ふわふわの秋田犬に出会ったあと、昭和の面影が残る大館の街を散策。地元の銘菓や、丁寧に作られた曲げわっぱ、レトロなナポリタンやチョコレートパフェ、そして趣深い映画館・御成座まで――町のあちこちで思わず「かわいい!」と声をあげたくなる発見がいっぱい。宝探しのように楽しい時間が過ごせる、大館を紹介します。

大館の歴史を見渡す美建築、旅の休息スポット「桜櫓館」

大館町長を務めた桜庭文蔵氏の邸宅として建てられた「桜櫓館」は、本格木造建築の美しさと、匠の技が随所に感じられる昭和初期の木造建築です。
この館の持ち主であった桜場文蔵(さくらば ぶんぞう)は、は製材業・建築業で成功した実業家であり、町長としてまちを支えた他、秋田犬保存会の会長として14年間にわたり秋田犬の保護と普及にも尽力しました。

建物としての特徴は、まずその外観にあります。
まず目に飛び込んでくるのは、四方がガラス張りの立派な展望台。この展望台、桜場文蔵氏がここから町を見渡しながら町政に思いを馳せた、という逸話も残されています。角度や形が複雑に入り混じり、まるで建物を寄せ合わせたような独特の造りも印象的で、眺めているうちに不思議な魅力に引き込まれていきます。
真の魅力は中にこそ。
床には全長12.3メートルのケヤキ一枚板が使われ、継ぎ目のない梁や長押とともに堂々たる存在感を放っています。その縁側に沿って3つの部屋が連なり、32.5畳の大広間を形成。現在でもイベントなどに活用されています。建具にも見どころが多く、格式高い空間に用いられる「筬欄間」や繊細な組子細工が、和の意匠の粋を感じさせます。
2階には金運や幸福を“すくい取る”とされる干し網と富士山を描いた障子があり、さらに階段を上がると3階の展望台へ。ガラス張りの窓からは大館の町並みが一望できます。

この美しい建築を堪能した後に心を緩めてくれるのが、併設されたカフェ「コーヒースタンド 桜櫓館 orokan1933」です。こだわりの豆を使った一杯や桜風味のドリンクが訪れる人を迎えてくれます。フリードリンクがあり、食べ物の持ち込みも可能なため、自由に好きな過ごし方ができるのも魅力です。ここは、滞在時間を少しでも長く楽しんでもらうために設けられたもの。窓の外に広がる風景を眺めながら過ごすひとときは、旅の疲れを癒す特別な休息の時間となります。歴史と現代が交差するこの空間で、自由に心地よく過ごしてみてはいかがでしょうか。

桜櫓館

住所秋田県大館市字中城13-3
電話番号0186-42-0319
開館時間桜櫓館 4月~10月 10:00~17:00、11月~3月 10:00~16:00
カフェ 11:00~16:00(11月~3月 11:00~15:00)
休館日・定休日月曜日(祝日の場合は翌日火曜日)、年末年始(12月29日~1月3日)
公式サイトhttps://orokan.site/

懐かしくてかわいい、大館の街を歩く小さな旅

大館市には、昭和の香りとかわいらしさがあふれるスポット、モノが点在しています。ゆったりとした街歩きを楽しめるのも、大館の魅力です。

大館の街歩きでぜひ立ち寄りたいのが、地元で長く親しまれている老舗和菓子店「煉屋菓子舗」。
看板商品「煉屋バナナ」はバナナがまだ貴重だった時代に、試行錯誤の末に生まれたユニークなお菓子です。実際にはバナナを使わずに仕上げられていますが、ねっとりとした餡の食感と風味が、しっかり“バナナらしさ”を伝えてくれます。さらに最中のかたちまでバナナ型。遊び心と工夫が詰まった一品は、長年にわたり愛され続けています。
また近年では、渋谷のショコラティエ「テオブロマ」とコラボした「チョコバナナもなか」も登場。お祭り屋台で人気の味を和菓子に昇華させたもので、レトロでかわいらしいパッケージとともにおみやげにも好評です。
昭和の趣を残す店構えと、一つ一つ丁寧に作られた和菓子からは、地元で大切に育まれてきた歴史と温かさが感じられます。

全国でも数少ない“現役のレトロ映画館”「御成座」。
昭和27(1952)年に開館、街を襲った大火によって一度消失してしまい、3年後に再建されたのが現在の建物です。昭和30年代の映画館建築をそのまま今に伝える貴重な存在で、レトロな佇まいと当時のまま残る内装が特徴です。大館市民にとっては「街の娯楽の中心」だった時代を象徴する場所でもあります。
木造建物と手描き看板、昔ながらの佇まいに心を奪われる人も多く、地元の人にとっては思い出の場所、観光客にとっては“タイムスリップ気分”が味わえる場所として人気を集めています。
映画館としては2004年に閉館。約10年の時を経て復活させたのは関東に暮らしていたご夫婦でした。かつて映写技師が住み込んでいた部屋に今も家族で暮らしながら、館を切り盛りしています。ここは“自宅兼映画館”というユニークな場所です。
上映作品は映写技師とご夫婦が相談して決め、昔ながらの上映看板は、今では地元のボランティアの方が描いて支えています。クラウドファンディングを通じて映画館を買い取り、多くの人の思いを集めて甦った御成座。街の人々とともに新しい歴史を紡ぎ続けています。

昭和レトロな趣を放つ老舗喫茶店「蒼苑」。店内に一歩入ると、落ち着いた照明に木の家具、そして優しい笑顔のマダムが迎えてくれます。
創業60年、今でも常連さん20人程度が毎日代わる代わる訪れる、市内でも人気の店。
名物、王道のナポリタンは太麺でしっとり系。子どもの頃に憧れたチョコレートパフェはみかんとバナナ、中にはアイスがたっぷり。30年以上働くベテランの店員さんが作る愛情こもった一皿です。なかなかお目にかかれなくなった昭和の定番「ゲームテーブル」も現役です。
朝から営業しているので、モーニングを楽しみに行くのもいいですね。

どこか懐かしくて、あたたかい。そんな気持ちになれる場所が、大館の街には点在しています。
レトロな風景とやさしい味わいに触れながら、時間を少しだけ巻き戻すような街歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか。

煉屋菓子舗

住所秋田県大館市泉町4-3
電話番号0186-42-2405
開館時間8:30~18:00
定休日不定期な水曜日(公式HPで確認)、元旦
公式サイトhttps://www.neriyakashiho.com/

御成座

住所秋田県大館市御成町1-11-22
電話番号0186-59-4974
開館時間上映時間は公式サイトで
定休日水曜日
公式サイトhttp://onariza.oodate.or.jp/

蒼苑

住所秋田県大館市桂城17
電話番号0186-42-2830
開館時間9:00~16:00
定休日日曜日

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