身軽に旅するミニマル旅のメリット
出張や乗り継ぎの多い旅では、重い荷物は行動の制限になってしまうことも。「できるだけ荷物は減らし、身軽でいたい」と感じるようになる人は少なくありません。一方で、ただ荷物を減らすのではなく、快適さを保つこともミニマル旅の大切なポイント。編集部メンバーは、どんなきっかけや経験を経て、“自分にとっての最適な荷物量”にたどり着いたのでしょうか。

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編集部A「東北をローカル線で移動しながら旅をしたのが、ミニマル旅を意識するようになったきっかけです。そのときは、拠点がなかったので、荷物を持ち歩くのがすごく大変で。そこから、できるだけ荷物はコンパクトにまとめ、リュックひとつで動くと移動がぐんと楽になりました」

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編集部Y「仕事柄、カメラマンやライターと一緒にチームで動くことも多く、荷物を減らさないと、車に積みきれない。空港に到着してそのまま取材先へ直行することも珍しくないので、荷物が少ない方が断然便利ですね。2泊くらいの出張なら、トートバッグひとつに収めるようになりました」
編集部K「重い荷物を持つと旅先で疲れてしまうので、できるだけ軽量になるようにしています。国内や韓国なら、ボストンバッグひとつ、夫婦で長期旅行に行くときも、キャリーケースは2人でひとつにまとめるようにしています。ボストンバッグはキャリーと比べて軽くてやわらかいので、飛行機や電車の棚への積み上げが簡単でスムーズです」
編集部メンバーの中には、ミニマル旅を意識するようになって、「移動が楽になるだけじゃなくて、忘れ物も減った」という人も。
身軽さが旅の自由度や気持ちの余白を広げてくれる……そんな実感が、ミニマル旅の良さになっているようです。
ファッションアイテムは「減らしすぎず、迷わない」が正解
旅の荷物で悩みやすいなのが、服や靴、小物の選び方。旅先ではおしゃれがしたい!というのはもちろんのこと、シーンに合わせてきちんとした装いが求められることもあり、ただ減らすだけではかえってストレスが溜まることも。編集部が意識しているのは、「とにかく減らす」ことではなく、選択肢を絞り、判断をシンプルにすること。ここでは、身軽さと快適さを両立させるために実践している、リアルなアイデアをご紹介します。
“靴は3足まで”とルール化する
パッキングで場所と重さがネックになる“靴”。数が増えるほどパッキングが難しくなり、何を持っていくかで迷いがちです。
そこで編集部が意識しているのが、「履いている1足+持っていくのは2足まで」というルール。あらかじめ上限を決めておくことで、靴選びに迷わなくなります。なお、持っていく靴は役割を分けることがポイントです。
編集部R「ブーツなどかさばる靴は行き帰りに履いていき、持っていくのは、街歩きにもきちんとした場でも使える、バレエシューズやフラットシューズ。軽くて収納しやすいのもメリットです」

編集部M「毎日同じ靴だと足が疲れるので、よく歩く旅や長期滞在のときは、メインのスニーカーのほかに、リカバリーサンダルを持っていきます。また、レストランや美術館など、きちんとした場面に対応できる一足も用意。足元が整っているだけで、妥協している感がなくなると感じてからは、自然と持っていく服の数も減りました」
ちなみに、リカバリーサンダルは巾着に入れてスーツケースの端に引っかけておき、空港ですぐに履き替えられるようにしているのだとか。こうした細かな工夫も、旅の経験を重ねる中でたどり着いた、快適に過ごすための工夫です。
服は「一枚でキマる」or「着回しできる」アイテムを軸にする
旅先でのおしゃれも大切にしたい一方で、荷物はできるだけコンパクトにしたいもの。編集部が意識しているのは、「この一枚があれば成立するか」「着回しができるか」という視点で服を選ぶことです。

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編集部N「出張などで、ジャケットを持っていくと必ずシワになってしまうのが悩みでした。そこでたどり着いたのは、やわらかい生地で、カジュアルに着られるジャケットセットアップ。行き帰りは着て移動すればシワも防げますし、荷物にもなりません。旅先では上下別々に着回すこともできるので、おしゃれも楽しめます!」
編集部Y「テロっとした生地のワンピースをよく持っていきます。着回しやレイヤードがしやすいというだけでなく、シワができにくく、丸めて小さく収納できるので、すごく便利なんです」
服の数を減らすことが目的ではなく、選ぶ基準を決めておくことがおしゃれなミニマル旅のポイント。また、「必要以上に持っていこうとせず、足りないと感じたら現地で調達する」という意見も。そんな柔軟さもミニマル旅のコツのひとつです。
アウターは“重ねて調整できる”ものを選ぶ
冬場や寒暖差のある旅では、アウター選びが快適さを大きく左右します。ポイントは、かさばる一着で完結させようとせず、重ねることを前提に選ぶこと。軽さや収納性を意識することで、荷物全体をコンパクトにまとめられます。

袋付きでコンパクトにまとまるアウター
編集部R「寒い場所に行ったときは、丸めて収納できるダウンを持っていき、2枚重ねて着ていました。その上に、登山でも使える風を通しにくいアウターを合わせると、意外としっかり暖かくて。どれも軽いので、持ち運びの負担が少なかったです」
重ね着を前提にすれば、厚手のコートを1着持っていく必要がなく、荷物をコンパクトに抑えられます。脱ぎ着もしやすく、気温の変化に対応しやすいのもメリット。ほかにも、コンパクトなカイロを仕込むことで厚着せずに済むといった声もありました。
下着は「洗濯する」前提で数を減らす
日数が多い旅行の場合、下着類を毎日分用意しようとすると意外とかさばります。編集部が実践しているのが、「洗う前提」で数を減らすという考え方です。発想を切り替えるだけで、パッキングがぐっと楽になります。

インドネシアで買ったミニ洗剤
編集部K「小分けの洗剤を持っていき、夜に洗って干しています。海外だと香りのいい洗剤もいろいろ売っているので、お土産用もあわせて買うこともあります」
編集部S「洗濯バサミを持っていくと、靴下など小さいものを干すときに使えます」
編集部M「基本的には、旅の日数に対して下着や靴下は半分くらいの数しか持っていきません。寝る前に洗って部屋に干しておくと、翌朝にはある程度乾いていますし、洗濯物が加湿器がわりにもなります」
乾きやすい素材や、女性の場合はワイヤーのない軽いタイプを選ぶことで、収納もしやすく、洗濯後の乾きもスムーズに。旅先での手間を最小限にしながら荷物を減らす工夫が、ミニマル旅を支えています。
スカーフ&風呂敷は“包む・持つ・着る”の三役
一枚あるだけで、何役もこなしてくれるのがスカーフや風呂敷は、編集部でも必需品として挙げる人が多くいました。

編集部K「風呂敷は、下着や靴下などを色別に分けて包んでいます。中に物を入れてぎゅっと結べば、しっかりまとまりますし、汚れ物を包んでそのままキャリーに入れることも。また、キャリーに結んでおけば、目印としても使えます」
編集部N「大判のスカーフは、結び方を変えればバッグ代わりにも。旅行中に荷物が増えたときや、バッグの気分を変えたいときに重宝しています」
スカーフでつくったバッグ
編集部M「フェリーで旅をしたとき、スカーフに本当に助けられました。帽子だと飛ばされてしまうけれど、『マチコ巻き』ならしっかり固定できて、髪の毛もカバーしてくれるし、日よけにもなる。帽子より断然便利だなと思いました」
編集部N「小さく畳んでバッグに入れておけば、バス移動などで冷房が寒いときや、外出先で日差しが強いときに、さっと取り出して使えます」
荷物を増やさずシーンに合わせて役割を変えられる。スカーフや風呂敷はミニマル旅の考え方をそのまま形にしたようなアイテムかもしれません。
美容ケアグッズは「最低限でもちゃんと整う」ものを
旅先では、環境の変化や時差、長時間の移動などで、肌や髪のコンディションが揺らぎがちです。とはいえ、スキンケアやコスメは意外とかさばりやすく、すべてを持っていくのは現実的ではありません。「最低限でもちゃんとケアできること」を意識し、必要なものを見極め、無理なく続けられる工夫を取り入れています。
スキンケアは「試供品+小分け」で必要最低限に
スキンケアは、試供品やトライアルサイズを活用する派と、普段使っているものを小分けにする派に分かれました。

溜まりがちなスキンケアの試供品
編集部M「家に溜まってしまいがちな試供品を、ここぞとばかりに使います。旅行にはちょうどいい量ですし、使い捨てなので帰りの荷物が増えないのも助かります」


アイロンやヘアアイロンで熱圧着できる小分けパック。しっかり密閉できるので漏れの心配がない
編集部A「小分けパックは、ボトルよりかさばらないのがいいですね。試供品と同じく使い捨てできるけど、自分がいつも使っているアイテムを持っていけるので安心感があります」
また、オールインワンで使える保湿アイテムも荷物を減らすのに一役買っています。

編集部M「漏れも気になる液体系はできるだけ減らしたいので、私はバームタイプの化粧水を愛用しています。顔だけじゃなく全身使えるので、ひとつあると便利なんです。あと、使い捨てできるシートパックもおすすめ。化粧水・美容液・乳液を兼ねたものもあるので、短い旅行や出張にも持っていくことが多いです」
髪のケアだけは“いつもの”をひとつ持っていく
液体が多く、持っていくのがより面倒なヘアケアアイテム。特に海外旅行では、水質や気候の違いで思った以上に髪がパサつくことも。

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編集部Y「海外に行くと水質の影響で髪がギシギシになることが多いので、普段使っているヘアマスクだけは小分けにして持っていきます。ホテルのシャンプーやトリートメントが合わなくても、ヘアマスクがあるだけでギシギシ感がなくなります」
編集部S「私はいつもドライシャンプーシートを持っていってます。機中泊でもスッキリするのでおすすめです」
すべてを持っていかなくても、“ここだけは外せない”アイテムを決めておくことで、旅先でもコンディションを保ちやすくなります。
メイクは“ミニ&マルチ”でアイテム数を絞る
ファンデーションに、アイシャドウ、リップなど、化粧品は気づくと増えがち。編集部では、旅先でアイテム数を絞る人が多くいました。

編集部M「旅先ではフルメイクはしないようになりました。持っていくコスメは最低限の日焼け止めとリップ程度です」
編集部R「リップ・チーク・アイシャドウを兼ねたマルチコスメを持っていきます。ミニサイズのものは普段はあまり使わないのですが、旅行にはすごく便利です」
編集部S「アイシャドウやチークはパウダーだと持ち運びの際に割れる可能性があるので、スティックの練りタイプを愛用しています」
旅先でも香りを身につけたい人は、サイズを工夫しています。

編集部R「香水は試供品のミニサイズやロールオンタイプを選びます。小さな練り香水もかさばらなくていいですよ」
夏旅は“日焼け対策だけは削らない”
必要最低限に抑えたい美容ケアの中でも、「ここだけは削らない」という声が最も多かったのが紫外線対策でした。旅先では屋外で過ごす時間が長くなりがちで、うっかり日焼けしてしまうことも。後悔しないために、編集部では日焼け対策だけは“万全”を意識しています。
編集部M「日焼け止めはミニサイズではなく、ちゃんとした容量のものを持っていきます。正直かさばるなと思うこともありますが、ここを手抜きすると後々、必ず後悔するので…」
また、紫外線対策に欠かせないサングラスも、ケースに入れると意外とかさばるのが難点。

ワンタッチで取り外しができる、着脱式のサングラス
編集部R「私は普段メガネなので、両方持っていくとどうしても場所を取ってしまうのが悩みでした。でも、レンズが取り外せるタイプのサングラスを見つけて、その悩みが解決しました」
編集部A「紫外線に当たると色が変わる、調光レンズも便利ですよ」
ヘアアイロンは「海外兼用」のミニサイズを選ぶ
海外旅行では、ヘアアイロンの扱いにも注意が必要です。普段使っているものが電圧の違いで使えなかったり、変圧器が必要になったりするケースも少なくありません。荷物を増やさないためにも、ヘアアイロンは「海外対応」と表記されたものを選ぶのがおすすめです。

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編集部A「前髪や毛先を軽く整える程度であれば、USBタイプや電池式のミニサイズが便利です。ただ、電池式の場合は機内持ち込みに制限があるため、事前の確認を忘れずに!」
編集部M「日本や韓国のホテルでは、フロントでヘアアイロンを借りられることもあるので、持っていかないこともあります」
生理用品は“身軽さと安心感”を両立する工夫を
旅行や出張と生理が重なってしまったときも、できるだけ身軽に、快適に過ごしたいものです。自分の旅スタイルに合った方法を選ぶことが大切です。
編集部M「使い捨て可能なショーツ型のナプキンがおすすめ。穿くタイプなので下着を持っていく数も減らせます。移動が多い日や夜も安心して使えます」
編集部A「吸水ショーツなど洗濯して繰り返し使えるタイプを選べば、持ち物を減らせるだけでなく、旅先でゴミが増えないというメリットもあります」
生理用品も「これが正解」と決めつけず、その旅程や滞在スタイルに合わせて選ぶことが、ミニマルで心地よい旅につながります。
パッキングの工夫で、旅を軽くする
持ち物を厳選しても、詰め方や管理の仕方次第で、移動中や滞在中の快適さは大きく変わります。
編集部が意識しているのは、「できるだけ詰め込む」ことではなく、「出し入れしやすく、戻しやすい」こと。ここでは、旅の最初から最後までストレスなく過ごすための、パッキングの工夫をご紹介します。
服は畳まずくるくる収納&シワは蒸気で伸ばす
移動の多い旅では、洋服のシワ問題は避けて通れません。そこで圧倒的に多かったのが、「筒状に丸めて収納する」という声。スペースを無駄なく使えるだけでなく、シワ対策にもなります。
編集部Y「服は畳まず、基本的に全部くるくる丸めています。お土産で買った割れ物なども、服で包んで収納することで、緩衝材をわざわざ用意しなくても安心して持ち運べます」
シワになりづらい生地のワンピース
丸めるときは、目に入りやすい胸元はできるだけシワができないよう、裾側から丸めていくのがポイント
丸めることでここまで小さくなる
それでもできてしまったシワは、蒸気でリカバー。旅先ならではの手軽な方法で、アイロンがなくても対応できます。
編集部M「浴槽にお湯を張って服を吊るし、蒸気でシワを伸ばしています。匂いが気になるときにも使える方法です」
圧縮バッグは“入れる”より“仕分ける”感覚で
圧縮バッグというと、できるだけ小さく詰め込むためだけに使うイメージを持つ人が多いかもしれませんが、編集部が重視しているのは「圧縮しながら仕分けること」。衣類を用途別にまとめておくことで、パッキングも滞在中の整理もぐっと楽になります。

登山用の圧縮袋と、大きめのジッパーバッグ
編集部N「弱圧縮できる登山用バッグを使っています。くるくる丸めるだけで空気が抜けて、コンパクトに。中身が見えないので、温泉や大浴場に着替えを持っていくときにも便利です。さらに防水なので、濡れたものや汚れ物を入れるのも安心です」
編集部Y「汚れた服をジッパーバッグに入れて、くるくる丸めて収納しています。圧縮もできますし、帰りの荷物整理もしやすいですね」
圧縮バッグを仕分け用のケースとして使うことで、荷物を詰め直す手間が減り、旅の後半もストレスなく過ごせます。
アクセサリー類はジッパーバッグで小分けに
アクセサリーなど、細かいものは収納に悩みがち。編集部の定番は、かさばらず中身がひと目でわかるジッパーバッグです。必要な分だけ持ち、使い終わったらそのまま捨てて帰れる点も、ミニマル派には好評です。

編集部A「ジッパーバッグは本当に便利。絡まりやすいチェーンタイプのネックレスやブレスレットは、留め具の部分だけ少し口から出して閉じると絡まらないのでおすすめです。また、アクセサリーだけでなく、綿棒や薬を入れたり、ケア小物をまとめたりと何でも使えます。ピルケースなどと違い厚みが出ないので、荷物を薄く収められるのもいいところ」
洗面回りは“まとめて・すぐ使える”ポーチが便利
旅先で意外と手間取るのが、洗面回りの準備と片付け。スキンケアや歯磨きなど、使う頻度が高いものこそ、「まとめて・すぐ使える」収納があるとストレスが減ります。
編集部Y「フック付きなので、ホテルのタオル掛けにそのまま掛けて使えます! スキンケアやコスメ、歯磨きなど、洗面回りのアイテムを全部ここにまとめているので、旅行に行くときにまとめなおさなくていいのが気に入っています。メッシュポーチ部分だけ取り外すこともできるので、大浴場に持っていくときにもスムーズです」

フック付きの小分けポーチ
置き場所に迷わず、必要なものがひと目でわかる収納は、旅先での準備時間を短縮してくれます。細々したアイテムを“1カ所に集約する”ことが、旅を快適にする工夫です。
身軽だから、旅はもっと自由になる

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ミニマル旅のアイデアを紹介しましたが、「物を減らす」「コンパクトにする」こと自体が目的になってしまい、旅が楽しめなくなってしまっては本末転倒です。編集部が大切にしているのは、「荷物が増えてしまっても大丈夫」と思える、心と持ち物の余白を残しておくこと。
たとえば、旅先でお土産が増えたときや、予定外の買い物をしたときのために、エコバッグやサブバッグを必ず持っていくという声もありました。
編集部K「小さく収納できるボストンバッグを愛用しています。かなりものが入り、キャリーケースにも付けられる仕様なので、どれだけ荷物が増えても安心です」
コンパクトになるボストンバッグ
“増えても大丈夫”という余白があるだけで、旅先での行動の選択肢は大きく広がります。
ミニマル旅の魅力は、荷物を減らすことそのものではなく、移動をスムーズにし、服選びや身支度に迷う時間を減らすことで、旅の時間をより軽やかに楽しめること。必要なものを見極め、自分なりの工夫を重ねていくことで、旅はもっと快適で楽しいものになります。
身軽さは、次の行き先や新しい体験への一歩を後押ししてくれるはずです。そんな余白を味方につけて、自分らしい旅を楽しんでください。
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