※価格は税込み表記です。

案内人
スーパーマーケット研究家・菅原佳己(すがわら よしみ)
地元の東京を離れ愛知県で暮らしたことをきっかけに、全国各地のご当地スーパー・ご当地食の面白さに目覚め、専業主婦からスーパーマーケット研究家に。2019年、一般社団法人「全国ご当地スーパー協会」を設立。全国のご当地スーパーを行脚し、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などさまざまなメディアで、知られざる日常食の発掘とその魅力を伝えている。
著書に、『47都道府県 日本の地元食大全』(平凡社)、『日本ご当地スーパー大全』(辰巳出版)など。現在、朝日新聞にて「お宝発見 ご当地食」、雑誌『LDK』(晋遊舎)にて「ご当地スーパー探検隊」などを連載中。
公式webサイト:ご当地スーパーオンライン
日常の味に出合うと、旅は深く、心は豊かに
旅先でその土地のグルメを味わうのは、旅の大きな楽しみのひとつ。名店に足を運ぶのもいいけれど、地元の人が毎日食べているものに出合えると、旅がぐっと面白くなります。
たとえば九州の麦味噌。関東では米麹を使った味噌が主流ですが、九州では米よりも麦がよく育ったことから、麦を使った味噌が根づきました。そうした背景にあるストーリーを知ると、観光地巡りだけではなかなか見えてこない、その土地の気候や歴史、暮らしぶりに触れることができます。菅原さん曰く、ご当地スーパーは、“食べる図書館”。商品ひとつひとつが、旅の体験をより深くし、心まで豊かにしてくれます。
ここからは、菅原さんがおすすめするご当地スーパーとオリジナル商品をストーリーとともに9つご紹介します。
【北海道】地域に根付く個人店が生んだ、愛されるジンギスカン
ショッピングつむら「ツムラム」

北海道・北広島市にある「ショッピングつむら」は、個人経営の小さなスーパー。大手チェーンが広がる北海道エリアにおいて、自らの強みを磨き続け、存在感を放っている一軒です。
店の顔ともいえるのが、オリジナルの「味付ジンギスカン ツムラム」。他店には真似できない、鮮度の良さが大きな魅力です。その背景には、この店がもともと精肉店からスタートしたという歴史があります。

「味付ジンギスカン ツムラム」500g 1,800円。かわいいオリジナルパッケージも人気
日本のスーパーの多くは、精肉店や鮮魚店、青果店などの個人商店から発展してきました。得意分野を持つ店がスーパーへと進化してきた経緯があり、「ショッピングつむら」もそのひとつ。精肉の目利きと技術を活かし、地域の名物であるジンギスカンを看板商品へと育てました。「ツムラム」は、醤油とリンゴを使った甘めの味付けが特徴。もやしを入れて焼くと、家庭でも手軽に本格的なジンギスカンが楽しめます。
新千歳空港から車で約40分という立地も魅力のひとつ。旅の最終日に立ち寄り、保冷バッグで持ち帰るのがおすすめです。在庫がない場合もあるので、購入前に電話で確認すると安心です。

菅原さん
北海道では、家庭の冷凍庫にジンギスカンが常備されていることも珍しくありません。地域ごとに味付けや焼き方に違いがあり、まさに土地の味。そのなかで「ツムラム」は、地元の人にとって“いつもの味”として愛されているようです。
ショッピングつむら
| 住所 | : | 北海道北広島市朝日町4-4-6 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 011-373-3863 |
| 営業時間 | : | 10:00〜19:00 |
| 定休⽇ | : | 日曜 |
| : | @shopping_tsumura |
【岩手】三陸の海の味を詰め込んだリッチな“ご飯の友”
スーパーマイヤ「海鮮舞屋漬」

岩手県大船渡市発祥のスーパー「マイヤ」。現在は県内各地に店舗を展開していますが、もともとは三陸の海に面した地域から始まったお店です。三陸沿岸は、幾度もの津波被害に見舞われてきた土地でもあります。とりわけ2011年の東日本大震災では、大船渡市をはじめ多くの店舗や施設が甚大な被害を受けました。それでも営業を再開し、地域の生活を支え続けてきたのがマイヤです。沿岸発祥のスーパーが、内陸の盛岡でも三陸の味を届けている。その姿勢そのものが、岩手の食文化の奥行きと力強さを物語っています。

「海鮮舞屋漬」3,580円
オリジナル商品「海鮮舞屋漬(かいせんまいやづけ)」は、特製のめかぶ醤油漬けに、あわび、いくら、数の子を組み合わせた逸品。自然解凍してご飯にのせるだけで、三陸の海の味を手軽に楽しめます。

菅原さん
岩手の人にとっては特別なご馳走というよりも日々の食卓に寄り添う“ご飯の友”として人気です。豪華な海鮮丼とはまた違う、めかぶと魚介の組み合わせのおいしさを、ぜひ味わってみてください。
スーパー マイヤ 大船渡店
| 住所 | : | 岩手県大船渡市大船渡町字野々田156-19 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0192-26-0101 |
| 営業時間 | : | 9:30~21:30 |
| 定休⽇ | : | なし(元日休業) |
【神奈川】葉山牛がごろり。逗子のスーパーがつくる、日常のご褒美
スズキヤ「逗子・葉山カレー」

逗子・葉山・鎌倉エリアに展開する「スズキヤ」は、安売りで勝負するのではなく、良質な商品を適正価格で届ける姿勢を貫いてきました。かつては地域の御用聞きとして、商品を届けていた歴史があるそうで、厳しい目を持つ顧客に鍛えられながら、“本当にいいもの”を選ぶ力を磨いてきました。地元の人が口を揃えて「スズキヤが好き」と語るのも、その積み重ねがあるからでしょう。

「逗子・葉山 特選葉山牛カレー」1,275円。パッケージには、夜の逗子の風景
おすすめは、オリジナル商品「逗子・葉山カレー」シリーズ。全4種類のレトルトカレーがあり、なかでも人気なのが「特選葉山牛カレー」です。希少な葉山牛の塊肉がごろりと入り、フォンドボー(じっくり煮込んだ牛出汁の旨み)が溶け込んだ欧風仕立て。価格も1,000円を超える“ご馳走カレー”ですが、シリーズの中で最も売れているとか。パッケージには葉山の朝・昼・夜の風景が描かれ、旅の記憶とともに持ち帰りたくなるデザインです。

菅原さん
カレーのほか、季節限定のオリジナル商品も魅力的。「かながわブランド」に選ばれている柑橘「湘南ゴールド」を使用した「湘南ゴールドジャム」も、ファンの多い一品。初夏にぴったりの爽やかな味わいで、ヨーグルトやアイスクリームなどにのせていただくのもおすすめです。
スズキヤ逗子駅前店
| 住所 | : | 神奈川県逗子市逗子1-4-1 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 046-971-3315 |
| 営業時間 | : | 9:00~22:00 |
| 定休⽇ | : | なし |
| web | : | スズキヤ 公式サイト |
【長野】果実そのものの甘みを、瓶に凝縮。信州生まれの名品
ツルヤ「果実まるごとジャム」

長野県を中心に展開する「ツルヤ」は、地元の人にも観光客にも愛されるスーパー。軽井沢店は特に観光客が多く、休日には駐車場がいっぱいになることも珍しくありません。
地域では“上質なものが買える店”として知られているツルヤ。全国有数のフルーツ王国である信州とあって、名物はオリジナルの「果実まるごとジャム」。旬の果実をたっぷり使用した贅沢な味わいが特徴です。果実まるごとジャムをはじめとしたオリジナルシャムは、棚に50種類以上が並びます。

「果実まるごとジャム 信州白桃」「果実まるごとジャム 信州あんず」いずれも150g 431円
定番のひとつ、「信州白桃」は、大きな桃を丸ごと食べているようなみずみずしさ。桃好きにはたまりません。信州産のあんずを使った「信州あんず」もおすすめ。クリームチーズと合わせれば贅沢なデザートのような味わいが楽しめます。バターのコクとリンゴの酸味がマッチした「信州産ふじ りんごバター」も人気商品。瓶を開けるたび、信州の豊かな景色がよみがえるような旅の余韻を持ち帰れます。

菅原さん
フルーツの加工に長けたツルヤは、ドライフルーツもおすすめ。素材そのものを感じるジューシーさが魅力で、そのままはもちろん、紅茶に入れてもおいしく食べられます。
ツルヤ 軽井沢店
| 住所 | : | 長野県北佐久郡軽井沢町長倉2707 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0267-46-1811 |
| 営業時間 | : | 9:30~20:00(季節により変動あり) |
| 定休⽇ | : | 不定休 ※年間8日、詳しくは公式サイトをご確認ください |
| web | : | ツルヤ 公式サイト |
【愛知】渥美半島の恵みをスイーツに。循環するスーパーの挑戦
ビオ・あつみ エピスリー豊橋「BIOレモンケーキ」

愛知県・豊橋市にある「ビオ・あつみ エピスリー豊橋」は、エコやビオ(有機)をテーマに掲げるスーパーです。運営する渥美フーズは、渥美半島に本社を構え、農業にも取り組んでいます。
注目は、オリジナルブランド「BIO SWEETS LAB」の「BIOレモンケーキ」。使われているのは、渥美半島産の無農薬レモン。さらに、愛知県産小麦、自社生産の平飼い有精卵「めぐるたまご」など、素材の多くが地元由来です。

「BIOレモンケーキ」8個入り 3,348円。レモン色の箱入りで手土産としても人気
「めぐるたまご」は、スーパーから出る野菜くずなどを鶏の餌として活用し、その鶏糞を堆肥にして農場へ戻すという循環型の取り組みから生まれた卵。構想段階では“理想論”のようにも思えた仕組みが、いま実際に店頭の商品として並んでいます。
レモンケーキの生地は、ミネラルを多く含む鹿児島県奄美諸島産サトウキビ100%の砂糖を使っており、淡い茶色をしています。レモンのさわやかな酸味と、ほんのりとした皮の苦みが自然に広がり、なんだかホッとする味わい。どこで作られた素材なのかが明確であることも、この店ならではの安心感につながっています。

菅原さん
渥美半島は農業が盛んな土地。その豊かさを、ただ販売するだけでなく、循環という形で地域に還元していく。ビオ・あつみ エピスリー豊橋は、スーパーが地域とどう関わるかを体現している新しいモデルともいえる一軒です。
ビオ・あつみ エピスリー豊橋
| 住所 | : | 愛知県豊橋市三ノ輪町本興寺2-12 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0532-69-5544 |
| 営業時間 | : | 10:00~20:00 |
| 定休⽇ | : | 元日 |
| web | : | ビオあつみ 公式サイト |
【京都】一振りで食卓に京都の香りを
フレンドフーズ「京都下鴨 風漣堂 完熟赤山椒」

京都・下鴨にある「フレンドフーズ」は、地域で長く愛されてきた一軒のスーパー。代々受け継がれてきた店で、「おいしく、少なくとも体に悪くない“ほんまもん”」を扱う姿勢を大切にしてきました。京都には多くの名店がありますが、安さを競うのではなく、選び抜いた商品を丁寧に並べる、その姿勢がお客さんの信頼につながっています。
ここで紹介したいのが、オリジナル商品「完熟 赤山椒」。希少な国産の赤山椒は、実が赤く完熟するまで樹上で育て、果皮のみを挽いて仕上げています。関東でよく口にする青山椒のさわやかな刺激に対して、完熟赤山椒はよりフルーティーで、香りに甘みがあるのが特徴。もちろん山椒特有の痺れはありますが、角が取れたやわらかな印象です。

「完熟 赤山椒」1,980円

菅原さん
京都の人は、七味唐辛子を振る感覚で山椒を使います。うなぎや焼き魚だけでなく、うどん、味噌汁、漬物にも。ちりめん山椒が代表的ですが、山椒は日常の香りです。関東ではあまり使う機会がないからこそ、この赤山椒をきっかけに、京都の味覚に一歩踏み込めるかもしれません。
フレンドフーズ 下鴨店
| 住所 | : | 京都府京都市左京区下鴨北園町10-6 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 075-722-0451 |
| 営業時間 | : | 10:00~21:00 |
| 定休⽇ | : | 1月1〜3日 |
| web | : | フレンドフーズ 公式サイト |
| : | @friendfood.kyoto/ |
【広島】瀬戸内の牡蠣をオイルに閉じ込めた大人のご馳走
アバンセ「牡蠣オリーブオイル漬け」

アバンセminamoa広島店
広島を中心に展開する「アバンセ」は、上質志向のスーパーです。輸入食品やワインなども充実していますが、地元の素材を活かしたオリジナル商品も豊富。地元の食材を、少し洗練された形で届けるアバンセの棚には、広島の今が並んでいます。
そのひとつが「広島牡蠣オリーブオイル漬け」。製造は広島の水産加工会社・マルイチ商店。瀬戸内海で育った牡蠣を使い、オリーブオイルに漬け込んだ商品です。プレーン、レモン、バジルの3種類があり、いずれも牡蠣の旨みをしっかり感じられる仕上がりになっています。

「広島牡蠣オリーブオイル漬け」200g 1,728円
広島といえば牡蠣。冬が旬の印象がありますが、加工品にすることで、季節を問わず楽しめる形にしています。瓶詰めなので持ち帰りもしやすく、お土産にはうってつけ。minamoa店は広島駅と直結しているため、お土産選びに最適な立地です。

菅原さん
そのままつまみにするのはもちろん、パスタに和えたり、バゲットにのせたり。シンプルな調理でも、瀬戸内の味が立ち上がります。観光地で焼き牡蠣を味わう体験とはまた違い、帰宅後の食卓で広島を思い出すきっかけになります。
アバンセ minamoa広島店
| 住所 | : | 広島県広島市南区松原町2-37 ミナモア 2F 西-アバンセ |
|---|---|---|
| 電話 | : | 082-258-7150 |
| 営業時間 | : | 7:30~22:00 |
| 定休⽇ | : | なし(施設に準ずる) |
| web | : | アバンセ 公式サイト |
【福岡】地元の味を、ひとひねり。福岡のスーパーが生むアイデアスイーツ
ダイキョーバリュー「はぎトッツォ」

福岡県を中心に展開する「ダイキョーバリュー」は、地域の素材を活かしながら、独自の発想でオリジナル商品を生み出すスーパー。地元の食文化をベースにした惣菜やスイーツは、日常の食卓の定番であるだけでなく、全国のスーパーやコンビニ、専門店などが集う「お弁当・お惣菜大賞」でも14年連続入賞を果たすなど、さまざまなコンテストで高く評価されています。

「はぎトッツォ(クリーム・抹茶)」各410円。ダイキョーバリュー弥永店の隣、はぎトッツォ専門店「米とあん おこめのおめかし」で購入可能
和菓子と洋菓子の境界を軽やかに超える発想は、ご当地スーパーならでは。2021年に誕生して以来、今や看板商品になっています。福岡県産「ひのひかり」と熊本県産「ひよくもち」をブレンドしたお米を使い、あんことクリームも丁寧に手作り。季節限定商品含め、常に6種類を展開しています。

菅原さん
“ダイキョー名物”といえば、毎週日曜に開催される「日曜朝市」です。まるでお祭りのような賑わいで、地元産の新鮮な食材や、おトクな商品が盛りだくさん。福岡市中心部からは離れていますが、わざわざ足をのばして行く価値のあるスーパーです。
ダイキョーバリュー 弥永店
| 住所 | : | 福岡県福岡市南区柳瀬1-32-1 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 092-581-5812 |
| 営業時間 | : | 9:00~21:00 |
| 定休⽇ | : | なし |
| web | : | ダイキョープラザ 公式サイト |
【沖縄】沖縄の歴史を映す、街のスーパー。ジミーの焼き菓子
ジミー「OKINAWANスライスケーキ」「マフィン」

ジミー那覇店
沖縄で長く親しまれている「ジミー」は、スーパーでありながら“洋菓子の店”としても知られる存在です。1950年代に創業し、アメリカ文化の影響を受けたケーキや焼き菓子をいち早く取り入れてきました。いまも店内には色とりどりのスイーツが並び、地元の人にとっては日常の一部になっています。
沖縄らしさが詰まっているのが、「OKINAWANスライスケーキ」。沖縄県産紅いもや黒糖、バナナ、チョコレートなど、南国らしい素材や風味を活かした5種類の味がセットになっています。しっとりとした食感で、個包装されているためお土産にも便利。

「OKINAWANスライスケーキ」2,300円、「マフィン(紅いも・バナナ)」1個260円
もうひとつの定番が「マフィン」。紅いも、チーズ、ココナッツ、チョコチップなど、沖縄らしい素材とアメリカンベーカリーのテイストが重なります。自社工場で焼き上げるスタイルも、長年地元で愛されてきた理由のひとつです。

菅原さん
地元の人が送り合う、ジミーのアップルパイも看板商品のひとつ。創業から変わらないアメリカンな味わいは、もはや沖縄のご当地食といえます。焼き菓子は空港などでも買えますが、那覇店に行くと、ジミーでしか見かけないようなお惣菜もあるので要チェックです。
ジミー 那覇店
| 住所 | : | 沖縄県那覇市銘苅3-8-5 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 098-861-1110 |
| 営業時間 | : | 9:00~21:00 |
| 定休⽇ | : | なし |
| web | : | ジミー 公式サイト |
「おいしい」の先にある、ストーリーに出合う場所
ご当地スーパーをのぞくと、その土地の食卓や歴史、暮らしのリズムがふっと見えてきます。棚を眺め、商品の背景を知り、まだ食べたことのない味を選ぶ時間から、観光地や定番土産とは少し違う、日常に根ざした魅力が見えてきます。「おいしい」の背景に広がるその土地のストーリー。それに触れたとき、「旅が、心が、もっと豊かになる」と菅原さんは語ります。次の旅行では、街のスーパーを目的地のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
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