※価格は税込み表記です。
ナチュラルワイン旅の舞台は、山形県上山市

ナチュラルワインが盛んな地域は全国にいくつもあります。そんななかで、旅先に選んだのは山形県上山市。きっかけは、ワインショップやSNSで見かけた気になるナチュラルワインたちでした。エチケットがかわいい、色合いがきれい、飲みやすそう。そう思って産地を調べてみると、山形のぶどうを使っていたり、山形のワイナリーで造られていたりするものが意外と多かったのです。

「もしかして、今気になるワインの先に山形があるのかも」。そんな軽やかな興味から訪れた上山市は、毎年5月に日本最大級のワインイベント「山形ワインバル」が開催される地。
山形空港から山形駅前まで空港シャトルで約38分、山形駅からJR奥羽本線でかみのやま温泉駅まで約12分。温泉地であり、城下町であり、宿場町の面影も残るまちとして稀有な存在でもあります。ナチュラルワインをもっと好きになりたい気持ちを後押ししてくれるだろうという期待とともに、旅をスタートです。
Agri-Coeurで、造り手に聞くナチュラルワインのはじめの一歩

最初に訪れたのは、上山市でぶどう栽培とワイン造りを行う「Agri-Coeur」。2025年に完成したばかりのワイナリーです。迎えてくださったのは、代表の片寄さん。ナチュラルワインの解像度を上げるため、いろいろとお話を聞いてみることにしました。
まず聞いてみたかったのは、いちばん素朴な疑問。ナチュラルワインって、普通のワインと何が違うんですか?
片寄さん「あえて表現するとすれば、『ぶどうそのものに近いワイン』。できるだけ余計なものを加えず、ぶどうや土地の個性を生かしています。ただし、造り方や考え方に絶対的な正解があるわけではなく、造り手によって向き合い方が異なるのも、ナチュラルワインのおもしろさですよ」

醸造場の様子を見学させていただきました。「Agri-Coeur」では、時期によっては醸造のお手伝いも可能とのこと
さらに印象的だったのは、片寄さんの「まずは前知識なく飲んでみてもいい」という言葉。どこのワイナリーか、どんな造り方か、有名な人が造っているのか。そうした情報を知ると、たしかにワインの見え方は変わります。けれど最初から情報に引っ張られすぎるより、まずは香りや味わいを自分がどう感じるかを大事にしてほしい、と片寄さんは話してくれました。
ワインは品種や産地、専門的な知識を知らないと楽しめないものだと思っていました。けれど、最初の入り口はもっと自由でいいのかもしれません。エチケットがかわいい、香りが好き、飲んでみたら軽やかだった。そんな小さな「好きかも」から始められるナチュラルワインは、ワイン初心者にとっても肩の力を抜いて向き合える存在なのだと感じました。

「Agri-Coeur」で造られるナチュラルワイン。エチケットもすてきです!
畑に立つと、ワインが“農産物”だとわかる

続いて見せてもらったのは、「Agri-Coeur」のワインに使われるぶどう畑。訪れた時期はまだ結実前でしたが、枝からは小さな花房がのびていました。
「ぶどうの花って、見たことありますか?」と片寄さん。実は、ぶどうの花には花びらがなく、めしべとおしべだけなのだそう。目の前にある小さな花房が受粉し、少しずつ粒になり、夏にかけて色づいていく。その話を聞きながら畑を歩いていると、普段グラスの中で見ているワインが、季節の積み重ねの先にあるものなのだと実感します。
片寄さんが主に育てているのは、デラウェア。大阪出身の片寄さんは、日本に根付いてきたぶどうで、日本らしいワインを造ることに興味を持ち、山形のデラウェアに魅力を感じて上山市へ移住したといいます。

畑には、土があり、風が吹き、気温や雨の影響を受けながら育つぶどうがあります。どのタイミングで収穫するのか、どのように搾り、どのようにワインへと導いていくのか。その一つ一つの判断が、最終的な味わいにつながっていく。そう考えると、ワインはグラスの中だけで完結するものではなく、畑から始まっているのだと感じられました。
実際に畑に立ってみると、ワインは農産物から生まれるものなのだと実感します。ワインになる前のぶどうに触れる時間は、ナチュラルワインをぐっと身近に感じるきっかけになりました。

画像提供:Agri Coeur
「Agri-Coeur」では、時期が合えばぶどうの収穫体験ができることもあるそうです。デラウェアの収穫は主に8月から9月前半頃。そのほかのぶどうでは、10月頃に収穫することもあるといいます。醸造体験や収穫体験を希望する場合は、必ず事前にお問い合わせを!

画像提供:Agri Coeur
Agri-Coeur
| 住所 | : | 山形県上山市三上字屋敷浦476-1 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 070-8940-2586(受付時間:8:00〜18:00) |
| Web | : | Agri-Coeur 公式サイト |
| : | @agri_coeur |
山形ワインカーヴで、上山ワインを飲み比べ

畑で造り手の話を聞いたあとは、かみのやま温泉駅前にある「山形ワインカーヴ」へ。上山ワインを中心に、山形県内のワインを試飲・購入できるスポットです。
お店に立つのは、一般社団法人 上山市観光物産協会の野口さん。店内には、上山市にあるワイナリーを中心に、個性豊かなボトルがずらり。しっかりとした味わいのワインから、軽やかで飲みやすいナチュラル系のワインまで、幅広く並んでいます。
最初はどれを選べばいいのかわからず少し緊張しましたが、野口さんにいろいろと教えてもらいながら選べるので、初心者でも安心です。
白、ロゼ、オレンジ。少しずつ飲むと、違いが見えてくる
「山形ワインカーヴ テイスティングセット」(1,100円)
試飲するワインは店内の黒板メニューから選びます。今回は2人で複数種類を試飲してみることに!
「山形ワインカーヴ」では、いくつかのワインを少しずつ飲み比べさせてもらいました。「Agri-Coeur」で片寄さんから聞いた「まずは前知識なく飲んでみてもいい」という言葉を思い出しながら、今回はあえて詳しい説明を聞く前に、黒板メニューやエチケットを見て気になるものを選んでみることにしました。
まずは、すっきりと飲みやすい白ワイン。やさしい甘みがあり、暑い日にはよく冷やして飲みたくなるような軽やかさです。続いて、淡い色合いがかわいらしいロゼ。見た目はやわらかい印象ですが、飲んでみるときりっとした辛口で、食事にも合わせやすそう! さらに、柑橘のような爽やかさを感じる白や、酸味が印象的なオレンジワインも。グラスごとに香りや味わいがまったく違い、「ワインってこんなに表情が変わるんだ」と驚きます。

飲み比べてみると、香りの華やかさ、酸味の心地よさ、余韻の長さなど、少しずつ違いが見えてきます。正解を当てるのではなく、自分好みのものを見つける時間が楽しいのだと感じました。
背景を聞くと、ワインがもっと楽しくなる
野口さんによると、上山市はもともと果樹栽培が盛んで、ワインぶどうの産地としても知られてきた土地。近年は上山市のぶどうの品質が注目され、県外から移住してワイン造りを始める人も増えているそうです。

上山市で造られるナチュラルワインたち
「上山市のワインは、若い人にも親しみやすいものが多いと思います。最近のワイナリーは、ナチュラル系の飲みやすいワインや、熟成しすぎていない軽やかなワインも多いんです」と野口さん。
野口さんに、上山ワインと合わせたい地元食材についても聞いてみました。春なら山菜、通年で楽しめるものなら、たくあんを刻んでクリームチーズと合わせたおつまみもおすすめなのだそう。ワインというと、洋食と合わせるイメージがありましたが、山形らしい食材や、その土地で出会った味と合わせる楽しみ方を聞くと、可能性の幅広さを感じられます。

山形ワインカーヴ
| 住所 | : | 山形県上山市矢来1-2-1 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 023-672-0839 |
| 営業時間 | : | 9:30~16:30(L.O.16:00) |
| 定休日 | : | 不定休 |
| Web | : | 山形ワインカーヴ 公式サイト |
| : | @kaminoyama_wine_journey |
温泉、城下町、宿場町。ワインだけじゃない上山の魅力

「山形ワインカーヴ」を出たあとは、かみのやま温泉駅周辺を散策。駅近くには足湯もあり、ワイン旅の合間にほっとひと息つけます。
上山は温泉町であり、城下町であり、宿場町でもあるまち。ワインだけでなく、温泉やまち歩きと合わせて楽しめるのが魅力です。たとえば、日中は今回のようにワイナリーやワインスタンドを巡り、夕方からは温泉宿でゆっくり過ごす。気に入ったワインをお土産にすれば、自宅でも旅の余韻を楽しめます。
試飲を楽しむ場合は、公共交通機関や宿泊を組み合わせた旅程にするのがおすすめ。上山市は、ワインをきっかけに旅する初心者にも訪れやすい場所でした。
ナチュラルワインは、もっと自由に楽しんでいい

ナチュラルワインは、詳しい知識がなくても楽しめるもの。エチケットがかわいい、香りが好き、飲んでみたら軽やかだった。そんな「なんか好き」という感覚から始めていいのだと、今回の旅で感じました。
そこから一歩進んで、そのワインが生まれた土地や造り手のことを知ると、一杯の味わいはもっと印象深いものになります。畑を歩き、造り手の言葉を聞き、まちの空気に触れる。山形県上山市での時間は、自分のちょっとした興味とグラスの中のワイン、旅先の風景がつながっていく体験でした!
次に気になるナチュラルワインに出合ったら、ぜひ産地を調べてみてください。その土地を訪ねてみることが、新しい旅のきっかけになるかもしれません。
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