところは、同じ目的地を訪れたとしても、人によって見ている景色や楽しみ方がまったく異なる点にあります。イタリアで私が歴史的な建造物に思いを馳せているとき、旅先で偶然出会った同僚は、ショッピングを心から楽しんでいました。旅には、それぞれの価値観の違いに基づいた多彩な楽しみ方があるのです。そんな経験は、その後の乗務や今の仕事のなかでも、多様性を意識できることにつながっているように思います」

現場で脈々と受け継がれる、チームワークと機転

日々のフライトを支えているのは、安全を第一としながらもお客さま一人一人の状態に寄り添う現場のチームワークです。機内や地上で発揮されるこまやかな気配りと組織力は、JALグループが誇りとしている強みでもあります。

鳥取「社長という立場になってから、JALの機内でスタッフのチームワークを目にするたび、私自身も深く心を打たれます。運航乗務員、客室乗務員、整備士や地上関係部門との綿密な情報共有はもちろんのこと、その日、その便にお乗りいただいているお客さまの状況に応じた機転と工夫が至るところで発揮されているからです。

たとえば、夜間や早朝などお休みになる方が多い時間帯には、機長のアナウンスのトーンや内容を調整するなど、マニュアルを超えたこまやかな配慮が自然となされています。また、天候不順などの不測の事態が発生した際におけるチームの結束力にも頼もしさを感じます。限られた人数のスタッフが知恵を絞り、どうすれば課題を解決してお客さまに安心をお届けし、ご満足いただけるサービスをお届けできるか。一致団結して迅速に対応するこの一体感こそが、JALグループが持つ大きな強みだと自負しております」

新ブランドスローガン「Soaring Together」に込めた決意

2026年3月、JALは新たなブランドスローガン「Soaring Together」を発表しました。この言葉には、お客さまの心がそっと上向き、その想いを後押しするパートナーでありたい、という強い決意を込めています。

画像: 新ブランドスローガン「Soaring Together」に込めた決意

鳥取「ブランドスローガン『Soaring Together』は、これからのJALグループが歩むべき方向性を示す決意表明です。このスローガンが生まれた背景には、私がカスタマー・エクスペリエンス本部に在籍していた時代から抱いていた問題意識があります。従来のJALには、お客さまのご要望に対して、社内のロジックや規定に沿って対応する傾向がありました。しかし、本来最も重視されるべきは、徹底したお客さま視点です。複雑な仕組みを一方的にお届けするのではなく、シンプルで分かりやすいコミュニケーションを交えてお応えする。そうした根本的なアプローチの転換が必要だと感じておりました。

さらに、コロナ禍を経て人々の生活様式や価値観は大きく変化しました。もはやご用意したサービスをお届けするような一方通行の姿勢では、多様化するお客さまのニーズにお応えできません。お客さま一人一人が抱く想いや背景にしっかりと寄り添い、深く共感することが求められているのです。

スローガンにある『Soaring』には、航空機が高く飛び立つという意味だけでなく、お客さまの心がそっと上向くように、お気持ちや挑戦を後押しし、前向きな変化をもたらす存在でありたいという願いを込めています。そして『Together』には、お客さまはもちろんのこと、地域・社会、そして社員同士が一丸となって共に歩んでいくという姿勢を表しています」

旅のみならず、前後の日常まで。あらゆる接点でお届けする新しい価値

フルサービスキャリアとしての伝統を守りながらも、JALグループは今、事業の領域を大きく広げています。デジタル領域や地域創生といった新たな接点を通じ、移動のひとときだけにとどまらない体験価値の創出を目指しています。

画像: 旅と学びを掛け合わせた地域体験プログラム「旅アカデミー」の一幕

旅と学びを掛け合わせた地域体験プログラム「旅アカデミー」の一幕

鳥取「『Soaring Together』に込めた想いは、現在、さまざまな事業やサービスとして形になりつつあります。これまで培ってきたフルサービスキャリアとしての品質はもちろんのこと、通信サービスの『JALモバイル』といった新規事業や、地域の皆さまと手を取り合った地方創生・地域共創の取り組みなど、さまざまな場面でお客さまとの接点が生まれています。

かつてJALグループに課された最大の使命は『定時に、安全かつ快適にお客さまを目的地へお運びすること』でした。その責務の重要性は現在も変わりません。しかし、現代において私たちの役割はそれだけにとどまらないと考えております。

移動手段としての基本品質を維持することに加え、その旅や移動を通じて、お客さまの人生を豊かにするお手伝いに注力する。旅の計画を立てる段階から、機内でのひととき、目的地での体験、さらには日常の暮らしに至るまで、あらゆるタッチポイントでお客さまに寄り添い続けること。これこそが、私たちが目指す新しいJALグループの姿です」

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鳥取「直接現地を訪れる旅には、デジタル上の画面越しでは決して味わえない、五感をくすぐる圧倒的な情報量があります。その土地の空気、言語の響き、街の色調、行き交う人々の活気。それらすべてを全身で受け止めることで初めて得られる、学びや気づきが存在するのです。異文化を肌で感じ、自分の常識が揺さぶられる経験は、キャリアや人間的な成長においてかけがえのない糧となるはずです。

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