「世界遺産を巡る定期観光バス」に乗って、生月島まで渡ります。このツアーでは250年もの間、潜伏キリシタンとして生活をし続けてきた人々の信仰の形や、生活の中で徐々に変化していった宗教とのかかわり方などを知ることができます。平日、日・祝と運行していてその金額はなんと1,000円とかなりお得。非常に興味深い体験となりました。

前編はこちら

画像: 路線バスで巡る長崎 佐世保・平戸の旅(後編)

西村 愛

2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

ガイド付き世界遺産バスで、隠れキリシタンの里へ。

バスターミナルがある平戸の交通の中心「平戸港交流広場」からバスでスタート。平戸島は広く、自力でまわるのにもかなり時間を要する上、ただ見に行ってもその意味が分からない箇所もたくさん。ガイドさん同行の上で巡る世界遺産スポットというのは大変意義だと感じました。
このバスでは、平戸島から生月大橋を渡り、生月島へ上陸。
生月島は領主がキリスト教へに改宗したことで、島民のほぼ全員がキリシタンになりました。しかしその後の弾圧の歴史の中、数々の殉教や迫害を受け、潜伏キリシタンという苦悩の道へと進んでいきます。
住民たちは家の見えるところに神棚や仏壇を置く一方、家の奥の納戸にキリスト教の祈りの場を設けていました。これを「納戸神」と呼びます。納戸にかけられた絵は日本の絵画そのもので、お寺などにありそうな仏教色が強い画風になっています。祈り「オラショ」もこの地域独特の風習です。長い年月パードレ(神父)に教えてもらった祈りの言葉を口承で伝えているうちに、何語でもないひとつの祈りの言葉が出来上がりました。
当時密かに信仰を続けていた人たちは、その後禁教令が解かれると日本のカトリックへと属していくようになりました。その際、それまで長く信じてきた「納戸神」や「オラショ」、また神道や仏教の行事をやめることが出来なかった人々は、カトリックに戻ることなく潜伏当時の独自の信仰方法を続けることを選択、そのような人たちのことを「隠れキリシタン」と呼んで区別しています。この隠れキリシタンの人たちが、今でも多く住み続けているのが生月島だと言われています。
このバスで立ち寄る「生月町博物館・島の館」では、潜伏当時の信仰の道具や納戸神、踏み絵などを見ることが出来ます。

世界文化遺産「平戸の聖地と集落」、春日集落と安満岳、中江ノ島。

いよいよここからが世界文化遺産の構成施設エリアへと入っていきます。
「安満岳」は潜伏キリシタンたちにとっては聖地でした。潜伏キリシタンたちはオラショの中で「安満岳様」「安満岳の奥の院様」と唱え、信仰のよりどころとしていました。安満岳はもともとキリスト教が伝わる前から、自然崇拝を行う「神道」と白山信仰を行う「仏教」それぞれの聖地であり、その後キリシタンたちからも祈りの対象として信仰されていきました。
「春日集落」は一見した限りではここが世界遺産であるとは気づかないのどかな風景広がる里山です。安満岳への登山道へとつながっており、潜伏キリシタンが多く住む地域でした。春日集落にある「かたりな」は、潜伏キリシタンが使っていた宗教道具などが展示されており、間近で見ることが出来ます。
彼らが聖地として崇めたもうひとつの場所が「中江ノ島」。一般には上陸不可の無人島ですが、平戸島や生月島から眺めることが出来ます。
キリシタン弾圧の折、多くの処刑が行われた場所で、これを聖地として捉え、島に向かい手を合わせていたということです。
現在でも聖水を取る「お水取り」は続けられています。岩から染み出る水を取るために上陸し、それを宗教行事の中で使用します。
潜伏キリシタンたちは信仰指導をする宣教師や神父がいない中、どのように信仰を実践していこうかと模索する中で、殉教地を拝んだり既存の聖地を自分たちの祈りの場所とするなど、なんとかして信仰を守るための道筋を自ら生み出してきました。
「春日集落と安満岳」と「中江ノ島」は、世界文化遺産の構成要素として認められています。

無理してでも行くべき!レンガの美しい教会「田平天主堂」。

こちらは世界遺産構成資産ではないのでバスツアーのコースには含まれていないのですが、人気の教会で、見学する際は世界遺産センターに申し込みが必要です。平戸島の対岸、西田平駅が最寄りなので、平戸島から帰る時に立ち寄りました。
行程途中に大雨が降ってしまい立ち寄るのを諦めようと思ったのですが、地元の方たちが「絶対に行った方がいい!」と言うので行くことにしました。最寄り駅の西田平駅までは徒歩で30分ほどあり、公共交通機関でまわる場合はかなり大変です。しかしそれだけの感動が…!待っていました。
瓦と煉瓦でできた和風、ロマネスク様式天主堂。長崎の天主堂を数多く手がけた鉄川与助の煉瓦造りの最後の天主堂で、国の重要文化財に指定されています。
鉄川は布教のために訪れた宣教師の元で教会建築を学び、いくつもの教会建設を進めてゆく中で、その技術や装飾、カトリック思想などを詰め込んだ天主堂を建てていきました。
ステンドグラスから彩り豊かな光が差し込みとても美しい教会です。また珍しいのは、教会墓地がすぐ横にあること。教会堂と墓地が隣り合っているのは、あまり見ない景色です。
教会そのものは17時くらいには閉まってしまうので注意が必要です。
たびら平戸口駅にはレンタサイクルもあり予約も可能なので、駅からサイクリングも良いでしょう(しかし少し距離があります)。時間がない場合はタクシーかレンタカーをオススメします。

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