瀬戸内海に面した香川県の東端、徳島との県境に佇む「東かがわ市」。瀬戸内海の海水が出入りする安戸池でのハマチ養殖、豪商の屋敷が並ぶ風情ある引田の町並み、日本一の手袋生産、和三盆の甘い香り。産業と農業が織りなす穏やかな暮らしの中に、この地の魅力が静かに息づいています。東かがわは、日本の原風景と進取の気性が調和した、小さくも奥深い宝石箱のような町でした。

ポスターで巡る魅力的スポット!中学生が見つけた東かがわを巡る

東かがわを歩いていると、町のあちこちで中学生が楽しそうにスポット紹介をするポスターを目にすることができます。
このポスターは2022年、2023年に撮影されたもので、「地元の魅力を発信する観光促進ポスター」として、市内3つの中学校の生徒会メンバーが中心となり、制作されたものです。彼らは「ふるさとをもっとわくわくさせるために」というテーマの下、インスタ映えするスポットを巡りながら、自らの視点で地域の良さを紹介しました。

ポスタープロジェクトは、「東かがわ市ワクワクアイデアコンクール!!」で公募されたひとつのアイデアから始まりました。夏の猛暑に負けず、日々の生活の中ですてきだと感じたお気に入りスポットを巡りながら、ポーズを考え、写真撮影に励みました。
中学生にとってはそれらのスポットも"日常"であるため、地域の良さに気付くことは簡単ではなかったと思いますが、活動に意欲的に取り組み、地元への愛着と誇りを感じさせるポスターに仕上がっています。

その際に使われたスポットのひとつが、「白鳥神社」です。ヤマトタケルが白い鳥になって飛来したとの伝説を持つ神社で、地域の歴史と文化を象徴する存在です。
季節ごとにモチーフを入れ替える、カラフルな風車が境内でサラサラと音を立ててまわります。また、年末に行われる神社の例祭「おみかん焼き」は、焼いたみかんを食べて無病息災を祈る神事です。これを模したかわいい御朱印の授与やおみくじもあります。
樹齢約800年にもなる巨木「白鳥神社のクスノキ」は見ごたえ抜群です。こちらもポスター撮影に使われました。
境内裏には「白鳥の松原」が広がり、美しい松林が広がっているので、ぜひ神社と併せて散策したい場所です。

ポスターのシーンにも選ばれた「引田の湾岸アート」は、東かがわ市の魅力的なスポットの一つです。大きな壁面作品が続き、海風に吹かれながらアートを楽しむことができます。地元の名物や豊かな海底をドラマティックに描いた作品、カラフルでポップな表現など、多彩なスタイルが揃っています。
この湾岸アートをきっかけに、周囲のシャッターなどにも少しずつ作品が描かれるようになり、地域全体で創造的な雰囲気が広がっています。この一帯は、訪れる人々にとって新たな発見と楽しみを提供する場所へと変わりつつあり、またフォトスポットとしても人気を集めています。
引田エリアは、2025年の瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)の展示会場として新たに加わることが決まりました。歴史ある町並みと現代アートが融合し、お互いを引き立て合う独特の魅力が生まれることが期待されています。瀬戸芸に足を運ぶ人たちにとって、香川県全体のアート巡りの中で東かがわも知る機会が増え、さらに注目されるエリアになっていくことでしょう。

学生たちによって東かがわの魅力を見える化したポスタープロジェクトは、地域への想いと独自の視点が詰まった作品です。中学生たちの新鮮な目線を通して東かがわの隠れた魅力が再発見され、彼らの創造性豊かな表現に、地域の大人たちは新たな気づきを得たようです。
またこの企画が従来の観光ガイドにはない、若々しい感性で切り取られた東かがわの姿を見せてくれ、旅行者に新しい体験をもたらすアプローチにもなっています。このポスターを参考に、学生同様に爽やかな視点で、東かがわの新たな魅力を発見する旅に出てみてはいかがでしょうか。

〔ポスターに関する問い合わせ〕東かがわ市教育委員会

住所香川県東かがわ市湊1847-1
電話0879-26-1214
URLhttps://higashikagawa.net/special/special-2199

白鳥神社

住所香川県東かがわ市松原69
電話0879-25-3922
URLhttps://www.shirotori-jinja.jp/

東かがわ市湾岸アートプロジェクト

歴史ある町並みと革新的な養殖技術 引田の町並みと安戸池

引田(ひけた)は、東かがわの海岸沿いの歴史豊かな港町です。平安時代から「風待ちの港」として知られ、江戸時代中旬頃に盛んとなった、醤油醸造や砂糖や塩などこの地域の白色の産品「讃岐三白(さぬきさんぱく)」をはじめとした荷を運ぶ交通の拠点として栄えてきました。

江戸時代から続く古い町並みが魅力の「引田の町並み」は、観光スポットとしても人気です。商家や醤油醸造所、町屋が立ち並び、江戸時代から昭和まで時代をまたいださまざまな建物が現存しています。
特に讃州井筒屋敷は、江戸時代から続く醤油と酒造りの商家を改装した観光施設です。醤油と酒の歴史を伝える資料館であり、観光案内所としても機能しています。地域の伝統産業を体験、屋敷見学、おみやげの購入、食事処など、さまざまな楽しみ方ができます。
「井筒屋」の屋号で知られたこの建物の主であった佐野家は、醤油、酒の他、さまざまな事業に携わり、手袋製造でこの地の産業を盛り立てた棚次辰吉が社長を務めた会社「大阪手袋株式会社」を資金的に支えました。

毎年開催されるひな祭りでは、美しい建物を背景に多くの観光客が訪れ、賑わいを見せます。引田は、歴史と文化が息づく町であり、いろいろな場所に立ち寄りながら散策するのも楽しい町です。

引田には、世界初のハマチ養殖成功の地である安戸池(あどいけ)があります。安戸池は陸地に囲まれた奥行きのある内湾で、水門を通じて海水が出入りする自然が作り出した大きな池のような環境です。1928年、野網和三郎氏がこの安戸池で画期的な養殖技術を確立し、日本の水産業に大きな革新をもたらしました。
漁業の厳しい状況を理解していた野網氏は、エサの与え方や水質管理を綿密に研究し、幾度もの失敗を乗り越えてハマチ養殖に成功しました。
引田の養殖業が直面する大きな課題は「赤潮」です。この被害を軽減するため、引田では通常の9~10mより深い25mの大型生け簀を使用する独自の方法を採用しています。これらの養殖技術や歴史について学べる施設「マーレリッコ」では、模型を使った養殖の解説、ハマチの餌やりや釣り体験などが可能です。

そんな安戸池で、新しい取り組みが始まりました。
それが「牡蠣養殖」です。
海の中に垂らして育てる牡蠣いかだ養殖ではなく、「シングルシード」と呼ばれる、かごの中にばらばらの牡蠣を入れて育てる方法で養殖が行われています。
この方法では、専用のバスケットカゴに稚貝を入れ、波に揺られながら成長させます。さらに、IoT技術を活用し、水温や水質データをリアルタイムで収集・分析することで、最適な生育環境を維持しています。
これにより、経験の浅い漁業者でも効率的に牡蠣を育てることができ、高齢化による人手不足問題の解決にも貢献しています。
試験的な養殖は順調に進んでおり、今年の冬には初出荷が予定されています。既にブランド化された「ひけた鰤」に続き、新たな安戸池のブランド産品として「ADO MILK」という名前で新たな名物になっていくことが期待されています。

悠久の歴史と革新的な未来が交差する引田エリア。ここでは、古き良き歴史の世界を感じながら、地域の未来に向けた挑戦にも触れることができる特別な場所です。

讃州井筒屋敷

住所香川県東かがわ市引田2163
電話0879-23-8550
入館時間10:00~16:00(体験メニューは要予約10:00~15:00)
休館日水曜日
URLhttps://sansyuidutsuyashiki.com/

体験学習館マーレリッコ

住所香川県東かがわ市引田4373
電話0879-33-2800
営業時間9:00~17:00(受け付けは16:00まで)
定休日火曜日、年末年始
URLhttps://saltlake-hiketa.co.jp/

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