海外旅行初心者がはじめて経験するイベントのひとつが、「入国審査」です。どんな流れなのか、何を聞かれるのか、英語が苦手だけど大丈夫なのか…など、不安に思う人も多いでしょう。そこでこの記事では、入国審査の流れから具体的な質問例、それに対応する回答例をご紹介。ポイントを押さえておけば、慣れない入国審査も安心して臨めるはずです。

入国審査とは

画像: iStock/hxyume

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日本から海外へ旅行する際には、空港で「入国審査場」を通らなければなりません。入国審査は「Immigration(イミグレーション)」とも言われ、略して「イミグレ」と呼ぶことも。入国者は審査官にパスポート(旅券)やビザ(査証)などの書類を提示し、いくつかの質問に回答する必要があります。これによって、各国は外国人の不法滞在や犯罪者の入国を未然に防いでいるのです。

会話は基本的に英語で行われることが多いため、慣れていないと回答に困ることも…。とはいえ、やりとりのパターンはある程度決まっています。審査の流れやよくある質問は、事前に頭に入れておくとスムーズです。

入国審査の流れ

まずは入国審査の大まかな流れを確認していきましょう。

・入国までのステップ

① 機内で入国カードを記入
② 着陸後、到着ゲートへ移動
③ 入国審査ゲートに並ぶ
④ 審査官による確認&質問
⑤ 預け荷物の受け取り
⑥ 税関申告
⑦ 入国

このうち、入国審査に関わるのは「①機内で入国カードを記入」「③入国審査ゲートに並ぶ」「④審査官による確認&質問」の3ステップです。

・入国カードを記入

まず、国によっては入国カードの記入が必要です。英語表記では「Arrival card」「Immigration form」などとなっており、飛行機内でスタッフから配布され、機内で記入しておくのが一般的。記入内容は旅行者の氏名、生年月日、パスポート番号などです。筆記用具は借りられないケースもあるため、必ず手荷物に入れて携帯しておきましょう。

画像: iStock/glowonconcept

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入国カードを機内で受け取りそびれても、到着した空港でもらうことができるのでご安心を。ただし、ここでも筆記用具の用意がないことがあるため、注意が必要です。

オンラインや専用アプリでの事前記入が可能な国も増えています。韓国やシンガポールなど、なかには紙の入国カードが廃止され事前オンライン申請に一本化された国も。到着時に慌てないよう、あらかじめ調べておきましょう。

国別の出入国書類の書き方について、詳しくはこちら

・入国審査ゲートに並ぶ

画像: iStock/asiandelight

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空港に到着したら、入国審査ゲートへと向かいます。英語表記では「Immigration」または「Passport control」。乗り継ぎゲート(「Transit」または「Transfer」)と間違えないように気をつけましょう。

入国審査ゲートは基本的に、自国居住者用の列と外国人用の列、ふたつのレーンに分かれています。旅行者は「Foreign」「Tourist」「Non Residents」といった表記のある列に並べばOK。審査ではパスポートと搭乗券、必要に応じて入国カードやビザを提示します。列に並んでいるあいだに、これらの書類を用意しておきましょう。

画像: iStock/rikirisnandar

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なお、時には30分〜1時間ほど列に並んで待つケースも。入国初日のスケジュールは余裕をもっておくことをおすすめします。

・審査官による確認&質問

画像: iStock/simarik

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審査の順番が来たら入国審査官の前まで進み、必要な書類を渡します。本人確認・いくつかの質問をクリアしたら、パスポートにスタンプを押して審査は完了! 詳しい会話内容やポイントは、このあと解説します。また、入国審査官がいる場合でも、カメラでの顔認証や指紋認証がある場合もあります。

そのほか、最近は自動顔認証や指紋認証による無人の入国ゲートも増えつつあります。この場合は、対人で質問を受けることなく入国が可能です。

画像: iStock/Akabei

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入国審査でよく聞かれる質問&回答例

よくあるやりとりは、以下の通りです。

①パスポートなど書類の提示

入国審査では、最初にパスポートの確認が行われます。このとき、あわせて入国カードやビザなどの必要書類一式を提示するのが良いでしょう。

質問例
パスポートを見せてください。
May I see your passport?
Passport please.
Passport.
回答例
はい、どうぞ。
Here you are.

②入国の目的

続く最初の質問は、「入国の目的」であることが多いです。

質問例
渡航の目的はなんですか?
What is the purpose of your visit?
Why are you here?
 
仕事ですか、それとも観光ですか?
Business or pleasure?
Business or sightseeing?
回答例
観光です
Sightseeing.
 
出張です
Business trip.
 
休暇です
Vacation.

③滞在期間

滞在期間もほぼ必ず聞かれる質問です。自身の滞在日数をきちんと把握しておきましょう。また、帰国便の航空券や予約情報の提示を求められるケースもあります。予約画面のスクリーンショットやプリントアウトを用意しておくと安心です。

質問例
滞在期間はどのくらいですか?
How long will you stay?
How many days will you stay?
回答例
3日間です
For 3 days.
 
1週間です
1 week.

また、滞在期間については、いつ帰るのかを聞かれるパターンもあります。

質問例
いつ帰国する予定ですか?
When will you return to your country?
When are you leaving?
回答例
8月2日です
I'll go back on August 2.
August 2.

④滞在先

滞在先に関しても、予約画面や明細票、住所のメモを用意しておくといざという時の備えになります。英語が苦手な人は、そうしたメモを最初から見せてしまうのも良いでしょう。

質問例
どこに滞在する予定ですか?
Where are you going to stay?
 
どこのホテルを予約しましたか?
Have you booked any accommodation?
回答例
〇〇ホテルです
I will be staying at 〇〇hotel.
 
最初の2日間は〇〇ホテル、次の3日間は××ホテルです。
First 2days is 〇〇hotel, and Next 3days is ××hotel.
 
◆◆市にある友人の家です
My friend’s house in ◆◆City.

⑤その他:職業、同行者など

基本的には上述した「入国目的」「滞在期間」「滞在先」を確認されることがほとんどですが、加えてその他にも、簡単な質問をされる場合があります。

〈職業〉

質問例
職業はなんですか?
What is your occupation?
What do you do for work?
回答例
会社員です
I’m an office worker.
 
<そのほかの職業例>
Executive(会社役員)
Student(学生)
Proprietor(個人事業主)
Local government officer(地方公務員)

〈同行者の有無〉

質問例
一人旅ですか?
Are you traveling by yourself?
 
誰と一緒に旅行していますか?
Who are you traveling with?
回答例
一人旅です
By myself.
 
友人と一緒です
With my friends.
 
家族と一緒です
With my family.
 
恋人・配偶者と一緒です
With my partner.

〈訪問回数〉

質問例
この国には何回来たことがありますか?
How many times have you visited this country?
回答例
初めてです
First time.
 
今回で3回めです
Third time.
 
何度か来ています
Couple of times.

入国審査で気をつけるポイント

画像: iStock/maroke

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会話内容以外にも入国審査で気をつけておきたいポイントをご紹介します。トラブルのないよう、こちらもしっかりとチェックしておきましょう。

パスポート写真と著しく異なる化粧はしない

入国審査では、パスポートに記載された顔写真と実際の顔を照合して本人確認を行います。これらにあまりに大きな相違があると審査が難航する可能性があるでしょう。カラーコンタクトや、のりやテープでまぶたを二重にするメイクには特に注意が必要です。

帰国便や滞在先の情報はすぐに出せるようにする

前段の③滞在期間、④滞在先でも解説したように、帰国便や滞在先の情報を詳しく求められるケースもあります。これらの情報は「出国前に印刷する」「スマートフォンですぐに表示できるようにしておく」など、いつでも提示できるように準備しておくと安心です。

焦って曖昧な回答をしない

「早く答えないと」と焦るあまり適当に返答をすると、虚偽申告と判断されるおそれも。落ち着いて、間違いのないように質問に答えましょう。

簡潔な回答を心がける

文法などを気にしすぎて正しい英語を話そうとして、かえって間違ってしまう場合もあります。Yes/No、〇〇hotel、〇〇daysなど、単語で答えられるものは単語でOK。質問の答えは簡潔に、が基本です。

質問が聞き取れなかったら正直に聞き返そう

英語が聞き取れないときは曖昧な返答をせず、以下のようなフレーズでもう一度質問をお願いしましょう。

回答例
もう一度言っていただけますか
Could you repeat that again?
I beg your pardon?
Sorry, again please.
 
なんでしょうか?
Sorry?
Excuse me?

あまりに会話がままならない場合は、スマホの音声翻訳機能に頼るのもひとつの手。旅行前に操作して慣れておくのがおすすめです。

入国審査の国別の特徴はある?

画像: iStock/Gwengoat

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基本的な入国審査の流れや質問項目はどの国でも似ていますが、実際には国や地域によって対応や質問の深さに違いがあります。ここでは、海外旅行経験者のリアルな声をもとに、国別の入国審査の特徴をご紹介します。

【アメリカ】質問が多く、審査が厳格。ESTA取得後でも対面審査あり

アメリカは入国審査が厳しい国のひとつで、ESTA(電子渡航認証)を取得していても、現地での入国審査が免除されるわけではありません。対面での質問が基本で、入国目的・滞在日数・宿泊先に加えて、同行者の有無や職業、所持金、帰国便の詳細まで聞かれることも。内容に不備がある、回答が曖昧、審査官の印象が悪いといった場合は、「別室送り(Secondary Inspection)」と呼ばれる対応をされることもあります。特別な事情がなくても、別室で追加の質問を受けることは珍しくありません。

事前に旅程を整理しておくこと、緊張せずに堂々と受け答えすることが大切です。英語が苦手な人は、必要な情報を紙やスマホの画面で提示できるよう準備しておくと安心です。

ESTAについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

【ヨーロッパ諸国】個人旅行は要注意? シェンゲン協定圏は質問が多め

ヨーロッパ諸国の場合、シェンゲン協定という「国境を越える際の出入国審査を原則として廃止する協定」が結ばれています。一度加盟国内に入ると国境を自由に越えられるためか、ヨーロッパ外から旅行に行く際の入国審査が厳しくなることも。

観光目的であっても、「いつまで滞在するのか」「どこに泊まるのか」などに加えて、「誰と会うのか」「帰りのチケットはあるか」など、具体的かつ複数の質問を受けることが一般的です。特に一人旅の場合や、団体ではない東アジア人観光客には細かく聞かれる傾向もあるそう。

【オーストラリア】有人審査なしでサクッと入国。ただし税関は厳しめ!

日本のICパスポートをもつ16歳以上であれば、入国審査は「KIOSK」と呼ばれる機械で済ませることができます。健康状態や渡航歴に関するいくつかの質問に日本語で答え、短冊状の紙を受け取って無人ゲートへ。顔写真撮影だけで入国が完了することも。

一方、税関は非常に厳しく、特に食品の持ち込みには細心の注意が必要。未申告であったり、内容に虚偽があったりすると罰金や入国拒否のリスクもあります。「スーパーで購入した市販品」などは申告すれば問題になることは少ないですが、誠実な対応が鉄則です。

入国審査は、楽しい旅の通過点

海外旅行は、期待と同じくらい不安も大きいもの。避けては通れない入国審査にプレッシャーを感じる人も多いでしょう。けれども、実際にやることはいたってシンプル。まずは自信をもって、堂々と対応しましょう。一歩踏み出せば、その先にはきっと素敵な旅の時間が待っています。

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