伝統と新しさの融合が旬。ホーチミンでいま行きたいスポット巡り

フォーの味のハンバーガー!?　伝統料理をお茶目にアレンジ

レリッシュ・アンド・ソンズ

ベトナム料理といえば、麺料理のフォーや、ソフトシェルクラブのフライ、生春巻きなどが有名。これらをなんとハンバーガーにして味わうというムーブメントが、いまひそかに進行している。フランスパンのサンドイッチ「バインミー」がソウルフードのベトナム人にとっては、ハンバーガーは「不健康」と敬遠されがちだったが、街の発展とともに新鮮な食材を使ったボリュームたっぷりのハンバーガーを出す店が増え、徐々に市民権を得て定着してきた。そんないまだからこそ、あえて昔ながらのベトナム料理と組み合わせるという発想が生まれてきたのだ。

そんなお茶目な試みの火付け役が、ハンバーガー専門店「レリッシュ・アンド・ソンズ」。遊びでつくったという「フォー・バーガー」が、予想外のヒットとなっている。こちらのバーガーは、丸い形に揚げたフォーの麺がバンズの代わり。フォーの出汁に使われるのと同じ八角などのスパイスで牛肉を煮込み、細かく裂いてパティの形に整えている。別添えのミントなどのハーブをはさみ、ベトナムライムを絞ってタレをかければ……口のなかに広がる味はフォーそのもの!?

街歩きで喉が渇いたら、クラフトビールで一服

イースト・ウェスト・ブリューイング・カンパニー

ビール消費量が世界第9位、そして増加率はなんと世界トップのベトナム。この国のビールといえば、米を原料に使うこともある「軽めのラガー」が主流だが、3年前に初めてのクラフトビールが登場。以来、すごい勢いでムーブメントが広がり、すでにホーチミンでは13社ものクラフトビール工房が生まれた。きっかけは、コクがありホップの効いたビールで育った欧米人たちが、自分好みのビールを自宅でつくり始めたことだった。

ホーチミン中心部に醸造所を構える唯一の店「イースト・ウェスト・ブリューイング・カンパニー」では、アメリカ人ビール職人が手掛けるビールが味わえる。醸造所内にはバーが併設され、できたての香り豊かなビールを味わうのにうってつけだ。

水、麦芽、酵母、ホップのみを使った伝統製法の定番ビールは8種類。遊びの要素も兼ねた期間限定ビールでは、フルーツやハーブ入りも登場する。試飲セットで飲み比べができるほか、メニュー表には各料理におすすめのクラフトビールが示されているので、ビールとフードのマッチングも合わせて楽しみたい。

伝統工芸品の図柄や国旗など、ご当地柄が楽しいネイルアート

カワイイ・ネイル

街角の美容院や市場で、手頃な価格で楽しめる手先や足先のネイルは、ベトナム女性のたしなみのひとつ。欧米などに暮らすベトナム人は、その腕を生かしてネイリストとして生計を立てる人が多く、いまではセンスの良さや手先の器用さから「ネイルといえば、ベトナム人」といわれるほどだ。

最近ホーチミンでは、値段の安さだけでなく、おしゃれな内装と居心地の良さにこだわり、スタイリッシュなデザインを提供するネイル専門サロンが急増している。歩行者天国のグエンフエ通り沿いにある「カワイイ・ネイル」では、そんなベトナム人ネイリストの器用さを存分に活かした、楽しいデザインが楽しめる。

デザインの種類は豊富だが、とくにベトナム各地の特徴を図柄にする「旅ネイル」にはご注目。ハノイの伝統工芸品「バッチャン焼き」の図柄や、ベトナムビールのボトル、国旗など、旅気分を盛り上げてくれること間違いなしのデザインが揃う。丁寧な施術が安心なほか、日本語スタッフが1人いるのも心強い。古いアパートの9階に入居しているので、エレベーターに乗る際は使用料3,000VNDを支払おう。施術後にサロンが返金してくれる。

失われつつあるサイゴンの姿をとどめるレトロカフェ

ウットラン・カフェ

古い建物が姿を消し、道路はきれいに整備され、高層ビルが乱立するホーチミン。ベトナム戦争以前には「サイゴン」と呼ばれていた古き良き街の魅力が失われつつあることを寂しく思う人々のあいだで、いま、伝統文化をもう一度見直そうという動きが盛んだ。そのひとつとして、昔の家庭にあったような古家具や食器を集めた、古民家カフェが流行している。

ホーチミンでもっともにぎやかであり観光の中心ともなる1区で、路地裏にひっそりと建つ「ウットラン・カフェ」も、そんなカフェのひとつ。築100年以上の2階建ての古民家に、「喫茶店を営む1980～90年代の家庭」をイメージしてつくられた。

使い込まれて味のある椅子やベッドに客が腰かけ、猫たちが思い思いの場所で昼寝をする、のんびりとした空間。コーヒーやベトナムビールのほか、軽食メニューも揃う。会話を大切にしたいとの思いから、あえてWi-Fiは用意されておらず、携帯を使わなければ1席につき5,000VND割引となるユニークなサービスもある。昔のホーチミンを知らない日本人でもなぜか懐かしさを感じてしまい、観光客でありながら、地元サイゴンの空気感を味わうことができる場所だ。

せっかく足を運ぶなら、現地の人たちのあいだで流行っていることを試してみるのも旅の醍醐味のひとつ。かつてのサイゴンを懐かしみつつ、目新しいもの、便利なものも大好きで、人懐っこいサイゴンっ子たち。彼らが暮らす新旧入り混じったこの街をじっくり歩いて、いましか味わえないホーチミンの魅力を堪能してみてほしい。

トップ画像提供：Sean Hsu / Shutterstock.com

初回投稿日：2017年10月30日
※2024年12月4日に一部内容を更新いたしました

ベトナム旅行・ツアー

フランス文化が色濃く残りつつもアジアの活気あふれるホーチミンと約1,000年の歴史を持つ古都ハノイ。
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