
西村 愛
2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

9:30 レトロな町並み、三崎港を散策
三崎口駅から路線バスに乗り三崎港バス停で降りると、目の前には船、海。空が広くて清々しい、港の景色が広がりました。
三浦市三崎は、漁業で栄えた町。現在も港周辺には沢山のマグロ料理のお店が賑わいを見せ、当時の繁栄を感じさせる大きな家や蔵が立ち並びます。網の目のように広がる商店街は昔ながらの道幅とカーブで、初めて訪れる人は迷路のようにも感じるかもしれません。
現在では移住者や若者たちにより、古民家や蔵、かつての商店をリノベーションしたお洒落な店や宿が沢山あります。
「本と屯(たむろ)」はミネシンゴさんが開いたブック&カフェ。ここに置かれた5,000冊の本はミネさんの蔵書でどれでも自由に読め、飲み物片手にじっくりと本と向き合えます。ワークショップなども開催され、色々な形で人を呼び込む場所です。
「山田酒店」は今も酒屋として営業を続けながら、2階の住居だった部分を「酒宿 山田屋」として1組だけの宿へとリノベーションしました。
純和風の設えに囲まれて落ち着いた時間を過ごせる宿。黒々とした床柱や掛け軸がかかる床の間、組子細工の障子も残り伝統的な日本家屋の面影を感じさせます。一方で、水回りはしっかり改装されているので安心です。
「古道具ROJI」は明治期から昭和にかけて活躍した様々な道具を扱うアンティークショップ。店主である安原さんは三崎への移住や物件紹介などの相談にも乗ってくれ、三崎と人をつなぐ架け橋のような存在です。三崎の楽しい話が次々と飛び出し、あっという間に時間が経ってしまいました。

三浦半島の先端に位置する三崎港は、海とマグロと漁業の町。今回は三崎・城ヶ島を旅します。
港周辺の商店街にはたくさんの魚屋さんがありマグロを中心として、三崎で水揚げされた魚を扱っています。軽めに干した鯵はジューシーで焼いてもふっくら。

港近くにはマグロかぶと焼きで有名な三崎館もありました。木造建築で風情がある建物です。

商店街をぶらぶらしながら、色んなお店を覗きます。最初はブックカフェの「本と屯(たむろ)」。

元々は船具店だったという店舗。時代を経て艶やかな古美の色に包まれます。この空間に不思議と本がなじんでいます。

オーナーの蔵書など約5,000冊が並べられ、お茶を片手に自由に読むことができます。写真集から料理本、小説、デザインに関する本など様々。

この日はお花のワークショップ開催日。良い香りが店内に広がっていました。

人と人との交流やカルチャーが生まれる場所として、今や三崎にはなくてはならない場所となっています。

残せるものは残し、新しくするところは新しくする。そんな考え方が当たり前のように浸透する三崎です。

三崎港バス停近くにある酒屋「山田酒店」。商店街の入り口に位置しており、目にしたことがある人も多いかもしれません。

全国の日本酒や焼酎を扱うお店で、その歴史は100年以上。

酒店の2階は「酒宿 山田屋」、1日1組の宿泊施設となっています。10畳と8畳がつながった広めのお部屋で床の間や畳といった純和風の造り。

新しくするのは簡単だけど、やはり先代から守り続けられたこの酒店の建物を上手く生かしながら使っていきたい。そんな想いが込められている宿です。

水回りはとてもきれいに改装されていて、安心です。

お次にお邪魔したのは「古道具ROJI」。明治から昭和までのなつかしい道具を扱うお店です。ここは、三崎エリアへの移住や二拠点移住の相談窓口にもなっています。

移住に悩む人の心をほぐしてくれるかのような、優しい色と形の道具に囲まれます。

捨てられていたものをきれいに整えて、再び命を吹き込むリユースという意識は、日に日に高まっています。三崎旅でふらっと立ち寄った古道具ROJIで、自分だけのお宝を見つけられるかもしれません。
本と屯
住所 | : | 神奈川県三浦市三崎3-3-6 |
---|---|---|
営業時間 | : | 10:00~18:00 |
休日 | : | 月曜、第2・第4火曜定休 |
web | : | https://twitter.com/hontotamuro |
山田酒店(酒宿 山田屋)
住所 | : | 神奈川県三浦市三崎4-8-10 |
---|---|---|
web | : | https://asobigasaki.com/yamadaya/ |
古道具ROJI
住所 | : | 神奈川県三浦市三崎2-12-10 |
---|---|---|
営業時間 | : | 12:00~18:00 |
休日 | : | 月曜~水曜定休 |
web | : | https://www.facebook.com/hurudougunoroji |
11:00 紀の代でマグロランチ
「三崎へ行ったら何はさておき“マグロ”を食べたい!」という人も多いのではないでしょうか。マグロランチを目当てに三崎を訪れるという人も多く、週末ともなると、マグロを取り扱ったお店には常に行列ができています。
ランチには創業150年の歴史を誇り現在5代目が腕を振るう、紀の代をチョイス。首都圏や横浜方面から日帰り三崎を楽しみたい時にお得に旅できる「京急みさきまぐろきっぷ」で食べられる、紀の代の「とろとろ丼」を選びました。
マグロは4軒のマグロ屋さんの中から、その日の良いものを吟味して仕入れているという紀の代。マグロ料理のお店が多い三崎だけに、提供する側も食べる側もレベルの高さを感じさせるこぼれ話でした。
元々は賄いとして食べていたという「とろとろ丼」。絶対に美味しいからと工夫を重ね商品化した丼は、マグロ4種盛りの豪華な丼。ユッケ風、ねぎとろ、ビンチョウマグロ、漬けが一度に食べられる、贅沢盛りです。色合いもとてもきれいで、写真映えも期待できますね。
追加で頼んだのは「マグロの唐揚げ」。味がしっかり染みたマグロをカリッとジューシーに揚げた唐揚げです。ゴロゴロと大きな唐揚げで、ボリュームもありました。色んなテーブルで頼まれる人気メニューです。
三崎に来たら、やっぱり一度くらいはマグロを!「紀の代」でマグロの丼をいただきます。
今回は三崎に訪れる人がお得にまわれるチケット「京急みさきまぐろきっぷ」で食べられるランチ丼。

オープン前からすでに行列ができ始めた店外。入口にあるボードに名前を書いて開店時間まで待ちます。

店内のカウンター、ショーケースにはやっぱりセンターはマグロ。

最初にセットの小鉢がやってきました。マグロの皮ポン酢。湯引きしたマグロの皮は弾力があり、おつまみとして最高です。

追加で、人気メニューのマグロの唐揚げをオーダー。カリッと香ばしく揚がった唐揚げ。奥の奥まで味がしみていて美味しいです。

紀の代のとろとろ丼。4種類のマグロ料理が乗った赤やピンクのカラフル丼です。

マグロのユッケ風にはたまごをたっぷり絡めていただきました。
紀の代
住所 | : | 神奈川県三浦市三崎1-9-12 |
---|---|---|
営業時間 | : | 平日 11:00~15:00(L.O.14:30)、17:00~20:00(L.O.19:00) 土日祝11:00~20:00(L.O.19:00) |
休日 | : | 火曜定休 |
12:00 ミサキドーナツでテイクアウト
8年前にオープンし、今では三崎の名物店のひとつともなっているミサキドーナツ。商店街にある黄色い幌が目印の、時計店を改装したドーナツ専門店です。
神奈川県内に出店することもあるということで、三崎だけでなくどこかで偶然出会うこともあるかもしれません。この日はテイクアウトして、その後訪れる城ヶ島で海を見ながら食べました。朝早くから作るドーナツは、ふわふわな生地で作り立ての美味しさがあります。
ドーナツはふっくらと高さあり一見ボリューミーなドーナツのように感じますが、実はこれ、中にはクリームやベリー、ジャムなどが隠されており、ひと口、ふた口と食べ進めるとフレーバーが加わり変化する、ひとひねりある凝ったドーナツ。外はチョコがけやシュガーグレーズでお化粧もしてあり、可愛い見た目でも人気です。
1階はキッチンと売り場ですが行列が出来ることもしばしばで、カフェは主に2階のスペースが使われています。2階は良く見ると古い家の間取りで、透かしの欄間や床の間があるのが面白いです。お店を飾る猫のキャラクターもかわいくて、癒されるカフェタイムになりそうです。

今や三崎名物のひとつともなっている「ミサキドーナツ」で、この後で訪れる城ヶ島でのおやつにドーナツをテイクアウト。

ショーケースにはたくさんのドーナツ。2階のカフェで食べるもし、お土産として持ち帰るのもよし。

次々と揚げられていくドーナツ。多い日には1日に800個のドーナツを作るというほど。

ふっくらと高さがあります。中にはクリームが入っていたり、ゴロゴロとベリーが隠れていたり。甘さは控えめで素材の味を感じられます。

現在カフェとして使われている2階は、もともと時計屋さんの住居部分だったのだとか。良く見ると和風住宅の間取りをしています。

お店のあちらこちらに猫「ボネちゃんとロクちゃん」とドーナツのイラスト。見ているだけでほんわかと和みます。

「京急みさきまぐろきっぷ」の特典、オリジナルトートバッグも可愛いです。
ミサキドーナツ
住所 | : | 神奈川県三浦市三崎3-3-4 |
---|---|---|
営業時間 | : | 平日11:00~17:00 土日祝10:00~18:00 |
休日 | : | 水曜定休 |
web | : | http://misakidonuts.com/ |
12:30 うらりマルシェでレンタサイクル、城ヶ島サイクリングで富士山ビューに酔いしれる
ドーナツを買い込み、さっそく三崎港から渡船で「城ヶ島」へ向かいます。
三浦半島の南にある三崎から、さらに海を渡った最南端に位置する「城ヶ島」。橋でつながっているので、車でも、また自転車や徒歩でも上陸できます。渡船でも5分ほどの、三崎港からは目と鼻の先にある小さな島です。
港の産直市場「うらりマルシェ」で電動レンタサイクルを借り、渡船に乗せて渡ります。渡船に自転車を積み込むのは、なんと無料。城ヶ島サイクリングが楽しめますよ。
城ヶ島では灯台や海辺の公園をまわりながら、気持ちのいい海風に吹かれました。
数分の船旅からの島めぐりはリフレッシュするのに最高で、自転車のペダルを踏みながら三崎・城ヶ島ののどかな風景を満喫。途中、テイクアウトしたドーナツで休憩、海の向こうにそびえる雄大な富士山を楽しみながらの島サイクリングでした。
島内の目的地がなくても島をぶらぶらとお散歩するだけでも楽しいです。とにかくどこから見ても海の絶景が楽しめ、都会とは違ったきれいな空気に心からリラックスできました。

城ヶ島へ渡る渡船チケットを購入しに「うらりマルシェ」へ立ち寄ります。

うらりマルシェではたくさんの魚屋さんが元気に声をかけてきます。新鮮なお魚が並びます。

ついでに(?)テレビでも話題という、マグロ入りの肉まん「とろまん」を。海を見ながら食べるの最高!

三崎の先、城ヶ島までの渡船には、レンタサイクルが無料で乗せられて便利。島サイクリングを楽しみます。

城ヶ島渡船乗り場から歩いて行ける「楫の三郎山神社」周辺から見る富士山です。絶景~!

城ヶ島まで来ると海の透明度も一段と高く、透き通っています。

真っ白な城ヶ島灯台へも登りました。ここからは伊豆大島や房総半島もうっすらと見えました。海に囲まれる眺望の良い場所です。

城ヶ島にはたくさんのネコ。可愛がられているのか、みんなふっくら毛艶も良くてなつっこいです。

島をぐるり一周。城ヶ島公園で海を見ながらミサキドーナツでスイーツタイム。

帰りの渡船にまたレンタサイクルを積み、三崎まで戻ります。城ヶ島へは城ヶ島大橋を使って車、路線バスで行くことも可能です。
うらりマルシェ(レンタサイクル、城ヶ島渡船のチケット購入場所)
住所 | : | 神奈川県三浦市三崎5-3-1 |
---|---|---|
営業時間 | : | 月曜~土曜9:00~17:00、日曜7:00~17:00 |
web | : | https://www.umigyo.co.jp/ |
16:30 「bed&breakfast ichi」にチェックイン
この日は、三崎港から徒歩数分の場所にあるB&Bに宿泊します。三崎へ移住されたご夫婦が営む、築80年を超えた古民家をリノベーションした宿泊施設です。
ゲストハウスといってもドミトリースタイルではなく、全て個室でプライベート空間が守られます。基本は1泊1食のbed&breakfast(B&B)ですが、予約しておけば夕食もできる他、自然体験ツアーなども主催していて三崎の楽しみ方を相談できる心強い宿です。
センスの良い内装は全て自分たちの手で改装したという、居心地重視のお部屋。古民家の窓枠や梁などは残しつつ、漆喰壁をきれいに塗り直したり水回りを変更したりと、ぬくもりと快適さが感じられます。チェックイン前、アウト後の荷物の預かりなどにも対応していただけて、効率よく三崎を楽しめました。
朝ごはんには、料理上手のご夫婦が腕をふるった料理と、三浦で人気のパン屋さん「充麦(みつむぎ)」のパン。食事のレベルが高いことでも評判の宿でその噂は耳にしていたのですが、期待以上の美味しさでした。

この日の宿へ向かう頃にはすっかり暗くなっていました。

あまりにも夕日がきれいで、宿へ入るのが遅くなってしまいました。

富士山もきれいに見えました。

刻々と変わってゆく夕景。いつまででも見ていたい光景でした。

夕焼けに大満足の後、お宿チェックイン「bed&breakfastichi」。

ふかふかのベッドが入る個室仕様。

部屋内のデスクまわりはすっきり片付いています。必要なものが揃っていて不自由しません。

センスが良く、使い勝手もいい共用部分。

1階のフロント兼ラウンジバー。

朝ごはんは評判通りおいしかったです。手作りのヘルシーな洋食。三浦のパン屋さん「充麦」のパン(パン写真は2人前)。
bed&breakfast ichi
住所 | : | 神奈川県三浦市三崎1-15-4 |
---|---|---|
web | : | http://miurabase.com/ichi/ |
18:00 港町の町中華でおいしいシュウマイを「中華料理 牡丹」。
夕食にはマグロが有名な三崎であえてローカル色強めの名店中華をチョイスしました。
三崎の商店街にあるレトロな店構え。人懐こい三崎の人たちから、「夕食はどこへ行くの?」と聞かれ、牡丹です、と答えると誰もが「いいお店選んだね。」と言ってくれました。
地元に愛され80年。現在は3代目と4代目が、家族で営む中華料理屋です。
みんなが大好きな「酢豚」や「エビチリ」などのメニューが並びます。中でも昔から愛されているメニューは「シュウマイ」。数十個単位でテイクアウトしていく人もざらにいて、不動の人気を誇ります。長ネギがたっぷりと入った大きめシュウマイで、肉感もしっかりアツアツジューシーです。
この日は常に満席という状態でお客さん同士もみな知り合いという、三崎の親密なコミュニティの中で美味しい時間を過ごせました。港町のフレンドリーな会話を楽しみ、満腹になって夜風に吹かれながら、港町をお散歩しつつ宿へと戻りました。

夕食には三崎で創業80年を誇る、地元民が愛する名店「中華 牡丹」。

アツアツで運ばれるシュウマイが人気です。
一人前5個入り。数は調整してもらえました。斜め切りした長ネギ入りで、ネギが糸引くシュウマイです。ジューシーなのにさっぱり。いくつでもいけてしまう…!

自家製チャーシュー。噛むたび口の中にじんわりとコクが広がり、ビールが合ってしょうがありません。

町中華の王道、パラパラチャーハン。

黄金色に輝くチャーハン。手際よく運ばれてくるのにも感心してしまいました。賑やかな常連さんたちの会話を聴きながら、時に加わりながら、美味しく楽しい夜になりました。
中華料理 牡丹
住所 | : | 神奈川県三浦市三崎3-4-10 |
---|---|---|
営業時間 | : | 11:00~22:00 |
休日 | : | 木曜定休 |
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