旅行先として不動の人気を誇る沖縄県。気軽に海外のような非日常を味わえるリゾート地として、常に旅行客で賑わっています。リッチやゴージャスな沖縄旅も魅力ですが、本記事では少しだけ視点を変え、沖縄に暮らす「ひと」に会いに行く旅をご提案。自然豊かな地を、伝統ある文化を残そうと、世界へ沖縄の魅力を発信するひとに「いま会いに行く」体験は、旅から帰ったあとの日々の暮らし、ひいては生き方に豊かな彩りを与えてくれることでしょう。

南部エリア:精神文化が息づく島の玄関口で、いま会いに行く。

最後にご紹介するのは、旅の玄関口である那覇空港のある沖縄本島南部エリア。この地は悠久の歴史を誇る沖縄本島の顔とも言え、戦争の惨禍を伝える施設や自然と精神文化が息づく美しい佇まいのスポットが点在しているエリアでもあります。「国際通り」や「公設市場」など、魅力的な観光名所が至る所にある中で、ここでは古都の趣も併せ持つ島の中心地を巡ります。

首里城を通して琉球の歴史を知る

画像1: 首里城を通して琉球の歴史を知る

那覇空港から車で東に20分。小高い丘を上っていくと見えてくるのが琉球王国の政治・外交・文化の中心地として機能していた首里城です。現在は首里城公園としてその姿が守られ続けています。2022年からは、解説員が公園内を案内する「首里城60分 ぐるっとツアー」が開催され、人気を博しています。

画像2: 首里城を通して琉球の歴史を知る

取材時にガイドを務めていただいたのは根岸亮弥さん。埼玉県出身で会社員として務めていましたが、2022年3月から首里城公園管理センターの職員へと転職しました。

根岸さん「もともと大学で歴史を専攻して勉強していたので、それを活かせる場所がないかと思っていた矢先、首里城公園の募集に偶然目が留まりました。沖縄はもともと旅行で遊びに来ていて好きな場所だったので、せっかくならやってみようと決意し、そのまま飛び込んできました」

画像3: 首里城を通して琉球の歴史を知る

ガイドツアーが始まり、まず目に飛び込んでくるのが守礼門(しゅれいもん)。守礼とは「礼節を守る」という意味で、門に掲げられている守礼之邦(しゅれいのくに)と書かれた言葉は「琉球は礼節を重んずる国である」という意味だそうです。

根岸さん「琉球王国時代、ここ首里は王府としての首都に当たる場所で、首里城は国王の仕事場だったり、当時関係の強かった中国からの客人を迎え入れる接待の場所だったりと、国の中心ともいえる場所でした。明治の廃藩置県の後は、琉球の王は追い出されて日本軍の施設として使われていたのですが、その関係で第二次世界大戦の沖縄戦で首里城は公園周辺すべて更地になるまで破壊されました。現在の門は1958年(昭和33年)に復元されたもので、その後今日まで沖縄を象徴する観光施設として利用されています」

画像4: 首里城を通して琉球の歴史を知る

続いて、園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)。琉球石灰岩で造られた建造物で、国王が外出するときに安全祈願をした礼拝所なのだそう。

根岸さん「琉球の石造建造物の代表的なもので、1933年に国宝に指定されたのですが沖縄戦で一部破壊され、1957年に復元されました。現在、国の指定重要文化財となっており、2000年には世界遺産へと登録されました」

画像5: 首里城を通して琉球の歴史を知る

こちらは、久慶門(きゅうけいもん)。通用門として主に女性が利用したといわれています。創建は1477~1526年といわれ、1983年に復元されました。立派な石積みの城壁は、上部は綺麗に整地されていますが、下部の方は王国時代の石積みがそのまま残っているので、そういった違いを見るのも面白いと根岸さんは言います。

画像6: 首里城を通して琉球の歴史を知る

さて、首里城といえば2019年に発生した火災全焼が記憶に新しいです。10月31日未明に正殿内部から発生した火災により、正殿をはじめする9施設が焼失しました。

根岸さん「火災当時、地元からは悲しみの声が多く上がりました。県民にとってはまさに“琉球の象徴”的な存在だったんですね。首里城火災から3年が経過した現在、木材倉庫と原寸場のふたつの建物が2022年9月30日に完成しました。これで、ようやく首里城正殿を作るための建物ができたという段階です」

画像7: 首里城を通して琉球の歴史を知る

根岸さん「最終的な正殿の完成は、2026年を目指しています。自分たち職員としても復興工事が着々と進んでいく様子を毎日見ていて、これからどんな工程を経て進んでいくのかワクワクしており完成の姿が楽しみでなりません。また、木材倉庫と原寸場は正殿の完成とともに去る建物となります。今しか見られない歴史の一部ですので、ぜひそういった部分も見てもらいたいと思っています」

首里城公園管理センター

住所沖縄県那覇市首里金城町1-2
電話098-886-2020
webhttps://oki-park.jp/sp/shurijo/

海と歴史を守っていく、サンゴ染め体験

首里城公園から歩くこと5分。首里城の中山門跡地に、沖縄を代表する伝統的な染色技法・紅型(びんがた)とサンゴを用いた、「サンゴ染め」という独自染技法で新たな商品を生み出している染め工房「首里琉染」がお店を構えています。

画像1: 海と歴史を守っていく、サンゴ染め体験

現在、代表を務めるのは大城裕美さん。京都で生まれ育ったのち、10代で沖縄へ。創設者である父からバトンを受け継ぎ、二代目として20年近くにわたってお店を守り続けています。

大城さん「ここは、500年の歴史を持つ紅型の復興と染色技術の発展・伝承を目的として、昭和48年に創られた沖縄で初めての草木染紅型研究所です。京都で天然染料や草木染めの第一人者として活躍した、染色作家である先代の山岡古都により創設されました。そして、沖縄らしいものを開発したいということで、サンゴを用いたサンゴ染めという染色技法を新たに生み出しました。その歴史も、45年くらいになります」

現在獲ることは禁止されていますが、45年前の当時に浜に打ち上げられ死んでしまったキクメイシサンゴの断面を用いて染色を行います。自然が作り出した大小さまざまな神秘的な形のサンゴの断面を組み合わせて染色することで、特徴あるデザインを生み出しています。

大城さん「なかなか普通では見られないような大きなサンゴも置いてあります。現在はサンゴの採取は法律により禁止されているので、当時からの石を大切に使い続けています。内閣府も、その当時のものだから応援できるということで、地域資源にも認定いただきました」

画像2: 海と歴史を守っていく、サンゴ染め体験

「多くの方に沖縄の文化を体験してほしい」という想いから、全国で唯一のサンゴ染め体験や工房見学にも力を入れて取り組んでいます。工房の天井に張り巡らされているのは、着物の布地。一反分の長さに設計され、作業台になっています。機能的で、かつ素敵な空間です。

大城さん「今、着物が大変高価なので着る方がどんどん減っていますが、若い方々にもっと気軽に着物を着てもらえるような新たな取り組みを模索しています」

サンゴ染め体験は毎日行っており、最大40名まで体験をすることができるそうです。Tシャツやトートバッグなどお好みのアイテムから1点を選び作業開始。所要時間は50分程度で作品が完成します。子どもからご年配まで簡単に幅広く楽しめ、その場で持ち帰ることができるので、旅の思い出作りになることは間違いありません。

大城さん「サンゴには幸せを呼ぶ石として、子孫繁栄などご利益があるといわれています。首里琉染が所有している貴重なサンゴを使って、お客さまの感性で染めていっていただきます。スタッフ指導のもと取り揃えられた大小さまざまなサンゴを組み合わせ、タンポと呼ばれる染め道具に色とりどりの染料を含ませて染め上げていきます」

画像3: 海と歴史を守っていく、サンゴ染め体験

大城さんは、染め物を通して人と人との縁を繋ぎ、次世代へとその歴史を紡いでいきたいと語ります。

大城さん「現在使っている染料はすべて環境にやさしいもので作られているので、海に流れてもサンゴなどの生物に悪影響を及ぼすものでありません。沖縄はサンゴに囲まれている島。そんな場所でサンゴの染め物を行っているので、環境にも配慮したものを作り続けていきたいです。そして、次の世代の方々にも染め物の文化や歴史を伝えることで、沖縄の素晴らしさを伝えていきたいと思っています」

首里琉染

住所沖縄県那覇市首里山川町 1-54
電話098-886-1131
営業時間9:00~18:00
定休⽇無休
webhttps://www.shuri-ryusen.com

2022年11月18日、JALは東京(羽田)-沖縄(那覇)路線にて「みんなで行こう、サステナブルな未来へ。JAL2030 サステナブルチャーターフライトで行く沖縄」を実施しました。JALは人をつなぎ、未来につながる、より豊かな空の旅を目指していきます。
https://www.jal.co.jp/domtour/oka/charter_sustainable/index.html

〈沖縄県感染防止対策認証制度について〉

画像4: 海と歴史を守っていく、サンゴ染め体験

沖縄県では、事業者が実施する感染防止対策について県が認証する制度を設けています。県の定める感染防止対策に係る基準をすべて満たした店舗には、写真にあるように「認証ステッカー」を交付。県民及び来訪者が安全に安心して対象施設を利用できるようにし、「安全・安心の島沖縄」の形成に取り組んでいます。本記事で取り上げているすべての施設において、対策を実施しています。

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画像5: 海と歴史を守っていく、サンゴ染め体験

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