美しい風景に恵まれた 島国・アイスランドへ。
北ヨーロッパの北大西洋上に位置するアイスランドは、北海道よりも一回り大きな大地に、約30万人が暮らす島国。世界有数の治安の良さを誇るこの国の始まりは、9世紀末から10世紀末にかけてノルウェー人やケルト人が移り住んだことにあります。また、930年には世界最古の民主議会「アルシング」が発足するなど、古くから民主的な自治が行われてきたことでも知られています。その後、13世紀以降にはノルウェーやデンマークの支配下に置かれましたが、19世紀に入ると独立運動が盛んになり、1918年にはデンマーク国王主権下のアイスランド王国として成立。さらに、1944年には共和国として完全な独立を果たしています。
ヨーロッパのなかでグリーンランドに次ぐ2番目の大きさを有する島国で、北緯約63度~約66度に位置するアイスランド。国土の一部が北極圏にもかかるアイスランドには、手付かずの自然が織りなす美しい風景が点在しています。オーロラと大地と温泉と。今回は、冬のアイスランドならではの旅の魅力をご紹介します。
夜空を舞う幻想的な光。憧れのオーロラに出合う旅へ。
冬のアイスランドの旅。その醍醐味といえば、なんといっても夜空を舞うオーロラの存在でしょう。
アラスカやフィンランドなど、オーロラで有名な国や地域は世界中にいくつかありますが、アイスランドならではのオーロラ鑑賞のメリットは数多くあります。
例えば、アクセスの良さがそのひとつです。北緯約64度という高緯度に位置するレイキャビクは、首都としては世界で最北に位置。アイスランドでは、この首都レイキャビク周辺などのアクセスの良い場所をはじめ、さまざまな場所でオーロラが観測できるのです。
また、比較的速い時間帯にオーロラが見られるのもポイント。冬のアイスランドでは夜の20時頃からオーロラを観測できる可能性が高まります。深夜や早朝でなくてもオーロラ観測のチャンスがあるのは、遠くから訪れる旅人にとって大きな魅力ですよね。もちろんアイスランドならではの治安の良さも、夜間のオーロラ観測にとってはうれしいところ。
さらに、気候が温暖なこともアイスランドのオーロラ観測の大きな魅力。例えば首都レイキャビクの平均気温は、最も冷え込む12月~1月の時期でも0℃~マイナス1℃程度。マイナス10℃~30℃などとなるアラスカやフィンランド北部に比べると、とてもオーロラ観測がしやすいのです。
アイスランドでオーロラを観測できるのは、例年9月~翌年4月頃。レイキャビクの北約110kmに位置するレイクホルトやレイキャビクの南東約30kmにあるクヴェラゲルジなどの有名オーロラスポットはもちろん、天気が良く、周囲が暗い場所ならレイキャビク市内でもオーロラを眺められるチャンスも。冬のアイスランドを訪れるなら、ぜひ夜空に舞う幻想的な光のショーを楽しんでください。
大地が織りなす 圧倒的な景観を旅する
アイスランドを代表する観光エリアのひとつが、首都レイキャビクから日帰りで行くことのできる「ゴールデン・サークル」です。世界遺産にも指定される「シングヴェトリル国立公園」や「ゲイシール間欠泉」、「グトルフォスの滝」などで構成されるこのエリアは、アイスランドの大地が織りなす多様で圧倒的な絶景を楽しめる場所です。
例えばレイキャビクの北東約50kmに位置する「シングヴェトリル国立公園」は、かつて世界最古の民主議会「アルシング」が開かれた場所。ユーラシアプレートと北アメリカプレートの境界線に位置するこの場所では、プレートが引っ張り合うことによって生まれる大地の裂け目“ギャウ”を眺めることができます。切り立った断崖と大地が形づくる独特の地形は、息を呑むほどの迫力に満ちています。
またレイキャビクの東北東約80kmに位置する「ゲイシール間欠泉」は、温泉地帯として有名なエリアに、大小の間欠泉が点在する場所。高さ20~30mもの巨大なお湯の柱を吹き出す「ストロッククール間欠泉」や、エリア最大の間欠泉と称され時に高さ60mものお湯の柱が上がる「グレート・ゲイシール間欠泉」などが見どころ。これらの間欠泉は、地殻変動や地震活動の影響で時期によって活動回数や大きさが変わるので、現地を訪れる前に旅行会社などで確認するのがおすすめです。
さらに、レイキャビクの北東約90kmに位置する「グトルフォスの滝」は、アイスランド随一の規模を誇る美しい滝。氷河から流れでた大量の水が3段になって流れ落ち、最大幅約70m、高さ約35mというスケールの滝を構成しています。ほかにも、アイスランド南部に位置する楽さ60mもの巨大な滝「スコガーフォスの滝」や「ナマスカルド地熱帯地域」など、アイスランドには圧倒的な大地が織りなす絶景が点在しています。
絶景と温泉の癒しを愉しむ 世界最大級の露天風呂
アイスランド、と聞いてこの風景をイメージする人も多いのではないでしょうか。レイキャビクの南西約40kmに位置する「ブルーラグーン」は、世界最大級の露天温泉として知られる場所。隣接する地熱発電所のため汲み上げた地下温泉を利用したこの温泉施設は、なんと50mプール4つ分もの面積。青みがかった乳白色の温泉に満たされた露天風呂は、その巨大なスケールで各国からの旅人を受け入れています。
水着着用で楽しむ「ブルーラグーン」には、さまざまな楽しみが待っています。周囲を取り囲む大自然や、ゆったりと手足を伸ばせる広々とした湯船……・白濁した湯や温泉に沈殿した白い泥は、肌をきれいにする効果があるといわれており、泥パックなどを楽しむ人も数多くいます。また、施設内では有料のマッサージサービスなども行われているので、ぜひゆっくり滞在して「ブルーラグーン」の魅力を余すことなく楽しんでください。また、「ブルーラグーン」はケプラヴィーク国際空港から車で約15分というロケーションなので、旅の始まりや終わりに疲れを癒やすのにももってこいなのです。
澄んだ夜空を舞う荘厳なオーロラや、力強い大地が描く圧巻のパノラマ、そして世界最大級の露天温泉……。それらの旅の醍醐味を一度の旅で体験できるが、首都レイキャビクを起点に楽しむ、冬のアイスランドの旅の魅力です。
ひとことコメント
オーロラの見えるエリアとしては比較的温暖なアイスランドですが、それでも冬場はやはり寒い。最低気温がマイナス10℃ほどになることもあるので、夜間のオーロラ鑑賞を楽しむなら、万全の防寒はお忘れなく! 首都レイキャビクを起点に、各地方を旅する1泊~3泊の現地発着ツアーなども数多くあるので、参加してみるのもおすすめです。
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