いまもなお伝統的建造物や異国情緒あふれる街並みが残る函館。幕末に国際貿易港として開港して以来、さまざまな文化や人の交流地点となってきた函館港と、街のシンボルでもある函館山の間に広がる旧市街地、通称「西部地区」は、訪れる人々を心踊る旅へと誘ってくれます。
西部地区が面白いのは、古い街並みが景観として保護されているだけでなく、いまなお暮らしや仕事の場として利用されているところ。西洋文化の影響を受けつつ、独自の進化を遂げた和洋折衷の建築物をリノベーションしたお店や、古くから街の人たちに親しまれている温泉施設などが、地元の人も旅行者も分け隔てなく迎え入れてくれるのです。
函館の風土や暮らしが感じられるスポットを中心に、西部地区の「古くて新しい」魅力をご紹介したいと思います。
文:阿部光平 写真提供:箱バル不動産( http://hakobar.com/

地元民に愛される温泉で、疲れた体を癒す

谷地頭温泉(やちがしらおんせん) / cafe classic(カフェ クラシック)

画像: 谷地頭温泉(やちがしらおんせん)

谷地頭温泉(やちがしらおんせん)

たっぷり観光を楽しんだ後は、温泉に浸かるのが函館流。函館市内には20を超える温泉施設があり、そのほとんどが銭湯価格で入浴できます。

なかでも函館山の麓に湧く谷地頭温泉(やちがしらおんせん)は、鉄分を多く含む茶褐色のお湯が特徴で、筋肉痛や関節痛、疲労回復などの効能があるとされる市内でも屈指の名湯。もちろん源泉掛け流しで、広々とした露天風呂やサウナ、水風呂も完備されています。東京ではサウナは別料金という温泉施設が一般的ですが、ここはすべての施設が利用できて420円という価格設定。まさに「生活の場」といった風情の地域に根づいた温泉です。

画像: 広々とした浴室スペース

広々とした浴室スペース

いつも地元市民で賑わっている谷地頭温泉ですが、旅行者でも気軽に楽しめるようトランクケースが収納できる大型のロッカーや、タオルやシャンプーなどが一式になった「手ぶらセット」なども用意されています。朝6時から夜22時までと、営業時間が長いのも旅行者には嬉しいポイントですね!

谷地頭温泉には食堂が併設されており、函館と隣接する七飯町にある山川牧場の牛乳やソフトクリームを味わうことができます。フレッシュな牛乳の味がギュッと濃縮されたソフトクリームは、北海道ならではの味わい。お風呂上がりに頬張る冷たいソフトクリームは格別です。

谷地頭温泉(やちがしらおんせん)
定休日第2・4火曜日
営業時間6:00〜22:00(21:00受付終了)
住所北海道函館市谷地頭町20-7

谷地頭温泉近くのカフェでお酒を楽しむ

cafe classic(カフェ クラシック)

落ち着いた雰囲気でお酒を楽しみたいという方は、谷地頭温泉から歩いて5分ほどの距離にある「cafe classic(カフェ クラシック)」がオススメ。照明を抑えた店内には、日々の忙しさからは切り離されたようなゆっくりした時間が流れており、静かにお酒を楽しむにはこれ以上ないシチュエーションです。もともとはクリーニング店の店舗だったということで、建物自体にも古い街ならではの物語が感じられます。

画像: cafe classic(カフェ クラシック)

cafe classic(カフェ クラシック)

cafe classic(カフェ クラシック)
定休日火曜日
営業時間11:30〜23:00(LO22:00)
住所北海道函館市谷地頭町25-20
webhttps://classic-hakodate.jimdo.com

旅情を感じる長屋で、旬の食材と日本酒のペアリングを味わう

旬鮮酒家 桜路(しゅんせんしゅか さくらみち)

画像: 旬鮮酒家 桜路(しゅんせんしゅか さくらみち)

旬鮮酒家 桜路(しゅんせんしゅか さくらみち)

温泉で身も心もさっぱりした後の楽しみといえば、何といっても美味しい夕食! 谷地頭温泉がある「谷地頭」停留所から、路面電車で1駅のところにある「旬鮮酒家 桜路(しゅんせんしゅか さくらみち)」では、函館の新鮮な海の幸とともに、日本酒ソムリエがセレクトした美味しいお酒がいただけます。

こちらは、1934年に発生した函館大火の直後に建てられた二軒長屋を改修したお店で、靴を脱いで店内に一歩入り込むと、ノスタルジックで開放的な空間が広がっています。

画像: 長屋のつくりを活かした開放的な空間

長屋のつくりを活かした開放的な空間

店名の通り、「旬な食材や、新鮮な食材と一緒に、美味しいお酒を飲みながら、家のようにくつろげるお店づくり」をモットーにしているということで、食事、お酒、居心地、どれをとっても非常にハイレベル。個室からカウンターまでさまざまな席があるので、大人数ではもちろん、ひとりでゆったりと夕食を堪能することもできます。

桜路では、港町ならではの新鮮なお刺身やお寿司のほか、地元の豆腐屋さんのお豆腐や、丁寧に焼き上げられたお肉料理も人気。日本酒ソムリエが厳選した豊富な日本酒のなかから、料理や気分に合わせてお酒をセレクトしてもらえるので、一品一品が忘れられない思い出の味になるはずです。

1日歩き回った西部地区での体験や記憶を肴に飲むお酒は、ありきたりではない豊かな旅情に満ちていて、旅をより思い出深いものにしてくれるでしょう。

画像: 北海道の地酒のほか、日本酒ソムリエが厳選した日本酒が並ぶ

北海道の地酒のほか、日本酒ソムリエが厳選した日本酒が並ぶ

旬鮮酒家 桜路(しゅんせんしゅか さくらみち)
定休日日曜日(日・月連休の場合は日曜日営業、月曜日休業)
営業時間11:30〜14:00(LO13:30) / 17:30〜23:00(LO22:30)※土・日・祝前日は24:00まで営業
住所北海道函館市青柳町24-1
その他2018年7月1日より定休日が水曜日に、営業時間が17:30〜22:00(LO21:30)に変更となります。

新しい「函館らしさ」に触れる、ローカルな旅を

函館といえば海鮮丼や塩ラーメンが有名ですが、ほかにも、函館にしかない歴史を引き継ぐお店や、ここでしか食べられないものはたくさんあります。

有名な観光地やご当地グルメはとても魅力的なものです。一方で、最近は、飾らない街の日常や、そこでしか会えない人、お店に旅の醍醐味を見いだす人も増えています。歴史的な町並みを残しながら、人々の暮らしの場となっている函館の西部地区は、そのどちらも満たしてくれる地域だといえるでしょう。

カメラ片手に街を歩きながら自分だけのお気に入りの場所を見つけたり、地元の人たちとのんびり話をしたりしながら、その街の空気感を味わう旅には、自分の足で歩いたからこそ得られる出会いや感動があります。函館の旧市街で、「古くて新しい」ローカルな旅を堪能してみてください。

阿部光平

北海道函館市出身。大学卒業を機に5大陸を巡る地球一周の旅に出発し、帰国後、フリーライターとして旅行誌などで執筆活動を始める。函館のローカルメディア『IN&OUT –ハコダテとヒト-』( http://inandout-hakodate.com/index.html )の運営も行っている。
Twitter:@Fu_HEY

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※2019年8月20日に一部内容を更新しました。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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