![画像: 伝統と歴史、現代アートの交差点 香川の旅(前編)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/d21f89be5813884f4e482d277ee4919c438474ae.png)
西村 愛
2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。
【高松市内カフェ巡り1】古き良き老舗喫茶室「くつわ堂総本店」。
旅のスタートは、高松市中心部の喫茶店から。
片原町の「くつわ堂総本店」、渋い店構えです。1969年に建てられました。
1階は瓦せんべいや和菓子が売られています。瓦せんべいは150年の歴史がある、高松を代表するお菓子です。
売り場奥では窓越しに、瓦せんべいが焼かれているのを見ることが出来ます。
2階の喫茶部。こちらには窓があり、景色はありませんが自然光が入ります。
3階はほど良い暗さ。一人掛けソファが幅広く、ゆったりと座れます。
さりげなく掛けられた絵画が空間にマッチしていました。
高松市内の家具メーカー「桜製作所」のテーブル&チェア。座りやすくゆったりとした座り心地と、テーブル間隔もたっぷりと贅沢にとられています。
ロールケーキ「ノア」。くるみを混ぜ込んだ生地でバタークリームをくるんだケーキです。
室温で滑らかさを増してゆくクリーム。コーヒーとの相性も良く、とてもおいしかったです!
最後に、猪熊弦一郎氏の絵画を鑑賞しました。「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)」は、2020年3月末(予定)まで改修工事で閉館中。今回は訪問できなかったのでこちらで観ることができて良かったです。
大人の社交場のようなレトロな喫茶部でした。
くつわ堂のすぐ近くにあるクリスタルドーム天井。こちらもぜひ見上げて帰ってください。
JR高松駅から徒歩5分ほど、市内の中心地にある「くつわ堂総本店」。
高松名物「瓦せんべい」の製造・販売を行う150年の歴史ある老舗せんべい屋「くつわ堂」の2階から3階が喫茶室になっていて、朝から多くのお客さんでにぎわいます。
オープン当時から絶賛の声が集まっていたという喫茶室の建物や家具、絵画のセンスの良さは、令和になった今でも健在。
椅子やテーブルは、高松市に会社を構え、モダンな無垢材使用のインテリアアイテムや、デザイナーのジョージ・ナカシマの木工家具製作で有名な「桜製作所」のもの。ソファタイプのチェアは程よい硬さと張りがあって、腰を落ち着けて長居したくなる座り心地です。
またこの喫茶室の壁にさりげなく掛けられている絵画は、高松市で生まれ丸亀市で育った「猪熊 弦一郎」や、アートの島として有名な「直島」に美術館を構える「李 禹煥(リ・ウーファン)」といった芸術家の作品。美術館のような空間の中でコーヒーやケーキなどを楽しむという、格別な体験ができます。
オーダーしたケーキ「ノア」は、コーヒー風味のバタークリームを使ったロールケーキ。生地にはくるみが使用されていて香ばしく、食べるとどこか懐かしさを感じさせてくれます。ケーキは数種類あり、全て店内で手作りされています。
芸術鑑賞をしながらゆっくりと時間を過ごせるカフェなので、旅の途中の休憩に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
【高松市内カフェ巡り2】北浜alley内。デザイン会社が手掛けたカフェバー「さろんぶるー」。
港町の倉庫や空きビルをおしゃれにリノベーションした「北浜alley」へ。JR高松駅、ことでん高松築港駅からそれぞれ徒歩10分ほど。
3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)」の野外展示が行われていました。このエリアでは、地元の魅力的な文化や産品をテーマにしたアートが飾られていました。
「北浜 alley」は昭和初期に活躍した倉庫群を改装し、2000年にオープン。倉庫の外観は原型のままで利用されている部分も多く、周囲に置かれたグリーンとのコントラストもおしゃれです。入居するショップやカフェのセンスも相まって、魅力的なウォーターフロントエリアとして人気です。
カメラが好きな方にもきっと良いカットが見つかるはず。いい旅の思い出になりそうですね!
![画像: 北浜alley内に今年の4月にオープンしたカフェ「さろんぶるー」。海が見えるカフェバーです。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/80516aef271a4b7b6c0d5fffed60cc0b65304321_xlarge.jpg)
北浜alley内に今年の4月にオープンしたカフェ「さろんぶるー」。海が見えるカフェバーです。
![画像: カウンターに使われているのは香川県の伝統工芸「讃岐桶樽」。店のほぼ中央に位置しているため、存在感があります。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/c6aaf72e83f58a03e4e63176d99a1ece1dfb3f9a_xlarge.jpg)
カウンターに使われているのは香川県の伝統工芸「讃岐桶樽」。店のほぼ中央に位置しているため、存在感があります。
![画像: カウンターの上に下がるペンダントライトも良く見ると「香川漆器」をシェードにした渋いデザイン。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/67aee6fdb57740ac1d9df9638b1d4b7b89a94630_xlarge.jpg)
カウンターの上に下がるペンダントライトも良く見ると「香川漆器」をシェードにした渋いデザイン。
![画像: 暖簾がかかったひときわ特別感のある一角は「茶室」をイメージして作られた空間。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/f9c77f5a8e3ef7e6c89c64e64ee09d08af027dcd_xlarge.jpg)
暖簾がかかったひときわ特別感のある一角は「茶室」をイメージして作られた空間。
![画像: 天井からぶら下げられているのは「丸亀うちわ」を花びらのように重ねた照明。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/3b7ca42c9dbe8f43e5d1becbc497b2600783cc4f_xlarge.jpg)
天井からぶら下げられているのは「丸亀うちわ」を花びらのように重ねた照明。
![画像: ドライフラワーが飾られたスツールも、よく見ると彩漆。あまりにもモダンなので、教えてもらわないとうっかり見過ごしてしまいます。このカフェには、四国が誇る伝統的ものづくりに現代的な感覚を加えた、スタイリッシュな世界が広がります。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/6affe1714d927f56f977ce055e6bd337af1df76a_xlarge.jpg)
ドライフラワーが飾られたスツールも、よく見ると彩漆。あまりにもモダンなので、教えてもらわないとうっかり見過ごしてしまいます。このカフェには、四国が誇る伝統的ものづくりに現代的な感覚を加えた、スタイリッシュな世界が広がります。
![画像: 盆栽も「松の盆栽 生産量日本一」である高松のものづくりのひとつ。粋で洒落た雰囲気です。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/9e0c852e092e22ac1af369ef159a88f8fddf7ccd_xlarge.jpg)
盆栽も「松の盆栽 生産量日本一」である高松のものづくりのひとつ。粋で洒落た雰囲気です。
![画像: 窓の方に向いて作られた席には、デザイナーズチェア「Yチェア」が並びます。穏やかな瀬戸内海を行き交う船を眺めながらゆっくりと時間を過ごすことができます。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/e09c8e63b4baa4e3648f1323b3ba21d71fb9d53d_xlarge.jpg)
窓の方に向いて作られた席には、デザイナーズチェア「Yチェア」が並びます。穏やかな瀬戸内海を行き交う船を眺めながらゆっくりと時間を過ごすことができます。
![画像: このお店のために曽我部恵一氏が作曲したBGMを聴きながら、個性的なデザインに溢れる空間で心豊かになる贅沢時間。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/a4cc774bdb0a937d407f3a4263c1543476110623_xlarge.jpg)
このお店のために曽我部恵一氏が作曲したBGMを聴きながら、個性的なデザインに溢れる空間で心豊かになる贅沢時間。
![画像: フルーツを使ったドリンク「梨とライムのソーダ」を飲みました。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/258a01ad36297703862f0d11c6c163e2a9a69291_xlarge.jpg)
フルーツを使ったドリンク「梨とライムのソーダ」を飲みました。
![画像: ピッツァ、一品料理、デザート、ドリンクなどは旬の地元野菜や果物から作られます。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/26ac76138a188c3dc63a2f28b534527c53691710_xlarge.jpg)
ピッツァ、一品料理、デザート、ドリンクなどは旬の地元野菜や果物から作られます。
![画像: 同じく北浜alley内の人気カフェ「umie」も同系列です。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/57527becb4ab6effc99579933708631ce00ec28b_xlarge.jpg)
同じく北浜alley内の人気カフェ「umie」も同系列です。
![画像: さろんぶるーの目の前のビルにあるセレクトショップ「Blue」も同系列です。瀬戸内の海にまつわる様々な雑貨があります。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/5add53074dae4e3b10a9967d7cf6bee22bcf842f_xlarge.jpg)
さろんぶるーの目の前のビルにあるセレクトショップ「Blue」も同系列です。瀬戸内の海にまつわる様々な雑貨があります。
高松港沿いの倉庫や空き家、空きビルを改装した商業施設「北浜alley」。中ではギャラリー、ショップ、レストラン、カフェなどが営業しています。
この一角に、2019年4月にオープンしたばかりの「さろんぶるー」へお邪魔しました。ここはグラフィックや空間デザインなどを行う会社がオープンさせたカフェバーで、北浜alley内にある予約必須の人気カフェ「umie」や、瀬戸内の海をイメージした雑貨をそろえたセレクトショップ「Blue」などもその系列店。
さろんぶるーが入っている建物は、もともとは海運会社のものだったというビルの5階。お店の扉を開けると、窓からは3方向に海が広がっています。
店内には瀬戸内の伝統工芸を取り入れたオリジナルファニチャーが配置されています。例えば、丸亀うちわを使ったシャンデリア照明や讃岐桶樽を使ったカウンター。香川漆器の作家作品などは買うことができます。
穏やかな瀬戸内海を眺めながら時間を過ごせる窓側を向いたデザイナーズチェアの席やローテーブルを囲むソファ席は居心地抜群。奥にあるのれんで仕切られたスペースは「茶室」をイメージしたソファ席で、プライベート空間のようなおこもり感があります。
流れるBGMはさざ波が寄せるようなヒーリングミュージックで、シンガーソングライターで香川県坂出市出身の曾我部健一氏がプロデュースしたもの。目から耳から五感を揺さぶられる感覚でした。
提供される料理は旬の野菜を使ったピッツァや一品料理などで、食材は地元のものが使われています。クラフトビールやオリジナルフルーツドリンクなどもあり、カフェとしても、バーとしても使えるお店です。
「街を歩けはアートに当たる」高松市内でアートハンティング!
四国名産である「和三盆」を使ったスイーツを食べにいきます。
高松駅方面から商店街のクリスタルドームを越えると「丸亀町商店街」となり、商店街が長く続きます。
到着したのは「丸亀町グリーン」。ここにも瀬戸芸展示があります。丸亀町グリーンは商店街の一部で、屋上を含めた4階建ての複合商業施設です。
「菓子工房ルーヴ」。地元素材にこだわっていて、その品質の良さに定評がある、高松で40年以上続く洋菓子店です。
このお店のソフトクリームは、伝統的製法で作られる「和三盆」を使用。この日はアート展示に関連した期間限定(瀬戸芸期間中)「ピンポンソフト」になっていました!
卓球ラケット型のアイシングクッキーと、四国の嫁入りお菓子「おいり」がボール風に添えられています。
和三盆ソフトは、和三盆本来の穀物のじんわりとした甘さがあり、上品で優しい味。おだやかな甘さなので牛乳やクリームを邪魔せず、全体の風味に厚みを感じさせます。
体験型のアート展示「アーケード卓球」の卓球台では、ふらりとやってきたOLさんたちが卓球を楽しむ様子も見られました。
店内にも外にも席があり、イートインも可能です。
![画像: 瀬戸内の島々への出発地点ともなる高松港。芸術祭の期間外でも見られる展示がいくつかあります。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783489/rc/2019/11/25/a9f31f9e7074f60af834c9381f176e478ad7cee6.jpg)
瀬戸内の島々への出発地点ともなる高松港。芸術祭の期間外でも見られる展示がいくつかあります。
この日は夕方からお天気が回復し、瀬戸内海の夕焼けショーが見られました。
高松港玉藻防波堤灯台、愛称は「せとしるべ」。ボディ部分が全てガラスという珍しい灯台です。防波堤の先端にあり、遠くからでもその赤い姿が良く見えます。
宵闇が迫る中、灯台全体が赤く光り始めます。ピンクに染まる景色と灯台、行き交うフェリーの姿は感動的な光景でした。
宵闇が迫る中、灯台全体が赤く光り始めます。ピンクに染まる景色と灯台、行き交うフェリーの姿は感動的な光景でした。
高松駅から町中心部は商業エリアがぎゅっと密集していて、徒歩圏内の散策だけでも十分に楽しめます。「ことでん」の愛称で親しまれている高松琴平電気鉄道を利用したりJR高松駅地下で手軽に借りられるレンタサイクルを利用したりしても便利です。
まずはアーケード「丸亀町商店街」を通り「丸亀町グリーン」へ向かいます。
ここにあるスイーツのお店「菓子工房ルーヴ」では、和三盆を使ったソフトクリームが食べられます。ちょうど3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)」が開催中だったので、展示に関連した特別なスタイルで提供されていました。テーマは「卓球」。
和三盆は四国地方の特産品。伝統的な製法で作られる高級砂糖です。和三盆の特徴である淡い黄色い色のソフトクリームはくちどけが良く、素材由来のコクある甘さが広がります。ソフトクリームの上には、こちらも香川県の名産で、結婚式の引き出物や結婚した際のご近所挨拶に贈るという「おいり」が飾られていました。
夕刻になり高松港へ向かいました。港に近いエリアには瀬戸芸の野外アート展示があり、作品を見る人がカメラを持ってアートの前でお互いに撮影し合っていました。
この日は夕方近くに見事な夕焼けとなり、ピンクに染まった海の中をフェリーが行き来するという、絶景を見ることができました。
サンポート高松の防波堤の先端位置には、美しく芸術的なガラスの灯台が。「せとしるべ」という愛称の、総ガラスでできた珍しい灯台です。ガラスそのものが赤いのですが、暗くなっていくとその赤い色が光となって放たれ、暗い海の中でより一層幻想的な雰囲気をかもし出します。
市の中心地には「香川県立ミュージアム」や「高松市美術館」などの施設もあります。徒歩圏内でアートを気軽に、そして十分に楽しめるのが高松の魅力ですね。
後編はこちら
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