最終日は焼き物の町「波佐見」へ。レンタサイクルでまわると、小さな窯元やセレクトショップ、美しい田んぼの景色など、お気に入りのモノや過ごし方が見つけられました。また、山の方へ走っていくと突然現れる窯業を営む集落「中尾山」。登り切ったあたりには中尾山交流館があり、ここからは世界最大規模の登り窯跡やたくさんの煙突が立つ風景が見られます。
「くらわん館(陶芸の館)」でお気に入りの窯元を見つけてから波佐見旅スタート!
佐世保駅から嬉野行バスで焼き物の町・波佐見町へ。佐世保駅を出発するバスは、市内の混雑により時間通りに来ないこともあるので少し余裕をもって移動したいところです。
波佐見で最初に立ち寄りたいのは「くらわん館」、そしてその横にある「やきもの公園」です。
まずくらわん館でたくさんの窯元の作品の中から自分の好みの窯探しをし、そこから実際に窯元を訪ねるのが効率良く波佐見巡りをするための極意です。窯元では窯主から話を聞きながら、じっくりと好きな器を選ぶことが出来ます。また市場よりも安く購入できる可能性もありますよ!
やきもの公園では世界の窯を見ることができます。ボトルオープン型の窯やタイルがぎっしりと張られた壁は絶好の撮影スポットなので見逃さないでくださいね。
佐賀県から長崎県は「肥前やきもの圏」として陶磁器の産地が点在しています。
波佐見は中尾山を中心として400年もの窯業の歴史があったものの、「波佐見焼」として“独り立ち”したのは2000年頃からでした。それまでは波佐見で作られたものもすべて佐賀県の「有田焼」として、世の中へと出回っていました。しかし今では日々使いやすくて丈夫な器、カラフルでおしゃれでライフスタイルになじむ器として人気を博し、すっかり「波佐見焼」ブランドが定着してきています。
西海陶器「OYANE」と西の原カフェ「モンネ・ルギ・ムック」のココナッツミルクカレー。
モダンな器を見たくて「OYANE」へ。名前にもなっている大屋根はシンボリックで、これは作業場の屋根を表しています。建物全体にストーリーがあり、一気に波佐見の世界観に引き込まれました。美しい手書きのデザインや染付、手にしっくりとなじむ器がセンス良く展示されています。手作りにしか表現できない繊細さや洗練さ、シャープなシルエットを感じさせる食器を見ることが出来ました。
波佐見の町の中心でもあり波佐見に来た観光客は必ず立ち寄ると言っていいほど人気の「西の原」。もともと陶芸会社の事務所やろくろ場であった建物をカフェや雑貨店として新たにオープンさせた複合スペースです。
お昼にオープンした途端あっという間に満席になってしまうカフェ「モンネ・ルギ・ムック」。古木の使い込まれた深い色の店内にソファを並べた落ち着いた空間です。人気のカレーやサイドメニューのキッシュが乗る器も周辺の窯元で焼かれた波佐見焼。食器として実際に使うことでますます波佐見焼への興味が湧きますし、使ってみたときこそその良さを実感できるものですね。
曲がりくねる道、煙突並ぶ窯元。昔の街並みが美しい陶郷 中尾山。
棚田が広がる道を上り、中尾山まで。川沿いの細い道からさらに奥まった路地裏まで、自然の中でのんびりと窯元巡りを楽しめます。中尾山は江戸時代の庶民の日常食器であった「くらわんか碗」、輸出用の醤油や酒を入れるための徳利型の瓶「コンプラ瓶」の一大生産地でした。ここに住む人たちのほぼ100%が、器のなんらかの仕事に関わっていたという時代もあったそうです。
まずは「赤井倉」へ立ち寄りました。もともとは窯元であったという赤井倉。明治23年に建てられた旧宅は登録有形文化財にも指定されているので必見です。並ぶ器は波佐見焼をはじめ、厳選された様々な器を扱っています。
中尾山交流館は坂を登り切ったところにあり、多くの窯元の器を見ることが出来るだけでなく登り窯跡も見えました。とても見晴らしが良く多くの窯元の煙突を眺めながら、中尾山の歴史をたくさん聞かせてもらいました。
窯元では実際に制作現場を見せていただいたので、ぜひ写真と説明で読んでいただければと思います。
今回は県北エリアを中心に旅をしました。長崎市や諫早、天草、大村藩があった空港エリアなど、色んな特色ある街がたくさんあって、長崎はとても広く感じました。さらに、長崎県は島の数が一番多い県なので、全県を踏破することが日本で最も大変な県かもしれません。
また来る機会があったら、もっとじっくりと時間をかけてひとつひとつの街をゆっくり旅してみたいと思います。
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