中世の街並みやロマンチックな古城巡りが人気のドイツですが、日本ではあまり知られていない穴場がまだまだたくさんあります。中でもデュッセルドルフは、日本との縁が深く、“欧州の日本”といわれることもある地域。本記事ではその理由もご紹介しながら、デュッセルドルフを起点に、周辺のおすすめ絶景スポットや絶品のローカルグルメ情報をお届けします。美景と美食を満喫する、デュッセルドルフの旅のご提案です。

日本からもアクセス抜群。ドイツ・デュッセルドルフとは?

画像: 日本からもアクセス抜群。ドイツ・デュッセルドルフとは?

ドイツ西部、ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都・デュッセルドルフは、ルール工業地帯の主要都市として発展した国際商業都市。ファッションと芸術の発信地としても名高く、どこか洗練された雰囲気が漂っています。

日本からはフランクフルト空港へ直行便が出ており、約12時間の空旅。フランクフルト空港からデュッセルドルフまでは電車に乗り、約1時間半で到着します。またはコードシェア便でヘルシンキ、ロンドン等を経由してデュッセルドルフ空港へ向かう方法もあります。

観光地としてはあまり馴染みがないかもしれませんが、実は多数の日系企業があり、約7000人もの日本人が暮らす「リトルジャパン」としても知られる街。

熱狂的なカーニバルから年末のクリスマス市まで、年間を通してたくさんのイベントが開かれており、中でも春の日本祭りは、大勢のアニメファンが集結する「世界最大級のコスプレ祭り」として盛り上がります。また周辺にはサッカーの人気チームが多く、観戦の拠点としてもおすすめです。

デュッセルドルフとその近郊を歩く。絶景やグルメが目白押し

ここからは、デュッセルドルフを起点に、ゾーリンゲンとヴッパータールまで街歩き。電車やバスを利用して向かうことができる名所をご紹介するので、アクセスも安心です。

ライン川沿いで最も美しい街! リトルジャパンと呼ばれる「デュッセルドルフ」

デュッセルドルフ空港駅から電車で約10分、デュッセルドルフ中央駅を目指します。デュッセルドルフ中央駅に到着したら、まずは町の中心を流れるライン川沿いの遊歩道へ向かいましょう。地下鉄も利用できますが、ビジネス街を西に歩いても30分ほどで到着できるので、景色を楽しみながら徒歩で向かうのがおすすめです。

画像1: ライン川沿いで最も美しい街! リトルジャパンと呼ばれる「デュッセルドルフ」

ここは「ライン川沿いで最も美しいプロムナード」と讃えられ、市民に愛されている憩いの場。河畔にはカフェやバーが立ち並び、週末は散歩を楽しんだり芝生でピクニックをしたりと、市民や観光客で賑わうスポットです。

画像2: ライン川沿いで最も美しい街! リトルジャパンと呼ばれる「デュッセルドルフ」

遊歩道を北に進むと「城広場」と呼ばれる場所に出ます。ここに建つ塔はかつてのお城の一部で、現在は海事博物館として公開されています。

最上階にあるカフェは、雄大なライン川や旧市街が一望できる穴場の絶景スポット。ランチやお茶をしながら360度のパノラマビューを楽しめます。

海事博物館(Schifffahrtmuseum)

住所Burgplatz 30 40213 Düsseldorf
web海事博物館 公式サイト(外国語サイト)

人気のフォトスポット「メディエンハーフェン」

ライン川沿いの遊歩道に戻り、今度は南へ。1キロメートル強ほど進むと、デュッセルドルフで一番高い建物、ラインタワーに到着します。

画像3: ライン川沿いで最も美しい街! リトルジャパンと呼ばれる「デュッセルドルフ」

その南側に広がるのは「Medienhafen(メディエンハーフェン)」。かつての港湾地が、マスメディアやデザイン関係のオフィスが集まるメディア地区として再開発され、モダンなカフェやレストランが集まる人気エリアに生まれ変わりました。

近代建築が立ち並ぶメディエンハーフェンのランドマークとなっているのが、世界的建築家フランク・ゲーリーが手掛けた3つのビル。アンバランスなデザインが斬新で人気のフォトスポットになっています。ここでは映え写真をおさめてみてはいかがでしょうか。

Medienhafen

住所Am Handelshafen 30, 40221 Düsseldorf(フランク・ゲーリーの建築群)
webMedienhafen 公式サイト(外国語サイト)

ローカルグルメやお土産探しにおすすめの旧市街

城広場の東側一帯に広がる旧市街も散策に絶好のエリア。ここは多くのバーや居酒屋が集まることから「世界で一番長いバーカウンター」といわれ、特に週末は多くの人で賑わいます。美味しい名店が多いので、食べ歩きやお土産探しを楽しみたいときにおすすめです。

中でも必食のグルメが、街一番の人気パン屋「Bäckerei Hinkel(ベッカライ・ヒンケル)」。伝統的なドイツパンから新作まで圧巻の品揃えです。

画像4: ライン川沿いで最も美しい街! リトルジャパンと呼ばれる「デュッセルドルフ」

おすすめは、噛みしめるほどに味わい深い「シュヴァルツベルダー」と、しゅわっとした食感のドーナツ「クラプフェン」。行列が絶えない人気店なので、時間に余裕を持っておくと安心です。

Bäckerei Hinkel

住所Mittelstr. 25, 40213 Düsseldorf
webBäckerei Hinkel 公式サイト (外国語サイト)

旧市街周辺でお土産を探すなら、絶対外せないのが「Konditorei Heinemann(コンディトライ ハイネマン)」。新鮮な状態で手作りの商品を提供したいという思いから、海外進出はしていないというこだわりの名店です。クッキーやクリスマス菓子のシュトレンなどの焼菓子、フルーツたっぷりの生ケーキや日本人に人気のバウムクーヘンなど、どれも絶品ですが、ハイネマンを代表する逸品といえばシャンパントリュフ。

画像: 左:シャンパントリュフ 右:バウムクーヘン

左:シャンパントリュフ 右:バウムクーヘン

香り豊かなシャンパンとキャラメルクリームのハーモニーが絶妙な一粒チョコレートで、世界中の食通も絶賛するほど。パッケージも素敵なので、贈り物にしても喜ばれること間違いなしです。

Konditorei Heinemann

住所Martin-Luther-Platz 32, 40212 Düsseldorf
webKonditorei Heinemann 公式サイト(外国語サイト)

さて、ドイツといえば「オクトーバーフェスト」でも有名なビールの本場!

現地で地ビールを堪能したいと思っている方も多いことでしょう。デュッセルドルフが誇る地ビールは「アルトビア(アルトビール)」。アルトとはドイツ語で古いという意味で、伝統的な(古い)上面発酵で造られることから名付けられました。発祥の地はデュッセルドルフで、奥深くフルーティーな香りとホップのほどよい苦み、琥珀色の見た目が特徴のコクのあるビールです。

デュッセルドルフの醸造所のなかでも元祖とされる「Brauerei Schumacher(ブラウエライ シューマッハ)」は、1838年創業の老舗。現在も、醸造所兼レストランとして営業しています。お店の前には立ち飲みスペースが備えられているため、そこで地元の人たちに交じって飲む楽しみもありますが、せっかくなので歴史を感じる店内で食事と一緒にビールを楽しむのがおすすめ。名物の肉料理・ライン風ザウアーブラーテン(マリネ肉の蒸し煮)のこってりとしたソースとも相性抜群です。

Brauerei Schumacher

住所Oststr. 123,40210 Düsseldorf
webBrauerei Schumacher 公式サイト(外国語サイト)

日系のお店が並ぶ日本人街「インマーマン通り」

画像5: ライン川沿いで最も美しい街! リトルジャパンと呼ばれる「デュッセルドルフ」

市の観光局が「リトルトーキョー」として大々的にPRするほど有名な日本人街もご紹介。その中心となるのがデュッセルドルフ中央駅から旧市街にのびる「Immermannstraße(インマーマン通り)」。2021年には日本語の標識まで設置されたことで話題になりました。

お寿司や居酒屋、ラーメン、タコ焼きに鯛焼きなどの飲食店のほか、書店やスーパー、クリーニング店など日系のお店がずらりと並び、一瞬ドイツにいることを忘れてしまいそう。日本の味が恋しくなったらぜひ立ち寄ってください。

週末にはコスプレイヤーや多くの日本ファンが、おにぎりやアイスを食べている光景にも出合えます。

Immermannstraße

住所Immermannstraße, 40210 Düsseldorf

いぶし銀の輝き! 世界三大刃物産地の1つ「ゾーリンゲン」

デュッセルドルフを訪れたらぜひ足を延ばしていただきたい周辺の街もご紹介しておきましょう。まずは「ゾーリンゲン」です。デュッセルドルフ中央駅からゾーリンゲン中央駅までは電車で20分強。

日本の岐阜県関市、イギリスのシェフィールドと並んで、“刃物の3S”と呼ばれ、世界三大刃物産地の1つとされる街です。双子のマークで有名な刃物メーカー「ツヴィリング・JA・ヘンケルス」などは日本でもよく知られているので、目にしたことがある方が多いのではないでしょうか。ゾーリンゲンでは1250年頃から刃物製造が発達し、一時は刃物の世界シェアの80パーセントを占めるほどでした。現在は機械化が進んでいるものの、手作業のメーカーも残っています。

歴史的な刃物工場がそのまま博物館に! 「LVR産業博物館」

ヨーロッパで特に重要な産業遺産をつなぐ「ヨーロッパ産業遺産ルート」の要所でもある「LVR産業博物館」は、ルール工業地域を中心としたラインラント地方にある7つの施設で構成される分散型博物館。その1つとなる「Gesenkschmiede Hendrichs(ゲゼンクシュミーデ ヘンドリヒス)」は、ゾーリンゲン中央駅からバスで約10分のところにあります。

画像1: いぶし銀の輝き! 世界三大刃物産地の1つ「ゾーリンゲン」

1886年から100年にわたり稼働していた歴史的な刃物工場を再利用した施設では、当時そのままの鍛造機やハンマーを使った伝統的なハサミ造りを見学することができます。

画像2: いぶし銀の輝き! 世界三大刃物産地の1つ「ゾーリンゲン」

併設のショップではゾーリンゲン製の刃物が購入可能。伝統的な製法を守るロベルト・ヘアダー社の「風車のナイフ」は日本でも人気が高く、お土産におすすめです。

Gesenkschmiede Hendrichs

住所Merscheider Str. 289 – 297, 42699 Solingen
webLVR産業博物館 公式サイト(外国語サイト)

絵本の世界のような景色が広がる「グレーフラート地区」

次は同じゾーリンゲンでも、「刃物」とは正反対の世界へ。かわいらしい「木組みの家」を訪ねてみましょう。

LVR産業博物館からバスに揺られること30分強で到着する「グレーフラート地区」は、18~19世紀の建物が保存された歴史地区。その真ん中に位置するマルクト広場の周辺と、72段の階段をのぼった高台の修道院教会を中心とした約120の建物が、文化財として保護されています。

画像: グレーの屋根と壁に緑の窓枠が付いた木組みの家が並びます

グレーの屋根と壁に緑の窓枠が付いた木組みの家が並びます

木組みの家というとカラフルなイメージがありますが、このゾーリンゲンのものは珍しいモノトーンの風景で、どこかミステリアスな雰囲気。異世界に迷いこんだ気分で散策してみましょう。

Gräfrath

住所Gräfrath, 42653 Solingen

丘の上にあるメルヘンなお城「ブルク城」

画像3: いぶし銀の輝き! 世界三大刃物産地の1つ「ゾーリンゲン」

ゾーリンゲンでランチをするなら、おすすめなのが「ブルク城」。先ほどのグレーフラート地区からバスで約40分かかるのですが、グリム童話に出てきそうな古城を見たらきっと、来て良かった! と思うはず。かつてこのあたりを支配したフォン・ベルク伯爵の本城です。

お城自体も見ごたえがありますが、美食と美景の両方を味わえるレストラン「Zur Schönen Aussicht(ツア・シェーネン・アウスズィヒト)」は外せません。

画像4: いぶし銀の輝き! 世界三大刃物産地の1つ「ゾーリンゲン」

ドイツ語で「美しい景色へ」を意味する店名に違わず、ベルギッシェスラントで一番という景色が自慢です。郷土料理や自家製のケーキで、優雅なランチタイムが過ごせます。

Zur Schönen Aussicht

住所Schloßplatz 9, 42659 Solingen
webZur Schönen Aussicht 公式サイト (外国語サイト)

ドイツで最も高い位置にかかる、森の中の鉄道橋「ミュングステナー橋」

ランチを堪能した後は、ブルク城からバスを乗りついで自然を満喫してみてはいかがでしょうか。

ベルギッシェスラントの自然保護区域にあるミュングステナー橋は、ドイツで最も高い鉄道橋。森の中に突如現れる高さ107メートル、長さ465メートルの鉄橋は迫力満点です。

画像: 撮影スポットとしても人気です

撮影スポットとしても人気です

この橋の楽しみ方は3つ。まず1つ目は、下から眺める。2つ目は、電車に乗って橋を渡る。タイミングが良ければ、蒸気機関車による特別運行が実施されることもあります。3つ目は、橋にのぼる。実はこの橋ではクライミングができるのです。

画像5: いぶし銀の輝き! 世界三大刃物産地の1つ「ゾーリンゲン」

ガイドのレクチャーを受けて、安全装備を付けたらのぼっていきます。橋の上から見た絶景は一生忘れることはないでしょう。

Müngstener Brücke

住所Müngstener Brückenweg 71, 42659 Solingen
webMüngstener Brücke 公式サイト (外国語サイト)

今も現役!世界最古の空中電車が街を走る「ヴッパータール」

最後に訪れるのは、世界有数の技術大国・ドイツの歴史と今を楽しめる街「ヴッパータール」です。デュッセルドルフ中央駅からヴッパータール中央駅まで、電車で約30分で到着します。

画像: ヴッパー川の上を走る電車はスリル満点で、鉄道ファンでなくてもわくわくしてしまいます

ヴッパー川の上を走る電車はスリル満点で、鉄道ファンでなくてもわくわくしてしまいます

ライン川の支流・ヴッパー川沿いに位置する工業都市で、日本でこの名前を知る人は、おそらく電車に興味がある人でしょう。1901年に開通したヴッパータール空中鉄道は、世界最古の懸垂式モノレール。西のフォーヴィンケル駅から東のヴッパータール・オーバーバルメン駅間の20駅を約30分で結び、今も現役で市民の足として活躍中です。

Schwebebahn

欧州最大のプロジェクションショー

ヴッパータール空中鉄道に揺られてヴッパータール・オーバーバルメン駅に到着すると、巨大なガソメーター(ガスタンク)が目に入ります。このガスタンクは操業を停止後、歴史的建造物として保存されることが決定。元の姿を残したまま内部の改装が行われ、フィットネスジムやレストランなどが入る5階建てのビルとして再生されました。

中でも評判なのが、最上階に入るプロジェクションショー空間の「Visiodrom(ビジオドロム)」。ガスタンクの球状の天井や壁を活かして、さまざまなテーマのプロジェクションショーが繰り広げられ、観客はなんと寝転んで鑑賞できます。
欧州最大という6500平方メートルにおよぶ360度のスクリーンでのショーは迫力満点でとても幻想的。ショーの内容は随時変わっていくので、何度訪れても楽しめそうです。

Visiodrom

住所Mohrenstraße 3, 42289 Wuppertal
webVisiodrom 公式サイト (外国語サイト)

絶景とグルメ、ショッピングに博物館めぐりなど、楽しみがいっぱい詰まったデュッセルドルフと周辺の街々。次の旅先に“欧州の日本”はいかがですか?

デュッセルドルフ観光局

取材・撮影:坪井由美子

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