台湾観光の夜の楽しみはローカルフードを満喫できる屋台街「士林夜市」。初心者も、リピーターも、食べ歩きするなら知っておいて欲しい名店をご紹介。台湾在住ライター・青木由香さんが、現地より最新情報をリポートします。
文・写真:青木由香 編集:稲垣美緒(OnTrip JAL編集部)

台北の中でも定番中の定番「士林夜市(シーリンイエシー)」。人気・規模共に台北最大とも言えるでしょう。大きすぎて、一体どこが人気店なのか、どこが美味しいのかが全くわからないという方も多いと思います。

お目当てのお店がある程度わかれば、効率よく楽しむことができそうです。今回は、食べ歩きするのにおすすめな屋台をご紹介します。

出来立て熱々をみんなでシェア「豪大大雞排」のフライドチキン

画像1: 出来立て熱々をみんなでシェア「豪大大雞排」のフライドチキン

豪大大雞排(ハオダーダージーパイ)は、巨大フライドチキンの屋台。夜市が始まる前のまだ明るい時間帯から毎日行列ができることで有名で、士林夜市に来たら食べずには帰れないメニューの一つ。カリカリに揚げられた衣と、約30cmもあるジューシーな柔らかい大きな肉が特徴です。
肉の下味は漢方のスパイスをブレンドした漬け汁ながら、薬膳の香りが苦手な人も全く問題なし。万人に食べやすい味付けで、その証拠に行列には、台湾人だけではなく海外からの観光客の姿も多く見られます。熱々をその場でかぶりついている日本人観光客からも、「おいしい~!」という声が聞こえてきます。

27年前、台中で営業開始(当時は別の店名)。台湾で一番初めに巨大フライドチキンの販売を始めたと言われています。約20年前に士林夜市に店を出した際、現在の「豪大大雞排」に改名し、すぐに人気屋台になりました。

現在は、アジア、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど海外にもたくさんの支店を構え、台湾国内に20店舗も展開。士林夜市内だけでも2店舗あり、その両方とも行列になっています。基河路にある2号店は台湾人が多く、ローカルの雰囲気を楽しめます。

画像2: 出来立て熱々をみんなでシェア「豪大大雞排」のフライドチキン

行列が苦手な人は、週末や台湾の祝日を避けるか、まだ明るい早めの時間に行くことをおすすめします。とは言え、一回でまとまった量を揚げているので、揚げ上がると列の長さはグッと短くなります。
少しだけ待てば、持てないくらい熱々の揚げ立てが買えるというメリットもあります。順番が来ると、店員さんがせっかちに注文をさばき、個数とチリパウダーの有無を聞かれます。

画像3: 出来立て熱々をみんなでシェア「豪大大雞排」のフライドチキン

チリパウダーをかけなくても、台湾の胡椒をふりかけてくれます。大きいので2、3人でシェアすることをおすすめします。フライドチキン好きなら、豪大大雞排は素通りできません。

画像4: 出来立て熱々をみんなでシェア「豪大大雞排」のフライドチキン
豪大大雞排(ハオダーダージーパイ)士林二店
住所台北市士林區基河路101號
電話(昼) 02-2995-7978 (夜) 0989-175-607
営業時間月~木 15:30-24:00
金~日 15:30-24:30
価格大雞排 70元

「現烤蛋糕」で台湾風ふわふわケーキをちぎり食べ

画像1: 「現烤蛋糕」で台湾風ふわふわケーキをちぎり食べ

店の看板に書かれている“古早味”は、「昔ながらの味」という意味で、現烤蛋糕(シェンカオダンガオ)とはその場で作った焼きたて(現烤:シェンカオ)のケーキ(蛋糕:ダンガオ)のこと。その名の通りオーブンから出てきたばかりの熱々ふわふわの焼き菓子が店頭で切り分けられるのが見られます。

画像2: 「現烤蛋糕」で台湾風ふわふわケーキをちぎり食べ

大きな湯気の上がるケーキを、長い包丁で切り分ける様子はなかなか見応えがあります。焼き上がり時には一瞬で人だかりができ、即完売してしまいます。

少し前までは、地方の市場や古い町並みの観光地などで見かける程度だったこの懐かしのケーキですが、ここ数年、あちこちで見かけるようになり、じわじわとブームが来ています。
士林夜市の現烤蛋糕も、台北市内から電車で40分の古い港町、淡水のオールドストリートが始まり。その本店も昔ながらの製法にこだわったシンプルな味で行列ができる店だったのですが、士林夜市に出店し、さらに外国人観光客のファンが増えたのです。

日本人は、このケーキをカステラと呼ぶ人もいますが、カステラの甘いペタペタしたあの茶色い皮もなく、甘さはだいぶ控えめ。シフォンケーキよりはるかに大きく膨らんだ生地は、日本にはないキメの細かさでふわふわ食感です。

画像3: 「現烤蛋糕」で台湾風ふわふわケーキをちぎり食べ

現烤蛋糕のホームページでは、8つの味が掲載されていますが、士林店ではプレーン味である源味原味口味(ユェンウェイユェンウェイコウウェイ)とチーズ入りの黄金起司口味(ホァンジンチースコウウエイ)の2種がメイン。
チーズ入りの方は、プレーンの生地の真ん中にスライスチーズが入ったもので、チーズの塩味がアクセントになっています。

画像4: 「現烤蛋糕」で台湾風ふわふわケーキをちぎり食べ

切り分けてすぐ販売されたものは素手では持てないくらい熱いので、箱に入れてくれます。冷ましながら、ちぎって頬張りたくなりますよ。

画像5: 「現烤蛋糕」で台湾風ふわふわケーキをちぎり食べ
現烤蛋糕(シェンカオダンガオ)士林店
住所台北市士林大南路53號
電話02-2881-8985
営業時間8:00~22:00
価格源味原味口味 90元
黄金起士口味 130元

本場台湾の最新タピオカドリンクは「幸福堂」で決まり

画像1: 本場台湾の最新タピオカドリンクは「幸福堂」で決まり

日本では現在空前のタピオカミルクティーのブームのようですが、ここ数年、台湾ではタピオカミルクティーより“タピオカ黒糖ミルク”が目立っています。近年の健康ブームを反映してか、粉ミルクではなく牛乳を使い、シロップもこだわりの黒糖を入れる、材料にこだわった“タピオカ黒糖ミルク”を売る店が増えてきました。

士林夜市にもタピオカ黒糖ミルクを出すドリンクスタンドは多数あります。新鮮な牛乳と黒糖、こだわりのタピオカを謳っていてどこも美味しいので、インスタ映えするかどうかはやはり重要なようです。
幸福堂(シンフータン)は、2018年の初頭にオープンすると1年経たずに台湾国内で40店舗も展開した急成長の店。士林夜市の中でも店構えに特徴があって、台湾で昔ながらの店やお寺に使われる黒地に金文字の看板や、おみくじの入っている漢数字の書かれた小さな引き出しの棚が人目を引きます。おみくじは、ドリンクを購入すると実際に楽しむことができるのです。番号が書かれた棒(写真下部の赤い棒です)を引くと、その番号に該当する引き出しから店員さんがおみくじの紙を取り出して渡してくれます。お寺みたいですね!まさにSNS世代の心を掴んでいると言えます。

画像2: 本場台湾の最新タピオカドリンクは「幸福堂」で決まり

店頭では常にグツグツ、タピオカを煮ている様子を見ることができます。見た目のキャッチーさだけではなく、温かく柔らかいままのブラックタピオカがいただけるのです。

画像3: 本場台湾の最新タピオカドリンクは「幸福堂」で決まり

店の顔とも言うべき人気メニューである、焰遇幸福黑糖珍珠真鮮奶(ヤンユゥシンフーヘイタンヂェンヂューヂェンシェンナイ)は、タピオカ黒糖ミルク。温冷両方ありますが、冷たい方で頼むと、冷たいミルクと温かいモチモチのタピオカとの温度差が楽しめます。

画像4: 本場台湾の最新タピオカドリンクは「幸福堂」で決まり

こだわりの黒糖は、昔ながらの手作り製法。最後にドリンクの表面にサッと一振りし、バーナーでクレームブリュレのように焦がす。これをストローで吸い込むと飴状になった黒糖の食感を楽しめます。他にも真っ赤なイチゴ味のタピオカの入ったカラフルなタピオカミルクティーもあり、今一番おすすめのドリンクスタンドです。

画像5: 本場台湾の最新タピオカドリンクは「幸福堂」で決まり
幸福堂(シンフータン) 士林旗艦店
住所士林區大南路126號
電話0955-906-120
営業時間17:00~24:00
価格焰遇幸福黑糖珍珠真鮮奶(ヤンユゥシンフーヘイタンヂェンヂューヂェンシェンナイ)
冰(冷)55元 (熱)65元

じっくり焼き上げたグリルエリンギ「燒烤杏鮑菇」

画像1: じっくり焼き上げたグリルエリンギ「燒烤杏鮑菇」

エリンギは、食感がアワビに似ていることから中国語で杏鮑菇(シンバオグー)と呼び、台湾人の大好物。日本のエリンギと比べるとサイズはかなり立派です。エリンギは夜市でも人気の食材の一つとなっています。

揚げた料理もありますが、最近人気なのはバーベキューのように焼いたもの。燒烤杏鮑菇(シャオカオシンバオグー)は、焼きエリンギという意味で、そのまま商品名を名前にした屋台です。台湾人のグルメブロガーたちが、士林夜市で「必ず食べるべき屋台」と軒並み紹介しているだけあって、平日でも長い列ができる有名店。お客さんの列に並行して屋台が何ブースも連なっています。焼き網がまるで線路のように続き、待ちながら焼いている様子を見て楽しめるのです。
列が長くなればその分稼働する網も増えていく。他の人気屋台でも見ないこの方法のおかげでそれほど長く待たずに済むのです。

画像2: じっくり焼き上げたグリルエリンギ「燒烤杏鮑菇」

じっくり丸焼きにしたエリンギは、噛むとジュワッと汁が滲みます。エリンギの焼き上がりに刷毛で塗られる甘醤油ダレは見た目の印象ほど濃い味ではないです。仕上げのトッピングする調味料で味が決まります。わさび、ピリ辛、白胡椒、レモン塩胡椒、のり、クミン、黒胡椒、カレー、ローズソルトの9種類の中から2種の調味料を選べます。一つの容器の中でピザのハーフアンドハーフのように味付けしてくれるのです。

画像3: じっくり焼き上げたグリルエリンギ「燒烤杏鮑菇」

エリンギを扱う数ある屋台の中でもこの屋台が人気なのは、材料の品質の良さにあります。エリンギが立派で新鮮なのは言わずもがな。トッピングの調味料にすらこだわりが見られます。クミン味やローズソルトがあるのも珍しいのですが、レモン塩胡椒味は有機レモンを使用。一般的な屋台では化学調味料が使われていることが多いので、このこだわりは嬉しいですね。

画像4: じっくり焼き上げたグリルエリンギ「燒烤杏鮑菇」

そして、清潔であることも人気の秘訣。やはり屋台といえど衛生面を意識している店は人気店が多く、この点も観光客には嬉しいところ。夜市の屋台は、油を使ったメニューが多いので、ヘルシーな焼き物であることも得点が高いのです。

画像5: じっくり焼き上げたグリルエリンギ「燒烤杏鮑菇」
燒烤杏鮑菇(シャオカオシンバオグー)
住所台北市士林區大南路98號
営業時間18:00~00:00
価格燒烤杏鮑菇 240g 100元

最近は日本でも台湾のグルメが楽しめる機会がグッと増えましたが、やっぱり本場で評判のお店の味を楽しみたいですよね。少しだけ涼しくなった夜の空気、ネオンや屋台の熱気。味だけでなく五感で楽しめる「夜市」。青木さんのお墨付きの屋台を目当てに、食べ歩きを楽しんでください。

画像: 台北の夜の定番「士林夜市」。現地ライターおすすめの屋台食べ歩きガイド

青木由香

1972年神奈川県生まれ。台湾在住。エッセイスト、コーディネイターの仕事を通して日本に台湾を紹介している。日本での著書は『最好的台湾』『台湾のいいものを持ち帰る』ほか。台湾の出版社から出版した『奇怪ねー台湾』がベストセラーに。2013年に台湾観光貢献賞を受賞。台北のショップ&ギャラリー『你好我好』オーナー。ほぼ日『台湾のまど』連載。

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