JALの機内販売、実は70年間続く“老舗”です
機内では、エンターテインメントプログラムが充実し、Wi-Fiが繋がるようになり、過ごし方のバリエーションがどんどん広がってきました。そんななか、定番のお楽しみとしてご愛顧いただいているのが、機内販売誌「JAL SHOP」です。1954年の国際線就航時からお酒とたばこの機内販売を開始し、約70年の歴史を持つことをご存じでしたか。
中野「基本の購入方法は、ずっと変わりません。機内で客室乗務員にご希望の商品をお伝えいただき、その場で決済。ご希望に応じてラッピングを施して、商品をお渡しします」
こう語るのが、商品ラインナップの選定やJAL SHOPの制作を手掛けるライフ・コマース事業部機内販売グループの中野温子です。そのラインナップは、時代に合わせて厳選。担当チームが時代に合わせてお客さまのニーズをリサーチしながら商品開発やトレンディなセレクトを行ってきました。
国内線ならご搭乗後でも、国際線なら事前オーダーでもお買い求めいただけます
基本的に掲載商品は機内に搭載されています。しかし限られたスペースの機内では、数が限定されていたり、人気の商品は在庫を切らしたりしてしまうことも。さらに、短い路線では揺れなどの影響により客室乗務員がサービスをご提供できないケースもあります。また、もう少し時間をかけて悩みたい、後から買い足したいというニーズを受け、JALは新たなサービスを開始しました。
中野「2023年8月から、国内線の機内販売で『おうちで機内販売』というサービスを開始しました。これはJALの国内線フライトをご利用いただいた方に限定し、ご搭乗後3日間、機内販売の商品をオンラインでお買い求めいただけるというものです。ご搭乗中に機内Wi-Fiをつなげて、IDとパスワードを確認し、ご自宅などからご購入可能です。実は以前にも、ご搭乗後にハガキをお送りいただき、送料無料でお送りするサービスを行っていたのですが、コロナ禍に廃止となりました。より使い勝手のいいオンラインサービスにリニューアルしました」
対して、国際線では「おうちで機内販売」を実施していません。これは、商品が免税品で、日本国外となる国際線フライト中の機内でないと、販売することができないからです。そのため「事前オーダーサービス」をご提供しています。機内販売の物流、搭載を担当する同グループの渡邊圭亮が続けます。
渡邊「かつて上位会員の方のみお電話で事前予約ができましたが、より多くのお客さまにお楽しみいただけるようにしたいと考えました。特に国際線は通常ご購入いただくよりおトクな免税品ですから、国内線の商品より買えなかったときのがっかり感が大きいわけです。なんとかしたいという考えから、事前オーダーを実施することにしました」
ご搭乗日前月の25日から、ご搭乗便出発の72時間前(現地時間)まで、Webサイトの予約詳細画面からご予約いただけます。
専任チームが、魅力溢れる商品を企画・選定しています
国内線の事後購入、国際線の事前オーダーで、機内販売はお買い逃しが格段に減りました。しかし、お客さまに「ほしい」と思っていただける商品をご用意しなくては、こういったサービスは無用の長物です。開発チームは、日夜商品開発に勤しんでいます。
中野「購買層の分析を常に行っています。機内販売は40~50代の女性が買われるケースが多いのですが、より若い方々にも喜んでいただける商品開発が今後の課題です」
基本的に2カ月に一度、商品ラインナップが新しくなります。
中野「特に人気なのが、JALオリジナル商品です。飛行機やJALロゴが入った限定品のほか、人気のブランドやキャラクターとコラボした商品も好評です。JALのオリジナル商品を開発する関連会社・JALUXとすり合わせをしながら、お客さまに喜んでいただけるものはどんな商品かと知恵を絞っています」
また、国際線では人気の商品の傾向が少し違います。
中野「消費税分がおトクになるので、割安感のあるコスメやお酒が人気です。しかもクレジット機能を持つJALカードをご利用いただければ、さらに10%引きになります。フライトのたびに定期的に買われる方も多くいらっしゃいます」
そんなお客さまのニーズに合わせて、人気の定番アイテムは、2カ月おきの商品入れ替え後も、ラインナップに入れるようにしています。
渡邊「焼酎は多くのお客さまにご好評いただいています。これに加えて、世界的に評価が高まっているジャパニーズクラフトウイスキー。6月に人気のジャパニーズクラフトウイスキーをご用意したのですが、すぐに完売してしまいました。そういった商品は継続的に販売するほか、できるだけたくさん機内に搭載するようにしています」
どうしてもほしい商品がある場合、「おうちで機内販売」や事前オーダーサービスのご利用をおすすめしますが、こんな“コツ”もあります。
渡邊「国内線は1機の機材が1日に何回も運航するケースもありますが、基本的には朝に商品の補充を行います。ほしい商品があればなるべく早い時間帯のフライトでお求めいただくといいでしょう。また国際線は日本で搭載します。海外旅行のお土産を機内販売でお求めの場合は、出発便で買うのがおすすめです」
即完売するかもしれません。チームが手掛けるイチ押し商品
開発チームは、約半年後に販売する商品を作っています。彼らがまさに今、手掛けているイチ押しを、ちょっとだけご紹介しましょう。
中野「日本未発売のコスメや有名ブランドとのコラボレーション商品の発売が続々と控えております。皆さま楽しみに待っていてください」
渡邊「国際線では今後、希少なジャパニーズクラフトウイスキーを展開していく予定です。昨今のブームからすぐに売り切れてしまうため、事前オーダーと組み合わせて、ほしいお客さまに確実にお届けできるようにしたいですね」
いずれも機内販売限定版。あっという間に売り切れてしまう可能性がありますので、気になる方はぜひ注意深くチェックしてください。
機内販売も楽しい旅の一部。こだわりのラインナップからごゆっくりお選びください
中野「大きな反響をいただけることが、何よりもうれしいです。しかし、結果的にもっと数量を確保しておけばよかったというような反省もあります。私は、もともと客室乗務員としてお客さまと接していましたが、今は商品企画を通してお客さまとつながれることがとてもうれしいと感じています。購入体験も楽しい旅の一部です。ぜひ客室乗務員とのコミュニケーションも楽しんでください」
機内販売の購入体験は、普段の買い物とは少し違います。カタログから商品を示していただければ、客室乗務員はひとときの間、お客さまだけのショップスタッフとなります。ご希望に応じて特製のラッピングを施し、商品をお客さまのお席までお持ちします。
渡邊「私たち裏方としても、お客さまからの反響を活かし、次は何していこうと考えられるわけですから、やりがいを感じられます。企画や物流、搭載と、裏側で多くのスタッフに支えられたサービスです」
次回のフライトでは、JAL SHOPのラインナップをぜひじっくりとご覧ください。いずれもJAL社内の専任チームが、心を込めて選び、企画した商品ばかり。大事な方へのお土産に、ご自分へのご褒美に、選択肢はよりどりみどりです。
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