【兵庫】淡路島の森に開業「禅坊 靖寧」
国生み神話の島・淡路島の森の中にまるで浮いているかのような佇まいの「禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)」。2022年4月にオープンした、座禅リトリートの施設です。
淡路島は兵庫県に属していますが、実は徳島空港を利用するのが便利。レンタカーで寄り道しながら下道を走るのも楽しいですし、淡路島を縦断する高速道路を走れば、徳島空港から約1時間でアクセスできます。
禅坊 靖寧は、坂氏の設計の特徴ともいえる、自然との調和が色濃く感じられる建物。山々を眼下に見るような高さを誇る建物ではなく、周囲の山の稜線を越えないように設計されているため、森に溶け込むような佇まいが印象的です。
チェックインを済ませると、3年以上熟成させた葉や茎を使った、まろやかな風味の三年番茶でのおもてなし。一息つくと、この空間が建物内にありながら、木の香りに満たされていることに気が付くでしょう。禅坊 靖寧は、国産杉を使った木造建築。建物全体で清々しい木の香りが感じられます。
ぜひテーブルにも注目してください。テーブルの脚には、紙管(しかん)が使われています。坂氏は、世界中のどこでも手に入る紙管を用い、被災した人々の災害住宅や難民のためのシェルターを造る建築家として世界に広く知られています。
建物の天井にも、テーブルとは太さの異なる紙管が使われています。紙管は、坂茂建築を象徴する建築資材なので、どのような使い方がされているかを見るのも楽しみのひとつです。
また、坂茂建築に関する書籍を集めた開放的なラウンジもあります。禅体験の合間にぜひ利用してみてください。
泊まるのはホテルではなく「宿坊」
禅坊 靖寧は新しい施設なので、ついつい「ホテル」と言ってしまいそうになりますが、泊まるのはホテルではなく、各個室に禅の言葉が付けられた「宿坊」です。
廊下の左右に18の宿坊が並び、それぞれの部屋に「日日是好日」「諸行無常」「色即是空」「知足」といった言葉が付けられています。どの部屋にあたるかは当日のお楽しみ。自分に与えられた言葉の意味を考えることも、日常生活に戻ったときの何かの気付きに繋がるかもしれません。
無駄なものを省いた小さいながら居心地の良い空間と、畳のベッドを見た瞬間、「起きて半畳、寝て一畳」という言葉が頭をよぎる人もいるのではないでしょうか。余計なものがない自然に囲まれた空間は、自分と向き合う時間にぴったりでしょう。
ちなみに宿坊は宿泊だけではなく、日帰りプランで個々の休憩室としても利用可能です。
禅体験と禅坊料理
シンギングボウル(鈴)の心地よい音色が鳴り響くと、禅体験が始まる時間。360度淡路島の森を見渡せる開放的な空間で、森に浮かぶような“空中禅”を楽しめます。
禅にはストイックなイメージがあるかもしれませんが、ここでの禅体験は、禅にヨガやリラックスの要素を加えたオリジナルプログラム。専用の椅子が用意されていて、正座や胡坐が苦手な人も、ストレスなく集中することができます。
暖かな陽射しや、雨が木々を叩く音、鳥のさえずり、森を通る風の音を感じながら、マインドフルネスな体験に心身をゆだねてください。
禅体験の後は、禅坊料理を。豆腐や淡路島の野菜、時には料理長が摘んできた山菜などを楽しめます。油や動物性食品、砂糖を一切使わずに、驚くほど豊かな味わいを表現。禅体験で心を開放した後は、余計なものが含まれていない健康的で優しい料理で、体も労ってあげましょう。
日本の伝統文化に親しむ
自由に茶道や書道に親しむ時間も設けられていて、好きな場所で体験ができます。
例えば書道の時間。一文字一文字、丁寧に目の前の書と向き合うことは、自分と向き合うことに通じるものがあります。筆を進めるにつれ、心が満たされていくことでしょう。
ちなみに、建物のあちらこちらで見られる禅坊 靖寧のロゴや書道の監修は、書家の紫舟さんによるものです。
茶道体験は、全長100mのウッドデッキで行ってみてはいかがでしょうか。木々が織りなす緑のグラデーションを眺めながら、大自然と自分に向き合う時間を持つことができます。おもてなしの心を学びながら、季節を感じるお茶碗で、自分のための一服を点てます。
自然と調和した空間で、自身も自然に回帰して溶け込む。そんな坂氏の建築とおもてなしによって生まれるこの時間を、ぜひ現地で体感してみてください。
※プログラムの内容は、お申し込みプランによって異なります
禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)
住所 | : | 兵庫県淡路市楠本字場中2594-5 |
---|---|---|
電話 | : | 090-7801-4063 |
web | : | https://www.zenbo-seinei.com/ |
次のページでも、坂茂氏の建築を体感できる全国の宿泊施設をご紹介していきます。
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