熊本県の中央付近に位置する八代市(やつしろし)は、海から山まで広大な面積を誇る、熊本県で2番目に人口の多い都市です。市内山間にある、生姜の産地として有名な東陽町を中心に、いたるところに「めがね橋」をはじめとした石橋があり、ノスタルジックな景色が残っています。

そんな石橋と史跡、それらを作り上げた石工(いしく)たちのストーリーは、令和2年6月に「八代を創造した石工たちの軌跡~石工の郷に息づく石造りのレガシー~」として日本遺産にも認定されています。その歴史や先人たちの偉大さに触れると、街の魅力に深く気づけるはず。石橋をめぐるおすすめのモデルコースと、八代を訪れたならぜひ訪れてほしい観光スポットをご紹介します。

画像1: 熊本県八代市で日本遺産めぐり。近代化へのロマンが残る街の魅力をひもとく

※価格は税込み表記です。

八代の魅力凝縮! 日本遺産をめぐるモデルコース

「石匠館」で石工が八代にもたらした技術とその価値を知る

まずは八代の石工の歴史を知るべく、八代市東陽町にある「石匠館(せきしょうかん)」を訪問しました。国内でも珍しい、石橋と石工専門の資料館です。

画像1: 「石匠館」で石工が八代にもたらした技術とその価値を知る

この地域はかつて「種山」と呼ばれており、江戸時代末期から昭和初期にかけて、この地で技を磨いた石橋づくりの職人「種山石工(たねやまいしく)」たちが、さまざまなめがね橋を架けるなどして各地で活躍。この館では、その歴史やめがね橋の構造を知ることができます。

画像2: 「石匠館」で石工が八代にもたらした技術とその価値を知る

館内には、代表的な石工、岩永三五郎・橋本勘五郎らの紹介や貴重な資料が展示されています。明治以降、日本全国で石工たちの技術が求められ、東京の「神田万世橋」や熊本にある日本最大級の石造水路橋「通潤橋(つうじゅんきょう)」といった、全国各地のめがね橋が彼らによって建造されることとなり、日本の近代化を支えるに至りました。全国に最大で2,000基以上あっためがね橋の4分の1に、八代の石工が関わったとされています。

画像3: 「石匠館」で石工が八代にもたらした技術とその価値を知る

石工が体を鍛えるため、現代のダンベルのように使っていた力石の重さはなんと120kg。彼らの技術は、めがね橋づくりだけでなく、昔は平地が少なかった八代の地に広大な干拓地を造成する際にも活躍したのだそうです。

画像4: 「石匠館」で石工が八代にもたらした技術とその価値を知る

めがね橋がどうやって作られ、なぜ丈夫なのかを、模型を使って体感することもできます。本物は、石のパーツ1個あたり750kg~2.5tの重さ。これらの石を人力で積む技術は、現代よりも当時の職人たちの方が高いのだそうです。

画像5: 「石匠館」で石工が八代にもたらした技術とその価値を知る

50kgの石をどうやって運ぶかも体験。下に滑り摩擦用の丸太を敷くと、楽々動かせるのが不思議です。

画像6: 「石匠館」で石工が八代にもたらした技術とその価値を知る

見るだけでなく体験も交えながら、八代の地に豊かさをもたらした石工たちの軌跡と、その技術の素晴らしさを学ぶことができます。

石匠館(せきしょうかん)

住所熊本県八代市東陽町北98-2
電話0965-65-2700
営業時間9:00~16:30(入館は16:00まで)
定休⽇月曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
料金大人310円
高・大学生200円
小・中学生100円
webhttps://www.city.yatsushiro.lg.jp/kankou/kiji003102/

職人たちの傑作。ロマンを感じる石橋めぐり

のどかな景色が広がる八代市東陽町には、今も21の石橋が現存しています。

画像1: 職人たちの傑作。ロマンを感じる石橋めぐり

優れた石工によって作られためがね橋は耐久性がことのほか高く、最長で約200年間、熊本地震や令和2年7月豪雨など数々の自然災害も乗り越えています。徒歩で散策できるエリアにもあるので、石匠館で石橋について知ったら、タイムトリップ気分で回ってみましょう。石に命をかけた石工たちのロマンや力強さが感じられるでしょう。

画像2: 職人たちの傑作。ロマンを感じる石橋めぐり

石匠館から徒歩10分ほどの場所にある「鍛冶屋上・中・下橋」(写真は中橋)。長さわずか4.36m程度で、形が切りそろえられていない自然石で作られた小さな石橋です。1800年頃に作られた八代で最も古い橋で、石橋作りの練習も兼ねてかけられたとの逸話が残っています。

さらに15分程歩き、石工に縁のあるパワースポットも訪問。「白髪岳天然石橋」は、石工が作ったものではなく、阿蘇から飛んできた凝灰岩が風化して自然にできたものだといわれています。石工たちはこのアーチ状の形状を見てめがね橋を発想したとの伝説も残っているとか。

画像3: 職人たちの傑作。ロマンを感じる石橋めぐり

近くの「菅原神社」には、石工が作った「ひねり灯籠」があります。このひねりの形状が、職人の技術の高さを示しています。

さらに、車で周遊しながら石橋めぐり。下を流れる川の水の美しさにもうっとりしてしまいます。

画像4: 職人たちの傑作。ロマンを感じる石橋めぐり

町で一番大きな「笠松橋」は、明治時代に架けられ、現在も地域の人々が使う現役の石橋。周辺は公園として整備され、四季折々の景色も魅力です。

画像5: 職人たちの傑作。ロマンを感じる石橋めぐり

実際に上を歩いてみたり、下からのぞき込んでみたりすると、石工が手作業で刻んだ無数のノミ加工の跡まで見えて、時代の流れに思いを馳せてしまいます。

石工たちが趣向を凝らして作ったさまざまな石橋のストーリーを知ると、何気なく渡っていた橋にもなんだか愛着が湧いてくるのでした。

「東陽交流センターせせらぎ」で「石工の郷」の食を味わう

散策でお腹が空いたら、「道の駅 東陽」内にある「東陽交流センターせせらぎ」で地元の美食を堪能しましょう。

画像1: 「東陽交流センターせせらぎ」で「石工の郷」の食を味わう

同センターは、地元の新鮮な農産物や、東陽町の名産品・生姜やその加工品がそろう物産館をはじめ、レストランや源泉かけ流しの温泉施設を備えます。

画像2: 「東陽交流センターせせらぎ」で「石工の郷」の食を味わう

石橋めぐりとあわせてぜひ味わいたいのが、2023年1月に登場した「かけはしカレー」(980円)。ご飯とカボチャをめがね橋に、2色のカレーをその麓を流れる川に見立てています。東陽町名物の生姜を使ったカツや漬物、さらにデザートの生姜ソフトクリームもセットに。

画像3: 「東陽交流センターせせらぎ」で「石工の郷」の食を味わう

さらに、生姜づくしの「生姜御膳」(1,600円、温泉入湯券付き)もおすすめ。手作り生姜味噌でいただく生姜の串揚げやカツ、生姜グラタン、生姜焼き、生姜の佃煮、生姜ソフトクリーム……とまさに生姜のフルコース。体の芯から温まりそうなおいしさです。

東陽交流センターせせらぎ

住所熊本県八代市東陽町南1051-1
電話0965-65-2112
営業時間【レストラン】平日11:00~15:00、17:00~21:00(L.O.19:30)/土日祝11:00~21:00(L.O.19:30)
【お土産処】9:00~17:00
【農産物直売所】7:30~18:00
【温泉】10:00~20:00
定休⽇水曜(祝日の場合は翌日)
webhttp://www.toyo-seseragi.com/

「八代城跡」の堅牢な石垣に、石工の風土を感じる

八代市中心部にある、国指定史跡「八代城跡」でも石工の優れた技術を体感できます。元和8(1622)年に熊本藩の城代家老・加藤正方が築城した八代城。当時のまま残っている石垣には石灰岩が多く使われており、白く輝く姿から「白鷺城」の異名も付けられています。

画像: 「八代城跡」の堅牢な石垣に、石工の風土を感じる

この石垣のほとんどが自然石を積み上げた「野面積み」で、強度が必要な角の部分は精巧に削り出された巨石を互い違いに組む「算木積み」で作られています。じっくり観察すると、計算された緻密な技術を垣間見ることができるでしょう

国指定史跡 八代城跡

住所熊本県八代市松江城町7-34
電話0965-33-4533(八代市文化振興課)
webhttps://www.city.yatsushiro.lg.jp/kankou/kiji003387/index.html

海辺のパワースポット「水島」にも石工の名残が

八代市街地から八代海の方へと約5km移動すると、球磨川の河口近くに小さな島のほこら、「水島」が見えてきます。石でできた小さな島で、島内には龍神社もあります。

日本書紀や万葉集の歌にも登場する歴史ある景勝地で、その昔、景行(けいこう)天皇がこの地で食事をする際に飲み水がなかったため、神に祈ったところ水が湧き出したという伝説が残っているパワースポットです。

2009年には「不知火及び水島」として国指定名勝に指定されています。

画像1: 海辺のパワースポット「水島」にも石工の名残が

西側に開けていることから、特に夕陽の時間帯の美しさは圧巻です。周囲200m程度のこの島は石灰岩でできており、石工たちがここで石の切り出しなども行っていたとされています。

画像2: 海辺のパワースポット「水島」にも石工の名残が

島へと降り立つと、石工のノミの跡や、切り出し途中の石灰岩を見つけることができます。

画像3: 海辺のパワースポット「水島」にも石工の名残が

静かで神聖な雰囲気が漂うこの場所を訪れると、悠久の時の流れを感じられます。

水島

住所熊本県八代市水島町2259
電話0965-33-4533(八代市文化振興課)
webhttps://www.city.yatsushiro.lg.jp/kankou/kiji003311/

八代の知られざる魅力を堪能できるおすすめスポット

八代名産・い草で「ミニ畳作り」に挑戦

八代市は、畳表の材料となる「い草」が特産で、全国の生産量の約9割を占めています。干拓事業成功によってもたされた平野が、ミネラル、微量要素、天然肥料などを多く含んだ土地で、い草の栽培に最良の環境だったことから盛んに栽培されるようになりました。八代の発展に寄与したとして、い草も日本遺産の構成文化財に登録されています。

そんな八代産い草の魅力を体験できるのが、「ミニ畳作り体験」です。

画像1: 八代名産・い草で「ミニ畳作り」に挑戦

訪れたのは、「イナダ有限会社」。もとは畳表を縫う糸の製造を行っていた会社ですが、八代産畳の魅力を広めるために、い草の自家栽培や「食べるい草」の製造、さらに畳の体験などにも取り組んでいます。こちらで、好みの畳縁を使ったマイ畳を作ることができます。

画像2: 八代名産・い草で「ミニ畳作り」に挑戦

まずは、歴史や機能性などい草についてのお話と畳の仕組みを教えてもらいます。

画像3: 八代名産・い草で「ミニ畳作り」に挑戦

いよいよ制作スタート。い草の心地よい香りに包まれながら、畳を土台にしっかり打ち付けていきます。

画像4: 八代名産・い草で「ミニ畳作り」に挑戦
画像5: 八代名産・い草で「ミニ畳作り」に挑戦

好みの柄の畳縁を選んで、きれいに貼っていくと、完成! 可愛く仕上がりました。思いのほか簡単に、本格的なミニ畳を作ることができました。何を飾ろうかワクワクしてしまいます。

画像6: 八代名産・い草で「ミニ畳作り」に挑戦

体験終了後は、自家栽培のい草をパウダー化して使った「たたみアイス」と、い草を練り込んだ「い草そうめん」をいただきます。畳の材料としてだけではなく、栄養価の高い“和のスーパーフード”としても注目されている、い草。ジャージー牛乳を使ったアイスは、優しい抹茶味のような大人のおいしさ。そうめんはモチモチ、ツルツルの食感が魅力です。

他にも店内には、い草のお茶やふりかけ、プロテインドリンクなどが並び、い草の可能性を感じる空間でした。

イナダ有限会社

住所熊本県八代市鏡町内田438-2
電話0965-52-0656
営業時間9:00~17:30(土曜は~17:00)
定休⽇日曜・祝日(ただし、「ミニ畳作り体験」予約のある日は9:50~16:00営業)
料金ミニ畳作り体験:1人3,300円(い草と畳の講話、い草茶・い草アイス・い草そうめん試食付き)
※前日までに要予約
※予約は1名~受付
webhttps://e-igusa.com/

「お祭りでんでん館」で八代の豊かな民俗文化に触れる

八代のお祭や芸能などの民俗文化に楽しく触れることができるスポットが、「八代市民俗伝統芸能伝承館」、通称「お祭りでんでん館」です。

画像1: 「お祭りでんでん館」で八代の豊かな民俗文化に触れる

八代では、迫力の笠鉾がめぐる「八代妙見祭」(ユネスコ無形文化遺産登録)をはじめ、神楽、棒踊り、女相撲など豊かな芸能文化が昔から各地に伝えられています。それらの魅力を一堂に集めて展示してあるこの施設は、いつでもお祭や芸能の楽しさを感じることができます。

画像2: 「お祭りでんでん館」で八代の豊かな民俗文化に触れる

展示棟の「お祭り体感シアター」では笠鉾の展示も(時期によって展示内容が変わります)。さらに、巨大スクリーン3面による大迫力の映像で、躍動感溢れる祭の映像を楽しめます。時期によってさまざまな展示が行われる「お宝ギャラリー」も必見です。

お祭りでんでん館(八代市民俗伝統芸能伝承館)

住所熊本県八代市西松江城町1-47
電話0965-37-8737
営業時間9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休⽇月曜(祝日等の場合は翌日)、12月29日~1月3日
料金大人300円、高校・大学生200円、中学生以下無料
webhttps://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji00315637/index.html

右も左もくまモンだらけ。「くまモンポート八代」で映える写真撮影

国際クルーズ船受け入れ拠点として、世界最大級・22万t級のクルーズ船も就航できる港として2020年にオープンした「くまモンポート八代」。その港湾施設の規模感はもちろん、もうひとつの魅力で注目を集めています。

画像1: 右も左もくまモンだらけ。「くまモンポート八代」で映える写真撮影

公園として整備された敷地に入ると、なんと大小84体ものくまモンがお出迎えしてくれるのです。くまモンが所狭しと並ぶ不思議な光景は、国内のくまモンファンだけではなく、海外のファンもその迫力の景色を撮りに訪れるほど。

画像2: 右も左もくまモンだらけ。「くまモンポート八代」で映える写真撮影

園内の水路には、温泉に浸かるくまモンも。

画像3: 右も左もくまモンだらけ。「くまモンポート八代」で映える写真撮影

クルーズ船乗客、そして地域の人や観光客の憩いの場として整備され、くまモンが温かく出迎えてくれるスポットです。

くまもんポート八代

住所熊本県八代市新港町1-25
電話0965-62-8246(八代港国際旅客船拠点指定管理者 株式会社緑研 くまモンポート八代事務室)
営業時間9:00~17:00
定休⽇水曜(祝日を除く)、年末年始
webhttps://kumamonport8246.com/

周遊クーポンやモデルツアーで、八代の日本遺産を体感

日本遺産を擁し、近代日本の発展を支えた職人たちの歴史に触れることができる熊本県八代市はいかがでしたか?

この記事をきっかけに初めて八代を訪れる方や、八代でどんな風に過ごそうか迷っている方にチェックしていただきたいのが、八代市日本遺産特設ページに掲載されている、日本遺産や観光スポットを効率的に回れるモデルルート。いずれも公共交通機関とタクシー移動を組み合わせたルートなので、車がなくてもしっかり回れるのが魅力です。さらに、路線バス1日乗り放題+飲食店・土産店などの特典クーポン付きの「八代日本遺産 わくわく周遊パス」(500円)も。これらを活用して、効率的かつおトクに、石橋めぐりを楽しみましょう。

八代市日本遺産特設ページ「きなっせやつしろ」内

八代日本遺産わくわく周遊パス

販売期間2023年2月1日〜2024年3月31日
料金500円
販売産交バス八代営業所 0965-32-5145(平土日祝9:00~16:30)

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