JALでは、腕利きのシェフとコラボレーションした機内食をご提供しています。しかし以前のように気軽に海外に行くことができない現在、召し上がっていただく機会も少なくなっていることでしょう。そこで、直接シェフのお店を訪ねてみるのはいかがでしょうか。
画像1: 機内食のあの店を訪ねて。銀座の気鋭和食料理人による、アワビと稚鮎

向かうは、羽田/成田発のビジネスクラスで和食を監修する銀座「蓮 三四七」。店主の三科 純さんの心づくしによる、シンプルで奥深い、旬の食材を使った和食と出会えます。

画像2: 機内食のあの店を訪ねて。銀座の気鋭和食料理人による、アワビと稚鮎

銀座8丁目、コリドー通りと外堀通りの間に位置して、人目を忍ぶよう上品に構える店が、「蓮 三四七」です。のれんをくぐって階段を下りると、木目と塗り壁を基調とした落ち着いた空間が広がります。奇をてらわず、凜とした雰囲気が漂うあたりは、いかにも正統派の和食割烹らしく、折り目正しさを覚えます。

画像3: 機内食のあの店を訪ねて。銀座の気鋭和食料理人による、アワビと稚鮎

銀座で3年目。アワビは思い入れのある一品

「ここにお店を構えて、かれこれ3年ほどです」

笑顔で出迎えてくださったのが、店主の三科 純さん。小さなお店と聞いていましたが、カウンター席と個室が2部屋あり、土地柄も相まって、接待からプライベートまで使いやすそうなお店です。ここでいただけるのは、旬の食材の持ち味を活かした和食。

画像: 銀座で3年目。アワビは思い入れのある一品

「まずどうぞ」と出していただいたのが、蒸し煮にしたアワビです。これは「蓮」監修の機内食でも定番として出しているメニューで、三科さんにとっても思い入れの深い一皿なのだそう。

やわらかく美しく。シンプルで滋味深い味わい

「私は横浜の出身なのですが、祖母が山梨の甲府の出で、煮貝が有名なんですね。贅沢な振る舞い料理として、私にとっても特別な料理です。私自身のルーツもあって、煮アワビでご提供しています。お店では初夏からお出ししていて、季節に合わせて松茸やタケノコと合わせています」

画像: やわらかく美しく。シンプルで滋味深い味わい

この日使うのは、萩の天然物。じっくり煮込んで柔らかくしています。小山厚子さんの手による木訥とした風情の備前焼にこんもりと盛られたアワビは、淡く輝く照りに彩られてなんともなまめかしい印象。乗せられた一本のフキとともに、いかにも「うまいぞ」といわんばかりに鎮座しています。

力強い歯ごたえを想像しながら口に含むと、その期待はいい意味で裏切られます。少しの弾力とともにサックリと噛み切れるのです。味付けは潔く出汁のみ。アワビの濃厚な旨みに、恐らく完璧な手順で取られた素晴らしい出汁の風味が合わさり、シンプルながら奥深い味の建て付けに唸らせてくれるのは、三科さんの腕のなせる業でしょう。

春の訪れを告げる、瑞々しい稚鮎

続いては、骨董の古染付に美しく盛り付けられた稚鮎の天ぷら。薄く衣をまとわせてサッと揚げた稚鮎に、水しぶきを模したかのようにあしらわれた大根おろしを挟み、この時期ならではの青々とした木の芽を添えていただきます。

画像: 春の訪れを告げる、瑞々しい稚鮎

フワッと柔らかい淡泊な身質と、ほろ苦いワタのコントラスト。川魚らしい清々しい芳香にも、若々しい木の芽の香りにも、みぞれ酢は邪魔することなく寄り添い、引き立ててくれます。

「大根に昆布と出汁とお酢を入れて、1日染みこませてみぞれ酢にしています。塩代わりにあえて、さっぱりと食べてもらう古い仕事です。さらに木の芽も乗せて。ちょうど稚鮎の時期ですから、苦みとカリッとした食感、バランスよく食べられるところで。4月過ぎから出始める稚鮎は魅力的ですよね」

稚鮎という言葉には魔力があるように思えてなりません。春の訪れを告げるこの食材を皮切りに、冬の重厚感のある食材から爽やかで春らしい食材へと旬の味覚の衣替えを果たします。そのことを告げる音は、カリッとした稚鮎の天ぷらがふさわしいかもしれません。

季節感を大切に。さらに機内食ならではのひと工夫

「稚鮎のあとには鮎が来て、ハモが来るというのが和食ですよね。季節感を一番大切に、食材選びをしています。機内食でも同じことです」

稚鮎は機内食のメニューでもお召し上がりいただけます。3カ月おきに変わる機内食でも、三科さんは季節感を大切にし、趣向を凝らしているのです。と同時に、機内食ならではの工夫もあるのだとか。

画像: 季節感を大切に。さらに機内食ならではのひと工夫

「機内食はお店と違い、作りたてをすぐ召し上がっていただくことが難しいわけです。いろいろな決まりもありますので、そういった点に配慮しながら、味の含み方や食材のトライを重ねています。お店でのシンプルに素材を活かす手法に加えて、プラスαを心がけています。加えて、彩りも重要です。機内食は目で見ても楽しめることを大切にしています」

旬の食材を心づくしで。お店でも、機内でも

三科さんがJALの機内食を手掛けるようになって、1年3カ月。四季が一周したなかで、うれしい反響があったといいます。

画像1: 旬の食材を心づくしで。お店でも、機内でも

「コロナが一時落ち着いたころに、海外の方が来店されたことがありました。後日お連れの日本のお客さまから伺ったのですが、ご来店翌日にJAL便で帰国されたようで、機内食に『蓮』のメニューがあることに気づいてオーダーされたそうなのです。前日召し上がった料理と比較され、おいしさに感銘を受けられたと聞きました。いろんな方が機内食として召し上がってくださり、お店に思いを馳せてくださるのはうれしいですね。と同時に、機内食を手掛けるJALのシェフの再現力は本当にすごいですよ。監修してレシピを提供したあと、機内でのご提供開始時にはサンプルを送っていただけるのですが、先日食べたところ、さらにクオリティが上がっていてびっくりしました」

画像2: 旬の食材を心づくしで。お店でも、機内でも

再び国際線をご利用いただく際には、機内食を召し上がることを楽しみにしていてください。もし待ちきれないということでしたら、銀座のお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。機内でもお店でも、旬の味わいを心づくしによる手仕事で。きっと感動を覚えていただけることでしょう。

蓮 三四七

住所東京都中央区銀座7-3-13 ニューギンザビル 1F・B1F
電話03-6265-0177
営業時間12:00~、17:00~
定休日日曜・祝日
webhttps://ginza-ren.jp

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