アート×グルメの街「マドリード」
スペインと聞くと、「美食」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実は首都マドリードは、美食だけでなく「アート」も堪能できる街。ヨーロッパを代表する芸術の宝庫で、歴史的名画から現代アートまで、多彩な作品に触れることができます。
日本からスペインを訪れる際は、イベリア航空の成田‐マドリード直行便が便利。
JALの欧州線共同事業パートナーであるイベリア航空は2024年10月27日よりJALとイベリア航空のコードシェア便「成田‐マドリード直行便」を週3往復で再就航しています。往路は15時間50分、復路は14時間20分と所要時間が大幅に短縮され、スペイン旅行がより身近になりました。
*2024年11月22日現在のスケジュールです。
「パセオ・デル・アルテ(Paseo del Arte)」で三大美術館を巡る
マドリードのアートシーンを語る上で「パセオ・デル・アルテ」(美術館通り)は欠かせません。いわゆる「三大美術館」が市の中心部に立ち並び、北の「ティッセン=ボルネミッサ美術館」から「プラド美術館」までは徒歩約6分、「プラド美術館」から「ソフィア王妃芸術センター」も徒歩約10分! ここからは「三大美術館」の魅力と必見作品を見ていきましょう。
巨匠たちの名作が集う、絵画の殿堂「プラド美術館」
しばしば世界三大美術館に名を連ねるプラド美術館。スペイン王家のコレクションを一堂に展示する施設として、1819年にオープンしました。そのため、スペイン王室の宮廷画家を務めた巨匠ベラスケスや、フランシスコ・デ・ゴヤの作品を世界で最も数多く展示している美術館として知られています。
必見はベラスケスの名作『ラス・メニーナス』。彼の作品ばかりを集めた「ベラスケスの間(ま)」の中央に厳かに展示されています。スペイン国外に持ち出すことが法律で禁じられているこの絵を鑑賞できるのはここプラド美術館のみです。
また、ゴヤの作品のコーナーでは名画『裸のマハ』『着衣のマハ』を至近距離で鑑賞できます。
約3万4000点 の所蔵作品のうち、常設展や特別展で一度に鑑賞できるのは一部のみですが、アート好きの方は1日かけても飽きることのない美術館! およそ80の展示室があり、それぞれに巨匠の名作が飾られていますが、大規模な展示室も多く、1部屋で1時間以上かけてじっくり見たくなるような作品が目白押しです。
プラド美術館(Museo Nacional del Prado)
住所 | : | Paseo del Prado s/n. 28014 Madrid |
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営業時間 | : | 月~土曜10:00~20:00、日曜・祝日10:00〜19:00 |
短縮開館日 | : | 1月6日、12月24日、12月31日(10:00~14:00) |
閉館日 | : | 1月1日、5月1日、12月25日 |
web | : | プラド美術館 公式サイト(外国語サイト) |
: | @museoprado |
ピカソの『ゲルニカ』に圧倒される現代芸術の「ソフィア王妃芸術センター」
サルバドール・ダリ、ジョアン・ミロをはじめとする、主にスペインの現代美術作家の作品を集めたソフィア王妃芸術センター。見どころは、パブロ・ピカソの名画『ゲルニカ』です。
スペイン北部バスク地方の町・ゲルニカへのナチス・ドイツによる無差別爆撃の惨事を見事に表現したこの作品。その展示室に一歩足を踏み入れると、この作品の大きさに圧倒されます。
高さ3.5m、幅7.8mのこの巨大な絵画は反戦を訴える作品ですが、具体的な戦闘場面が描かれているわけではありません。その代わり太陽や馬、剣、母子といったさまざまなモチーフが混沌と重なりあい、見る者に強烈な印象を与えます。
スペイン重要文化財で国外への貸出しは禁止。この絵もここに来なければ見ることができない作品です。
プラド美術館と比べると、短時間ですべての部屋を鑑賞できるのもポイント。
他にもサルバドール・ダリの彼の独特な夢幻的な世界観が表現された『大いなる自慰者』、抽象的な作品の中に個性が光るミロの『パストラル』、スペインのキュビズムの画家フアン・グリスの『アニスのボトル』など、2時間ほどで主要な作品を押さえて全館を巡ることも可能です。
ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía)
住所 | : | Calle Santa Isabel 52. 28012 Madrid |
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営業時間 | : | 月曜、水~土曜10:00~21:00、日曜10:00~14:30 |
閉館日 | : | 火曜、1月1日、1月6日、5月1日、5月15日、11月9日、12月24日、12月25日、12月31日(祝日の開館日は要確認) |
web | : | ソフィア王妃芸術センター 公式サイト(外国語サイト) |
: | @museoreinasofia |
古典から印象派、前衛作品まで揃う「ティッセン=ボルネミッサ美術館」
プラド美術館が主に古典的名画、ソフィア王妃芸術センターが現代美術の粋を集めているのに対し、ここでは中世から20世紀までのヨーロッパ絵画の歴史を辿ることができます。展示の幅が広く、西洋美術史を一通りカバーしているのは大きな魅力。美術の詳しい知識がなくても、美術館を一巡することで、自然と絵画の変遷の様子を体感できます。
カラヴァッジョの『アレクサンドルの聖キャサリン』(1598年)や、フィンセント・ファン・ゴッホの『オーヴェル近郊ヴェセノの眺め』(1890年)、クロード・モネの『ベトゥルの雪解け』(1881年)などは必見。
またシュールレアリスムの巨匠サルバドール・ダリの傑作『目を覚ます1秒前、ザクロの実の周囲を1匹の蜜蜂が飛び回ったために見た夢』もこの美術館に展示されているので、あわせてチェックしてみてください。
ティッセン=ボルネミッサ美術館(Museo Nacional Thyssen-Bornemisza)
住所 | : | Paseo del Prado 8. 28014 Madrid |
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開館時間(常設展) | : | 月曜12:00~16:00、火~日曜10:00~19:00(特別展の開館時間は要確認) |
閉館日 | : | 1月1日、5月1日、12月25日 |
web | : | ティッセン=ボルネミッサ美術館 公式サイト(外国語サイト) |
: | @museothyssen |
アート巡りの後は「マヨール広場」周辺で地元名物を堪能
芸術で知的好奇心が満たされた後は、マドリードの名物グルメでお腹も満たしましょう! マドリードには高級店もたくさんありますが、庶民的なB級グルメも絶品揃いです。マヨール広場周辺で気軽に楽しめる人気グルメをご紹介します。
カリっと揚げたイカの絶品サンド「ボカタ・デ・カラマレス」
スペインではバゲットを使ったサンドイッチは「ボカディージョ」または「ボカタ」と呼ばれています。遠足やアウトドアでも人気のボカタは、スペイン人なら子どもの頃から慣れ親しんだ味。間に挟むものは各地方さまざまで、スペインの中でボカタ巡りをしてもよいくらい、バラエティに富んでいます。
マドリードのおすすめボカタはイカリングフライを挟んだ「ボカタ・デ・カラマレス」。どの店でも人気メニューのため回転が早く、揚げたてをパンに挟んで提供してくれるので、サクサクの食感を楽しむことができます。
マヨール広場の回廊をぐるっと一周するレストランやバルでも、必ずこのボカタを食べられるので、お好みのお店に入ってみてください。バルでこのメニューを注文し、地元の住民に交じってカウンターで立って食べるのも、地元グルメを満喫するポイント。
列を作って順番待ちをするスタイルではないので、慣れないと難しい気もしますが、熟練のスタッフがしっかりと見てくれているので大丈夫。必ず声をかけてくれます。
丸ごと焼いたマッシュルームが主役の名店「メソン・デル・チャンピニョン」
マヨール広場から、階段を下りて徒歩1分の距離にある「メソン・デル・チャンピニョン」は、マドリード市民なら知らない人はいないほどの名店です。
チャンピニョンは、スペイン語でマッシュルームのこと。1964年の開店当初は、文字通りチャンピニョンだけを提供する一品料理店でした。
刻んだニンニクとパセリを、裏返したマッシュルームにのせてオリーブオイルで焼き、少しのレモンのしぼり汁と塩だけで味付け。ひとかけのチョリソ(腸詰)をのせたシンプルな味は、60年以上変わらずに受け継がれてきたもの。片面だけをじっくり焼き上げることで、マッシュルームから滲み出す汁がスープのようにマッシュルームのひだの部分に溢れ、口の中に芳醇な香りが広がります。
ごろっとしたマッシュルームは、ひとつずつ爪楊枝が刺さった形で提供されます。よく見ると、マッシュルームひとつにつき2本の爪楊枝が刺さっています。これを両手で持ち上げて一口で食べるのが、汁をこぼさずに味わうポイントです。
メソン・デル・チャンピニョン(Mesón del Champiñón)
住所 | : | Cava de San Miguel, 17, 28005 Madrid |
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営業時間 | : | 月~木曜11:00~翌1:00、金・土曜11:00~翌2:00、日曜12:00~翌1:00 |
定休日 | : | 年中営業(ただし、12月25日、12月31日は短縮営業・要確認) |
web | : | メソン・デル・チャンピニョン 公式サイト |
: | @mesonchampinonmadrid |
イートインで色んな味が楽しめる「サン・ミゲル市場」
マヨール広場の隣に位置する「サン・ミゲル市場」は、年間1,000万人以上もの人が訪れるマドリードのイートイングルメの殿堂です。ひとたび市場の中に足を踏み入れると、専門店のスタンドが所狭しと並んでおり、その中央にはイートインスペースがあります。
新鮮なマテ貝をその場で焼いてくれるスタンド、見ているだけでも楽しいスペインチーズを扱うスタンド、ハモン(生ハム)や腸詰を食べやすいサイズで切り売りするスタンド。そしてスペイン風オムレツ、手作りパン、肉料理、色とりどりのオリーブ、さらにスイーツやデザートまで、約30店舗が軒を連ねます。
いずれも一人前から注文できる手軽なグルメですが、この市場に出店しているスタンドが扱う食材はどれも最高品質の逸品。ミシュランの星を獲得している料理人が監修するパエリアやアイスクリームも絶品です。スペイン全土から集められた各地のグルメを一度に楽しむことができるサン・ミゲル市場は、滞在中、何度訪れても楽しいスポットです。
サン・ミゲル市場(Mercado de San Miguel)
住所 | : | Pl. de San Miguel, s/n, 28005 Madrid |
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営業時間 | : | 木~日曜10:00~翌0:00、金・土曜・祝前日10:00~翌1:00 |
定休日 | : | なし |
web | : | サン・ミゲル市場 公式サイト(外国語サイト) |
: | @mercadosanmiguel |
マドリードから日帰りで楽しめる近郊の世界遺産
マドリード周辺には、気軽に日帰り旅行を楽しめる世界遺産がいくつもあります。いずれも豊かな文化や建築、美しい自然や芸術を堪能できる歴史的な都市。見どころをまとめてご紹介します。
アルカラ・デ・エナーレス
『ドン・キホーテ』の作者セルバンテス誕生の地としても知られる「アルカラ・デ・エナーレス」は、マドリード市内から東に約35km。普通電車で約40分のアクセスが魅力です。ヨーロッパ初の計画的大学都市として15世紀に設立された、由緒あるアルカラ大学も見どころです。
アランフエス
ホアキン・ロドリーゴの名曲『アランフエス協奏曲』で有名な「アランフエス」はマドリードから真南に約50kmの位置にある世界遺産です。王宮と広大な庭園が魅力で、ギターの音色がとてもよく合う風景です。
エル・エスコリアル
スペイン歴代王家の霊廟があることでも知られる「エル・エスコリアル修道院」は、スペイン最大級の修道院。内部には美しいフレスコ画の天井を持つ図書館や、廊下を彩る王家のコレクションの絵画もあり、美術館さながらの壮麗さです。
トレド
スペインカトリックの総本山である大聖堂を中心に、キリスト教、ユダヤ教、イスラーム教の文化が交錯する歴史の街「トレド」は、旧市街全体が世界遺産に登録されています。アランフエスからさらに南に位置しますが、マドリードから高速鉄道AVEを使うと約30分。日帰り小旅行には最適です。
セゴビア
同じく高速鉄道AVEで北に約30分の距離にあるのが歴史的都市「セゴビア」。ローマ帝国の最盛期、紀元1~2世紀ごろに建設されたスペイン最大のローマ水道橋と、『ディズニーの白雪姫』のお城のモデルになったといわれるアルカサル(城塞)が象徴的な小さな街で、旧市街は1日かけて散策するのにちょうどいい大きさです。
さあ、成田発マドリード行き直行便に乗る準備は整いましたか? アートとグルメ、そして近郊の世界遺産を巡る、文化と芸術にあふれた素敵な旅に出かけてみてください。
取材・撮影(一部):小倉真理子
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