温泉の源泉数・湧出量が日本一で「おんせん県」といわれる大分県。なかでも、県内屈指の温泉地である別府市を代表する観光スポットが、自然に噴き出す源泉を間近に見ることができる「別府地獄めぐり」です。湯けむりがたちのぼる青や赤に染まった池は、名前のとおりまさに地獄を彷彿とさせるような、なんとも不思議な光景。
画像1: 温泉天国・大分の別府で地獄めぐり 7カ所を回るおすすめモデルコース

別府の町には、あちこちに温泉噴出口がありますが、観光地化されているのは全部で7つ。1日ですべての地獄を回り温泉まで楽しめる、地獄めぐりのおすすめモデルコースをご紹介します。それぞれ個性の異なる魅力的なスポットなので、全部回って、お気に入りの地獄を見つけてみてください。

地獄めぐりとは

そもそも、別府地獄めぐりが「地獄」と呼ばれるようになったのは、今から1,000年以上前のこと。当時から噴気や熱泥、熱湯などが噴出しており、人々に忌み嫌われていたことが「豊後風土記」にも記されています。

そんな地獄を見て回る地獄めぐりとは、「海地獄」「鬼石坊主地獄」「かまど地獄」「鬼山地獄」「白池地獄」「血の池地獄」「龍巻地獄」の7つの地獄をめぐるコースのこと。それぞれ異なる“地獄”を感じさせるポイントがあるため、ぜひ見比べてください。

どの地獄も入場料は450円で、7つの地獄すべてに入場できる共通観覧券は2,200円。すべての地獄を回る場合は、共通観覧券を購入するのがおトクです。※2023年2月1日より価格変更となりました。

大分空港から地獄めぐりまでのアクセス

大分空港から移動の場合、まずJR別府駅へと向かいましょう。バスを利用する場合は、大分空港アクセスバスでJR別府駅前まで約51分、1,500円です。JR別府駅に到着したら、駅前のバス乗り場から地獄めぐりの始点となる「海地獄前」まで亀の井バスで移動します。

別府の地獄はざっくり海地獄エリアと血の池地獄エリアの2つに分かれており、エリア間の距離が3kmほど離れているので、JR別府駅から見て奥の方にある海地獄エリアを先に回るのがおすすめです。

地獄めぐり以外にも自由に移動をしたい場合は、レンタカーを借りるのもひとつの手です。レンタカーで移動した場合も大分空港から別府市内まで約50分と、かかる時間はバスを利用した場合とほぼ同じです。

別府地獄めぐりのおすすめの回り方

7つの地獄は比較的近い距離にあり、2時間半ほどで7カ所全てを観光できるので、1日でまとめて回ることができます。

交通手段としてはレンタカーや路線バス、定期観光バスなど。自分のペースで回りたい人はレンタカーや路線バスが良いでしょう。レンタカーでめぐる場合は、海地獄エリアと血の池地獄エリア、どちらから回ってもOK。どの地獄にも無料の駐車場があるので、駐車場の心配はいりません。

路線バスを使う場合は、バス停「海地獄前」に着いたら、まずは海地獄と鬼石坊主地獄へ。そのあと、かまど地獄→鬼山地獄→白池地獄の順に回っていきましょう。坂の上から下へ下りるようなコースにするのがコツです。そのあとはバス停「鉄輪(かんなわ)」から約7分の「血の池地獄前」で下車して、血の池地獄と龍巻地獄を回るようにしましょう。

定期観光バスでは、バスガイドさんによる案内を聞きながら、約3時間ですべての地獄をめぐることができます。予約が必要ですが、毎日運行しているので、バスの待ち時間を考えず楽に回りたい人にはおすすめです。

(1)海地獄:コバルトブルーが美しい地獄

まず訪れたいのは、地獄の中でも一番の広さを誇る「海地獄」です。地獄以外にも見どころが多いこちらの海地獄は、見学時間を長めに取っておくことをおすすめします。

画像1: (1)海地獄:コバルトブルーが美しい地獄

見どころはもちろん海地獄。名前にもある通り、コバルトブルー色をしているこちらの地獄は、涼しげに見えますが、温度はなんと98度、お湯が湧き出る泉脈までの深さは200mともいわれています。まるで絵の具を流し込んだかのようなこの池の色は、温泉に硫酸鉄が溶解しているからなのだそう。

画像2: (1)海地獄:コバルトブルーが美しい地獄
画像3: (1)海地獄:コバルトブルーが美しい地獄

敷地内には、温室、足湯など、見どころ満載。地獄グルメも充実しており、海地獄のお湯に直接浸けて茹でる温泉たまごや、地獄蒸し焼きプリンなどはちょっとした腹ごしらえにぴったりです。

海地獄

住所大分県別府市大字鉄輪559-1
電話0977-66-1577(別府地獄組合)
営業時間8:00~17:00(年中無休)
アクセス車の場合→別府ICから約5分 バスの場合→JR別府駅から亀の井バスで約20分、バス停海地獄前・鉄輪から徒歩約1分
webhttp://www.beppu-jigoku.com/umi/index.html

徒歩約1分

(2)鬼石坊主地獄:心落ち着く穏やかな地獄

海地獄と同じく、地獄が多数集まる「いで湯坂」の上の方にあるのが、鬼石坊主地獄です。明治時代には一大観光名所として人気を博したものの、1950年代後半にいったん閉鎖。しかし、復活を願う声に応えて、2002年にリニューアルオープンを果たしました。

画像1: (2)鬼石坊主地獄:心落ち着く穏やかな地獄

灰色の熱泥が沸騰する様子が坊主頭に似ていることからこの名前が付いたという鬼石坊主地獄。派手ではありませんが、絶え間なくポコポコと湧いてくる灰色の泥を見ていると、自然と心が落ち着きます。

画像2: (2)鬼石坊主地獄:心落ち着く穏やかな地獄

こちらの地獄では、大分のブランド地鶏を使った「冠地どりまんじゅう」など、蒸気を生かして蒸し上げたふわふわでジューシーな饅頭が楽しめます。

画像3: (2)鬼石坊主地獄:心落ち着く穏やかな地獄

足湯も広々としているため、ゆっくり温まるのも良いでしょう。

また、7つの地獄の中で唯一温泉施設が併設されており、旅の疲れを癒すのにもぴったり。温泉に入る場合は、所要時間を少し長めに取っておくと良いでしょう。

鬼石坊主地獄

住所大分県別府市鉄輪559-1
電話0977-66-1577(別府地獄組合)
営業時間8:00~17:00(年中無休)
アクセス車の場合→別府ICから約5分 バスの場合→JR別府駅から亀の井バスで約20分、バス停海地獄前から徒歩約1分
webhttp://www.beppu-jigoku.com/bouzu/

徒歩約5分

(3)かまど地獄:さまざまなテイストの地獄が楽しめる

海地獄と鬼石坊主地獄から徒歩5分の場所にあるのが、かまど地獄です。

画像1: (3)かまど地獄:さまざまなテイストの地獄が楽しめる
画像2: (3)かまど地獄:さまざまなテイストの地獄が楽しめる

3丁目は青い地獄、6丁目では赤褐色というように、敷地内には1丁目から6丁目までそれぞれ特徴の異なる地獄があり、いろいろな種類の地獄を見ることができるので、より地獄の面白さに触れられるはず。

かまど地獄には、温泉水を飲んだり、蒸気を浴びたりできるコーナーも。美容・健康にも効果があるそうなので、興味がある方はぜひお試しください。

フードコーナーが充実しているのも特徴のひとつで、温泉ピータン(地獄蒸したまご)や、大分名物の石垣まんじゅう、醤油プリンなど、かまど地獄ならではのグルメも必見です。

かまど地獄

住所大分県別府市大字鉄輪662
電話0977-66-1577(別府地獄組合)
営業時間8:00~17:00(年中無休)
アクセス車の場合→別府ICから約5分 バスの場合→JR別府駅から亀の井バスで約20分、バス停「鉄輪」から徒歩約8分
webhttp://www.beppu-jigoku.com/kamado/

徒歩約1分

(4)鬼山地獄:湯けむりに囲まれた通称「ワニ地獄」

「ワニ地獄」の異名を持つ地獄が、ここ鬼山地獄です。なぜワニ地獄と呼ばれているかというと、ここの地獄では湯けむりに囲まれながら、たくさんのワニたちが暮らしているからなのです。

画像: (4)鬼山地獄:湯けむりに囲まれた通称「ワニ地獄」

飼育されているのは、クロコダイル、アリゲーターなど、約80頭。大正12年からワニの飼育を始めた鬼山地獄は、日本で初めてワニの飼育を始めた場所だといわれています。温泉熱を利用すると、年間を通して水温・気温ともに高い温度を保つことができるため、熱帯・亜熱帯地方に多く生息しているワニにはぴったりの環境なのだそう。

画像: 別府観光協会

別府観光協会

普段は大人しいワニたちですが、餌付けの時間になると一変、そこにはある意味“地獄”のような光景が広がります。肉塊めがけて、水しぶきを上げながらワニたちが一斉に飛びついてくる様子には圧倒されること間違いなし。餌付けが行われるのは毎週土・日曜の10時~。大迫力の餌付けを一目見たいという人は、この時間にあわせて訪れてみてください。

鬼山地獄

住所大分県別府市鉄輪625
電話0977-66-1577(別府地獄組合)
営業時間8:00~17:00(年中無休)
アクセス車の場合→別府ICから約5分 バスの場合→JR別府駅から亀の井バスで約20分、バス停鉄輪・海地獄前から徒歩約1分
webhttp://www.beppu-jigoku.com/oniyama/

徒歩約2分

(5)白池地獄:日本庭園のある趣ある光景

画像: (5)白池地獄:日本庭園のある趣ある光景

国指定名勝にも指定されている白池地獄は、和風庭園の中に青白い池がたたずむ、ほかの地獄とは様相が異なる優雅な地獄です。熱水の噴出時は、透明なお湯が温度と圧力により青みを帯びた白色に変化し、この美しい光景が生み出されるのだとか。

穏やかに見える白池地獄ですが、地獄たるゆえんがほかにもあります。実はこちらの地獄には、温泉熱を利用した「熱帯魚館」があり、肉食の魚・ピラニアや「生きた化石」ともいわれるピラルクなど、約20種類の大型熱帯魚が暮らしているのです。世界最大の淡水魚といわれているピラルクの中には全長1.7mもの大きさを誇るものも。

趣たっぷりの庭園と、どう猛な巨大魚たちが暮らす熱帯魚館。美しいだけではない、相反する魅力がそこにはあります。

白池地獄

住所大分県別府市鉄輪283-1
電話0977-66-1577(別府地獄組合)
営業時間8:00~17:00(年中無休)
アクセス車の場合→別府ICから約5分 バスの場合→JR別府駅から亀の井バスで約20分、バス停鉄輪から徒歩約2分
webhttp://www.beppu-jigoku.com/shiraike/

バスで約6分

(6)血の池地獄:真っ赤な光景はまさに地獄絵図

海地獄、鬼石坊主地獄、かまど地獄、鬼山地獄、白池地獄の5つの地獄を堪能したあとは、バス停「鉄輪」から亀の井バスに乗り、「血の池地獄前」で下車し血の池地獄エリアへと移動します。

画像1: (6)血の池地獄:真っ赤な光景はまさに地獄絵図

血の池地獄エリアの地獄は2つ、血の池地獄と龍巻地獄です。血の池地獄は、日本で一番古い天然の地獄で、なんと1,300年以上前から存在しています。

画像2: (6)血の池地獄:真っ赤な光景はまさに地獄絵図

なぜ赤いのかというと、高温の地下で化学反応を起こした酸化鉄、酸化マグネシウム等を含んだ赤い熱泥が堆積しているからだといわれています。78度の熱湯に赤く染まった池から、湯気がたちのぼる光景は、まさしく地獄絵図。おどろおどろしい雰囲気が漂います。いかにも地獄らしい写真が撮れるので、ここでの写真撮影はお忘れなく。

画像3: (6)血の池地獄:真っ赤な光景はまさに地獄絵図

売店にある、池から湧き出る粘土から作られた血の池軟膏は、戦前から皮膚病の治療に使われている定番商品で、しもやけや火傷などにも効果があるのだそう。地獄ならではのお土産もぜひチェックしてみてください。

血の池地獄

住所大分県別府市野田778
電話0977-66-1577(別府地獄組合)
営業時間8:00~17:00(年中無休)
アクセス車の場合→別府ICから約13分 バスの場合→JR別府駅から亀の井バスで約40分、バス停血の池地獄前からすぐ
webhttp://www.beppu-jigoku.com/chinoike/

徒歩約1分

(7)龍巻地獄:勢い良く噴出する迫力の間欠泉

血の池地獄とあわせて訪れたいのが龍巻地獄です。普段は静かな地獄ですが、一定の間隔で、豪快に100度を超える熱水が噴き出す大迫力の光景を見ることができます。

これは間欠泉と呼ばれる、一定周期で熱水や水蒸気が噴き上がる温泉。龍巻地獄では囲いがあるため、一部しか見ることができませんが、30mの高さまで噴き上がるほどの勢いで一気に噴出し辺りに熱気が伝わります。

画像1: (7)龍巻地獄:勢い良く噴出する迫力の間欠泉

こちらを楽しむポイントは、いかに待ち時間を攻略するかということ。次の噴き出しまでの時間はスタッフが教えてくれるので、血の池地獄エリアに着いたらまず確認を。待ち時間が長い場合は先に血の池地獄に向かう方が効率的です。

画像2: (7)龍巻地獄:勢い良く噴出する迫力の間欠泉

龍巻地獄には龍巻農園の果樹園で収穫されたフレッシュジュースやジェラートを味わえるショップもあるので、待ち時間に覗いてみては。

龍巻地獄

住所大分県別府市亀川野田782
電話0977-66-1577(別府地獄組合)
営業時間8:00~17:00(年中無休)
アクセス車の場合→別府ICから約13分 バスの場合→JR別府駅から亀の井バスで約40分、バス停血の池地獄前から徒歩約1分
webhttp://www.beppu-jigoku.com/tatsumaki/

地獄めぐりと一緒に訪れたいおすすめ日帰り温泉

街のいたるところで源泉が湧いている別府を訪れたなら、温泉はやはり欠かせません。海地獄など5つの地獄が集中する鉄輪エリアは、日本一の湯量を誇り、いくつもの名湯が軒を並べます。気軽に立ち寄れる日帰り温泉がいくつか点在しているので、地獄めぐりのついでに立ち寄ってみてはいかがでしょう。

エンタメ要素満載!ミシュランで星を獲得した「ひょうたん温泉」

ひょうたん温泉は、鉄輪温泉を代表する大きな温泉のひとつ。龍巻地獄から15分ほどで行けるため、地獄めぐりのついでに訪れるのにおすすめです。

画像1: エンタメ要素満載!ミシュランで星を獲得した「ひょうたん温泉」

『ミシュランガイド』で温泉として唯一7回連続三ツ星を獲得したこともあるというこちらの温泉は、源泉100%のかけ流しで、砂湯や瀧湯、むし湯……と、お風呂のバリエーションが豊富なのが特徴。

深夜まで営業しているので、地獄めぐりの時間にあわせてふらっと訪れるのも良いでしょう。泉質は、ナトリウム・塩化物泉で、美肌への効果も期待できるのだとか。

画像2: エンタメ要素満載!ミシュランで星を獲得した「ひょうたん温泉」

温泉と並んで人気なのが、「地獄蒸し」です。地獄蒸しとは、古くから鉄輪エリアに伝わる調理法で、温泉の蒸気が噴き出す地獄窯に食材を入れて、じんわりと加熱するというもの。

ここでは海鮮や野菜、丸鶏などさまざまな食材が用意されており、実際に地獄蒸しを体験することができるのです。蒸気で蒸すだけというシンプルな調理法ながら、素材の旨みを最大限に引き出した、この土地ならではの絶品グルメを味わうことができます。

ひょうたん温泉

住所大分県別府市鉄輪159-2
電話0977-66-0527
営業時間9:00〜25:00(年中無休)
webhttps://www.hyotan-onsen.com/index.html

自然が生み出した不思議な景観が広がる別府地獄めぐり。絶え間なく噴出する熱湯や熱泥に、地球が動き続けていることをしみじみと実感できます。

本記事でご紹介した場所以外にも、それぞれの地獄に温泉があったり、足湯があったり、名物土産があったり……と、見どころは尽きません。所要時間はあくまでも目安なので、温泉に入る場合などは、余裕を持ったスケジューリングがおすすめです。

別府温泉の7つの地獄にはそれぞれに違った魅力があるので、こちらの記事を参考に有意義な地獄めぐりをお楽しみください。

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