近年、メディアや飲食店で見かける機会が増え、認知度が高まってきたジビエ。注目すべきは、ヘルシーな肉質がもたらす味わいや栄養面に加え、社会課題の解決につながる側面を持つ点です。日本では、狩猟が解禁となる秋冬がジビエのシーズン。2022年11月15日~2023年2月28日の期間、山梨県では「やまなしジビエフェア」が開催されています。

フェアを訪れたのは、JALふるさと応援隊の下石川さんと山内さんです。「ジビエは珍しい料理、独特の味というイメージがあります」と語るのは下石川さん。山内さんも普段はなかなかジビエを食べる機会がなく、「身近なものというより、特別なものという印象です」といいます。そんな二人の印象は、フェアを体験してどう変わるのでしょうか。

画像1: ジビエのイメージが変わる!「やまなしジビエフェア2022」レポート

※撮影時のみマスクを外しています。
※価格は税込み表記です。

低カロリーで注目、社会課題への対策にもつながるジビエ

ジビエには、シカやイノシシをはじめ、カモやキジなどさまざまな野生動物が含まれます。中でも代表的なのがシカ肉で、野山を駆け回って育つことから引き締まっていて脂肪が少ないのが特徴です。

また、社会課題となっている農作物被害の対策にもつながっています。
野菜や稲、麦などが野生動物に食べられ、農地が荒らされてしまうといった被害を減らすために捕獲した野生動物を、廃棄せずに有効活用することができるのも、ジビエの良さです。

画像: 低カロリーで注目、社会課題への対策にもつながるジビエ

厳しい基準をクリアしたシカ肉だけを味わえる「やまなしジビエフェア」

国内でニホンンジカの生息数が増大し、農林業被害などが深刻な状況になっている中、山梨県はニホンジカの肉をジビエ料理や加工品などの素材として活用するため、県独自の「やまなしジビエ(シカ肉)認証制度」を2017年に創設しました。

これは、設備面と食肉処理面の二段階で認証を行い、品質・衛生ともに厳格な基準をクリアした安全・安心なシカ肉のみを「やまなしジビエ」として認定する仕組みです。

この認証制度をクリアしたシカ肉の料理だけを食べられるイベントが「やまなしジビエフェア」。20店舗が参加し、シェフの独創的なアイデアが光るジビエ料理を提供しています。

さらに、山梨といえばワイン。山梨ワインはジビエ料理との相性もぴったりで、互いの新たな魅力を引き出してくれるのです。

やまなしジビエフェア
https://www.pref.yamanashi.jp/nou-han/yamanashijibie.html

「おいしい未来へ やまなし」特設ページ
https://www.pref.yamanashi.jp/oishii-mirai/

「やまなしジビエフェア」参加店から3店をピックアップ

【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す

画像1: 【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す

「星のや」が山梨で展開する日本初のグランピングリゾート「星のや富士」が提供するメニューは、冬季限定のコース料理「山麓の狩猟肉(ジビエ)すき焼き」(1名26,620円、税・サービス料込、宿泊料別)です。

画像2: 【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す

森の中に設けられた特別席で、焚き火を囲むというシチュエーションも最高。周囲には凛とした空気が漂い、全身で自然の恵みを受け止めます。

画像3: 【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す

「ジビエはまさに“命をいただく”料理。このおいしさを余すことなくお客さまに届けたい」と語るのは、総料理長・須川正大さん。

画像4: 【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す

割り下は砂糖を使用せず、県産の赤ワインやフルーツを使ったオリジナルです。牛脂の代わりに使用したフォアグラの良質な脂とフルーツの甘み、赤ワインの豊潤な香りが肉のうまみを引き立てます。

口に入れると、肉のやわらかさにびっくり。「脂っこくないので、何枚も食べたくなってしまいます」と下石川さん。山内さんも「甘みが感じられますね。脂身が多いイノシシ肉も脂っぽさが全くありません」と驚きの表情です。

画像5: 【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す

山梨県が全国に誇るクレソンをはじめ、県産の野菜もふんだんに使用。半熟卵と豆乳わさびとろろを絡めると、お肉も野菜もさらにおいしさが増します。

画像6: 【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す
画像7: 【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す

他にも、シカ肉の骨・筋などからじっくりとうまみを抽出したシカコンソメ、シカ肉やイノシシ肉の端材を使ったシャルキュトリー、イノシシ挽肉のボロネーゼパスタなどをいただきました。

画像8: 【星のや富士】非日常ロケーションで、冬季限定のごちそうコースを食す

自然の中で炭の香りを楽しみながら、ぐつぐつ煮込まれたすき焼きをいただく幸せなひととき。二人は「一口一口がとても貴重に感じられました」(下石川さん)、「食へのありがたみを強く感じました」(山内さん)と命への感謝を語っていました。

ペアリングしたいワイン:カンティーナ・ヒロ「Partenza」

イタリア語で「出発」の意味を持つ名前のワインで、すき焼きの割り下にも使用されています。完熟したヤマ・ソーヴィニヨンを原料としているため野性味が感じられ、酸やタンニン豊富な引き締まった味わいが特徴です。

星のや富士

住所山梨県南都留郡富士河口湖町大石1408
電話0555-76-5050
定休日なし
webhttps://hoshinoya.com/fuji/

【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに

画像1: 【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに

フランス語で「果実の収穫」を意味する「La Cueiette(キュイエット)」からつけられた店名。お店を構えている韮崎市穂坂町は、日照時間が長く寒暖差があり、上質なフルーツが多く作られるエリアです。地場のフルーツをはじめ、八ヶ岳の新鮮な野菜やジビエ、選りすぐりの県産食材をオーナーシェフである山田真治さんが丹精込めて調理しています。

画像2: 【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに

ジビエには獲れた土地のテロワールを感じるという、山田シェフ。「同じシカ肉でも、産地により味わいが違います。当店も、この地でしか味わえない唯一無二の料理を、目指しています」と語ります。

画像3: 【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに

今回のメニュー「八ヶ岳山麓のシカ肉ロースト ソースポワヴラード 春野菜を添えて」(コース料理・13,200円)は、シカ肉の中でもジューシーなモモ肉でシンタマと呼ばれる部分をローストし、キノコのソテーと県産ワイン、シカの出汁を煮詰めたコクのあるソースで仕上げています。驚いたのはお肉の厚み。一切れ3~4cmほどもあり、盛り付けも美しくて思わず写真をパチリ。

画像4: 【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに

口の中に入れると、サクッとした食感に続いてじゅわっと広がる肉汁。香ばしさがありながらもやわらかくて、「おいしい」と声を上げる二人。添えられている野菜は甘みがあり、素材そのものの味が感じられます。山内さんは「県内で採れた新鮮な野菜、自家製酵母パンなど随所にこだわりを感じました。県外の方にもぜひ食べていただきたいです」と話していました。

画像5: 【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに

ワインとシカ肉のペアリングを楽しむのも、ワイン王国山梨県ならではの醍醐味。お店のおすすめのワインを合わせて優雅な時間を過ごしましょう。取材中のためワインが飲めない二人が選んだのは、ノンアルコールのピノノアール。赤ワインに近い濃厚な味わいで、シカ肉のローストをよりおいしく味わえること間違いなしです。

画像6: 【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに
画像7: 【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに
画像8: 【キュイエット】やわらかくジューシーな厚切り肉をワインとともに

前菜2品からデザートのパルフェにいたるまで、その美しさにも魅了された食体験。お店の前に広がるブドウ畑と富士山を眺めながら、至福の時間を過ごせました。 

ペアリングしたいワイン:グレイスワイン あけの2019

キュイエットからも近い明野地区にあるワイナリー。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネフランのブレンド。凝縮した果実感、上質なタンニンが、野性味のあるシカ肉、しっかりコクのあるソースに、見事にマッチします。

フランス料理 キュイエット

住所山梨県韮崎市穂坂町三ツ沢1129
電話0551-23-1650
営業時間11:30~22:30
定休日火曜日および不定休
webhttps://cueillette.jp

【ブラッスリー山梨】手間をかけた分、味わいも深まる。シカ肉と馬肉の豪華コラボ

画像1: 【ブラッスリー山梨】手間をかけた分、味わいも深まる。シカ肉と馬肉の豪華コラボ

甲府中心街の一角にある、隠れ家のような「ブラッスリー山梨」。シカ肉ジビエ、甲斐サーモンレッドをはじめとする淡水魚、桃やブドウなどのフルーツ、そこから造られたワインなど地元の多くの食材を使用し、ベースのフレンチに地元らしさを加えた「山梨フレンチ」を提供しています。

画像2: 【ブラッスリー山梨】手間をかけた分、味わいも深まる。シカ肉と馬肉の豪華コラボ

オーナーシェフの鈴木耕太さんが目指すのは、「山梨県も、訪れるお客さまも、元気にする」料理。ジビエを使うことで環境面でも山梨に貢献したいと語ります。

画像: まずはワイン品種を使用したジュース(980円)で乾杯

まずはワイン品種を使用したジュース(980円)で乾杯

対象メニューは「県産鹿肉の低温ローストと県産馬のカルパッチョ」。県産のワイン・ベリーAでマリネした北杜市産のシカ肉を、オーブンで8時間以上かけて低温ロースト。シカ肉のうまみをシンプルに味わえる一品です。

画像3: 【ブラッスリー山梨】手間をかけた分、味わいも深まる。シカ肉と馬肉の豪華コラボ

シカ肉と馬肉を同時に味わえるなんて貴重な体験。山内さんは「両方を比較しながら楽しむことができるので、ジビエを初めて食べる人も挑戦しやすいと思います」と感想を語ります。そこが、まさに鈴木シェフのねらい。「なじみのある肉と比較していただき、その違いを味わうとともに食べやすさも実感してもらえたら」といいます。

画像4: 【ブラッスリー山梨】手間をかけた分、味わいも深まる。シカ肉と馬肉の豪華コラボ

長時間じっくり熱を入れた肉は、とてもやわらかくてしっとり。臭みもなく、フレッシュな味わいです。「ジビエのイメージが大きく覆りました」と下石川さん。カルパッチョは「鮮度が命」のメニュー。この季節・このお店だからこそ出合えた極上グルメに感激する二人です。

画像5: 【ブラッスリー山梨】手間をかけた分、味わいも深まる。シカ肉と馬肉の豪華コラボ

アクセントに添えられているキノコやチーズ、香草は香りが良く、彩りも華やか。「パルミジャーノチーズとシカ肉の相性も抜群。ピンクペッパーやバルサミコソースがとても良いアクセントです」と山内さん。下石川さんも塩やバルサミコソースなどで味の違いを楽しみ、「さまざまな食材・ソースを組み合わせて、シカ肉のおいしさをめいっぱい堪能できました」ととびきりの笑顔を見せてくれました。

ペアリングしたいワイン:シャトーマルスの「穂坂三之蔵メルロー&カベルネ2016」

山梨を代表する醸造用ブドウの産地・穂坂地区の良質なメルローと、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心にブレンドし、フレンチオーク樽で34カ月熟成。力強くふくらみのある、酸味と渋みのバランスの良い味が特徴です。

ジビエ&ワイン ブラッスリー山梨

住所山梨県甲府市中央1-6-4 芳野ビル1F
電話055-231-5272
営業時間18:00~23:00
定休日木曜日
webhttps://www.porta-y.jp/feature/counter/brasserie-yamanashi

これまでのイメージを大きく覆す、ジビエ肉の味とやわらかさ

すっかりジビエのファンになったJALふるさと応援隊の二人。

画像: これまでのイメージを大きく覆す、ジビエ肉の味とやわらかさ

山内さん「実際にいただいて感じたのは『ジビエって味わい豊かなお肉なんだ』ということです。わたしの中でジビエに対する壁がなくなりました。ぜひ召し上がってみてください、きっとジビエに対するハードルが下がると思います。

特にやまなしジビエは、県の特産品であるワインと相性が良いのが大きな魅力。料理に赤ワインを使用するお店もあり、どのお店でもおすすめのワインや濃厚なノンアルコールワインと一緒にジビエ料理を楽しめます」

下石川さん「わたしはジビエ料理の『味の進化』を強く感じました。これまでジビエ肉は硬くて独特の味がするイメージを持っていましたが、食べてみるとやわらかくてクセがなく、そのおいしさに驚きました。

県のガイドラインで肉の処理法が厳しく定められていると知り、安心して食べられる点も魅力でした。シカは季節や地域によってエサが異なるため、味ややわらかさも変化するそう。四季折々、異なる地でシカ肉を食べ比べてみるのも楽しそうです」

特別な日も日常も。もっと気軽にジビエを取り入れてもらいたい

では、ジビエはどんな人、どんな時におすすめしたい料理なのでしょうか。

下石川さん「山梨に旅行に来た際にはぜひ召し上がっていただきたいです。山梨の自然の中でいただくと、より命の大切さを感じることができると思います。また、栄養価が高くヘルシーなので、肉の脂身が苦手な方やお年を召した方、ダイエット中の方にも好まれると思います」

山内さん「ジビエ料理は見た目も華やかで魅了されました。女子会のようなシーンにもぴったりです。一方で、ジビエをもっと日常的にいただく機会があればいいなとも感じました。ジビエの栄養素が優れている点でも、いつものお肉の代わりにジビエを選択する人が増えたらうれしいですね。わたしも家で家族と一緒に食べたいです」

画像: 特別な日も日常も。もっと気軽にジビエを取り入れてもらいたい

下石川さん「ジビエ料理を食べることが社会貢献につながるのもうれしいですよね。おいしいジビエ料理を食べることで誰でも地域・社会貢献ができるので、とても良いことだと感じました」

山内さん「山梨県の伝統工芸である甲州印伝はシカの革で作られています。現在は他県で加工されることが多いと聞きましたが、将来的にはジビエ料理のために使用したシカの革も甲州印伝に活用できる日が来たらいいですね。山梨ならシカの命を余すことなくいただくことができる。山梨とジビエがこんなにも合っているとは思いませんでした」

下石川さん「やまなしジビエフェアをきっかけに、ぜひ多くの方々にジビエの良さを知っていただきたいですね」

豊かな食材を安全・安心に味わえて、さらに社会貢献もできる山梨ジビエ。シェフたちが工夫を重ね、食材やワインとのコラボレーションの幅も年々広がりを見せています。進化し続ける「やまなしジビエ」を皆さんも体感してみませんか。

やまなしジビエフェア2022
https://www.pref.yamanashi.jp/nou-han/yamanashijibie.html

おいしい未来へ やまなし
https://www.pref.yamanashi.jp/oishii-mirai/

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