屋久島というと、苔むす森に大きな屋久杉というイメージかもしれません。トレッキングやアクティビティーなど、行くにはそれなりの準備が必要で、特に子ども連れでは楽しむのが難しいと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、そこは登山愛好家の聖地である以前に、美しい海に囲まれ、のんびりとした時間が流れる南の島。「洋上アルプス」と呼ばれる山々の裾野には、ウミガメが産卵に訪れる美しいビーチ、新鮮な魚介類や農作物をふんだんに使ったグルメ、そこに暮らす人々の生活に根ざした素敵なお店がたくさんあります。小学生の男の子のママでもある地元出身ライターが、子ども連れでもゆったりと楽しめる、屋久島のさまざまな魅力をご紹介します。
文:高田みかこ

ウミガメにも会えるかも? 初夏の海とたわむれるアクティビティー

ULTRA MARINE

いま日本でも人気急上昇中の水上アクティビティー、SUP(サップ)。Stand Up Paddleboard(スタンドアップパドルボード)の略で、サーフボードのような板に立ってパドルを漕ぎ、水面を進むスポーツです。一見、バランスを取るのが難しそうに見えますが、少し練習すれば大丈夫。大人以上に重心の低い子どもたちは、あっという間に習得してしまいます。

画像: SUPなら、陸地からでは味わえない視点で川辺の緑を堪能できる

SUPなら、陸地からでは味わえない視点で川辺の緑を堪能できる

両岸に照葉樹が迫る緑眩しい川もいいけど、初夏の海には、この季節ならではのお楽しみが。6月、7月は、ウミガメの産卵シーズンに当たるため、ウミガメとの遭遇率が高まるのです。SUPとシュノーケリングのサービスを提供する「ULTRA MARINE」の川田圭人さんによると、「波や風などの条件によって、海でSUPをできる日は限られていますが、海にさえ出られれば、初夏はかなりの高確率でウミガメに逢えます」とのこと。SUPとシュノーケルの組み合わせや、シュノーケルのみのコースを選ぶことができます。

画像: 6月、7月のシュノーケリングでは、ウミガメに遭遇することも珍しくない

6月、7月のシュノーケリングでは、ウミガメに遭遇することも珍しくない

ULTRA MARINE
webhttps://www.kuroshio-sup.com/
住所鹿児島県熊毛郡屋久島町一湊295

シャワーや休憩所も無料! 圧倒的な透明度の高さを誇る穏やかなビーチ

一湊海水浴場

アクティブよりものんびり過ごしたい方や、SUPはちょっと早いかな、というお子さまには、波の穏やかなビーチがオススメ。島北部の「一湊海水浴場」は鹿児島県の水質調査で最高位の「AA」を取得した透明度の高さで、赤ちゃんの海水浴デビューにもぴったりです。更衣室の開室は7月ですが、5月ごろから海水浴を楽しむ人がちらほら見られます。

画像: 透明度の高い、美しい一湊の海

透明度の高い、美しい一湊の海

都会では考えられないかもしれませんが、屋久島のビーチは、休憩所やシャワールームに脱衣所、さらには駐車場も無料で利用できます。これに加え、夏休み期間中は監視員が常駐しているのも安心。

画像: 砂浜に残されたキャタピラーのようなウミガメの足跡は夏の風物詩

砂浜に残されたキャタピラーのようなウミガメの足跡は夏の風物詩

海に入って遊ぶも良し、海の家のかき氷をつつきながら、のんびり海辺で過ごすも良し。日差しが強いので、小さなお子さまには夕方や薄曇りの日のほうが、オススメです。晴れた日中は、ラッシュガードや帽子で熱中症対策もお忘れなく。

一湊海水浴場更衣室
営業時間9:00〜18:00(7/13〜8/31)
住所鹿児島県熊毛郡屋久島町一湊2291-225
電話0997-43-5900(屋久島町役場)

キッズスペースも併設。体に優しい島土産をじっくり選ぶ

椿商店

一湊海水浴場から、海沿いを東へ、車で約20分。屋久島の海の玄関口、宮之浦エリアにあるのが、自然食品と雑貨を扱う「椿商店」です。店の奥に、小さなキッズスペースが設けられていて、子どもたちがおもちゃや絵本に夢中になっているあいだ、親はじっくりお土産を吟味できます。

画像: 店内で注文できる飲み物を片手に、おしゃべりに花を咲かせる人も

店内で注文できる飲み物を片手に、おしゃべりに花を咲かせる人も

屋久島産の無農薬の緑茶やハーブティーは、職場や友人たちへのお土産に、地元作家が手がける陶器やウッドクラフトは、旅の思い出としてわが家に。味はもとより、パッケージも素敵で目移りしてしまいます。

画像: 左は地元作家の作品。カトラリーケースのボタンは自然に穴が空いた貝殻。右は屋久島産の紅茶と、米の生産者がつくる駄菓子の「ポンせんべい」。別料金でかわいいラッピングを施してくれる

左は地元作家の作品。カトラリーケースのボタンは自然に穴が空いた貝殻。右は屋久島産の紅茶と、米の生産者がつくる駄菓子の「ポンせんべい」。別料金でかわいいラッピングを施してくれる

キッチンつきのコテージなどにロングステイする方には、調味料やスパイスの量り売りも便利。チアシードやデーツなどの美容食も揃っていて、エコでヘルシーな屋久島旅の強い味方です。

椿商店
営業時間10:00〜17:30
定休日月・木
webhttps://ringotsubaki.thebase.in/
住所鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦2446-12

島の雄大な水の流れを体感。ベビーカーでも安心の滝

千尋の滝

「雨が降ったら滝めぐり」が屋久島旅の定番。雨の日こそ、島のダイナミックな水のめぐりを体感できるチャンスなのです。数ある屋久島の滝のなかでも見た目のインパクト抜群なのが、巨大岩盤を滑る姿が美しい、島南東部の「千尋(せんぴろ)の滝」。

画像: 滝を受け止めるように、手のひらや大きく開けた口を組み合わせ、トリック写真を撮影する人も多い

滝を受け止めるように、手のひらや大きく開けた口を組み合わせ、トリック写真を撮影する人も多い

駐車場から滝までの道がしっかり整備されているため、赤ちゃんを抱っこしていても、ベビーカーでも、安心して絶景までたどり着くことができます。駐車場入口に建つ海を見下ろす展望台も絶景なので、そちらもお忘れなく。

駐車場の隣には、晴れた日だけ登場する移動販売のジューススタンド「千尋のしずく」も。注文を受けてから、冷えたサトウキビを専用の機械で絞るスタイルで、ほんのりと青みがかった一杯は、すっきり爽やかな甘さ。

画像: ほのかに緑がかったサトウキビジュースのほか、特産のタンカンジュースなど季節の限定品も販売

ほのかに緑がかったサトウキビジュースのほか、特産のタンカンジュースなど季節の限定品も販売

こちらのスタンドは、ハワイのマーケットなどでポピュラーな、農家直営の「farm to cup(ファームトゥーカップ)」スタイル。売り切れしだい店じまいなので、出会えたらラッキー。幸運のジューススタンドなのです。

千尋のしずく
SNShttps://www.instagram.com/sugar_cane_juice/
住所鹿児島県熊毛郡屋久島町麦生

旬野菜や島の魚介類に、オーナーシェフの包丁技が光る

PANORAMA(パノラマ)

お食事処としてぜひ紹介したいのは、前出の椿商店からほど近くにある「PANORAMA(パノラマ)」。島の直売所をめぐって集めた旬の野菜や、島で水揚げされた新鮮な魚介類を素材とした多国籍料理を提供するレストランです。ベビーチェアやキッズカトラリーも完備で、小さなお子さまもウェルカム。島の焼酎やクラフトビールはもちろん、自然派ワインも取り揃えています。

画像: ファサードいっぱいのガラス戸が開放的な雰囲気

ファサードいっぱいのガラス戸が開放的な雰囲気

大人には、割烹や寿司店で修行したオーナーシェフの技が光る「お刺身の盛り合わせ」や「茶碗蒸し」、そして子どもには「そのまま野菜」や「皮付きポテトフライ」といった手づかみメニューが人気。屋久島名物の「首折れ鯖」が入荷できたときにだけ登場する限定メニュー「鯖寿司」があったら、ぜひ注文を。コリコリ肉厚の鯖の身は、屋久島ならでは。思い出の味になること請け合いです。

画像: 屋久島名物「首折れ鯖」の「鯖寿司」は限定メニュ

屋久島名物「首折れ鯖」の「鯖寿司」は限定メニュ

PANORAMA(パノラマ)
営業時間11:00〜14:00(木・日曜を除く)、18:00〜23:00
定休日
SNShttps://www.facebook.com/restaurant.panorama.yakushima/
住所鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦60-1

香り高いコーヒーをお土産に、旅の余韻を楽しんで

一湊珈琲焙煎所

島北部の港町、一湊から、宮之浦の県営フェリー待合室2階へ、7月に移転予定の「一湊珈琲焙煎所」。じつは私、ライターをしながら、こちらのコーヒーショップを夫婦で営んでいます。島内外への卸売や通信販売を中心とした豆売りがメインのお店ですが、淹れたてのコーヒーをテイクアウトや店頭で味わっていただくことも可能。

画像: 屋久島在住のグラフィックデザイナー、エリック・ヴィヴィアンによるパッケージ

屋久島在住のグラフィックデザイナー、エリック・ヴィヴィアンによるパッケージ

お土産に、海辺の景色をイメージしたコーヒー豆のパッケージやオリジナルのプラスチックボトルも好評です。帰路につく前に、コーヒー豆をスーツケースに忍ばせれば、旅の荷解きも甘い香りに包まれた楽しい時間に。翌朝の一杯で、終わらない旅の余韻をお楽しみください。

一湊珈琲焙煎所
営業時間11:00〜18:00
定休日水・木
webhttps://issou-coffee.com/
住所鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦1208 県営フェリー待合室2F

高い山々を中央に抱く島の縁を、ぐるり一周ドライブしていると、天気はコロコロ変わり、虹が現れては消えを繰り返します。そんなスペシャルなごほうびを楽しみに、天気の変化を味方につけたら、屋久島旅はよりいっそう味わい深いものに。新しいお店が続々オープンする屋久島。今回ご紹介したのはオススメスポットのごく一部。登山せずとも楽しい島で、みなさまのお越しをお待ちしております。

高田みかこ(たかたみかこ)

屋久島育ちのライター。「一湊珈琲焙煎所」と一組限定の貸しコテージ「おわんどの家」を夫婦で営んでいます。単行本の編集や里の取材コーディネイトに携わるほか、『屋久島経済新聞』『やくしまじかん』に執筆中。
issou-coffee.com

JALパックで行く屋久島

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

This article is a sponsored article by
''.