日本一広い面積を持つ県、岩手県。それゆえ、魅力が点在していてどのように観光したらいいかイメージがつかみづらいという方も多いかもしれません。そんなお悩みに応えるため、好みや興味関心に合わせて選びやすい「6つのテーマ」でめぐるモデルコースを用意しました。

南部杜氏の里。酒と食との出会いの旅

美味い酒造りに欠かせない水資源豊富な岩手には、多くの酒蔵があります。かつて全国各地にその名をとどろかせた南部杜氏の郷をめぐりながら、食を楽しむ旅に出かけましょう。

〈1日目〉

花巻温泉の豊かな自然と露天風呂で癒しの時を

画像2: 花巻温泉

花巻温泉

岩手県の内陸部、県の真ん中に位置する花巻温泉は、東日本大震災で被災し三陸沿岸から避難した方々が一時身を寄せた場所。花巻温泉と三陸沿岸の縁が改めて見直されるきっかけとなりました。

花巻温泉

住所岩手県花巻市湯本1-125
電話0198-37-2111
webhttps://www.hanamakionsen.co.jp/

南部杜氏の里を象徴 四つの酒蔵がある紫波町へ

画像: 廣田酒造

廣田酒造

花巻市から紫波町にかけての一帯は、「南部杜氏の里」。紫波町では、酒造りに良い水に恵まれており、清酒造りの文化が根付いた場所です。現在も、月の輪酒造、吾妻嶺酒造、川村酒造、廣田酒造が町内で酒造りを行っています(見学は要予約)。この4蔵を飲み比べしながらおいしい食事を楽しみたいという方におすすめなのが、日詰商店街近くの「天狗寿司」です。

画像: 天狗寿司 酒瓶4蔵

天狗寿司 酒瓶4蔵

天狗寿司は、新鮮なネタと腕前はもちろん、大将の親しみやすい人柄も地元客に人気。昼も夜も四つの蔵のラインナップとともにお寿司や鍋料理のセットとお好みの地酒のペアリングが気軽に楽しめます。

天狗寿司

住所岩手県紫波郡紫波町日詰東裏5
電話019-676-2651
営業時間火・木~土曜 11:30~14:00/17:00~22:00
水曜 11:30~23:00 
日曜 11:30~14:00/17:00~21:00
定休⽇月曜
webhttps://www.facebook.com/tengusushi/

原敬歓待の近代和風建築物 国重要文化財平井邸

日詰商店街のもう一つの見どころは、国重要文化財の「平井邸」。こちらは、岩手出身で平民宰相とも呼ばれた原敬が、当時東京駅で遭難する直前に訪れた屋敷で、平井家第十二代当主平井六右衛門が原を歓待するために建てたものです。

2階広間のまわりを囲む回廊にガラスが多用され、大正期の和風建築ならではの貴重な意匠となっています。(見学要予約)

平井邸

住所岩手県紫波郡紫波町日詰郡山駅246
webhttps://www.hiraroku.com/

県庁所在地 水の町盛岡で酒造り文化をめぐる

岩手の県庁所在地・盛岡市も水が豊かな土地柄で、酒造りの歴史がある町です。「旧岩手川」の酒蔵があった鉈屋町界隈は、風情ある古い町家が並び、今でも生活用水として清水が使われています。

また、角打ちができるお店もいくつかあります。紺屋町「菊の司酒造」向かいの平興商店は、常連たちが毎日通いつめることから通称「平興学校」と呼ばれ親しまれています。お酒といえば「盛岡駄菓子」の老舗、関口屋菓子舗の焼酎糖もおすすめ。焼酎を閉じ込めたカラフルな一粒をぜひ味わってみてください。

関口屋菓子舗

住所岩手県盛岡市神明町2-3
電話019-622-4509
webhttps://www.sekiguchiyakashiho.info/

岩手山の伏流水で仕込む八幡平わしの尾

画像: 八幡平 わしの尾

八幡平 わしの尾

八幡平市大更の酒蔵「わしの尾」は、雪解けすると山頂の岩肌部分が鷲の形に見えることから「岩鷲山(いわわしやま/がんじゅさん)」と呼ばれた岩手山の伏流水で酒を仕込んでいます。県産の酒米を使ったお酒「結の香」のほか、地元消費にこだわった酒造りを行っています。

蔵から車で2分ほどのわしの尾専門店「澤口酒店」では、「蔵の舞」や「蔵人の酒」など他では手に入りにくいお酒も常時扱っているので、ぜひ立ち寄って店主におすすめのお酒をたずねてみてください。

日本発の地熱発電所をのぞむ 秘湯松川温泉へ

画像1: 松川温泉

松川温泉

画像2: 松川温泉

松川温泉

この日の宿泊は八幡平山頂へ続く八幡平樹海ラインの入り口に位置する松川温泉へ。エリアには沢づたいに峡雲荘、松川荘、松楓荘の3つの温泉旅館があります。人里離れた秘境の雰囲気も漂う松川温泉の近くに日本初の地熱発電所も。その紹介施設である「松川地熱館」にも立ち寄りましょう。

松川温泉では、夏の間に採れる山菜やイワナなどを昔ながらの調理保存方法で通年にわたって提供しています。滋味あふれる料理ともてなしの心に、地熱のぽかぽかも加わって、まさに温かいひとときが過ごせます。

松川地熱館

住所岩手県八幡平市松尾寄木
電話022-722-6510(東北自然エネルギー株式会社 本店総務部)
営業時間4月下旬~11月上旬 9:00~16:00
休館⽇火曜・冬季
webhttps://www.tousec.co.jp/geothermal_museum.html

〈2日目〉

樹海ライン・アスピーテラインで八幡平のパノラマを堪能

画像: アスピーテライン

アスピーテライン

画像: 松尾鉱山跡

松尾鉱山跡

八幡平頂上は毎年4月下旬から11月上旬まで、樹海ラインとアスピーテラインから通行が可能です。春は日本最長といわれる雪の回廊、夏は湿原や沼の動植物の観察、秋は一面の紅葉と四季折々の自然の景色が素晴らしく、絶好のドライブコースです。

近年は頂上付近から歩いてドラゴンアイまでの散歩が人気です。ドラゴンアイとは、鏡沼の雪解けの様子がまるで龍の眼のような不思議な形に見えることから名付けられました。5月~6月ごろにだけ楽しめる絶景です。

樹海ラインから頂上を経由してアスピーテラインを下ると、眼下に旧松尾鉱山の集合住宅跡が見えてきます。現在敷地内に入ることはできませんが、かつて雲上の楽園といわれた松尾鉱山とそこに暮らした人々の歴史は、松尾八幡平ビジターセンター近くの松尾鉱山資料館で見ることができます。

画像: 安代 不動の滝

安代 不動の滝

松尾八幡平から安代方面に北上するとひときわ大きな鳥居が見えてきます。不動の滝は、日本の滝百選に数えられるほか、岩手の名水二十選にも選ばれています。この不動の滝に向かう道沿いには厳選した大豆で豆腐作りを行っている「ふうせつ花」が店を構えます。ざる豆腐や寄せ豆腐、ゆばやドーナツ、ワッフル、豆乳ソフトや豆乳シェイクなどが人気です。

また不動の滝入り口の向かいにある「味噌茶屋」も立ち寄りたいスポット。こちらにはさまざまな種類のお味噌や各種調味料、麹を使ったプリンなどのデザート類、味噌ソフトがあり、味噌作り体験を行う施設も備えています。

ふうせつ花

住所岩手県八幡平市保戸坂236
電話0195-72-8008
営業時間3月~11月 10:00~18:00 /12月~2月 10:00~17:30
webhttps://fusetsuka.com/

味噌茶屋

住所岩手県八幡平市寺志田165-28
電話0195-72-3663
営業時間9:30~16:30
webhttps://kojiyamotomiya.com/misocyaya_info/

二戸・久慈で「南部美人」と「福来酒造」を味わう

画像: 南部美人

南部美人

画像: 福来酒造

福来酒造

おいしいお酒を求めて安代から二戸市を経由して北部沿岸の久慈市へ。この周辺では、岩手県産酒造好適米の「ぎんおとめ」が栽培されています。

二戸の酒蔵「南部美人」は県外ファンも多く、海外から高い評価を得ています。久慈の「福来酒造」は幸せを呼ぶ酒として明治40年に創業。「南部美人」「福来」が地元産の酒米を使って仕込んだ日本酒をぜひおためしください。

酒と食堪能の旅、最後の夜は、久慈市内の魚料理に舌鼓。北三陸磯料理の「魚棚(うおんだな)」では、新鮮なホタテやウニの逸品が揃います。肉厚でプリプリした野田の荒海ホタテはお酒のお供にぴったり。いちご煮(久慈地方の郷土料理でウニなどの海の幸を放った潮汁)やまめぶ汁も楽しめます。地酒とともに、北三陸の海の幸を心ゆくまで満喫してください。(ウニは7月の口開けから夏季提供。荒海ホタテは冬場にかけてが旬。食材はその日の漁の状況により内容が変わる場合があります)

北三陸磯料理 魚棚(うおんだな)

住所岩手県久慈市十八日町1-15
電話0194-52-0606
営業時間17:00~22:00
定休⽇日曜
webhttps://sanriku-travel.jp/fun/gourmet_spot/p2395/

〈3日目〉

心と身体に嬉しい野田村の農家食堂と山ぶどう

久慈市内の夜を満喫した翌日は、野田村へ。塩作り体験や道の駅の塩ソフトを楽しむことができます。

画像: 農家食堂つきや

農家食堂つきや

お昼は野田村の古民家を改装し、地元のお母さんたちのもてなしが嬉しい「農家食堂つきや」へ。身体に優しい手作り料理がおいしく、まさに三陸沿岸のおふくろの味。広々としたお座敷に座れば、まるで田舎の実家で過ごすかのような居心地の良さ……。野田村の郷土料理「けいらん」(お吸い物)もぜひ味わってみてください。

画像: 涼海の丘ワイナリー

涼海の丘ワイナリー

「涼海の丘ワイナリー」では、昔から滋養に良いといわれる貴重な山ぶどうを使ったワインを造っています。岩手県北沿岸特有のヤマセと呼ばれる初夏の涼しい風が吹くことによって、じっくりと育った野田村産の山ぶどうは、マリンローズパーク野田玉川内の採掘跡の空間を活用し、貯蔵熟成させています。ぜひお土産にどうぞ。

岩手は水と気候と食材に恵まれ、加工や保存の技術に長けた人々がその魅力をさらに広げる食の宝庫。旅を通して産地とつながることで、旅が終わったあとも、ふだんの食卓を豊かにするヒントがたくさん得られることでしょう。

涼海の丘ワイナリー

住所岩手県九戸郡野田村大字玉川5-104-117
電話0194-75-3980
営業時間9:00~18:00
定休⽇火曜
webhttps://www.suzuminookawinery.com/

岩手を楽しむオンラインツアー実施中

「宮沢賢治」「酒と食」「工芸」という3テーマを切り口に岩手県をめぐるモデルコース。その充実した旅程を見て、旅気分が高まったのではないでしょうか。

復興庁では今、岩手観光の支援事業を行っています。その一環として復興庁がおすすめする観光コースがオンラインで紹介されていますので、ぜひ参加してみてください。

岩手を楽しむオンラインツアー
次回は、2022年5月以降に開催予定。内容・日時が決まり次第復興庁webサイトなどで告知されます。

※2022年5月12日に一部内容を更新しました

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

This article is a sponsored article by
''.