秋の彩りをまとう京都は格別の美しさ。悠久の時を紡ぐ歴史遺産と紅葉との競演は、一期一会の感動をもたらしてくれます。京都の紅葉は11月中旬から12月上旬が見頃。コロナ禍でも寺社仏閣は開かれており、これからの季節、美しい紅葉を楽しむことができそうです。
この記事では、京都のおすすめの紅葉スポットを定番から少し穴場まで、2020年11月上旬の混雑情報とあわせてご案内します。

京都旅の大定番、世界遺産・清水寺で秋色に染まる渓谷を一望

画像: iStock/Pratchaya

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京都で最も多くの観光客が訪れるお寺が、清水寺です。
奈良時代、延鎮上人が観音像を刻み、清らかな水が湧き出るこの音羽山の地に小さな庵を結んだのがそのはじまり。のちに初代征夷大将軍・坂上田村麻呂の寄進によってお寺に改められました。

紅葉狩りのポイントは、1000本ほどのもみじが林立する本堂前の錦雲渓をさまざまな角度から眺めること。まずは、仁王門をくぐって壮麗な三重搭を仰ぎ見つつ、本堂へ。崖にせり出すように造られた舞台は、「清水の舞台」として有名です。眼下には紅の雲海を思わせる眺望が広がります。現在、桧の床板の張り替え工事中で立ち入れる範囲は狭くなっていますが、眺めは従来通り楽しめます。

画像: iStock/lkunl

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本堂にお参りしたら、石段を下りずに釈迦堂、阿弥陀堂を経て、舞台と紅葉を望むフォトスポット・奥の院へ。今春、本堂屋根の葺き替えが完了したので、シートで覆われていない姿を見られるのは3年ぶりです。紅雲に浮かび上がる本堂正面と三重搭を同時に望める、境内南端の泰産寺子安搭もお見逃しなく。

子安搭の次は、お寺の由緒ともなった音羽の滝の清水で喉を潤しましょう。三筋の滝にはそれぞれ「学業成就」「恋愛成就」「延命長寿」のご利益があると伝えられています。

清水寺は早朝6時から開門しているので、可能なら開門直後に訪れることをおすすめします。紅葉の見ごろの時期なら日の出時刻は6時半前後。音羽山の方向からの日の出と紅葉のコントラストを見ることができれば、その日1日を清々しい気分で過ごせるはずです。

幽玄の世界を醸し出す夜間ライトアップは、今年は11月18日から30日まで実施される予定です。

清水寺

住所京都市東山区清水1-294
電話075-551-1234
拝観時間6:00~18:00、夜の特別拝観期間(11月18日~11月30日)は~21:00(受付終了)
拝観料400円
アクセス市バス「清水道」下車 徒歩10分
紅葉の色づき・混雑の状況
(2020年11月7日現在)
色づきはじめ。見頃は11月20日頃~下旬までの予想。参拝者数は今のところ例年に比べて大幅な減少はないようです。

いにしえの景勝地・嵐山で自然に溶け込み心身を浄化

画像1: いにしえの景勝地・嵐山で自然に溶け込み心身を浄化

古来、天皇や貴族も愛した風光明媚な嵐山は、京都随一の紅葉の名所です。
嵐山を象徴する、渡月橋と嵐山や小倉山の山並みが織りなす景色は、どの季節でも絵になります。とりわけ秋はその美しさが際立つ季節。錦秋という言葉がぴったりな色彩のグラデーションが広がります。

鎌倉時代、舟遊びをしていた亀山上皇がその風光を愛で、「くまなき月の渡るに似る」と詠ったことが渡月橋の名の由来。そんなエピソードにも嵐山らしい風雅を感じます。

西側に山が連なる嵐山エリアは、太陽が山の向こうに隠れてしまうと少し薄暗くなってしまいます。そこで、おすすめしたいのは朝の時間帯。お寺のように開門時間を気にする必要はありませんので、早起きして渡月橋へと向かいましょう。大堰川を吹き抜ける風は澄みわたり、朝の光を受けた水面はキラキラと輝いていて、思わず深呼吸したくなるような爽やかさが広がっています。

画像2: いにしえの景勝地・嵐山で自然に溶け込み心身を浄化

渡月橋の北詰(橋の北側)から川沿いに上流へと歩いていくと、喧騒が次第に遠のき、静寂に包まれます。対岸にはビルやお店など近代的な建物がなく、車もほとんど通りません。ここから一望する翡翠色の川と秋化粧を施した山々は、いにしえの人びとを魅了した風景そのものといえるかもしれません。

また、嵐山を満喫するなら、徒歩と乗り物を組み合わせて大自然との一体感を味わってみてください。渓谷をゆったりと走り抜けるトロッコ列車は、オープンスタイルの展望車両もあり、目の前に迫りくる紅葉が楽しめます。
さらに、京都郊外の亀岡からスタートする、約2時間の保津川下りも良いでしょう。スリル満点の舟旅のゴール地点は渡月橋の手前。ゆらりと進む舟から眺める橋もまた趣があります。

ほかにも、渡月橋界隈には人力車が待機しているので、歩き疲れた時に利用してみてはいかがでしょうか。歩く時とは異なる目線での紅葉観賞も乙なものです。

嵐山

アクセス嵐電「嵐山」下車 徒歩2分
紅葉の色づき・混雑の状況
(2020年11月6日現在)
色づきはじめ。観光客は例年に比べると少ないようですが、紅葉の見頃の時期は増える可能性があります。

古今集にも詠まれた「もみじの永観堂」で多彩な紅葉と対峙

画像: 古今集にも詠まれた「もみじの永観堂」で多彩な紅葉と対峙

哲学の道のほど近く、永観堂は平安時代から「もみじの永観堂」と讃えられてきた京都屈指の紅葉の名所。山裾にそびえ立つ多宝塔を擁した秋の景色が、時代を越え人びとを惹きつけてきました。古今集にも詠まれた「岩垣もみじ」は、今も境内東側で見られるといいます。

境内には約3,000本もの紅葉が群生しているため、どこに目を向けても紅葉と対峙できるのが魅力。そぞろ歩きながら、諸堂と紅葉、庭園と紅葉、放生池と紅葉など、永観堂と紅葉の競演を楽しみましょう。放生池に映り込む紅葉は、風のない日なら水鏡のように見えて幻想的です。

極彩色の阿弥陀堂に祀られる、ご本尊「みかえり阿弥陀」への参拝もお忘れなく。その昔、永観堂の名の由来となった僧・永観が修行をしていたところ、阿弥陀如来が須弥壇から降りて来て、永観を先導して修行をはじめたそうです。驚いてその場に立ちつくした永観に、「永観、おそし」と声をかけたという逸話が語り継がれています。後ろを振り返った珍しいお姿で、その表情は慈悲に満ちあふれています。目を閉じて手を合わせれば心がすっと鎮まることでしょう。

ライトアップも人気で、今年は11月7日から12月6日まで行われる予定です。

※紅葉時季の拝観順路は一方通行です
※2020年11月7日~12月6日の日中は、新型コロナ対策のため、千佛洞、臥龍廊、画仙堂、夢庵、極楽橋が閉鎖されています
※2020年11月19日~12月6日は上記に加え、多宝塔も閉鎖。多宝塔からの眺望は見ることができませんので、ご注意ください

永観堂

住所京都市左京区永観堂町48
電話075-761-0007
拝観時間9:00~16:00(受付終了)、ライトアップ17:30~20:30(受付終了)※昼夜入替制
拝観料600円、寺宝展期間(11月7日~12月6日)は1,000円、ライトアップ600円
アクセス市バス「南禅寺・永観堂道」下車 徒歩3分
紅葉の色づき・混雑の状況
(2020年11月6日現在)
色づきはじめ。参拝者は平日、休日ともに昨年の同時期に比べると少ないようですが、紅葉に関する問い合わせは多数入っており、これから増える可能性があります。

東福寺で紅に染まる圧巻の渓谷美に息をのむ

画像: 東福寺で紅に染まる圧巻の渓谷美に息をのむ

JR奈良線または京阪の東福寺駅から10分ほど歩いたところに位置する東福寺も紅葉で名高いお寺。
鎌倉時代、摂政九條道家が奈良の東大寺と興福寺から名をとって建立した東福寺は、室町時代には京都五山に列せられる禅寺として栄えました。禅宗最古の三門(国宝)や、そびえ建つ大伽藍が威容を感じさせます。

ビュースポットは、約2,000本の紅葉が群生する渓谷・洗玉澗(せんぎょくかん)に架かる、臥雲橋、通天橋という名のふたつの橋。赤や黄に染まる紅葉のパノラマが視界いっぱいに広がる景色は、圧巻のひとことです。橋を渡ると真紅の雲の上を歩いているかのような心地になります。通天橋の下では、せせらぎの音を傍らに渓谷を散策することもできます。

例年、11月中旬からの見ごろの時期は開門前から行列ができるほどの人出ですが、渓谷のスケールと比べれば、人の多さも気にならなくなるから不思議です。おすすめの時間帯は、空の青さが際立つお昼ごろ。橋の上では安全面から写真撮影が禁止されているので、しっかりと目に焼き付けておきましょう。

画像: 本坊庭園

本坊庭園

絶景を堪能した後は、本坊庭園にも立ち寄りましょう。昭和の作庭家であり、現代でも根強い人気を誇る重森三玲によるデザインで、方丈の四方を趣向の異なる4つの庭園が囲んでいます。柱石で北斗七星を描く東庭、砂紋と石組が大海原を思わせる南庭、四角く刈り込んだサツキを配した西庭、苔と石を市松模様に組み合わせた北庭で、三玲が追求し続けた「永遠のモダン」が体現された名庭です。北庭でもささやかな紅葉が見られるので、ぜひ足をのばしてみてください。

東福寺

住所京都市東山区本町15-778
電話075-561-0087
拝観時間11~12月第一日曜まで8:30~16:00(受付終了)、以降は~15:30(受付終了)
拝観料通天橋・開山堂600円(11月10日~30日は1000円)、本坊庭園500円、共通拝観券1,000円(11月10日~30日を除く)
アクセスJR・京阪「東福寺」下車 徒歩10分、または京阪「鳥羽街道」下車徒歩8分
紅葉の色づき・混雑の状況
(2020年11月6日現在)
色づき始め。見頃を迎えるのは11月20日~11月末あたりの予想。参拝者は昨年同時期と比べ、4割~5割ほど減少傾向にあるようです。

風趣が満ちる詩仙堂で、白砂に映える紅葉と心静かに向き合う

画像: 風趣が満ちる詩仙堂で、白砂に映える紅葉と心静かに向き合う

叡山電車の一乗寺駅から東へ、坂を上っていくと15分ほどでたどり着くのが、洛北の名刹・詩仙堂(丈山寺)です。徳川家康に仕えた武将であり文人の石川丈山が、隠居後に終の住処として建てた草庵です。
山門をくぐった先に佇む書院の中央には、江戸時代の絵師・狩野探幽による中国の三十六詩仙肖像画が掲げられた詩仙の間があり、詩仙堂と呼ばれる所以となっています。

画像: 書院からの眺め

書院からの眺め

書院前の端正な石庭を縁取るようにサツキのまるい刈り込みが連なっており、山肌の紅葉が鮮やかに映えます。いちばんの美景スポットは、上座である床の間の前あたり。鴨居や柱が額縁となって切り出す景色は、一幅の絵画のよう。ひさしが作り出すやわらかな陰影の中に心静かに座していると、鹿おどしが奏でる竹の音や小鳥のさえずりも聞こえてきて、いつしか五感が潤っていきます。

書院からの景色を堪能したら、丈山自らが設計した庭園を散策しましょう。四季折々の草花が咲き継ぐ風趣ある庭で、秋には秋明菊やススキを楽しむことができます。

詩仙堂

住所京都市左京区一乗寺門口町27
電話075-781-2954
拝観時間9:00~16:45(受付終了)
定休日5月23日
拝観料500円
アクセス叡山電車「一乗寺」下車 徒歩15分
紅葉の色づき・混雑の状況
(2020年11月5日現在)
色づきはじめで、見頃を迎えるのは11月20日前後になる予想。現在、参拝者数は例年の8割ほどで、平日はゆったり拝観できますが、休日は混雑する傾向にあります。開門直後の9時~10時または、閉門前の16時~16時半は比較的空いているようです。

新旧のアートと紅葉がコラボする京都最古の禅寺・建仁寺

画像: 新旧のアートと紅葉がコラボする京都最古の禅寺・建仁寺

花街祇園のメインストリートである四条通から、京情緒香る花見小路の石畳を南へ歩いてわずか1分ほどの地にある建仁寺。北門をくぐって境内に一歩入れば花街の華やぎが一変し、静謐な空気が漂います。

こちらは、日本に禅とお茶の文化を伝えた臨済宗の開祖栄西禅師により創建された、京都最古の禅寺。稀代の絵師・俵屋宗達が江戸初期に描いた躍動感あふれる「風神雷神図屏風」(国宝)を所有していることでも有名です(現在は京都国立博物館に寄託し、寺内には高精細複製画を展示)。白砂や苔をもちいて仏の世界をあらわす禅寺特有の端然とした枯山水庭園や、桃山画壇の巨匠・海北友松らによる襖絵、法堂の天井一面に描かれた大迫力の双龍図など、境内の随所で新旧のアートに出会えます。

画像: 大書院から庭越しに望む小書院

大書院から庭越しに望む小書院

紅葉の本数は多くはありませんが、ここだけの粋な観賞法があります。小書院と大書院を回廊で結んだ、四方正面の潮音庭の紅葉を楽しむ方法です。

苔むす潮音庭には仏様をあらわす三尊石が配され、数本の紅葉が刻一刻と表情を変えながら凛と立っています。小書院には、染色画家・鳥羽美花氏によって型染めの技法で描かれた襖絵「舟出」があり、大書院側から庭越しに小書院を見ると、色づいた紅葉と「舟出」が重なって見えて、唯一無二の美を奏でるのです。

お寺の方によると、平日のお昼ごろや閉門前の16時台は比較的ゆっくり拝観してもらえるのでは、とのこと。例年の見ごろは11月下旬から12月上旬で、散りもみじも風情があります。建仁寺で紅葉とアートを観賞した後は、祇園で京懐石の夕食をいただくのがいちおしのコース。旅のひとときが思い出深いものになりそうです。

建仁寺

住所京都市東山区大和大路通四条下ル小松町584
電話075-561-6363
拝観時間10:00~17:00
定休日11月15日の午前中
拝観料600円
アクセス京阪「祇園四条」下車 徒歩7分
紅葉の色づき・混雑の状況
(2020年11月5日現在)
青葉で、見ごろは例年通り11月下旬~12月上旬になる予想。現在参拝者は昨年の3~5割減。平日の混雑はありませんが、休日はやや混雑しているようです。

寺社仏閣と紅葉がおりなす美しい景色に出会えるのが、この時期の京都旅の醍醐味です。滞在期間が短くても、欲張っていくつもの場所を訪れるのではなく、同じ場所をじっくり何度も訪れるのがおすすめの楽しみ方。朝、昼、夜と光によって変化する表情が見どころです。
秋が深まりゆく古都で、とっておきのひとときを過ごしてください。

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