東北地方でも最大の都市「仙台市」は、藩政時代から豪華で粋な文化が花開き、歴史が育てた様々な芸術、工芸、様式が数多く残る町です。見どころの多い仙台の食や工芸を楽しく見て回る1泊2日。緑濃い街並みと爽やかな気候が気持ちいい、東北の夏旅をお届けします。
画像1: 城下町の伝統を肌で感じる夏の旅、仙台1泊2日おすすめコース

西村 愛

2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

画像2: 城下町の伝統を肌で感じる夏の旅、仙台1泊2日おすすめコース

9:00 仙台駅から定義山方面へ

この連載でちょうど1年前に訪問した宮城。今回は東北の夏を感じる、仙台市の旅。
前回は仙台市内を周遊できる観光ループバス「るーぷる仙台」を利用しました。今回はさらに広いエリアを網羅して、JR・地下鉄・バスに乗れる「仙台まるごとパス」を使います。2日間使い放題、仙台空港鉄道にも利用できるので、飛行機を降りたところからすぐにお得旅がスタートできます。
観光地での割引クーポン付きなので、仙台観光ではぜひ購入したいチケットです。

チケットを購入したら早速バスで目的地へ。
最初に向かうスポットは、仙台西部の「定義山」です。

仙台まるごとパス
利用路線仙台・松島・松島海岸・山寺・白石駅区間のJR、仙台空港鉄道、るーぷる仙台、仙台市営バス、仙台市地下鉄の全線、宮城交通の仙台~秋保大滝路線、阿武隈急行の槻木~あぶくま駅区間
※楽天シャトルバスは除く。令和元年台風第19号の影響で一部区間に運休があります。
利用期間2日間乗り放題

購入方法・場所、運休区間などはサイトでご確認ください。
https://sendaitravelpass.jp/

10:00 定義山名物「三角定義あぶらあげ」をほおばる

仙台駅から定義行きバスの終点まで。定義山にある「定義如来 西方寺」へと向かいます。
まずは門前町で食べ歩き!なんといってもここで必ず食べたいのが“揚げたて”アツアツの油揚げ。定義とうふ店へ立ち寄り、「三角定義あぶらあげ」を注文します。

窓越しに揚げているところが良く見えました。ここの油揚げは2度揚げ。低温と高温、2つのフライヤーで揚げることにより、でカリッとふっくらきつね色になります。揚げる前の生地は一見豆腐のようですが、これは油揚げにして初めて美味しさを発揮する配合がなされているとのこと。地元の醤油屋さんの醤油と七味をかけて、がぶりとかぶりつきます。七味も2種類用意されていて、人気は七味にんにく。香ばしいにんにくの香りであっという間に完食してしまいました。

門前町にはお土産屋さんや飲食店が並び、他にも「やきめし」と呼ばれる味噌を塗った大きなおにぎりや、玉こんにゃく、お団子など、種類豊富なグルメが揃っています。

定義とうふ店
住所宮城県仙台市青葉区大倉字下道1-2
営業時間8:00~15:00

※新型コロナウイルスの影響により営業時間が変更になる場合があります。
詳しくは公式サイトでご確認ください。
http://www.sankaku-age.jp/

11:00 六角形のお堂を持つ「定義如来西方寺」

参道で胃袋を満たした後は、「定義如来 西方寺」へと向かいます。ここは平家ゆかりの場所であり、また文化財の山門やお堂が並ぶ見どころ多いお寺です。また縁結びのご利益を求めて訪れる人も多いパワースポットです。

門前町から進むと最初にたどり着くのが「山門」。ここから続くのは、「鐘楼堂」「手水舎」そして眼前に迫る六角形のお堂は「御廟貞能堂」。これら全てが昭和初期に建てられた登録有形文化財です。神聖なる佇まいと新緑とのコントラストが美しく、絵画のような世界が広がります。

平家の落人であった平貞能(たいらのさだよし)公がこの地に隠れ住んだ際、名を「定義(さだよし)」と改め、それを「定義(じょうぎ)」と読ませたことが現在の地名へとつながったと言われています。貞能公が大切に守り、亡くなった後も受け継がれてきた「阿弥陀如来の掛け軸」は現在大本堂に安置されており、西方寺のご本尊となっています。

貞能堂から少し奥へと入ったところに「天皇塚」があります。安徳天皇の遺品が埋葬されている塚の上には、2本の欅が1本の幹につながった大木があり、「連理のけやき」として縁結び・子授けのご神木として崇められています。

また「茶室やすらぎ」は整えられた庭園と錦鯉が泳ぐ池、そして五重塔が良く見えるビュースポット。静かな空間でお抹茶をいただきながら名園の風景を眺め、拝観の途中に休憩で立ち寄るのもいいでしょう。

定義如来 西方寺
住所宮城県仙台市青葉区大倉字上下1
webhttps://jogi.jp/

15:00 作並温泉最古の宿「岩松旅館」の日帰り温泉

定義山から南へ下ると美肌の湯として知られる温泉地「作並」へ到着します。今回はバスを乗り継いで向かったので少し時間がかかりました。

朝から歩きっぱなしだった体を温泉でほぐします。岩松旅館は作並温泉の中でも最も古い歴史を持ちます。この地に移り住んだ岩松家は、温泉であった現在の宿の場所を地域の人々に開放するため仙台藩主に許可を願い出て、殿様から許しを得、さらに「鷹乃湯」の名を拝受したと言い伝えられています。

渓流沿いにある天然岩風呂は女性専用の時間(朝と晩)を除いて混浴です。木造りの階段88段を下ると、湧き出す湯を岩で仕切った天然露天風呂にたどり着きます。清らかな水の音と、自然溢れる景色の中、源泉かけ流しのお湯にゆっくり浸かる、癒しの時間です。その他に男女別の大浴場、女性専用の温泉もあります。
「仙台まるごとパス」のクーポンを使って割引が適用され、ここでもお得に楽しめました。

岩松旅館までは、作並温泉駅から無料送迎バスが運行されています。電車の時間に合わせて往復が行われますが、予約をしておいた方が確実です。

作並温泉 鷹泉閣 岩松旅館
住所宮城県仙台市青葉区作並温泉元湯
webhttps://ssl.iwamatu-ryokan.com/

16:00 ソフトクリームこけしがカワイイ、平賀こけし店工房見学

この日最後の立ち寄り地は「平賀こけし店」。作並温泉街にあり、温泉街散策の途中に立ち寄りやすいお店です。

こけしは元々子供のために作られた玩具です。東北地方では広く作られていますが、それぞれの地域によって特色があります。基本的なスタイルは頭と胴体というシンプルなものですが、表情や色付け、絵柄には「系統」があり、見る人が見ればすぐに何系かわかるというほどに異なる特徴を持ちます。

平賀さんのこけしは作並系のひとつで、作並エリアで見ることができる唯一の工房です。
現在平賀家としては4代目、作並こけし工人としては8代目という平賀輝幸さんは「伝統こけし」を製作する傍ら、ここ数年、可愛らしくポップなデザインの「創作(新型)こけし」の考案にも意欲的に取り組んでいます。創作こけしは現代的なモチーフを取り入れる自由さが魅力ですが、そのデザインの中にも優しく垂れ目の瞳や、柔らかく流れるような筆使いといった“作並こけしらしさ”は失われていません。

伝統と進化を同時に進めながら、30年以上もただひたすらにこけし作りに精進されている平賀さん。無垢の木片がろくろと工具で削り出され、表情を与えられ、こちらも思わずにっこりしてしまうような愛らしい姿へと変化する。そんな作業が脈々と伝えられてきました。
温泉街で熟成されてきた伝統の技に触れると、その温かみが伝わります。創作こけしのひとつ「ソフトクリームこけし」がとても可愛く、購入して帰りました。

平賀こけし店
住所宮城県仙台市青葉区作並字元木13
営業時間7:00~19:00
休日年末年始・不定休

※見学する際は電話確認が確実
http://www.h-kokeshi.net/

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

This article is a sponsored article by
''.